2025/4

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/4/16

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場、小幅に反落-関税戦争の不透明感で慎重姿勢強まる

  • 米株式市場は小幅に反落、関税問題への不透明感が根強い
  • トランプ大統領は米中貿易交渉について、中国の歩み寄りを要求
  • 中国が米ボーイング機の納入停止を指示、貿易摩擦が激化
  • 銀行決算は好調だったが、株価の支援材料としては限定的

関税戦争への警戒感が株価を圧迫

4月15日の米株式市場は小幅な反落となりました。トランプ大統領による「関税戦争」の収束が見えないことから、市場ではリスクを避ける動きが強まりました。前日まで2営業日連続で株価が上昇していた反動もあり、慎重なムードが広がっています。

この日の主な株価指数は以下のような動きでした。

  • S&P500指数:5396.63(-9.34、-0.17%)

  • ダウ工業株30種平均:40368.96(-155.83、-0.38%)

  • ナスダック総合指数:16823.17(-8.31、-0.05%)


トランプ大統領「交渉開始は中国次第」

トランプ大統領は、米中の貿易摩擦解決に向けて、中国からの歩み寄りを求める姿勢を改めて示しました

しかし、米中両国の強硬姿勢は崩れておらず、交渉が進む気配はありません。

中国はボーイング機の納入停止で報復

中国政府は国内航空会社に対し、米ボーイング社の航空機の追加納入を停止するよう指示しました。

これは米国が中国製品に最大145%の関税を課したことに対する報復措置とされています。


米経済への影響懸念が高まる

チャールズ・シュワブのケビン・ゴードン氏は、「貿易戦争は米国の輸出企業にも打撃を与えている」と述べました。輸出は米国GDPの約11%を占めており、関税が外需を弱めれば、米経済全体が減速する恐れがあります。

また、米EU間でも貿易交渉は進展が見られず、米国の貿易政策が世界経済の不確実性をさらに高めています。


投資家心理は過去30年で最も悲観的

バンク・オブ・アメリカ(BofA)が行ったファンドマネジャー調査では、投資家の経済見通しに対するセンチメント(心理状況)が過去30年間で最も悲観的となっています。

ただし、市場の資産配分にはまだその悲観的な見方が十分に反映されていないため、米国株にはさらなる下落リスクがあると指摘されています。

センチメントとは?

投資家や市場参加者が経済や相場に対して感じている心理状況や感情のこと。悲観的なセンチメントは株価下落の要因となることがあります


銀行の好決算も株価への影響限定的

この日発表されたバンク・オブ・アメリカ(BofA)やシティグループの決算は良好でしたが、市場全体を支える材料としての効果は限定的でした。一方、米中摩擦の影響を受けやすいボーイングは2.4%下落し、ダウ平均を押し下げました。


まとめ

✅ 米株式市場は関税問題の不透明感で小幅に反落

✅ 米中の対立激化で、中国が米ボーイング機の追加納入停止を指示

✅ 投資家心理は過去30年で最も悲観的だが、市場にはまだ十分反映されていない

✅ 銀行決算は好調だったが、市場の支援材料としては限定的だった

✅ トランプ政権の貿易政策が米経済成長の重荷になる懸念が広がっている

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

FedWatch分析 アメリカの政策金利予想

米国債市場:SLR規制緩和の可能性と上昇するタームプレミアム

  • 米国債相場は中期債を中心に上昇(利回りが低下)
  • 米国債市場への補完的レバレッジ比率(SLR)規制の緩和検討が好感される
  • SLR規制緩和実現で銀行の取引コストが低下する可能性あり

米国債相場の現状

米国債相場は中期債を中心に上昇(利回りが低下)しています。特に、米国債市場への補完的レバレッジ比率(SLR)規制の緩和検討が好感され、市場に前向きな動きをもたらしています。この規制が緩和されれば、銀行の取引コストが低下する可能性があります。

具体的な利回りの状況

  • 米30年債利回り:4.78%(前営業日比-3.3bp、-0.69%)
  • 米10年債利回り:4.33%(前営業日比-4.3bp、-0.98%)
  • 米2年債利回り:3.84%(前営業日比0.0bp、0.00%)

