2025/4

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/4/9

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株式市場、米中関税対立激化で急落―S&P500は弱気相場入り寸前

  • 米中間の関税問題の悪化で米株式市場が下落
  • トランプ氏の関税措置に対する不透明感が市場心理を圧迫
  • ボラティリティー(市場の変動性)が非常に高い状況に

米株市場が大幅下落、原因は関税問題

米国株式市場は8日、米中間の貿易摩擦が激しくなるとの懸念から急落しました。特に、トランプ大統領が中国に対して最大104%の関税を課すと表明したことで、市場の不安が一気に広がっています。

米国株価指数の動き(8日終値)

  • S&P500指数:4,982.77(-1.57%)

  • ダウ平均:37,645.59(-0.84%)

  • ナスダック総合:15,267.91(-2.15%)

S&P500指数は2月の最高値から約19%下落し、「弱気相場(株価が20%以上下落した状態)」に迫っています。

弱気相場とは?

株価が直近のピークから20%以上下落した状態を指します。市場心理が悲観的になり、長期的に低迷する可能性があります。

関税を巡る米中の応酬が影響

トランプ大統領の強硬な貿易政策を受け、中国の李強首相も「外部からの衝撃に対抗する十分な政策手段がある」と強硬な姿勢を見せています。

トランプ氏は他の友好国との交渉を優先していますが、中国との交渉成立への期待は低下しています。

市場のボラティリティーが急上昇

市場では不透明感が強まり、ボラティリティー(変動性)が非常に高まっています。「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数も終値で2020年3月以来の高水準に達しました。

ボラティリティー(変動性)とは?

市場がどれだけ不安定に動くかを示す指標。VIX指数が高いほど市場は不安定で、株価が激しく上下します。

FRBの利下げ期待は限定的

一部の市場参加者からは、景気悪化への懸念から米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切るのではないかとの期待が出ています。しかし、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、現時点で利下げを急ぐ必要はないとの見方を示しました。

今後のポイント

今週は米大手金融機関の決算発表も予定されており、企業が関税の影響をどのように見ているかにも注目です。


まとめ

✅ 米中関税問題激化で米株が急落、特にナスダックが大幅下落

✅ S&P500は2月のピークから約19%下落し、弱気相場入り寸前

✅ 市場の変動性(ボラティリティー)が急上昇、VIX指数は約4年ぶりの高水準

✅ FRBは景気がまだ堅調と見ており、すぐの利下げには慎重姿勢

✅ 今後の企業決算で関税の影響に関する企業の見方が注目される

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

FedWatch分析 アメリカの政策金利予想

米国債市場:長期・短期で異なる動き、関税政策に揺れる市場

  • 米長期債の利回りは上昇、短期債は低下という対照的な動き
  • 関税政策の不透明さが市場の変動性を高めている
  • 専門家は一時的な落ち着きがあるも楽観視はせず

米国債市場に見られる二極化現象

米国債市場では、長期債と短期債で対照的な動きが見られています。米長期債の利回りは上昇する一方、2年債の利回りは低下しました。3年債入札の需要低迷が長期債利回り上昇の一因となっており、今週は10年債と30年債の入札も控えています。

利回りの動き(直近値と変動幅)

  • 米30年債利回り:4.76%(前日比+14.2bp、+3.07%)
  • 米10年債利回り:4.29%(前日比+10.8bp、+2.57%)
  • 米2年債利回り:3.72%(前日比-3.9bp、-1.05%)

インプライドボラティリティー(IV)とは? 将来の市場価格の変動がどの程度激しくなるかを予測する指標です。この数値が高いほど、市場参加者は将来の価格変動が大きくなると予想していることを意味します。

市場の不安定性と専門家の見解

市場は一時的に落ち着きを見せたものの、トランプ政権の関税政策に対する不透明感から、米国債のインプライドボラティリティー指数は2023年10月以来の高水準に達しています。

専門家の分析

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)のエリアス・ハダッド氏は「市場は落ち着きを取り戻したが、米国の関税方針と報復措置の可能性が世界経済へ大きな打撃となっている」と指摘し、リスク資産の反発は短命に終わる可能性が高いと警告しています。

フューチャーズ・ファースト・カナダのリシ・ミシュラ氏は「市場はかなりの痛手を負った」としながらも、「市場の機能そのものに問題はない」と分析しています。

トランプ政権の貿易政策と市場への影響

指標となる10年国債利回りは11日ぶりの高水準(4.243%)を記録しました。これはトランプ政権が関税措置について貿易相手国と合意に達するという楽観的見方が広まったためです。

政権高官の発言

ベッセント財務長官は、関税交渉は対象国の要請に応じたもので市場対応ではないと明言し、ハセット国家経済会議委員長は「中国より日本や韓国などの同盟国を優先する」と述べました。

TDセキュリティーズUSAのゴールドバーグ氏は「市場は楽観的になっているが、確信度は依然として低い」と慎重な見解を示しています。

ベーシスポイント(bp)とは? 金利の変動を表す単位で、1bp(ベーシスポイント)は0.01%を意味します。例えば、金利が8.6bp上昇したとは、0.086%上昇したことを表します。

まとめ

✅ 米国債市場では長期債の利回り上昇と短期債の利回り低下という対照的な動きが見られています。

✅ トランプ政権の関税政策の不透明さが市場の変動性を高め、インプライドボラティリティーは2023年10月以来の高水準に達しています。

✅ 市場は一時的に落ち着きを見せたものの、専門家は楽観視せず、投資家は引き続き政策動向を注視する必要があります。

✅ 10年国債利回りは11日ぶりの高水準を記録し、市場の不安定さが続いています。

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

米中の関税対立激化でドル全面安、円やスイス・フランが逃避先に

  • 米国が中国への関税引き上げを示唆し、為替市場ではドルが広く下落しています。
  • 円やスイス・フランなど、安全通貨が上昇しています。
  • オフショア人民元は史上最安値を更新しています。

米中対立の再燃でドル全面安

米国が中国への関税を104%に引き上げると発言したことが市場に影響を与え、ドルが主要通貨に対して全面的に下落しました。

「関税」とは?

