2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/4

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株は続伸、雇用市場の好調が関税リスクを上回る

  • 米国株は続伸。求人件数の増加が投資家心理を改善
  • 貿易摩擦への懸念は続いているものの、雇用市場の底堅さが評価されている
  • 半導体銘柄(特にエヌビディア、ブロードコム)が市場を牽引

米株式市場は堅調に推移

米国の主要株式指数は3日、続伸しました。関税を巡る米中間の緊張が依然としてリスク要因となっていますが、求人件数の予想外の増加が投資家心理を改善させ、株式市場を支えました。

  • S&P500:5970.37(前日比+0.58%)

  • ダウ平均:42519.64(前日比+0.51%)

  • ナスダック:19398.96(前日比+0.81%)

特に、大型テクノロジー株やエネルギー関連株が市場を主導しました。


雇用市場の底堅さが注目される

米労働省が発表した求人件数(JOLTS)は19万1000件増加し、739万1000件となりました。このデータは米国の雇用市場が引き続き堅調であることを示しています。

ただし、関税の影響により今後数カ月で労働市場が軟化する懸念も一部で出ていますが、現時点では具体的な兆候は表れていません。これにより、金融当局は利上げを見送る姿勢を維持することが予想されています。

JOLTSとは?

Job Openings and Labor Turnover Survey(求人労働異動調査)の略。米労働市場の需給状況を示す重要な指標。


半導体株が市場をけん引

特に、情報技術株が強含みで、以下の銘柄が市場の注目を集めました。

  • エヌビディア(NVDA):2.8%上昇。中国市場との関係改善期待

  • ブロードコム(AVGO):AI用ネットワークチップ出荷開始で過去最高値更新、3%超の上昇

今後の米中協議で半導体業界に関する議題が取り上げられると期待されており、これが半導体銘柄の追い風となっています。


貿易交渉に注目集まる

ホワイトハウスは、中国の習近平国家主席とトランプ大統領が週内に電話協議を行うと発表。米通商代表部(USTR)は各国に貿易交渉の提案を4日までに提示するよう求めており、交渉の進展が市場の次の注目材料となっています。


専門家の見解

ノースライト・アセット・マネジメントのザッカレリ氏は、「米政権が過剰な関税を継続する意図がないことが投資家に安心感を与えている」とコメント。米経済が景気後退を回避できるとの見方が広がっています。


まとめ

✅ 米株は求人件数増加を好感し続伸

✅ 関税リスクはあるが、雇用市場の強さが市場心理を支援

✅ 半導体銘柄が市場の中心、米中関係改善への期待が材料に

✅ 米中の貿易協議の行方が今後の市場動向を左右する

✅ 専門家は景気後退回避に楽観的な見方を示している

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債市場:貿易交渉と雇用減速が焦点に

米国の国債は一時的に値上がりしましたが、その後下落に転じました。株式市場と原油市場が好調を維持する中で、投資家の資金が国債から他の投資先に流れたことが要因です。

現在の主要な国債利回りは以下の通りです

  • 30年債利回り: 4.98%(前日比+1.1bp上昇)
  • 10年債利回り: 4.45%(前日比+1.2bp上昇)
  • 2年債利回り: 3.95%(前日比+1.2bp上昇)

※bp(ベーシスポイント)= 0.01%のことです

市場の注目点

トランプ政権の貿易政策

現在市場が最も注目しているのは、以下の貿易関連の動きです

  • トランプ大統領と中国の習近平国家主席との会談の可能性
  • 相互関税の一時停止期限が約5週間後(7月8日)に迫っている
  • 各貿易相手国に対し、4日までに最善の貿易交渉案を提示するよう要求

専門家の見解

フェデレーテッド・エルメス社の債券専門家カレン・マンナ氏は、「市場は明確な方向性を見つけられずにいる」と分析しています。FRB(※米国の中央銀行)の政策方針と同様に、市場も様子見の状態が続いているということです。

雇用市場の変化

労働省が発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)では

  • 求人件数: 19万1000件増加し、739万1000件
  • 解雇件数: 増加傾向
  • 全体的な傾向: 労働市場の減速を示唆

この結果は、雇用市場が徐々に冷え込んでいることを表しており、今後の金融政策に影響を与える可能性があります。

まとめ

✅ 米国債は株式・原油市場の好調により一時上昇後に下落しました

✅ トランプ政権の貿易交渉、特に中国との関税協議が市場の焦点となっています

✅ 市場は明確な方向性を見出せず、レンジ相場(一定の値幅での上下動)が続いています

✅ 雇用市場の減速傾向が確認され、今後の金融政策への影響が注目されます

✅ 7月8日の関税一時停止期限が重要な節目となる見込みです

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドルが反発、労働市場の強さと関税リスクが交錯

  • 米求人件数の増加でドル買いが強まった
  • ドル/円は144円台に上昇
  • トランプ政権の関税強化が引き続き市場の警戒材料
  • ユーロ/ドルは反落、ビットコインは上昇

ドル指数が反発、労働市場の強さを反映

米国の4月求人件数(JOLTS)が予想を上回る増加を見せたことで、ドルが反発しました。ブルームバーグ・ドル指数は前日比+0.43%の1213.96となり、前日の約2年ぶり安値から回復しました。