10年債利回りは一時7ベーシスポイント(bp)まで低下しました。

注目すべきタームプレミアムの上昇

タームプレミアムとは

タームプレミアムとは、短期債への再投資を繰り返す代わりに長期債を保有することに対して投資家が求める上乗せ利回りのことです。簡単に言えば、長期保有のリスクに対する報酬といえます。

現在の状況

10年債のタームプレミアムは71bpに上昇し、ニューヨーク連銀のデータによると、これは2014年9月以来の高水準です。この上昇傾向には以下の要因が影響しています

  • トランプ政権の予測不能な関税政策
  • 減税案の可能性
  • 米国債の発行限度額引き上げの可能性

市場に影響を与える不確実性要因

政策の不確実性

米国の経済政策が予測しにくくなっており、不確実性の指標は今月、過去最高に迫りました。特にトランプ大統領の関税政策の変動が市場に影響を与えています。

財政問題への懸念

ベッセント財務長官は、連邦政府が早ければ5月か6月に資金不足により一部の支払い義務を期限通りに履行できなくなる恐れがあると示唆しました。

外国人投資家の需要変化

米国債は長い間、外国人投資家からの旺盛な需要に支えられてきましたが、その傾向が変化しつつあります。シエテ・ジェネラルのストラテジストらはこれを「需要の力学におけるパラダイムシフト」と指摘しています。

まとめ

✅ 米国債市場はSLR規制緩和の検討を受けて中期債を中心に上昇しています

✅ 10年債のタームプレミアムは71bpまで上昇し、約10年ぶりの高水準に達しています

✅ 政策の不確実性、財政赤字拡大の懸念、外国人投資家の需要変化が市場に影響を与えています

✅ 財務長官は5-6月に政府の支払い能力に問題が生じる可能性を示唆しており、今後の動向に注意が必要です

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル指数が6日ぶり反発、NY製造業指数が市場予想を上回る改善

  • ドル指数が6営業日ぶりに反発
  • NY連銀製造業景況指数は依然縮小圏だが予想より改善
  • ユーロは銀行の融資基準厳格化を受けて下落
  • ポンドは米英貿易協定の期待で上昇
  • トランプ大統領の関税政策に対する懸念は依然続く

ドル指数の反発、背景にはNY経済統計の好結果

外国為替市場ではドルが6営業日ぶりに反発しました。ニューヨーク連銀製造業景況指数は、2ヶ月連続で縮小圏内でしたが、市場予想よりも改善しました。

ブルームバーグ・ドル指数とは?

ブルームバーグが算出する米ドルの総合的な強さを表す指標。主要10通貨に対するドルの価値を示します。

  • ブルームバーグ・ドル指数:1234.32(前日比+0.35%)

  • ドル/円:143.24円(前日比+0.13%)

  • ユーロ/ドル:1.1284ドル(前日比-0.59%)


円相場は小動き、方向感乏しい展開

ドル円相場は、朝方に一時142円60銭まで円高に振れたものの、その後は143円20銭台まで反発。大きな動きはなく、方向感に欠ける展開となりました。


ユーロ圏、銀行の貸出基準厳格化でユーロ下落

ユーロはドルに対して最大0.8%近く下落しました。欧州中央銀行(ECB)が発表した調査で、ユーロ圏の銀行が企業向け融資の基準を厳しくしていることが判明し、ユーロ売りが進みました。


ポンドは米英貿易協定の期待で6日続伸

ポンドは対ドルで6営業日連続の上昇となりました。これは昨年7月以来の連続上昇です。背景にはバンス米副大統領が米英貿易協定について前向きな発言をしたことがあり、市場の期待感がポンド買いを支えました。


トランプ政権の関税政策、依然として不透明感強まる

トランプ米大統領はメキシコやカナダから輸入する自動車や部品に対して追加関税を検討中です。これに対し市場は慎重姿勢を続けており、米資産から資金を引き揚げる動きが先週は目立ちました。

