2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/10

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場、米中貿易協議前で様子見ムードに

  • 米国株式市場は米中貿易協議を控え、投資家が様子見姿勢を強めた
  • トランプ大統領は中国製品への関税率を80%にすると発言、市場は慎重姿勢に
  • 今週末の協議で完全な合意に至る可能性は低いと市場関係者は予測

株価は横ばい、米中協議の行方に注目集まる

9日の米株式市場は、米中貿易協議を翌日に控えて方向感の定まらない展開となり、主要指数は以下のように取引を終えました。

  • S&P500種株価指数:5659.91(-0.07%)

  • ダウ工業株30種平均:41249.38(-0.29%)

  • ナスダック総合指数:17928.92(ほぼ横ばい)

投資家は米中協議の進展を見極めるため、積極的な取引を控えました。米国債市場も小幅な動きにとどまりました。


貿易協議の焦点は「関税問題」

今回の協議は、世界経済の減速リスクを高めている米中の「関税戦争」の緩和が焦点となっています。しかし、市場では包括的な合意には至らないとの見方が大勢です。

トランプ元大統領は中国製品に対し、「80%の関税を課すことが適切」と主張。一方で、中国に対して市場開放を強く求めています。

関税戦争とは?

関税を引き上げて相手国の製品価格を高くすることで、輸入を抑制し、自国産業を守ろうとする貿易政策です。米中の関税戦争は両国間の経済対立を激化させています。


専門家の見方「すぐに解決は難しい」

インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トーレス氏は、「貿易摩擦がすぐに解決するとは思わないほうがよい。米中はお互いの利益を追求しつつ、紆余曲折を経ながら歩み寄るだろう」と述べました。

ネーションワイドのマーク・ハケット氏も、「市場は貿易関連のニュースに非常に敏感で、具体的な結果が出るまでは方向感のない展開が続く」と指摘しています。


株式市場への影響は?

バンク・オブ・アメリカのストラテジスト、マイケル・ハートネット氏は、「米株の力強い反発は既に終了しており、『期待で買って事実で売る』段階に入ったため、さらなる上昇は望みにくい」と警告しています。

実際、過去4週間で約3兆6000億円相当が米株市場から流出しており、これは2年間で最大の規模です。

アポロ・グローバル・マネジメントのトーステン・スロック氏は、米中の完全な経済分離(デカップリング)が進めば、S&P500種構成企業の業績は大幅に悪化すると懸念しています。

デカップリングとは?

経済的に深くつながった国同士が、政治的な対立を理由に経済関係を縮小・切り離すことを指します。


セクター別ではエネルギー株が上昇、ヘルスケア株は下落

この日のセクター別動向は次の通りでした。

  • エネルギーセクター:原油価格上昇を背景に、1.1%上昇

  • ヘルスケアセクター:1.1%下落し、最も振るわず

また、オンライン旅行会社のエクスペディアは決算が市場予想を下回ったことで、株価が7.3%急落しました。


まとめ

✅ 米中貿易協議を控え、米株式市場は様子見ムード

✅ トランプ氏が関税率80%を示唆、市場に不透明感

✅ 米中協議では包括的な合意は難しいと予想される

✅ 米株から大規模な資金流出が発生、株価の上昇余地は限定的

✅ セクター別ではエネルギー株が堅調、ヘルスケア株が軟調

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債市場の最新動向と金利見通し

米国債市場の現状

米国債市場は総じて小動きとなっています。主要な経済指標の発表はなかったものの、この日は米金融当局者(FRB関係者)から様々な発言がありました。

現在の利回り状況は以下の通りです

  • 米30年債利回り:4.84%(前営業日比-0.5bp)
  • 米10年債利回り:4.38%(前営業日比+0.6bp)
  • 米2年債利回り:3.89%(前営業日比+1.5bp)

※bp(ベーシスポイント):金利の変動単位で、0.01%を表します

FRB当局者の発言内容

主な見解

  • クーグラー理事:当面、金利を据え置くべきとの見解。米経済が安定していることとトランプ大統領の関税政策に不確実性があることを理由に挙げています。
  • バー理事:トランプ政権の貿易政策がインフレ圧力と失業増加をもたらす可能性を警告。ただし金利については、関税の影響がより明らかになるまでは現状水準が適切との見解です。
  • その他の当局者
    • アトランタ連銀総裁:先行きが見通せない中での金利調整は賢明でないと発言
    • リッチモンド連銀総裁:企業が関税を価格に転嫁できるとは限らないと指摘
    • NY連銀総裁:インフレ期待の安定は不可欠で、不確実性は当面続くと予測

市場の反応と投資家動向

オプション市場の動き

オプション市場では、FRBが年内に利下げをしないことに賭ける「逆張りポジション」が急速に拡大しています。この逆張りポジションは

  • 担保付翌日物調達金利(SOFR)先物2025年12月限のプットオプションの形を取っています
  • 権利行使価格は95.6875
  • 未決済建玉は27万5000枚余り

※逆張りポジション:市場の多数派とは逆の方向に賭ける投資ポジションのこと

このポジションの取引には推計2500万ドル(約36億3000万円)が投じられており、FOMCの会合以降、勢いを増しています。

利回りと市場見通し

  • 10年国債利回りは横ばいの4.374%で推移(週足では5.6bp上昇し2週連続上昇)
  • 30年債利回りも4.833%とほぼ横ばい(週足では4.3bp上昇し2週連続上昇)
  • 2年債利回りは1bp低下し3.885%

