2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/15

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場は上昇ペース鈍化、一服感が広がる

  • 米株式市場は4月の急落後、急速に回復したものの、上昇ペースが速すぎるとの懸念が台頭
  • 貿易摩擦の緩和や経済の底堅さが安心感を与える一方、依然として根強いインフレや景気減速リスクが残る
  • 市場関係者は一時的な調整は健全と見ているが、上値の余地は限定的との指摘も

株式市場は上昇一服、調整局面へ

14日の米株式市場では主要株価指数が方向感なく推移しました。S&P500指数は小幅な上昇で終了しましたが、ダウ工業株は小幅に下落。ナスダック指数はハイテク株が買われたことで堅調な動きでした。

  • S&P500指数:5892.58(前日比+0.10%)

  • ダウ工業株30種:42051.06(前日比-0.21%)

  • ナスダック総合指数:19146.81(前日比+0.72%)

主要なテクノロジー株を除き、多くの業種で株価は伸び悩みました。ただし、特にAI関連を含むハイテク株は強さを見せ、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク企業7社の指数は1.7%上昇しています。


背景には貿易問題の緩和と大型商取引

市場の回復の背景には、米中が互いの追加関税を引き下げたことや、トランプ米大統領の中東歴訪で大型の経済協力や商取引がまとまったことがあります。

  • ボーイングはカタール航空から大型受注を獲得し、株価が上昇

  • サウジアラビアが米国への6,000億ドル規模の投資と、約1,420億ドルの武器購入を確約

  • エヌビディアやAMDといった半導体企業も、中東でのAI関連企業との提携を発表し株価が大幅に上昇しました


市場関係者の見方

専門家は現在の市場の動きを次のように評価しています。

  • ネーションワイドのマーク・ハケット氏は「市場が急激に買われ過ぎた状態にあるため、今後の成長が明確に加速しない限り、上昇余地は限られる」と警戒。

  • ミラー・タバクのマット・メイリー氏は「現在の調整は健全であり、むしろ自然なこと」と指摘。

  • パイパー・サンドラーのクレイグ・ジョンソン氏は「小幅な調整は投資家にとって買いの好機」と前向きに評価しています。


インフレや経済指標への注目度は高まる

連邦準備理事会(FRB)からは、インフレ目標(2%)への進展を評価しつつも、関税の影響で物価が再び上昇する可能性があるとの慎重な見解が示されています。

特に15日に予定されているパウエルFRB議長の発言に市場の注目が集まっており、今後の方向性を占う上で重要なポイントになっています。


ボラティリティーとは?

ボラティリティーとは市場価格の変動の大きさを示す指標です。ボラティリティーが高いと、価格の変動が大きく、不確実性やリスクが高い状態を示します。


まとめ

✅ 米株市場は急激な回復後、一時的な調整局面に入り、様子見姿勢が強まっている

✅ 大型ハイテク株やAI関連企業への投資は引き続き堅調

✅ 貿易交渉や中東との経済協力が市場の安心材料となっているが、依然としてインフレや景気減速リスクへの警戒感は残る

✅ FRB関係者の発言や経済指標の発表に注目が集まり、相場の方向感が定まりにくい状況が続く

✅ 市場が過熱した場合、調整はむしろ健全とみなされる可能性が高く、投資チャンスと捉える向きもある

 

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債下落とトランプ減税政策の影響

米国債市場の状況

米国債は下落し(利回りは上昇)、2年債利回りは3月以来の高水準となりました。

長期債の利回りも数週間ぶりの高水準に達しています。

この背景には、トランプ氏が目指す大型減税法案が財政赤字拡大につながる可能性が市場で意識されていることがあります。

トランプ減税法案の進展

米下院歳入委員会は、企業や家計向けに数兆ドル規模の減税を盛り込んだ税制改革法案を承認しました。この法案は今後、下院本会議へ送られ採決にかけられる予定です。主な内容は以下の通りです

  • 2017年に導入された個人向け減税の恒久延長
  • 超富裕層への増税見送り(最高税率は37%維持)
  • チップや残業代への課税撤廃
  • 高齢者や自動車購入者向けの新たな控除枠創設

これらの減税措置は2028年まで継続される見通しです。

政策実現の課題

州・地方税(SALT)控除をめぐる対立など、重要な争点が未解決のまま残っており、立法化が遅れるリスクも存在します。共和党議員は月内の可決を目指し、水面下で調整を続けています。

金利見通しの変化

複数の米大手銀行やTDセキュリティーズは、米国の利下げ時期が当初の予想より後ずれすると見ています。スワップ市場では年内に0.25ポイントの利下げが2回実施されるとの見方も完全には織り込まれていない状況です。

FRB当局者の見解

  • シカゴ連銀グールズビー総裁:日々の株価変動や経済政策発表に反応しないことが重要で、経済データは現時点で安定している
  • FRBジェファーソン副議長:関税とそれに伴う不確実性が経済成長を鈍化させ、インフレを加速させる可能性があるが、金融政策は必要に応じて対応できる状態にある

