2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/23

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場は終盤に失速、米国債市場の落ち着きも不安は継続

  • 米株市場は終盤に失速し、横ばいで終了
  • 米国債の売りは一旦落ち着くが、市場の不安感は継続
  • 大型減税法案の財政赤字拡大懸念が重荷に

米株式市場、終盤に失速

22日の米国株式市場は、序盤から上昇基調で推移したものの、終盤にかけて勢いを失い、ほぼ横ばいで取引を終えました。特に、主要指標であるS&P500種株価指数は日中プラス圏でしたが、最終的には小幅に下落しました。

株式市場の主な動き

  • S&P500種株価指数:5842.01(前日比 -0.04%)

  • ダウ工業株30種平均:41859.09(ほぼ横ばい)

  • ナスダック総合指数:18925.73(+0.28%)

ナスダック指数は、大手テクノロジー企業の堅調な推移によりプラス圏を維持しましたが、アップル株が終盤にかけて下落し、市場全体の足を引っ張る形となりました。


米国債売りは一服、しかし不安感は消えず

米国債市場では、ここ数日続いていた売り圧力が一旦和らぎ、利回りはやや低下しました。ただ、市場関係者は依然として慎重姿勢を崩しておらず、不安定な状態が続いています。

米国債利回りと株式市場の関係性

ゴールドマン・サックスによると、米10年債利回りが1カ月で60ベーシスポイント(0.60%)以上上昇すると、株式市場への悪影響が懸念されます。利回りが高止まりすると、株式などのリスク資産に対する投資意欲が減退するためです。

ベーシスポイント(bp)とは?
1bp = 0.01%のことで、金利や利回りの小幅な変化を表現する際に用いられます。


財政赤字への懸念と関税問題が焦点に

市場の最大の懸念は、トランプ大統領の掲げる大型減税を含んだ税制・歳出法案です。この法案は22日に下院を僅差で通過しましたが、米国の財政赤字が大きく拡大すると予測されているため、投資家心理を冷え込ませています。

また、米国が実施する輸入関税が消費者物価を押し上げる懸念も残っており、市場では今後の不確実性を警戒する声が強まっています。


セクター別・個別株の動向

S&P500種指数の業種別では、公益事業やヘルスケア、エネルギーなどが下落。一方で情報技術や通信サービス、一般消費財などは堅調でした。

上昇銘柄

  • エヌビディア(NVDA)
  • アマゾン(AMZN)
  • テスラ(TSLA)
  • アルファベット(GOOGL):+1.3%
  • スノーフレイク(SNOW):13%超上昇(業績見通し改善)

下落銘柄

  • アップル(AAPL):-0.36%
  • アナログ・デバイセズ(ADI):-4.6%(好決算も材料出尽くし)
  • ファースト・ソーラー(FSLR):-4.3%(グリーンエネルギー補助金打ち切り懸念)

今後の見通しと投資家の動向

今後の株式市場は、債券利回りの動向や米国の財政・貿易政策の行方を注視する展開が予想されます。特に財政赤字拡大や関税問題による市場への悪影響が意識される中、ボラティリティ(価格の変動性)の高い状況がしばらく続きそうです。


まとめ

✅ 米株式市場は終盤にかけて失速、ほぼ横ばいで終了

✅ 米国債市場の売り圧力は一旦収束したが、市場の警戒感は依然強い

✅ トランプ政権の大型減税法案が財政赤字拡大の懸念を呼び、投資家心理を悪化させている

✅ ハイテク株は堅調、一方でエネルギーやグリーン関連株は下落

✅ 今後も財政政策や関税動向が市場の焦点となり、不安定な値動きが続く可能性がある

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

国債市場の動向と税制法案の影響について

国債市場の状況

米国債市場では最近、価格が上昇(利回りが低下)しています。特に長期債が持ち直しており、30年債利回りは一時5.15%に達した後、押し目買いが入りました。

現在の国債利回りの状況

  • 米30年債利回り: 5.04%(前日比-5.4bp、-1.06%)
  • 米10年債利回り: 4.53%(前日比-7.2bp、-1.56%)
  • 米2年債利回り: 3.99%(前日比-3.4bp、-0.84%)

トランプ税制法案と債券市場への影響

トランプ大統領の税制・歳出法案が米下院で僅差で可決され、上院に送られました。この法案には新たな減税措置が多数含まれており、財政赤字の拡大が懸念されています。

この状況に対して債券市場は警戒シグナルを発しています

  • 米30年債利回りが再び5%を超える
  • ムーディーズが米国の信用格付けを引き下げ
  • 政府債務がGDPの約134%にまで膨らむと予測

市場と政策の対立

トランプ政権側は

  • 法案が企業センチメントを向上させる
  • 支出や投資の活性化につながると主張
  • 関税政策による不透明感を和らげる効果を期待

一方、市場側は

  • 財政規律の欠如に懸念
  • 債券市場が政策への警告を発信
  • 投資家が米国の財政見通しに不安を示す

経済指標の動向

米国の経済状況は

  • 企業活動と生産の見通しは5月に改善
  • 新規失業保険申請件数は減少
  • 中古住宅販売件数は予想に反して減少

債務と財政の見通し

マッコーリーのウィズマン氏は 「米国が赤字を削減できなくても、すぐにデフォルト(債務不履行:債務の支払い義務を果たせない状態)にはつながらない。しかし大幅な赤字は債券供給の拡大を意味し、最終的にはデフォルト回避のための政策がインフレを引き起こす可能性がある」と指摘しています。

