2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/1

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

このサイトは、ファンダメンタル分析の軸である海外記事(Bloomberg、Reuters)初心者にも分かりやすく要約しています

株、金利、FX(為替)原油、金などのファンダメンタルをまとめています

情報収集の時短にぜひ活用してください

初心者から上級者まで、経済に関心のある方々に役立つ情報を迅速かつリアルタイムでお届けします

当サイトの目標は、誰もが経済情報にアクセスしやすく、理解しやすい形で提供することで、より多くの人々が経済知識を身につけ、投資やビジネスの世界に参加できるようになることをサポートすることです

昨日、何が起きたのかを把握することで、今日の値動きなどのシナリオ構築に役立てればと思います

金融市場が開いていれば(平日)毎朝更新しています

X(Twitter)でも毎日の値動きやニュースを発信していますので、ぜひフォローよろしくおねがいします

 

目次

 ファンダメンタル分析【オススメ】書籍紹介(書評)サイト

経済ニュースを日々キャッチアップするのと同時に、ファンダメンタル分析の理解をさらに深めたい方に向けて、いくつかの優れた書籍を紹介します!

初心者の方にも読みやすく、金融リテラシーが上がること間違いなしです!是非ご覧になってください。

昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

金融ポータルサイト、Investing.com 日本によって提供されている経済カレンダー

 

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株が7日続伸、貿易懸念も利下げ期待で買い戻し

  • 米国株は一時軟調も、利下げ期待と貿易交渉進展への期待感で終盤に上昇。
  • 米国の第1四半期GDPはマイナス成長で景気懸念も、個人消費は堅調。
  • FRBの年内4回の利下げが市場で完全に織り込まれる。

米株式市場の動向

米国株は、トランプ大統領の貿易戦争により景気が減速するとの懸念から、一時下落しましたが、引けにかけて回復しました。特にS&P500種株価指数は、これで7営業日続伸となりました。

  • S&P500種株価指数:5569.06(+0.15%)

  • ダウ工業株30種平均:40669.36(+0.35%)

  • ナスダック総合指数:17446.34(-0.09%)

GDPは予想外のマイナス成長、ただし消費は強い

2025年1-3月期の米国GDP(国内総生産)速報値は年率換算で0.3%のマイナスとなり、2022年以来の低成長となりました。これは市場予想の+0.3%に反する結果であり、関税発動前の輸入増や個人消費の弱さが主な要因です。

一方で、経済活動の大部分を占める個人消費は予想を超える伸び(0.7%増)を見せ、消費者の需要は依然として底堅いことが確認されました。

GDPとは?

GDP(国内総生産)とは、その国が一定期間内に生み出した付加価値の合計額を示す経済指標で、経済成長率を測る最も重要な指標のひとつです。

市場が注目するFRBの動き

現在、市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)が今年中に0.25ポイントずつの利下げを4回行うことが100%織り込まれています。これは、景気のさらなる後退を防ぐためにFRBが積極的に政策を打ち出すと投資家が見込んでいるためです。

利下げが早まる可能性について、市場関係者は以下のように指摘しています。

  • 「軟調な経済指標が利下げの時期を早める可能性が高い」(シティー・インデックス:ファワド・ラザクザダ氏)

  • 「貿易合意が早まれば、FOMCはさらに迅速に利下げに踏み切るだろう」(ナベリアー&アソシエーツ:ルイス・ナベリアー氏)

FOMCとは?

FOMC(米連邦公開市場委員会)とは、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を決定する機関です。政策金利を調整して、景気の安定を図ります。

インフレは落ち着き、スタグフレーション懸念は後退

FRBが重要視する個人消費支出(PCE)価格指数は前月比で変動がなく、約1年ぶりの横ばいとなりました。また食品・エネルギーを除くコア価格指数も同様の結果で、約5年ぶりの低水準でした。これにより、景気後退とインフレが同時に起きるスタグフレーション(経済停滞と物価上昇が同時進行すること)への懸念は和らいでいます。

スタグフレーションとは?

スタグフレーションとは、景気が停滞する一方で物価が上昇する状況を指します。経済政策の対応が非常に難しい状況となります。

個別銘柄の動き

  • 食品大手モンデリーズが予想以上の好決算で3.8%上昇。

  • サーバー大手スーパー・マイクロ・コンピューターは業績予想を下方修正し11.5%急落。

  • スナップチャットを運営するスナップも業績見通し未公表を受け12.4%の大幅安。

  • キャタピラーは乱高下の後、0.6%高で終了。

  • マイクロソフトは予想を超える売上を記録、引け後取引で約6%上昇。

まとめ

✅ 米国株は貿易懸念も利下げ期待で7営業日続伸

✅ 第1四半期GDPは予想外のマイナスだが消費は堅調

✅ FRBが年内4回の利下げを行う見込み

✅ インフレ指標が横ばいでスタグフレーションの懸念後退

✅ 株価の今後は貿易交渉の進展がカギ

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債市場の動向:長期債のアンダーパフォームと政策金利の不透明感

