ベア・スティープニング(bear steepening)とは、利回り曲線(イールドカーブ)の形状が、短期金利が比較的小幅に上昇する一方で、長期金利がそれ以上に大きく上昇することで、曲線がより急勾配になる現象を指します。
背景と特徴
- 「ベア」:これは「弱気市場(bear market)」に由来します。金利が上昇すると、既存の債券価格が下落するため、債券市場には弱気な影響を与えます。
- 「スティープニング」:利回り曲線の勾配が急になる現象を意味します。
なぜ起こるのか?
- インフレ懸念: 長期金利は将来のインフレ期待に敏感です。インフレが加速するとの予測が高まると、長期債の投資家はインフレリスクを織り込み、高い利回りを要求します。
- 金融政策の変化: 中央銀行が短期金利をわずかに引き上げたとしても、インフレや経済成長期待が高まる場合、長期金利はそれ以上に上昇することがあります。
- 需給バランス: 長期債の需要が低下したり、供給が増えた場合も、長期金利が上昇する要因になります。
具体例
例えば、短期金利(2年債)が1.0%から1.2%に上昇し、長期金利(10年債)が1.5%から2.0%に上昇した場合、利回り曲線の傾きが大きくなります。これがベア・スティープニングの典型的な例です。
経済や投資への影響
- 経済: 長期金利の上昇は、住宅ローンや企業の設備投資コストを増加させる可能性があり、経済成長を抑制する要因となります。
- 投資: 債券価格は金利上昇で下落するため、特に長期債を保有する投資家には損失リスクが高まります。ただし、短期債の価格変動は比較的抑えられる傾向があります。