2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/17

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国市場が落ち着きを取り戻し株価反発、原油価格下落でインフレ懸念が緩和

  • 米株式市場は地政学的リスクへの懸念が和らぎ反発
  • 原油価格が下落し、インフレ急騰リスクが軽減
  • 中東情勢は引き続き注視が必要だが、大きな混乱は限定的との見方が優勢

株価が反発、地政学的リスク後退が背景に

16日の米国金融市場では株価が反発しました。イスラエルとイランの軍事衝突が広範な紛争に発展するとの懸念が後退したことが背景です。

  • S&P500種株価指数:6033.11(前日比+0.94%)

  • ダウ工業株30種平均:42515.09(前日比+0.75%)

  • ナスダック総合指数:19701.21(前日比+1.52%)

特に、ナスダックは情報技術株や通信サービス株の上昇に牽引され、約3週間ぶりの大幅な上昇となりました。

原油価格が落ち着き、市場の懸念も和らぐ

地政学的な不安を背景に、前週末に7%超上昇した米WTI原油先物価格は、この日は1.7%下落しました。イスラエルとイランの軍事衝突が原油の生産・輸出に今のところ大きな影響を与えていないことが確認され、価格が落ち着きを見せています。

  • 原油価格下落でインフレ急騰の懸念が和らいだ

  • イランは紛争緩和を望み、米国との核協議再開に意欲的と報道

WTI原油とは?

  • ウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は米国産原油の代表的な指標で、国際的な原油価格の目安として広く用いられています。

今後の市場見通しと注目ポイント

市場関係者の間では、中東情勢の推移が引き続き注目されています。特に以下の2点が重要視されています。

インフレリスクと原油価格

RBCキャピタル・マーケッツの分析によれば、原油価格の急上昇が起こった場合、インフレが急騰し、S&P500種指数が最大20%下落する可能性があると指摘されています。

米金融政策(FRBの利下げ時期)

米国の連邦準備理事会(FRB)は、9月まで利下げを行わない見込みが主流ですが、9月の利下げ確率は約61%と、市場はすでに一定の利下げを織り込んでいます。

市場の反応と専門家の声

  • JPモルガンは、株価が一時的に下がれば長期的な買い場と判断。

  • 一方で、中東情勢の展開次第では市場心理に大きな影響を与える可能性があるため、慎重な姿勢も重要との見方を示しています。

注目企業の動き

  • アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は8.8%の大幅高

  • UPS、フェデックスはトランプ・オーガニゼーションの配送パートナーに選ばれ、それぞれ1.1%高

  • 日本製鉄による買収が承認されたUSスチールは5.1%高

まとめ

✅ 米株式市場は地政学リスクの後退により反発

✅ 原油価格の下落でインフレ急騰への懸念が軽減

✅ 中東情勢次第では市場が再び不安定化する可能性あり

✅ FRBの利下げ動向にも注目が必要

✅ 個別銘柄では半導体株や輸送関連株が堅調

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り上昇 中東情勢緩和期待で原油下落が影響

米国債相場が下落し、利回りが上昇しました。この動きの背景には、中東情勢の緊張緩和期待による原油価格の下落があります。

各年限の利回り状況

現在の米国債利回りは以下の通りです

  • 30年債利回り: 4.96%(前日比+6.5bp)
  • 10年債利回り: 4.45%(前日比+5.1bp)
  • 2年債利回り: 3.97%(前日比+2.1bp)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で、1bp = 0.01%

相場変動の主な要因

中東情勢の影響

イランがイスラエルとの戦闘終結を望んでいるとの報道により、原油価格が下落しました。これによってインフレ懸念(物価上昇への心配)が後退し、債券市場に影響を与えています。

専門家の見解

  • 債券価格を左右するのは原油価格との指摘
  • 株式相場と債券相場が同じような動きを見せている
  • 状況改善により両市場とも上昇する傾向

20年債入札の結果

この日実施された20年債入札では、先月の不調から著しい改善を示しました。しかし、長期債の下落は短中期債よりも大きな状況が続いています。

今後の注目点

FOMC会議への関心

17-18日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会:米国の金利政策を決める会議)に市場の注目が集まっています。

  • 今回は金利据え置きが予想される
  • ドットチャート(金利見通し表)に注目
  • 2025年の利下げ見通し(0.50%)修正の可能性

利下げ確率

12月までの利下げ実施確率

  • 0.50%以上の利下げ:65.2%
  • 0.25%の利下げ1回のみ:28.2%
  • 金利据え置き:6.6%

まとめ

✅ 中東情勢緊張緩和期待により原油価格下落、米国債利回りが上昇

✅ インフレ懸念後退が債券市場の主要な動きの要因となっている

✅ 17-18日のFOMC会議で2025年の金利見通し修正に注目

✅ 12月までに利下げが実施される確率は65%を超えている

✅ 原油価格と債券価格の連動性が市場動向の鍵を握っている

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル、円に対して反発:中東情勢と中銀政策に注目

  • ドル指数は日中の下落を消し、小幅高
  • イランが緊張緩和を望んでいるとの報道で原油価格が下がり、ドル売りが優勢だったが、その後はドル買いが回復
  • イスラエルは引き続き軍事行動を追求すると明言、相反するメッセージがドルの動きを重くした
  • 円はドルに対して下落し、144円台後半を推移

ドル指数とは?

