2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/20

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株式市場、格下げ懸念を消化し反発基調に

  • 米国株式市場は、米国の信用格付け引き下げにもかかわらず、堅調に推移しています
  • 格下げのニュースは既に市場に織り込まれており、投資家は押し目買いを積極的に行っています
  • 米中関税合意など前向きなニュースが市場の勢いを支えています

米国株式市場の動き

米株式相場は底堅く推移しています。一時1%下落したS&P500種株価指数も、最終的には小幅ながらプラスに転じて引けました。

株式市場の主な指数(終値)

  • S&P500種株価指数:5963.60(+0.09%)

  • ダウ工業株30種平均:42792.07(+0.32%)

  • ナスダック総合指数:19215.46(+0.02%)

S&P500種はこれで6営業日続伸となり、強気相場(ブル相場)入りが目前に迫っています。


ムーディーズの格下げは市場に影響なし

ムーディーズが16日に米国の信用格付けを最上位から引き下げましたが、市場はこの動きをほぼ無視しました。格下げの主な理由は、米国の財政赤字が急増していることでしたが、市場参加者にとって新たな驚きはなく、「想定内」の動きだったと言えます。

格下げとは?

格下げとは、格付け会社(ムーディーズなど)が国や企業の信用リスクを評価し、その信用度を引き下げることです。格下げされると通常、資金調達コスト(借入利息)が高くなるリスクがあります。

ベッセント米財務長官は、「格下げは遅行指標(過去の情報を反映する指標)に過ぎず、大きな問題ではない」と強調。市場参加者もこれを支持する形となりました。


ストラテジストの見方

多くのストラテジストは、この格下げによる市場の一時的な下落をむしろ「買い場」と捉えています。

BMOキャピタル・マーケッツ

「ムーディーズがパーティーを開いても、誰も来なかった。市場は無関心だ」

ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズ(トーマス・リー氏)

「格下げは無意味。下げれば積極的に買う」

UBSグローバル・ウェルス・マネジメント(マーク・ヘーフェル氏)

「市場への影響は軽微。ニュースヘッドラインによる一時的なリスクに過ぎない」

モルガン・スタンレー(マイケル・ウィルソン氏)

「米中関税休戦で景気後退リスクが後退。押し目は買いだ」


注目の個別銘柄とトピックス

USスチール株が上昇

日本製鉄が米政府の承認を条件に140億ドルを投資すると報道。

JPモルガン・チェース

第2四半期の投資銀行事業収入が予想より低迷する可能性を指摘。

エヌビディア

CEOが新型コンピューティング製品を発表し、AI市場における競争力を強化。

マイクロソフト

イーロン・マスク氏のAI企業「xAI」のモデルを自社のAIマーケットプレイスに追加。


市場の今後の展望は?

市場の強気ムードは続いていますが、専門家の中には警戒感もあります。

  • ゴールドマン・サックスは、大手ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」が市場をリードすると予想。

  • RBCキャピタル・マーケッツは「マクロ経済の実態改善がないままのさらなる上昇余地は限定的」と慎重姿勢。

  • Eトレードのラーキン氏は、「新たな上昇には新しい材料が必要」と慎重な意見を述べています。


今後の米経済政策と市場への影響

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁

経済見通しを明確にするには数カ月かかると指摘。しばらくは市場の不透明感が続く可能性があります。

アトランタ連銀のボスティック総裁

年内1回の利下げ予想を維持しつつも、インフレへの警戒感を強調。

市場はこれらの動きを注視しつつ、次の材料を探しています。


まとめ

✅ 米国の信用格下げは、市場では既に織り込み済みで影響は限定的

✅ 投資家やアナリストは相場下落時に積極的に買いを入れる姿勢を示している

✅ 米中関税休戦の影響が続き、景気後退リスクは低下しているとの見方が強い

✅ ハイテク銘柄や個別の企業動向が相場をリードする可能性がある

✅ 中長期的にはマクロ経済の改善がない限り、さらなる大幅な株高には慎重な見方が広がっている

 

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債相場の動き

米国債相場は一時下落したものの、その後回復しました。30年債利回りは5%を上回った後に失速し、前営業日を下回る水準まで下がりました。10年債利回りも4.56%まで上昇した後、マイナス領域に低下しました。

主要な利回りの状況

  • 米30年債利回り: 4.90%(前営業日比-4.1bp、-0.83%)
  • 米10年債利回り: 4.45%(前営業日比-3.2bp、-0.71%)
  • 米2年債利回り: 3.97%(前営業日比-2.9bp、-0.73%)

※bp(ベーシスポイント):金利の変動を表す単位で、0.01%のことを指します

専門家の見解

リスク資産への影響

HSBCホールディングスのマックス・ケトナー氏は、リスク資産が持続的に下落するには、10年債利回りが4.7%を上回る「危険ゾーン」に入る必要があると指摘しています。それまでは価格下落を投資機会と捉えるべきだと述べています。

