2025/4

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/4/12

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場が大幅反発、FRBの介入示唆で安心感広がる

  • 米株式市場は4月11日、大幅に反発しました。
  • トランプ大統領の関税政策による混乱が続く中、FRB(連邦準備制度理事会)が市場安定化への介入を示唆したことが好感されました。
  • S&P500指数は週間で2023年以来の大幅上昇を記録しましたが、市場参加者からは今後の相場に慎重な声も出ています。

市場の主な動き

11日の米株式市場は主要な株価指数が大きく上昇しました。

  • S&P500種株価指数:5363.36(+1.81%)

  • ダウ工業株30種平均:40212.71(+1.56%)

  • ナスダック総合指数:16724.46(+2.06%)

特にハイテク株と素材セクターが大きく値を上げました。


FRBの介入示唆が安心感を与える

ボストン地区連銀のコリンズ総裁が、「金融市場が無秩序になればFRBが安定化支援に動く用意がある」と述べたことで、市場に安心感が広がりました。

市場参加者はこれを「FRBプット」が動いたと解釈しています。

FRBプットとは?

FRBプットとは、金融市場が大幅に下落した際にFRBが積極的に金融政策で市場を支援するとの期待感を示す言葉です。


依然として残る市場の不安要素

しかしながら、市場の専門家は慎重な見方を崩していません。

  • ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、「貿易摩擦の解消が不透明で、マクロ経済の状況も厳しい中、市場はまだ感情的になっている」と指摘しました。

  • バンク・オブ・アメリカのマイケル・ハートネット氏も、関税を巡る混乱が続く限り、株式の上昇局面では戻り売りを推奨しています。

特にJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、米国債市場の混乱がFRBの介入を促す可能性があると指摘しました。


経済指標も警戒を示唆

米経済指標は混乱の影響を色濃く映しています。

  • 卸売物価指数(PPI)は前月比0.4%下落。これはガソリン価格急落の影響によるもので、約1年半ぶりの低下です。

  • 消費者信頼感指数は50.8と、貿易摩擦による消費者心理の悪化で2022年6月以来の低水準となりました。


まとめ

✅ 株式市場はFRBの支援期待で一時的に反発したが、不安定な状況が続く可能性が高い

✅ 米中間の貿易摩擦や関税問題が解消しない限り、市場は乱高下を繰り返す可能性がある

✅ 今回の上昇を長期的な転換点と見るのは時期尚早で、短期的な戻り売り戦略が推奨されている

✅ FRBが実際に市場介入する状況になるかどうか、米国債市場の動きを注視する必要がある

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

FedWatch分析 アメリカの政策金利予想

米国債市場で大混乱:10年債利回りは2001年以来の大幅上昇

  • 米国債相場が大幅に下落し、10年債利回りは週間ベースで2001年以来の大幅上昇
  • トランプ大統領の関税政策の変更が市場の混乱を引き起こしている
  • 投資家が米国資産から資金を引き揚げる動きが継続
  • 市場は米国の政策に対する信頼感の喪失に直面している

米国債市場の急変動

米国債相場は短期債を中心に大幅に下落しました。特に10年債利回りは一時16ベーシスポイント(bp)上昇して4.6%近くまで上昇し、週間ベースでは2001年以来の大幅上昇となりました。30年債利回りも一時5%に迫る水準まで上昇しています。

主要国債利回りの変動

  • 米30年債利回り:4.87%(前営業日比 +0.5bp、+0.11%)
  • 米10年債利回り:4.50%(前営業日比 +7.1bp、+1.59%)
  • 米2年債利回り:3.97%(前営業日比 +10.4bp、+2.70%)

市場専門家の見解

UBSグループのチーフストラテジスト、バーヌ・バウェジャ氏は「非常に恐ろしい。世界のリスクフリーレートを定義し直しているところだ」と述べ、市場の混乱の深刻さを指摘しています。

チャールズ・シュワブのキャシー・ジョーンズ氏は「市場が直面している問題は米国の政策に対する信頼感喪失だ」と分析。関税政策の突然の変更により、投資家が様子見の姿勢を強めていると指摘しています。

リスクフリーレートとは?

リスクフリーレートとは、理論上リスクがないとされる投資の利回りのことで、通常は米国債などの国債の利回りを指します。この指標が不安定になると、あらゆる金融商品の価格形成に影響を与えます。

市場混乱の要因

主な混乱の要因には以下が挙げられます

  1. トランプ大統領の二転三転する関税政策
  2. ヘッジファンドなどによるマージンコール(証拠金請求)に伴う売却
  3. 外国人投資家による債券売却の噂
  4. 市場のボラティリティ(価格変動性)の急上昇

マージンコールとは?

投資家が借入れを使って投資している場合、資産価値が一定水準を下回ると、証券会社が追加の証拠金を要求することです。これに応じられない場合、保有資産が強制的に売却されます。

今後の見通し

バークレイズのアジェイ・ラジャディアクシャ氏は「米国債が安定し、正常な動きを取り戻すまで、リスク資産は苦戦を強いられるだろう」と述べています。

関税措置により経済が減速すれば、連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げする可能性があるとの見方も強まっています。このため、短期債利回りは長期債に比べて比較的低い水準で推移しており、2年債と10年債の利回り格差は52bpに縮小しています。

まとめ

✅ 米国債市場は大きな混乱状態にあり、10年債利回りは週間ベースで2001年以来の大幅上昇を記録

✅ トランプ大統領の関税政策変更が市場の信頼感を損ない、投資家が資金を引き揚げる動きを加速

✅ 市場の安定には政策の一貫性と透明性が必要とされ、当面は高いボラティリティが続く見通し

✅ この混乱がリスク資産全般に波及する懸念が高まっている

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

米ドル急落、貿易戦争激化と景気後退懸念で6カ月ぶり安値

  • 米ドルが主要通貨に対して急落し、約6カ月ぶりの安値をつけた。
  • 中国が対米関税を大幅に引き上げたことで、貿易戦争が激化。
  • 米経済指標が弱含み、米国景気への不安が高まったこともドル売りの原因に。