ドル指数は、米ドルが主要な通貨(ユーロ、円、ポンドなど)に対してどれくらい強いかを示す指標です。数値が高ければドルが強く、低ければドルが弱いことを意味します。


ドル/円、日銀の政策見通しを意識して円安に

円は米ドルに対して売られる展開となりました。その背景には、以下の要因があります。

  • 日銀が17日の政策会合で緩和的(慎重)な姿勢を維持すると見られていること。

  • 中東情勢の悪化が日本経済に悪影響を与えるとの懸念が広がったこと。

三菱UFJのリー・ハードマン氏は、こうした懸念が円安の背景にあると分析しています。


ドル、安全資産通貨に対して堅調

中東情勢の不透明感にもかかわらず、投資家は比較的冷静です。米ドルは安全資産とされる円やスイスフランに対して買われました。特に、イランが中東各国を通じて米国に停戦交渉を働きかけたことが好感されました。

ドル/円は144.65円で取引を終え、ドル/スイスフランも上昇しました。


中央銀行政策と関税交渉に注目

市場は今週、以下の中央銀行の動きに注目しています。

  • 米連邦準備理事会(FRB)の金融政策決定会合(FOMC)

  • 日本銀行の金融政策決定会合

  • 英国、スイス、スウェーデン、ノルウェーの各中銀の政策発表

また、米国の関税政策も市場の懸念材料です。7月9日に米国と主要貿易相手国との相互関税の発動期限が迫っているため、市場の緊張が高まっています。


まとめ

✅ 中東情勢(イラン・イスラエル)がドルと円の動きを左右

✅ ドルは安全資産通貨(円・スイスフラン)に対して上昇

✅ 今週の主要中銀の政策決定が市場の注目材料

✅ 日銀の緩和継続見通しが円安を後押し

✅ 米国の関税交渉期限が市場に影響を与える可能性

原油・金相場:中東情勢緩和期待で両商品とも反落

原油

原油先物相場は反落しました。中東の紛争が原油生産の混乱につながらないとの見方から売りが優勢になりました。

価格の推移

  • WTI原油先物7月限:前営業日比1.21ドル(1.7%)安の1バレル=71.77ドル
  • 北海ブレント8月限:1.3%安の73.23ドル

※WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート):アメリカの代表的な原油の品質基準

下落の要因

外交的緊張緩和の兆し

  • イランがイスラエルとの対立緩和について話し合いを望んでいるとの報道
  • トランプ米大統領の発言も中東での長期紛争への懸念を和らげる効果
  • 中東紛争の拡大懸念が後退

専門家の分析

CIBCプライベート・ウェルス・グループの専門家は「ホルムズ海峡(世界の石油の約2割が通過する重要な輸送ルート)に関する懸念が脅威を過度にあおっていた可能性」を指摘しています。

継続するリスク要因

現在の状況

  • イスラエルがサウスパース・ガス田への攻撃を実行
  • 生産プラットフォームが停止
  • 重要な原油輸出インフラは被害を免れている状況
  • ホルムズ海峡の通行妨害は発生していない

市場への影響

  • 原油価格は攻撃開始前より大幅に高い水準を維持
  • 13日の空爆開始後、取引時間中に7%余り上昇
  • 先物とオプションの取引量が記録的水準に到達

専門機関の見解

  • RBCキャピタル・マーケッツ:エネルギーインフラへの攻撃を懸念材料として指摘
  • モルガン・スタンレー:紛争リスクを理由に原油価格予想をバレル当たり10ドル引き上げ

金相場は反落しました。イスラエルのイランに対する戦争が他国を巻き込むとの懸念が後退したためです。

価格の推移

  • 金スポット価格:前営業日比42.50ドル(1.2%)下落の1オンス=3389.84ドル
  • COMEX金先物8月限:35.50ドル(1%)安の3417.30ドル
  • 4月の過去最高値を約110ドル下回る水準

※スポット価格:現物取引での即時決済価格

金相場の背景

長期的な上昇トレンド

  • 年初来で約30%上昇
  • 中央銀行がドルからの分散投資(リスク分散のため複数の資産に投資すること)を進めている
  • 先週は地政学的リスクで3.7%上昇

専門家の見解

安全資産(経済不安時に資金が集まりやすい資産)としての金の役割について

  • 地政学的緊張が高まれば価格をさらに押し上げる可能性
  • 多くの投資家が長期的に米国債から金に資金を移している
  • 最高値水準に非常に近い状況を維持

まとめ

✅ 中東情勢緩和期待により原油・金ともに反落、外交的解決への期待が市場を動かす

✅ 原油はホルムズ海峡への懸念が過度だった可能性、ただし地政学的リスクは継続

✅ 金は安全資産としての需要高く年初来30%上昇、長期的な上昇トレンドを維持

✅ 両商品とも中東紛争の展開次第で価格が大きく変動する可能性が高い