まとめ

✅ 米国債は下落基調で、トランプ氏の大型減税法案が財政赤字拡大懸念を高めている

✅ 下院歳入委員会は数兆ドル規模の減税を含む税制改革法案を承認したが、実現には課題も残る

✅ 金融当局者は経済データを注視しつつ、政策変更には慎重な姿勢を示している

✅ 市場では利下げ時期の後ずれ観測が強まっている

✅ 関税政策の不確実性が経済成長とインフレに影響する可能性が指摘されている

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル安懸念後退、米貿易交渉と通貨政策の動向

  • 米国は貿易交渉で「意図的なドル安」を目指していないとの報道があり、ドル下落が落ち着いた
  • 韓国との通貨政策協議でウォンが急伸し、円も一時大きく上昇した
  • 米中交渉が難航すれば再びドル安圧力が強まる可能性が指摘されている

米国の通貨政策懸念が一旦後退

トランプ政権が貿易交渉を通じてドル安を誘導するのではないかという懸念が広がっていましたが、関係者から「米国は貿易交渉に通貨政策を盛り込もうとはしていない」という情報が報じられ、市場の警戒感が後退しました。

このため、ドルは序盤の下落を埋める動きを見せ、ブルームバーグ・ドル指数は0.10%上昇の1232.57となりました。

ブルームバーグ・ドル指数とは?

  • 世界の主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す指標。上昇すればドルが強くなり、下落すれば弱くなる。

韓国ウォンの急伸に円がつられる

米韓政府高官が通貨政策について協議を行ったとの報道があり、韓国ウォンが急伸。一時は円もつられて1ドル=145円61銭まで上昇しました。ただし、その後は上げ幅を縮小し、146円台で取引を終えています。

米中交渉が鍵、今後のドル相場

シティのストラテジストは、米中の貿易交渉が行き詰まった場合、再びドル安圧力が強まると予測しています。これは米国が景気を支えるため利下げ(政策金利を下げること)を検討する可能性が高まるためです。

利下げとは?

  • 中央銀行が政策金利を下げること。利下げされると一般的に通貨価値が下がりやすくなります。

ジェフリーズのブラッド・ベクテル氏も「足元ではドルは反転上昇しているが、いずれ非公式な金融当局間の合意によって再びドルが下落する可能性がある」と指摘しています。

各通貨の動向

  • ドル/円:146.76円(前日比 -0.49%)

  • ユーロ/ドル:1.1173ドル(前日比 -0.11%)

  • ポンド/ドル:1.3261ドル(前日比 -0.32%)

  • ウォン/ドル:1402.66ウォン(前日比 +0.84%)


まとめ

✅ 米国は貿易交渉を通じたドル安誘導の懸念を否定

✅ 韓国との通貨協議がウォン高・円高を引き起こした

✅ 米中交渉次第でドル安圧力が再び高まる可能性

✅ 現状はドルが一時的に反発し、安定感を取り戻している

原油・金相場の最新動向

原油市場の状況

  • 原油相場は5営業日ぶりに下落
  • 米中貿易合意による安心感は継続
  • 米国の原油在庫が2カ月ぶりの大幅増加(345万バレル増)
  • 在庫増加幅は3月以来の大きさ
  • WTI先物6月限:0.8%安の1バレル63.15ドルで終了
  • 北海ブレント7月限:0.8%下落の66.09ドル

原油価格に影響する要因

  • 直近の価格上昇要因:
    • 米中貿易合意による経済見通し改善
    • トランプ大統領のイラン強硬姿勢
  • トランプ氏の発言:
    • イランの核兵器保有を容認しない
    • 核合意に至らない場合、イランの原油輸出を「ゼロ」に
  • イラン側は米国に「より現実的な」アプローチを要求

市場専門家の見解

  • BOKファイナンシャル・セキュリティーズ(ケスラー氏):
    • 「原油先物は調整局面にある」
    • 50日移動平均(約63.90ドル)が上値抵抗線として機能

金相場の動向

  • 金スポット価格:2.3%安の1オンス3176.53ドル
  • COMEX金先物6月限:1.8%下落の3188.30ドル
  • 約1カ月ぶりの安値を記録
  • 主な下落理由:米中貿易合意による安全資産需要の後退
  • サクソバンク(ハンセン氏):「リスクセンチメントの改善により金の妙味が薄れている」

まとめ

✅ 原油価格は米国の原油在庫大幅増加を受けて5営業日ぶりに下落

✅ 技術的な調整局面に入っており、50日移動平均が上値の抵抗線に

✅ トランプ大統領のイラン政策が原油市場の重要な変動要因に

✅ 金相場は米中貿易緊張緩和で安全資産需要が後退し、1カ月ぶり安値

✅ 両市場とも、投資家のリスク選好姿勢の改善による影響を受けている