2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/19

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場:FRBの慎重姿勢が影響

FOMCの決定内容と市場への影響

18日の米株式市場では、主要株価指数がほぼ横ばいで推移しました。米連邦準備制度理事会(FRB)※1のパウエル議長が関税による経済の不確実性について言及したことが、株価の重石となりました。

※1 FRB:アメリカの中央銀行制度で、金融政策を決定する機関

主要株価指数の終値

  • S&P500種株価指数: 5980.87(前日比-1.85、-0.03%)
  • ダウ工業株30種平均: 42171.66(前日比-44.14、-0.10%)
  • ナスダック総合指数: 19546.27(前日比+25.18、+0.13%)

S&P500種は一時6000の節目を上回りましたが、最終的には下回って取引を終えました。

FRBの政策方針と今後の見通し

連邦公開市場委員会(FOMC)※2では以下の決定が行われました

※2 FOMC:FRBの金融政策を決定する委員会

主要な決定事項

  • 政策金利: 据え置きを決定
  • 利下げ予想: 年内2回の利下げを継続予想
  • 経済見通し:
    • 今年の経済成長見通しを引き下げ
    • 失業率とインフレ率※3の見通しを引き上げ

※3 インフレ率:物価上昇率のこと。数値が高いほど物価が上がっている

パウエル議長の発言要旨

  • 関税がインフレに及ぼす影響がより根強い可能性があると指摘
  • 夏にかけてモノのインフレが上昇するとの見通しを示す
  • 関税の影響を確信するまで金融政策を変更しない姿勢を強調

市場関係者の見解

専門家の分析

ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は、「当局は明らかに様子見の姿勢を続けている」と分析しています。FRBは以下の2点を注視しているとしています

  • 関税がインフレを加速させるかどうか
  • 雇用市場が弱含み始めるかどうか

プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏は、「最終的に第4四半期後半まで利下げを見送り、今年の利下げは25bp※4の1回にとどまる」との予想を示しました。

※4 bp(ベーシスポイント):金利の単位。25bp = 0.25%

地政学リスクの影響

市場は中東情勢も注視しています

  • トランプ大統領がイランとの核問題を巡る合意機会について言及
  • イスラエルとイランの衝突への米国の軍事介入可能性に懸念
  • イランの最高指導者が米大統領の要求を拒否する姿勢

個別セクター・銘柄の動向

セクター別動向

  • エネルギーセクター: 下落を主導
  • 情報技術セクター: 上昇

注目銘柄

サークル・インターネット(CRCL.N): 33.8%急伸

  • 米上院が「ジーニアス法」(ステーブルコイン※5規制枠組み案)を可決
  • ドル連動型ステーブルコインの規制整備への期待が高まる

※5 ステーブルコイン:法定通貨などに価値が連動する暗号資産(仮想通貨)

まとめ

✅ FRBは政策金利を据え置き、年内2回の利下げ予想を維持したが、関税によるインフレリスクを警戒している

✅ S&P500は6000の節目を一時上回ったものの、パウエル議長の慎重発言で失速した

✅ 市場関係者はFRBの様子見姿勢が続くと分析し、利下げ回数がさらに減る可能性を指摘

✅ 中東情勢の緊張も市場の重要な注目材料となっている

✅ 暗号資産関連銘柄は規制整備への期待から大幅上昇した

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債市場:FOMC政策発表で年内2回利下げ見通し維持、長期的にはインフレ懸念残る

FOMC政策発表による市場への影響

米国債市場は、FOMC(米連邦公開市場委員会※)の政策発表を受けて小幅な値動きとなりました。年内2回の利下げ見通しが維持されたことで、一時的に国債が買われましたが、その後のパウエル議長の発言により、特に2年債の上昇幅は縮小しています。

※FOMC:米国の金利政策を決定する重要な会議

国債利回りの現状

現在の米国債利回りは以下の通りです

  • 30年債利回り:4.89%(前日比-0.2bp下落)
  • 10年債利回り:4.39%(前日比+0.2bp上昇)
  • 2年債利回り:3.94%(前日比-1.0bp下落)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で1bp=0.01%

パウエル議長の経済見通し

パウエル議長は記者会見で以下のように述べました

  • 米国経済は極めて堅調な状態
  • 関税の影響はまだ完全には表れていない
  • 今後数カ月は関税の影響は見られないだろう

市場が予想する今後の金利動向

短期金融市場では、年内にほぼ2回の利下げを予想しています

  • 約48bp(ベーシスポイント)の緩和を織り込み済み
  • 10月の利下げは確実視されている
  • 9月にも利下げの可能性を示唆
  • 現在の政策金利は4.25-4.5%で維持中