まとめ

✅ 米国債市場は一時的に持ち直しているが、トランプ税制法案による財政赤字拡大への懸念が根強い

✅ 30年債利回りが5%を超え、ムーディーズが米国債格付けを引き下げるなど、警戒シグナルが点灯している

✅ 政権は景気刺激効果を主張するが、債券市場は財政規律の欠如に不安を示している

✅ 財政赤字の拡大は長期的に固定利付資産(債券など)の魅力を低下させる可能性がある

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル全面高、米国経済の好調と政策期待が背景に

  • ドルが主要通貨に対して全面高となり、円は再び144円に迫る
  • 米企業の経済活動改善や減税法案の可決がドルを支援
  • 長期的には米国の財政懸念がドル安につながる可能性も指摘されている

ドル高の背景は?

外国為替市場ではドルが主要10通貨に対して全面的に上昇しました。円は対ドルで下落し、一時1ドル=144円40銭近辺まで迫る動きとなっています。

背景には以下の要因があります。

  • 米国経済の好調
    米国企業の活動と生産見通しが改善したため、ドル買いが進みました。

  • 米政府の強いドル政策継続
    米大統領経済諮問委員会(CEA)のミラン委員長は「強いドル政策を維持する」と明言。ドル安誘導の憶測を否定しました。

  • 大型減税法案の可決
    米下院がトランプ前大統領の大型減税を含む税制・歳出法案を可決。この法案による経済活性化期待が、ドルを支える材料になっています。


ドル安トレンドへの警戒も必要

一方で、専門家からは長期的なドル安を警告する声もあります。

財政懸念がドルの重荷に

JPモルガン・アセット・マネジメントのガブリエラ・サントス氏は、米国の財政見通しが懸念されており、長期的にはドル安トレンドが始まったばかりだと指摘しています。

ドル安のリスクとは?

ドイツ銀行のティム・ベイカー氏も、「米国の財政状況が悪化すれば、米国債よりもドルがさらに大きな打撃を受ける可能性がある」と警告しています。

財政見通しとは?

米国政府の収入(税収)と支出のバランスの見通しのこと。政府が借金を増やし続けると、長期的には通貨の信頼が低下し、ドルの価値が下がるリスクがある。


ユーロは低調、ビットコインは最高値更新

ユーロ下落の要因

  • ユーロ圏の景気指標(PMI)が予想外に低下したことでユーロが売られました。

PMI(購買担当者景気指数)とは?

製造業やサービス業などの購買担当者にアンケートをとり、企業活動の景気動向を判断する指標。50を超えると景気拡大、50を下回ると景気縮小を示します。

ビットコイン最高値更新

投資家が米国の資産の代わりとなる投資先を求め、ビットコインが史上最高値の約11万1965ドルを記録しました。伝統的な資産(ドルや米国債など)から暗号資産への資金流入が加速しています。


まとめ

✅ ドルが全面高、円は144円台に迫る勢い

✅ 米下院で可決された大型減税法案がドル高をサポート

✅ 長期的には米財政悪化懸念でドル安リスクも

✅ ユーロは景気低迷で下落、一方ビットコインは資金流入で最高値更新

✅ 米政府は強いドル政策を維持すると強調

原油・金相場の最新動向

原油先物は3日続落

原油先物相場は3営業日連続で下落しました。主な要因は以下の通りです

  • 貿易戦争による原油需要減少への懸念
  • OPECプラス(石油輸出国機構と非加盟産油国の連合体)が7月に大規模な供給引き上げを協議していることが市場に影響

OPECプラスの動向

OPECプラスは今後の原油生産について重要な決定を控えています

  • 主要8カ国が6月1日にビデオ会議を開催し、7月の生産水準を決定予定
  • 日量41万1000バレルの増産を検討中(当初計画の3倍に相当)
  • 実現すれば3カ月連続の供給拡大となる見込み

RBCキャピタル・マーケッツのクロフト氏によると、「7月から日量41万1000バレルの追加供給を行う案が最も可能性が高く、その大半はサウジアラビアによる供給になる」との見方が示されています。

原油価格の具体的な動き

NYMEX(ニューヨーク商業取引所)のWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)先物7月限

  • 前営業日比37セント(0.6%)安
  • 1バレル=61.20ドルで取引終了

ロンドンICEの北海ブレント7月限

  • 0.7%下落
  • 64.44ドルで取引終了

金相場も反落

金市場も下落傾向を示しています

金スポット価格(ニューヨーク時間午後3時21分現在)

  • 前日比20.07ドル(0.6%)安
  • 1オンス=3294.89ドル

COMEX(ニューヨーク商品取引所)の金先物8月限

  • 18.30ドル(0.55%)安
  • 3323.60ドルで取引終了

まとめ

✅ 原油先物相場は貿易戦争への懸念とOPECプラスの増産検討により3日続落

✅ OPECプラスは7月に日量41万1000バレルの大規模増産を協議中

✅ WTI原油は61.20ドル、ブレント原油は64.44ドルで取引を終了

✅ 金相場も反落し、スポット価格は3294.89ドル、先物は3323.60ドルに下落