国債市場の最新状況

米国債市場では長期債がアンダーパフォーム(市場平均を下回る運用成績)を示しています。

経済指標が強弱まちまちだったことから、今後の政策金利の方向性が不透明になっています。

また、財務省が中長期債発行のガイダンスを据え置いたことで、追加支援を期待していた投資家の間で失望感が広がりました。

主要国債利回りの動き

  • 米30年債利回り:4.68%(前営業日比 +2.9bp、+0.63%)
  • 米10年債利回り:4.17%(前営業日比 -0.6bp、-0.14%)
  • 米2年債利回り:3.61%(前営業日比 -4.1bp、-1.12%)

※bp(ベーシスポイント):金利を表す単位で、0.01%を1bpと表します。

経済指標とその影響

1-3月期のGDP統計発表後、国債市場では以下の動きが見られました

  • 30年債利回りは上昇
  • 2年債利回りは低下

これは、GDPが市場予想を下回った一方で、個人消費は予想を上回ったためです。また、価格指数(インフレ指標)は予想を上回る伸びを示しました。

財務省の動向と市場反応

米財務省は中長期債の発行規模を「向こう数四半期」据え置くとするガイダンスを維持しました。一方で、既発国債の買い戻しプログラムを強化する可能性も示唆しています。

四半期定例入札の発表後

  • 10年債利回りは一時5bp上昇して4.23%を記録
  • その後は下落に転じました

来週、米財務省は四半期定例入札で3年、10年、30年物国債を計1,250億ドル(約17兆8,500億円)相当発行する予定です。

専門家の見解

BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏

「短期的に経済データのさらなる軟化を警戒しており、成長見通しに対する投資家の不安が強まる中、金利低下を見込むスタンスに傾いている」

ウェルズ・ファーゴのストラテジスト

「市場は財務省により積極的な対応を期待していた。流動性支援としての買い戻し拡大や、加重平均満期(WAM)短縮に関する議論を期待していた市場参加者もいたと思われる」

まとめ

✅ 米国債市場では経済指標の強弱まちまちの結果を受け、長期債がアンダーパフォームしています

✅ 米財務省は中長期債発行のガイダンスを据え置きましたが、既発国債の買い戻し強化の可能性も示唆しています

✅ GDP成長の鈍化と個人消費の堅調さ、インフレ圧力の継続など、複雑な経済状況が金利の方向性に不透明感をもたらしています

✅ 専門家は短期的な経済データの軟化を警戒し、今後の金利動向に注目しています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル指数が月間で大幅下落、米GDPの悪化が要因に

  • ドル指数は月間ベースで大幅下落
  • 米GDPが予想外のマイナス成長に
  • 市場ではFRB(米連邦準備理事会)の利下げ期待が高まる

ドル指数が大幅に低下した理由

外国為替市場では、米ドルの総合的な強さを示す「ドル指数」が月間ベースで4%下落しました。これは2022年11月以来、最も大きな下落幅となります。

主な理由は以下の通りです

  • トランプ政権の関税政策に伴う景気の先行き懸念

  • 米国経済の成長率(GDP)がマイナス成長になったことによる景気悪化の不安

ドル指数とは?

ドル指数とは、ドルが他の主要通貨に対してどれだけ強いかを数値化したものです。この指数が高ければドルが強く、低ければ弱いことを意味します。

米GDPは予想外のマイナス成長に

米国の2025年第1四半期(1月~3月)のGDP速報値は、前年比で0.3%減少となりました。市場予想は0.3%のプラス成長だったため、予想に反して3年ぶりのマイナス成長となっています。

背景には、トランプ大統領が示した関税措置に対し、企業が輸入を前倒しで急増させたことが影響しています。

専門家は「この影響を除けばGDPは実質的にプラスだったが、第2四半期の成長には良くない兆候だ」と指摘しています。

GDPとは?

GDP(国内総生産)とは、ある期間に国内で生み出された経済活動の総額を示す指標で、経済の成長率を測る基準となります。

市場はFRBの利下げを予想

今回のGDPの低迷や個人消費支出(PCE価格指数)の伸びが鈍化したことを受け、市場ではFRBが6月に利下げを再開し、年内に合計1%の利下げを実施すると見込んでいます。

利下げとは?

利下げとは、中央銀行が政策金利を引き下げることで、企業や個人がお金を借りやすくなり、景気を刺激する狙いがあります。

為替市場への影響は?