また、18日はイースター休暇(グッドフライデー)のため米国市場は休場ですが、外国為替市場は通常通り取引が行われる予定です。


まとめ

✅ドル指数は経済指標の改善を受けて6営業日ぶりに反発したが、依然として米関税政策に対する警戒感は残る。

✅ユーロは銀行の融資基準の厳格化により下落し、ユーロ圏の経済に対する懸念が高まった。

✅ポンドは米英貿易協定の期待感で強含み、6日続伸した。

✅ドル円相場は小幅な値動きで、方向感に欠ける状況が続いている。

✅市場参加者はトランプ政権の関税政策の影響を見極めつつ、慎重なスタンスを維持している。

コモディティ市場

貿易戦争と国際商品価格:原油安と金相場の急上昇

  • 原油価格は供給過剰懸念で下落傾向
  • 米国・EU間の貿易摩擦が継続し、新たな関税措置の可能性
  • 金相場は貿易戦争懸念を背景に3,220ドル台まで上昇
  • 中国での金需要が高まり、ETFへの資金流入が増加
  • 金相場はゴールドマン・サックスが2026年半ばに4,000ドル到達を予測

原油市場:供給過剰が価格を押し下げる

需給バランスの悪化

ニューヨーク原油先物は小幅安となりました。恒常的な供給過剰が続くとの見方が強まり、売りが優勢になっています。国際エネルギー機関(IEA)は今年の石油需要予測を下方修正し、供給過剰は2026年まで続くと予測しました。

貿易摩擦の影響

EUと米国の貿易協議は今週ほとんど進展を見せず、トランプ政権はEUに課している関税の大半を維持する意向を示しました。この状況が市場の不透明感を高めています。

アナリストの見解

HSBCホールディングスのアナリストは「2025年の石油市場の余剰は拡大している」と指摘。「需要の低迷に、OPECプラスによる生産増加の加速が組み合わさり、数カ月前の予測よりも2025年の余剰が大きくなることが示唆されている」と述べています。

原油価格の動向

  • WTI原油先物5月限:61.33ドル(0.3%安)
  • 北海ブレント6月限:64.67ドル(0.3%安)

金相場:貿易戦争の拡大懸念で上昇

新たな貿易摩擦の兆し

ニューヨーク金相場は反発し、トランプ政権による貿易戦争の拡大につながり得る調査を背景に買いが優勢となりました。商務省は14日、半導体および医薬品の輸入が国家安全保障に及ぼす影響に関する調査を開始したと発表しました。

金相場の急上昇

金スポット相場は一時、オンス当たり3,223ドルを付け、最高値から20ドル未満の水準まで上昇しました。金は今年に入って20%余り上昇しています。

ETFとは?

ETF(上場投資信託)は、株式や債券などの資産に連動するよう設計された投資信託で、株式と同様に取引所で売買できる金融商品です。金ETFは実際の金を裏付け資産として保有しています。

投資家の動向

投資家が金に裏付けされたETFの保有量を増やし、中央銀行が引き続き金を蓄積しているため、今後の金相場の見通しについて大手銀行は楽観的な見方を維持しています。ゴールドマン・サックスは、2026年半ばまでに金価格が4,000ドルまで上昇すると予測しています。

中国市場の影響

世界最大の金塊市場である中国での強い需要が支援材料となっています。貿易戦争が激化するにつれ、投機的な取引が急増し、現地のETFへの資金流入も増加しています。

金価格の動向

  • 金スポット価格:3,226.86ドル(0.5%高)
  • 金先物6月限:3,240.40ドル(0.4%高)

まとめ

✅ 原油市場は供給過剰懸念から弱含みで推移し、IEAは供給過剰が2026年まで続くと予測

✅ 米国の新たな関税調査開始により貿易戦争の拡大懸念が高まり、金相場は安全資産として選好される

✅ 金価格は年初から20%以上上昇し、中央銀行の買い入れや中国での需要増加が支援要因に

✅ ゴールドマン・サックスは金価格が2026年半ばまでに4,000ドルに達すると予測

✅ 今後の金相場はFRBの金融政策転換や米経済の減速が更なる上昇のカギになる見通し