米ドル急落の背景

外国為替市場ではドルの価値が急激に低下しています。その理由として以下の2つが挙げられます。

中国の関税引き上げが引き金に

中国がアメリカからの輸入品に対する関税を84%から125%へ大幅に引き上げました。これはトランプ大統領が中国への関税を145%へ引き上げたことへの対抗措置です。この激しい貿易戦争(国同士がお互いに関税をかけ合うことで貿易を制限しようとする争い)によって、投資家がドル資産を避ける動きが広がりました。

貿易戦争とは?

各国が自国の産業を守るために輸入品に高い関税をかけ合うこと。貿易が停滞し経済に悪影響を与えることがあります。

米経済指標の悪化

さらに、アメリカの3月の生産者物価指数(PPI)が市場予想に反して前月比で低下しました。これにより、米経済の回復力が弱まっているとの見方が広がり、ドルの売りが進んだ形です。

生産者物価指数(PPI)とは?
企業が製品を生産するためにかかるコスト(原材料費など)の変動を測る指標で、景気動向を予測する手掛かりになります。


各通貨の動き

  • ドル指数
    前日比1.00%安(1233.74)と、6カ月ぶりの低水準。

  • ドル/円
    143.62円まで下落し、昨年9月以来の安値水準に。

  • ユーロ/ドル
    1.1349ドルまで上昇し、約3年ぶりの高値を記録。

  • ドル/スイスフラン
    0.81650フランまで下落、10年ぶりの安値を更新。


専門家の見方

専門家は、今回のドルの下落について次のように分析しています。

  • ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)のエリアス・ハダッド氏は、「アメリカ経済はスタグフレーション(景気後退と物価上昇が同時に進行する状況)の瀬戸際にあり、ドルはさらに下げやすい状況」と指摘しています。

スタグフレーションとは?
景気が停滞する中で物価だけが上昇する経済状況のこと。

  • ジェフリーズのブラッド・ベクテル氏は、「米国への投資が減り、資金がユーロ圏やスイスフラン、円など他の地域に流れている」と分析しています。


今後の為替市場のポイント

ドル安が続くかは以下の点に注目する必要があります。

  • 米中貿易摩擦のさらなる激化の有無

  • 米経済指標(インフレ率や景気指数など)の動向

  • ECB(欧州中央銀行)の金融政策の対応


まとめ

✅ 中国の関税引き上げと米経済指標悪化で米ドルが大幅下落

✅ ドル指数は6カ月ぶりの安値、ドル円は昨年9月以来の低水準に

✅ ユーロやスイスフランに資金が流入、ユーロは3年ぶりの高値

✅ スタグフレーション懸念や貿易戦争の激化がドル売りを促進

✅ 投資家の資金はドルから他地域へ分散される傾向が強まっている

 

コモディティ市場

原油と金市場が示す世界経済の不確実性と安全資産への逃避

  • 原油価格は反発したものの、米中貿易戦争の激化で週間では2週連続の下落
  • 金価格は史上初めて1オンス=3200ドルを突破し、最高値を更新
  • 米中の関税合戦が世界経済に与える不確実性が両市場に影響
  • 通常の安全資産である米国債も売られる中、金への資金流入が加速

原油市場の動向

ニューヨーク原油先物は反発し、WTI先物5月限は前日比1.43ドル(2.4%)高い1バレル=61.50ドルで取引を終えました。北海ブレント6月限も2.3%上昇して64.76ドルとなりました。

しかし、米中間の貿易摩擦激化によるボラティリティ(価格変動性)の高まりから、週間ベースでは2週連続の下落となっています。

米中貿易戦争の影響

  • 中国は米国への関税を125%に引き上げると発表
  • 同時に、米国が今後関税を引き上げても対抗措置は取らないと示唆
  • 米国株の上昇が終盤の原油相場を下支え

OPECプラスの動向

フィッチ・ソリューションズ傘下のBMIは「原油などマクロ経済に敏感なコモディティーにとって、経済を巡る高い不確実性は重し」と指摘しています。さらに、OPECプラスによる減産の段階的かつ継続的な巻き戻しを予想しています。

OPECプラスとは?

石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟産油国で構成される協調体制のことで、原油価格の安定を図るために協調減産などを行っています。

金市場の急上昇

金スポット価格は史上初めて1オンス=3200ドルを突破し、一時3245.48ドルまで上昇しました。週間では約6.5%の値上がりを記録しています。

金価格上昇の要因

  • トランプ氏の関税政策による金融市場の混乱
  • 通常の安全資産である米国債も売られる状況
  • 中央銀行による金購入の継続
  • 地政学的リスクと財政悪化への懸念

サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は「金が力強く持ち直し、再び最高値を更新したことは、状況が決して良好ではないことの裏返しでもある」と指摘しています。

ボラティリティとは?

金融市場における価格変動の大きさを表す指標です。ボラティリティが高いほど、短期間で価格が大きく変動することを意味し、不確実性やリスクの高まりを示します。

まとめ

✅ 原油価格は日々の取引では反発したものの、米中貿易摩擦による不確実性から週間では下落傾向が続いています

✅ 金価格は史上最高値を更新し、不安定な市場環境下で唯一の安全資産として再評価されています

✅ 米中の関税合戦と世界経済の先行き不透明感が、コモディティ市場全体に大きな影響を与えています

✅ 通常の安全資産である米国債も売られるという異例の状況が、金への資金流入を加速させています