為替市場の動き

通貨ペア 現在値 前日比 変化率
ドル/円 143.98円 +1.27円 +0.89%
ユーロ/ドル 1.1372ドル -0.0069ドル -0.60%
英ポンド/ドル 1.3519ドル -0.2%
ビットコイン 106,219ドル +1.2%

ドル/円は144円台に上昇し、円安が進行。ユーロは一時1.1454ドルと6週間ぶり高値を付けた後に反落しました。


テクニカル要因と政策リスクが混在

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのエリアス・ハダッド氏は「テクニカル的にドルは売られ過ぎの状態」と述べ、短期的には反発の余地があるとの見方を示しました。

一方、バノックバーンFXのマーク・チャンドラー氏は、「今回のドル高は限定的な反発」としており、本格的なドル上昇トレンド入りとは言えないとしています。


トランプ関税強化が引き続きリスク要因

米ホワイトハウスの報道によると、鉄鋼・アルミ製品にかける関税を50%に引き上げる大統領令に署名するとのこと。これは以前から表明されていた方針で、6月4日からの実施が予定されています

今後の注目点

  • トランプ大統領と習近平国家主席による会談の行方

  • 関税政策が市場に与える影響

INGのフランチェスコ・ペソーレ氏は「この会談が緊張緩和につながれば、ドルにとってサプライズのプラス材料になる可能性もある」と指摘しています。


まとめ

✅ 米求人件数の増加でドル買いが優勢に

✅ ドル/円は一時144円台、円安進行

✅ トランプ政権の関税引き上げが警戒材料に

✅ ドルは短期的に売られ過ぎとの見方も

✅ 習近平氏との会談がドル相場の鍵を握る可能性

原油・金相場:山火事と地政学リスクが市場を動かす

原油

相場の基調

  • 原油先物相場は続伸
  • WTI原油先物7月限: 1バレル63.41ドル(前日比+89セント、+1.4%)
  • 北海ブレント8月限: 1バレル65.63ドル(前日比+1ドル、+1.55%)

価格上昇の主な要因

カナダの山火事による供給不安

  • カナダのアルバータ州で大規模な山火事が発生
  • 日量約35万バレルの重質原油(※粘度が高く重い原油)の生産が停止
  • OPECプラス(※石油輸出国機構と非加盟産油国の連合体)の増産量(日量41万1000バレル)の4分の3を超える減産規模
  • 山火事による供給懸念がOPECプラスの生産引き上げよりも強く意識される

米雇用市場の好調

  • 4月の米求人件数が予想外に増加
  • 経済活動の活発化により原油需要の増加が期待される

地政学リスクの高まり

  • イラン問題: トランプ大統領がイランのウラン濃縮を一切認めない姿勢を表明
  • ロシア・ウクライナ情勢: ウクライナによるロシア軍事インフラへの攻撃が継続
  • 地政学リスクへの関心が市場で再び高まる

専門家の見解

  • TDセキュリティーズのダニエル・ガリ氏の分析
  • 「今後数カ月はOPEC原油の吸収に市場は苦戦する見込み」
  • 中東湾岸地域の季節需要がピークを迎えれば輸出増加の可能性

相場の基調

  • 金相場は反落
  • 金スポット価格: 1オンス3352.99ドル(前日比-28.60ドル、-0.85%)
  • COMEX金先物8月限: 3377.10ドル(前日比-20.10ドル、-0.6%)

価格下落の要因

  • 外国為替市場でドルが上昇
  • ドル建ての金は他通貨保有者にとって割高となり需要が減少
  • 米金融政策の先行きに関する手掛かりを求める動き
  • 6日発表予定の米雇用統計への関心が高まる

長期的な金需要の背景

年初来の大幅上昇

  • 金スポット価格は年初来で27%余り上昇
  • 貿易戦争激化により安全資産(※リスク回避時に選ばれる資産)への逃避需要が根強い

貿易摩擦の継続

  • 米中通商協議の進展が乏しい状況
  • 中国政府は関税休戦合意が「著しく損なわれた」と非難
  • EU(欧州連合)もトランプ大統領の関税威嚇に対し報復措置を警告
  • 新たな関税の脅しで貿易交渉が複雑化

専門家の推奨

  • ゴールドマン・サックス・グループが先週推奨
  • 米国への信認懸念の中で長期ポートフォリオ(※投資の組み合わせ)に金と原油の組み入れを促進
  • インフレヘッジ(※物価上昇に対する備え)としての役割を重視

まとめ

✅ 原油相場はカナダの山火事による供給不安がOPECプラスの増産を上回る材料となり上昇しました

✅ 地政学リスクの高まりがイラン・ウクライナ情勢を中心に原油・金両市場に影響を与えています

✅ 金相場は一時的にドル高で下落したものも、貿易戦争激化で年初来27%の大幅上昇基調を維持しています

✅ 6日発表の米雇用統計が今後の金融政策と商品相場の方向性を左右する重要な判断材料となります

✅ 専門家は米国信認懸念の中で金と原油をインフレヘッジとして長期投資に組み入れることを推奨しています