米英の貿易協定合意を受け、7月のFOMCでの利下げ確率は70%から60%に低下。年内の利下げ幅予想は82bpから68bpに縮小しています。

今後の焦点

市場では今週末にスイスで予定される米中高官による貿易協議に注目が集まっています。

トランプ米大統領は中国製品に80%の関税をかけることは「正しいようだ」と発言し、この発言を受け10年債利回りは低下しました。

まとめ

✅ 米国債市場は小動きですが、FRB当局者は金利据え置きを支持する発言が多く、警戒姿勢を示しています

✅ オプション市場では年内利下げなしに賭ける逆張りポジションが急増しており、投資家の見方が分かれています

✅ 貿易政策の不確実性が市場の焦点となっており、今週末の米中協議が重要な転機となる可能性があります

✅ 当面はトランプ政権の貿易政策とインフレへの影響を市場が注視する展開が続きそうです

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドルが下落、米中貿易協議とカナダの利下げ観測が焦点に

  • ドルが円など主要通貨に対し下落。市場の注目は米中貿易協議へ
  • カナダの失業率悪化で利下げ観測が高まり、カナダ・ドルが軟調
  • 米英貿易協定の合意で貿易戦争への楽観論が広がりつつある

ドル下落の背景は?

外国為替市場でドルが軟調となっています。

これは、10日にスイスで行われる米中貿易協議に市場の注目が集まり、積極的なドル買いが控えられたためです。

円相場は一時1ドル=144円83銭まで買い戻されました。アジア時間帯では146円19銭と4月10日以来の安値を記録していました。

カナダ経済に打撃、利下げ観測強まる

カナダ・ドルが特に軟調でした。

これは、カナダの4月失業率が6.9%と昨年11月以来の水準まで悪化したためです。

この雇用の悪化は、トランプ政権が導入した関税によって製造業が打撃を受けたことが背景にあります。

オーバーナイト・スワップ市場では、カナダ銀行(中央銀行)が6月4日の政策決定会合で利下げを行う確率が約60%に上昇しました。

オーバーナイト・スワップ市場とは?

短期金融市場の一種で、主に翌日までの金利を取引する市場です。中央銀行の政策金利予測に利用されます。

ブラウン・ブラザース・ハリマンのシニアストラテジスト、エリアス・ハダッド氏は、「カナダの労働市場は今後さらに弱含む見通しであり、中央銀行には利下げの余地が十分にある」と述べています。

米英貿易協定合意で市場心理が改善か

一方、米国と英国の間で新たな貿易協定が合意に至りました。これにより、市場では「貿易戦争の最悪期は過ぎ去った」という楽観的な見方が広がっています。

特に、週末に控える米中貿易協議への期待感が高まっています。

ストーンXの市場調査責任者マシュー・ウェラー氏も、「市場では米中貿易交渉の進展への楽観論が強まっている」と分析しています。

最新の為替相場(終盤取引時点)

  • ドル/円:145.35円(0.39%安)

  • ドル/スイスフラン:0.83150フラン(0.01%安)

  • ユーロ/ドル:1.1250ドル(0.17%高)

  • ポンド/ドル:1.3306ドル(0.5%高)

  • ビットコイン:103,023.28ドル(0.38%高)

まとめ

✅ ドル安は米中貿易協議前の様子見姿勢が影響。

✅ カナダは失業率悪化で利下げ観測が浮上。

✅ 米英の貿易合意で市場の楽観ムードが高まる。

✅ ドルは週間ベースで見ると円に対して依然上昇トレンド。

✅ 仮想通貨市場もリスク選好ムードを反映して上昇基調。

原油・金相場上昇:米中貿易交渉への期待高まる

市場の動き

  • ニューヨーク原油相場は大幅続伸
  • WTI先物6月限:1.11ドル(1.9%)高の1バレル=61.02ドル
  • 北海ブレント7月限:1.7%上げて63.91ドル

上昇の背景

  • 週末の米中貿易交渉を控えて市場に楽観ムードが回復
  • アルゴリズムトレーダーによるショートカバーが発生
  • トランプ米政権の関税引き下げ検討が好感される
  • ただし、対中関税は80%が「適切」とするトランプ発言で上昇は一部相殺

トレーダーの動向

  • 商品投資顧問業者(CTA)のショートポジションは100%から91%まで減少
  • CTAの取引は相場変動を増幅する傾向あり
  • 新規ショートポジションの買い戻しが価格回復のきっかけに

地政学的要因

  • 米政府:中国の「ティーポット製油所」などをイラン産原油取引で制裁リストに追加
  • 英政府:ロシア産石油の流通関係者に制裁
  • 石油タンカー100隻余りも制裁対象に加える計画

金相場の最新動向

市場の動き

  • ニューヨーク金相場は反発、週間ベースで約3%高
  • 金のスポット価格:前日比1%高の1オンス=3339.33ドル
  • 金先物6月限:38ドル(1.2%)高の3344.00ドル

相場変動の要因

  • 米中貿易交渉の行方が焦点となり、値動きが荒い展開
  • 米側:関税率を60%未満に引き下げる目標を設定
  • 中国側:これに応じる可能性あり
  • 協議進展なら早ければ来週にも関税引き下げ実施の可能性

金相場の背景

  • 今年の上昇率:27%(貿易戦争を背景に)
  • 4月には1オンス当たり3500ドルを突破

上昇要因

  1. 中央銀行による大規模な購入
  2. 中国での活発な投機買い

まとめ

✅ 原油・金ともに上昇傾向、米中貿易交渉への楽観が相場を支える

✅ トランプ政権の関税引き下げ検討が市場のポジティブ要因

✅ 米中協議の結果次第で今後の価格動向が大きく左右される可能性

✅ 原油は供給増懸念、金は中央銀行購入と中国需要が下支え要因