2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/29

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株市場は半導体規制への懸念で下落

  • 米国株は半導体規制への警戒感から反落。
  • トランプ政権が半導体設計ソフトの中国提供停止を指示。
  • エヌビディアの好決算で市場は一時楽観的ムードに。

米国株式市場は28日、主要指数がいずれも下落しました。背景にはトランプ政権が米国企業に対し、半導体設計支援ソフトの中国企業への提供を停止するよう指示したことがあります。

指数の動き

  • S&P500種株価指数:5888.55(前日比-0.56%)

  • ダウ工業株30種平均:42098.70(前日比-0.58%)

  • ナスダック総合指数:19100.94(前日比-0.51%)

半導体関連銘柄は特に影響を受け、電子設計自動化(EDA)ソフトを提供するケイデンスやシノプシスの株価は一時12%以上の大幅な下落を記録しました。

電子設計自動化(EDA)とは?

半導体の設計を支援するソフトウェア技術。複雑な半導体回路の設計や解析を効率化するために使われます。

エヌビディア決算で市場は一時的に楽観的に

この日注目された半導体大手エヌビディア(NVIDIA)は、通常取引では0.5%安で終了しましたが、取引終了後に発表した5~7月期決算見通しで売上高約450億ドル(市場予想を上回る)を示しました。これにより時間外取引では株価が上昇しました。

市場関係者からはエヌビディアの業績に対して楽観的な見方が広がり、特にAI(人工知能)の将来的な可能性が再び注目されています。

FRBは慎重姿勢を継続

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した5月6~7日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、今後の政策について引き続き慎重な姿勢を維持していることが確認されました。当局は貿易摩擦の影響による不確実性を懸念しており、インフレや雇用の悪化リスクを注視しています。

FOMCとは?

米国の金融政策を決定する会議。主に政策金利(利上げや利下げ)を検討・決定します。

米中・米欧の通商交渉にも市場は注目

さらに市場は、トランプ政権による各国との通商交渉の動向にも注目しています。特に欧州連合(EU)との交渉が期限の7月9日までに合意できるかが注目されています。EU側は米国との交渉を頻繁に重ねる姿勢を示し、貿易摩擦緩和への期待が株式市場の支えとなっています。

専門家は、貿易摩擦がさらに緩和されれば、米国株式市場が再び上昇基調を強め、2026年頃にはS&P500が6400近辺まで上昇する余地があると予測しています。


まとめ

✅ 米国株は半導体規制強化への懸念から主要指数が下落

✅ トランプ政権が半導体設計支援ソフトの中国提供停止を指示し、関連銘柄が急落

✅ エヌビディアの決算は好調で時間外取引で株価上昇、AI関連銘柄に注目が集まる

✅ FRBは貿易摩擦など不確実性への懸念から慎重姿勢を継続

✅ 米欧間の通商交渉進展期待が市場の下支えに

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債相場の概要

米国債相場は下落しましたが、5年債入札が好調だったため、当初の下落幅から持ち直しました。主要な国債利回りは以下のとおりです

  • 米30年債利回り: 4.98%(2.5bp上昇)
  • 米10年債利回り: 4.48%(3.6bp上昇)
  • 米2年債利回り: 3.99%(0.9bp上昇)

※bp(ベーシスポイント): 金利の変動を表す単位で、1bp=0.01%を意味します。

好調な入札結果

700億ドル規模の5年債入札は予想以上の需要を集めました。注目すべき点は

  • 最高落札利回りが4.071%と、入札前取引水準を下回った
  • 外国の中央銀行を含む間接入札者の落札比率が78%と過去最高を記録
  • 外国人投資家からの旺盛な需要が確認された

5年債の魅力

5年債が人気を集めた理由として

  • 短期債や長期債に比べて金融政策や財政政策の影響を受けにくい
  • 多くの投資家にとって現在のリスク環境下での最適解となっている

長期債の状況と懸念材料

好調な需要は5年債に限られており、長期債は世界的に弱含んでいます

  • 日本では40年債入札が低調で、応札倍率が昨年7月以来の低水準
  • 米国を含む主要国での財政赤字拡大懸念が長期債への売りを誘発
  • インフレリスクが依然としてくすぶっていることも不安材料

市場専門家の見方

  • クレジットサイツのザカリー・グリフィス氏:「米国債からの大量資金引き揚げはみられない」
  • DRWトレーディングのルー・ブライアン氏:「債券に対する海外勢の強い関心を示唆している」
  • マールボロ・インベストメントのジェームズ・アセイ氏:「財政政策を巡る懸念はもっともで、相場は今後も大きく振れる可能性がある」

まとめ

✅ 5年債入札は外国投資家を含む強い需要を集め、米国債への投資意欲が健在であることを示しました

✅ 中期債(5年債)は政策影響を受けにくい点で現在の市場環境で魅力的な投資先となっています

✅ 一方で長期債は財政赤字拡大懸念やインフレリスクから弱含みが続いています

✅ 今後も財政政策の不確実性とインフレリスクから、債券市場は変動が続く可能性があります

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル上昇も長続きしない可能性―円安圧力は継続へ

  • ドルが月末の資金移動や関税問題緩和により上昇
  • 円は債務返済コストの増加や国債需要低迷から最も下落がきつい
  • 中期的には脱ドル化や米国の財政赤字懸念によりドル高の継続性に疑問符

ドル上昇の背景

ニューヨーク外国為替市場では、月末の資金フロー(資金の移動や決済)がドルを支援したほか、トランプ前大統領によるEUへの関税措置延期や中国との関税引き下げ合意を受け、米経済に対する悲観的な見方が一旦後退しました。

  • ドル指数(通貨の総合的な強さを示す指標) は0.39%上昇。

  • ドル/円相場 は144.9円と前日比0.57円(0.39%)高。

ドル指数とは?