米国債格下げの影響

  • みずほインターナショナルのジョーダン・ロチェスター氏:格下げは「脱ドル化」のテーマを強める可能性があると指摘
  • パリヌーロ・キャピタルのアルフォンソ・ペッカティエッロ氏:格下げが銀行や年金基金の米国債保有に影響する可能性は低いと予測

市場変動の背景

利回り上昇の要因

  • ムーディーズによる米国債格付け引き下げ
  • トランプ大統領の減税策が債務負担を拡大させるという懸念

利回り安定化の理由

  • 一部投資家にとって魅力的な水準に達した
  • 当週は重要経済指標の発表が少ない

まとめ

✅ 米国債市場は一時的に下落したものの、その後回復する展開となりました

✅ 格付け会社ムーディーズの米国債格下げや財政赤字拡大懸念が市場に影響しています

✅ 専門家の間では、格下げの影響は限定的とする見方がある一方、「脱ドル化」を加速させる可能性も指摘されています

✅ 今後の米国債市場は、財政政策や金利動向に注目が集まっています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル全面安、米国債の格下げで市場心理悪化

  • 米国債の格下げを受け、ドルが主要通貨に対して幅広く下落
  • 米議会の財政政策議論への注目度が高まり、ドル安が進行
  • 円やユーロなど、安全通貨が上昇。市場では円高・ドル安の取引再開の動き

米国債の格下げでドルが全面安に

米国債の信用格付けがムーディーズによって「Aaa」から「Aa1」に引き下げられた影響で、ドルが主要通貨に対して大きく下落しました。特に、オーストラリアドルが強く上昇しています。

格付けとは?

企業や国が発行する債券などの信用力を評価した指標。AAAやAAなどの記号で表され、格下げは信用が下がったことを意味します。

  • ブルームバーグ・ドル指数は0.59%下落。

  • ドル/円は144.85円(0.58%下落)となり、一時144.67円の安値を記録しました。

  • ユーロ/ドルは0.73%上昇し、1.1244ドルと5月以来の高値に達しました。


市場関係者の反応は冷静、しかし懸念も

ウェルズ・ファーゴのアナリストは今回の格下げについて「新しい情報ではないが、市場の注目は財政政策の議論に移っている」と指摘しています。具体的な歳出削減を伴わない財政支出拡大が起これば、財政リスクへの懸念が強まり、ドルがさらに売られる可能性があります。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの専門家は「米国売りのテーマが市場に戻ってきた」と指摘しています。


円高・ドル安トレード再燃の可能性

日米財務相会談での為替協議の可能性もあり、ヘッジファンドや長期投資家が再び円高・ドル安方向への取引を強めています。安全資産としての円やスイスフランが買われる動きも見られます。

また、日本の石破首相が「日本の財政はギリシャより悪い」と発言したことで、市場は日本の財政規律の動向にも注目しています。


今後の注目ポイント

  • 米議会での財政政策議論の行方

  • 日米財務相会談の為替協議の内容

  • 米FRBの金融政策動向(9月以降の利下げの有無)


まとめ

✅ 米国債が格下げされ、ドルが全面的に下落

✅ 円やユーロなど、安全通貨が上昇

✅ 米国の財政政策の行方が市場の注目ポイント

✅ 為替協議により円高ドル安の動きが加速する可能性も

✅ 市場は今後の米FRBの政策決定にも注目

原油市場の動き

上昇要因

  • トランプ大統領がロシアとウクライナの停戦交渉「即時」開始を表明したことが好感されました
  • イラン情勢も市場に影響を与えています
  • イランのペゼシュキアン大統領は民生用原子力追求を放棄しないと言明
  • イランと米国の間で言葉の応酬が激化

価格状況

  • WTI原油先物6月限:62.69ドル(前日比0.3%上昇)
  • 北海ブレント7月限:65.54ドル(前日比0.2%上昇)

※WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート):米国産の軽質原油で、原油価格の国際指標のひとつ

金相場の動向

価格上昇の背景

  • ムーディーズによる米国債格下げを受けたドル安が支援材料に
  • 年初来では20%以上の上昇を記録

相場の特徴

  • 過去数カ月は値動きの激しい展開が続いています
  • 4月に初めて1オンス=3500ドルを突破
  • 先週は地政学的リスクの後退で大幅安

専門家の見解

OCBCのバス・メノン氏

  • 短期:好悪材料が混在し不安定な動きを予想
  • 長期:トランプ政権の政策とドル建て資産からの分散化が追い風となり、数年間で新たな高値を更新する可能性あり

最新価格

  • 金スポット価格:3228.23ドル(前日比0.8%上昇)
  • 金先物6月限:3233.50ドル(前日比1.45%上昇)

まとめ

✅ 原油価格は地政学的要因を背景に小幅上昇しました

✅ 金相場は米国債格下げとドル安を受けて上昇、値動きの激しい展開が続いています

✅ 専門家は金の長期的な上昇見通しを示し、トランプ政権の政策が追い風になると予想しています

✅ 両市場とも地政学的な要因や米国の政策動向に大きく影響を受けています