関税とは、外国から輸入する商品に対して政府が課す税金のことです。自国産業の保護や、他国への経済的圧力として利用されます。

米ドルは特に円に対して下落し、一時1ドル=145円97銭まで値下がりしました。

安全資産への逃避で円・スイスフランが上昇

世界経済への懸念が強まる中、投資家は安全な資産とされる円やスイス・フランに資金を移しました。
円は対ドルで約1%、スイス・フランは約1.48%上昇しました。

「逃避通貨」とは?

世界的に経済や政治のリスクが高まると、投資家がリスクを避けるために資金を移動させる先として選ばれる安定的な通貨のことです。

人民元は史上最安値に、中国の元安容認姿勢を意識

中国人民元は米国との貿易対立を背景に売られ、オフショア市場で1ドル=7.423元と史上最安値を記録しました。これは中国が自国通貨の価値を意図的に引き下げ、関税引き上げへの対抗策を取っているとの見方が広がっているためです。

「オフショア人民元」とは?

中国本土外で取引される中国の通貨(人民元)です。本土で取引される人民元(オンショア人民元)とは取引市場が異なり、為替レートに差があります。

欧州でもユーロが上昇、ドイツの連立政権報道が材料に

ドイツで新たな連立政権が樹立される可能性があるという報道に反応し、ユーロが対ドルで0.52%上昇しました。しかし、この報道に対する否定的な見方も出ており、今後の動きには注意が必要です。


まとめ

✅ 米国の中国向け関税引き上げ発言で、ドルが大きく下落

✅ 安全通貨である円とスイス・フランに資金が集中

✅ オフショア人民元は米中対立の影響で史上最安値を更新

✅ 欧州ではユーロがドイツ政権報道を受けて一時的に上昇

✅ 投資家は今後の貿易摩擦の展開に注目

コモディティ市場

原油・金市場急変:米中貿易摩擦と世界経済の行方

  • 原油価格は4営業日連続で下落、WTIは2021年以来初めて60ドル割れ
  • 米中貿易戦争の激化懸念が原油需要見通しを悪化させている
  • 金相場は一時3000ドル回復も、市場混乱の中で弱含みに転じる
  • 市場専門家は原油価格見通しを下方修正している

原油市場に暗雲:貿易戦争の影響が鮮明に

ニューヨーク原油先物相場は4営業日連続で下落しました。米中間の貿易摩擦激化により、世界的な原油需要の先行きに対する懸念が強まっています。

WTI原油が節目の60ドルを割り込む

ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物は、2021年以降で初めて1バレル=60ドルを下回る水準で取引を終えました。9日午前0時過ぎに、トランプ政権は中国製品に対して合計104%の関税を発動する予定であり、瀬戸際での合意がなければ実行されます。

WTIとは? ウェスト・テキサス・インターミディエートの略で、米国で産出される原油の代表的な銘柄。世界の原油価格指標の一つとして広く使われています。

米中対立が原油市場に与える影響

中国は世界最大の原油輸入国の一つであり、関税措置が発動されれば原油需要に大きな影響を与える可能性があります。中国側も最後まで闘う用意があると表明しており、現時点で妥協の姿勢を見せていません。

専門家の見通しと業界の反応

原油価格見通しの下方修正が相次ぐ

  • ソシエテ・ジェネラル:年末までのWTI価格を57ドルと予想
  • ゴールドマン・サックス・グループ:極端なケースではブレント原油が40ドルを割り込む可能性を警告

米石油業界の懸念

米国の石油大手の経営陣はすでにトランプ政権に対して、世界的な貿易戦争が国内の石油生産業者にどのような利益をもたらすのかの説明を求めています。

原油先物の終値

  • NYMEX WTI先物5月限:前日比1.12ドル(1.9%)安の1バレル=59.58ドル
  • ロンドンICEの北海ブレント6月限:2.2%下落して62.82ドル

金市場の変動:混乱の中での動き

金スポット価格はほぼ横ばいとなりましたが、取引中には1オンス=3000ドルを回復する場面も見られました。ただし、午後にかけては弱含む展開となりました。

金相場の急変動

金相場は過去3営業日で約5%下落し、2021年以来の大幅安を記録していました。今年に入って相次いで最高値を更新してきた金相場ですが、世界的な市場急落の影響を受けて連れ安となっていました。

「連れ安」とは? ある商品や資産の価格が下落した影響で、関連する他の商品や資産の価格も下落することを指します。

市場混乱時の金の動き

市場の極端な混乱時には、投資家が他の資産での損失をカバーするために金を換金売りすることがあります。これが足元での金価格下落の一因とされています。

金相場の終値

  • 金スポット価格:ニューヨーク時間午後3時05分現在、前日比3.62ドル高の1オンス=2986.90ドル
  • COMEX金先物6月限:16.60ドル(0.6%)高の2990.20ドル

まとめ

✅ 原油価格は米中貿易摩擦の影響で4日連続下落し、WTIは2021年以来初めて60ドルを割り込みました。

✅ 専門家は原油価格見通しを下方修正し、ゴールドマン・サックスは最悪の場合ブレント原油が40ドル割れを警告しています。

✅ 金相場は一時3000ドルを回復するも弱含み、市場混乱時には金も換金売りの対象となる傾向があります。

✅ 米中貿易対立が解消されない限り、エネルギー市場と貴金属市場の不安定な状況は続く可能性があります。