世界の主要通貨に対する米ドルの相対的な強さを指数化したものです。数値が高いほどドルが強い状態を意味します。

円が弱含んだ理由は?

円が弱含んだ主な要因は以下の通りです。

  • 日本の長期金利の上昇 によって、政府や企業の債務返済コストが増加し、日本銀行(日銀)の金融引き締め余地が制限されることが懸念されています。

  • 日本の40年国債入札の不調(応札倍率が1年ぶりの低水準)で、国債の需要低下が円売り圧力を強めました。

これらの影響で円は一時145円台まで下落しました。

応札倍率とは?

国債の入札での需要の高さを示す指標。倍率が低いと需要が少なく人気が低いことを示します。

ドル高は長続きしないとの見方

INGのストラテジストは、米経済への信頼回復にはさらなる経済指標の好調さが必要とし、米国の財政赤字に対する不安や脱ドル化の流れ、トランプ政権の長期的なドル安志向などから、「現在のドル高局面は継続しない可能性が高い」と指摘しました。

今後の為替市場の見通し

  • 短期的には、円のショートカバー(一時的な買い戻し)による急激な相場変動リスクが指摘されています。

  • 米FRBもインフレと失業率上昇という難しい課題に直面する見込みであり、長期的には不安定な為替環境が続く可能性が高いでしょう。

まとめ

✅ ドルは短期的に上昇したが、財政赤字問題が長期的な懸念材料

✅ 円は国債需要の低迷や金利上昇の影響で大幅下落

✅ 米国の関税問題緩和が短期的なドル高を支援

✅ 脱ドル化やトランプ政権のドル安志向で、ドルの長期的上昇は難しいとの見方

✅ 今後の為替市場は米経済指標や日銀の政策に注目

原油相場の反発と今後の展望

原油相場の動き

ニューヨーク原油相場は反発しました。WTI原油先物7月限は前日比95セント(1.6%)高い1バレル=61.84ドルで取引を終えました。ブレント原油7月限も1.3%高の64.90ドルとなりました。

価格上昇の要因

原油価格が上昇した主な理由は以下の通りです

  • 米国がロシアに新たな制裁を科す可能性
  • イランとの核協議が物別れになる可能性
  • ロシアによるウクライナ攻撃をトランプ大統領が「火遊び」と非難

OPECプラスの動向

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の産油国で構成されるOPECプラスは、今年と来年の生産枠維持を決定しました。7月の生産引き上げについては週末に決定される予定です。

※OPECプラス:主要産油国の協調体制で、原油価格の安定を目指す組織

相場の下落要因

一方で、原油価格の下押し要因も存在します

  • OPECプラスからの供給増加による供給過剰懸念
  • 北海ブレント原油市場でのコンタンゴ(先物価格が現物価格より高い状態)の形成
  • 米国の関税政策による世界経済の減速懸念

※コンタンゴ(順ざや):先物価格が現物価格より高い状態で、市場に供給が潤沢にあることを示唆

金相場の動向

金価格の推移

ニューヨーク金相場は続落しました。金スポット価格は前日比3.16ドル(0.1%)安の1オンス=3297.71ドルとなりました。COMEX金先物8月限も前日比5.90ドル(0.2%)安の3322.40ドルで引けました。

値動きの背景

金相場は欧州時間に約0.8%上昇した後、米国時間の午前に下落に転じました。主な要因は

  • ドルの堅調推移
  • 米国債利回りの上昇
  • 米国とEUの貿易関係改善への期待

金相場の長期的見通し

金相場は年初から25%余り高騰し、先月には過去最高値を記録しました。現在はこの水準を約200ドル下回っています。しかし、以下の要因から安全資産としての金の魅力は継続しています

  • 膨張する米財政赤字
  • 貿易交渉を巡る不透明感
  • 中東やウクライナの紛争激化のリスク

今後の注目点

投資家の関心は、30日に発表される4月の個人消費支出(PCE)コア価格指数にも向けられています。このデータはインフレの動向を示す重要な指標です。

まとめ

✅ 原油価格は米国の対ロシア制裁観測とイラン核協議の不透明感から反発しました

✅ OPECプラスは生産枠維持を決定し、7月の生産方針は週末に決まる予定です

✅ 金相場は続落しましたが、地政学的リスクや財政赤字懸念から安全資産としての魅力は継続

✅ 米国とEUの貿易関係改善への期待が市場の変動要因となっています

✅ 今後は4月のPCEコア価格指数などの経済指標に注目が集まります