ドル/円相場は一時143円台前半まで円安が進みましたが、米国経済指標が予想を下回ったことで、上昇の勢いは限定的でした。円は月間で約4.8%下落しており、2020年末以来の長期的な下落局面となっています。

一方、ユーロとポンドは月間ベースで対ドルに対して大幅な上昇を記録しています。

今後の注目点

市場の焦点は、FRBが利下げを行うかどうかに集まっています。6月の金融政策決定会合が重要な節目となりそうです。


まとめ

✅ ドル指数は関税政策や景気懸念から月間4%下落

✅ 米GDPは予想に反して3年ぶりのマイナス成長

✅ 市場はFRBの利下げを予測(年内1%ポイントの利下げ期待)

✅ 円は対ドルで4カ月連続下落、2020年以降で最長の円安傾向

✅ 今後はFRBの動きが為替市場の最大の注目点になる

原油相場:3日続落でバレル当たり60ドル割れ

原油先物相場は3日連続で下落し、3週間ぶりにバレル当たり60ドルを下回る水準で取引を終えました。月間ベースでは2021年11月以来の大幅安となっています。

OPECプラスの増産懸念が相場下落の主因

サウジアラビアが同盟国や業界関係者に対し、「低価格が長期間続いても耐えられる」と伝えたというロイター通信の報道が市場に衝撃を与えました。この報道により、サウジアラビアが主導するOPECプラス(石油輸出国機構と非加盟の産油国で構成するグループ)が来週の会合で再び増産に踏み切るのではないかという懸念が強まりました。

CIBCプライベート・ウェルス・グループのレベッカ・バビン氏は「サウジの急激な増産姿勢が一時的ではなく、長期戦略の転換であることを示している」と指摘しています。

すでに増産の動きが進行中

OPECプラスは4月初旬、5月からの供給を日量41万1000バレル増やすという予想を大幅に上回る増産を決定しました。これは従来の生産計画で合意した増産幅の3倍に相当します。

主要投資銀行の見方

  • モルガン・スタンレー:原油の需給が徐々に「顕著な供給超過」に陥ると予測
  • JPモルガン・チェース:OPECプラスが来週の会合で生産拡大をさらに加速させる可能性を警告

世界的な供給過剰への懸念

OPECプラス以外にも、カナダやガイアナの採掘業者などが供給を増やす見通しで、世界的な供給過剰(だぶつき)への懸念が強まっています。

原油価格の具体的な動き

  • NYMEX(ニューヨーク商業取引所)のWTI先物6月限:前日比2.21ドル(3.7%)安の1バレル=58.21ドルで終了
  • ロンドンICEの北海ブレント6月限:1.8%安の63.12ドルで取引終了
  • 北海ブレント7月限:3.5%安の61.06ドルで終了

金相場:下落するも下げ渋る展開

金相場は続落となったものの、米経済の下振れリスクを示す経済指標により下げ渋る展開となりました。

米経済指標とその影響

  • 米経済は2022年以来のマイナス成長を記録
  • PCE統計(個人消費支出)では、個人消費は大きく増加
  • インフレ指標は前月比横ばい

市場では、景気後退(リセッション)を避けるために米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に0.25ポイントの利下げを4回実施するとの見方が強まっています。金利低下は通常、利息を生まない金にとってプラス材料になります。

金の投資魅力

FTSEラッセルのロビン・マーシャル氏は「金は国境を持たないグローバル資産で、米国債やドイツ国債のように国家と強く結びついたソブリン資産とは違う」と指摘し、この国境を超えた独立性が投資家を引き寄せていると説明しています。

金価格の上昇背景

金相場は今年に入って25%余り上昇し、先週にはオンス当たり3500ドルを超えて史上最高値を更新しました。この上昇基調の要因

  • 金連動型上場投資信託(ETF)への資金流入
  • 各国中央銀行の積極的な買い入れ
  • 中国における投機的な需要の兆候

金価格の具体的な動き

  • 金スポット価格:前営業日比14.61ドル(0.4%)安の1オンス=3302.80ドル
  • COMEX(ニューヨーク商品取引所)の金先物6月限:14.50ドル(0.4%)安の3319.10ドルで取引終了

まとめ

✅ 原油相場は3日続落し、OPECプラスの増産懸念から3週間ぶりにバレル当たり60ドルを下回りました

✅ サウジアラビアの「低価格耐性」発言が市場に衝撃を与え、長期的な増産戦略への転換懸念が強まっています

✅ 世界的な原油供給過剰への懸念から、主要投資銀行は今後の原油価格下落を予測しています

✅ 金相場は下落したものの、米経済指標の弱さと今後の利下げ期待から下げ渋る展開となっています

✅ 金は今年に入って25%以上上昇し、ETFへの資金流入や各国中央銀行の買い入れに支えられています