専門家の見解

DWSアメリカズの債券責任者の分析
  • 年内2回の利下げ予想維持は「問題先送りの妥協案」
  • 2026年・2027年の金利予測がやや上方修正された点に注目
ドイツ銀行チーフエコノミストの見解
  • 今回の政策発表は「ややハト派寄り」
  • 長期的な金利見通しの変更は「インフレの持続性を当局が懸念している」証拠

まとめ

✅ FOMCは年内2回の利下げ見通しを維持し、市場の予想と一致しています

✅ パウエル議長は米経済の堅調さを強調し、関税の影響は限定的と発言しました

✅ 短期的には利下げ期待があるものの、長期的にはインフレ懸念が残っています

✅ 専門家は今回の決定を「問題先送り」と評価し、慎重な姿勢を示しています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

為替市場:FRBの慎重姿勢でドル上昇

FRB会合後の為替市場の反応

外国為替市場では、パウエルFRB議長の記者会見を受けてドル指数※2が小幅高となりました。議長が政策金利据え置き後に不確実性の強さを強調したことで、ドルが買われる展開となりました。

※2 ドル指数:主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す指標

主要通貨ペアの終値

  • ブルームバーグ・ドル指数: 1210.26(前日比+1.19、+0.10%)
  • ドル/円: 145.12円(前日比-0.17円、-0.12%)
  • ユーロ/ドル: 1.1482ドル(前日比+0.0002ドル、+0.02%)

ドル/円相場の動き

対ドルでの円相場は小幅高となりました

  • FOMC※3声明発表直後:1ドル=144円34銭まで上昇
  • その後:145円台前半まで伸び悩み
  • 終値:145.12円で前日比0.12%の円高

※3 FOMC:連邦公開市場委員会(FRBの金融政策決定機関)

FRBの政策決定内容

金利政策

  • フェデラルファンド(FF)金利※4:4.25-4.50%に据え置き
  • 年内利下げ予想:2回を維持(中央値ベース)
  • 今後の方針:全体的な利下げペース鈍化の可能性を示唆

※4 FF金利:アメリカの政策金利

背景要因

  • トランプ政権の関税措置によるインフレ上昇見通し
  • 経済から「混在するシグナル」を受け取っている状況
  • 第2四半期のデータが政策見直しの鍵となる可能性

市場関係者の見解

専門家の分析

ジェフリーズのブラッド・ベクテル氏
  • 「パウエル議長が依然としてかなりタカ派※5なことは明らか」
マネックスUSAのフアン・ペレス氏
  • 「FRBが経済から混在するシグナルを受け取っており、そのため混在するシグナルを発している」
  • 「引き続き憶測が飛び交っている状況」

※5 タカ派:インフレ抑制を重視し、金利引き上げに積極的な姿勢

地政学リスクの影響

FOMC終了後、市場の注目は再び中東情勢に向かいました

  • イランの最高指導者ハメネイ師がトランプ大統領の降伏要求に警告
  • 「米国のいかなる攻撃も取り返しのつかない重大な結果をもたらす」と発言
  • 安全資産買いの動きが活発化

その他の主要通貨ペアの動向

欧州通貨

  • ドル/スイスフラン: 0.8190フラン(+0.36%)
  • ポンド/ドル: 1.3411ドル(-0.12%)
  • ユーロ/ドル: 1.1476ドル(-0.03%)

英国の経済指標

  • 5月の英消費者物価指数(CPI)※6:前年比3.4%上昇
  • 予想と一致する結果
  • イングランド銀行は19日の会合で政策金利据え置き予想

※6 CPI:消費者物価指数(インフレ率を測る重要指標)

米国経済指標

  • 週間新規失業保険申請件数:24万5000件(前週比5000件減)
  • 高水準にとどまり、一時的にドルの重しとなる
  • 19日は「ジューンティーンス(奴隷解放記念日)」で米市場休場

まとめ

✅ FRBの政策金利据え置きとパウエル議長のタカ派発言を受けて、ドル指数が上昇した

✅ ドル/円は一時144円台まで円高が進んだが、145円台前半で伸び悩んだ

✅ FRBは年内2回の利下げ予想を維持したものの、関税によるインフレリスクで利下げペース鈍化を示唆

✅ 中東情勢の緊張が続き、安全資産買いの動きが為替市場にも影響している

原油・金市場:中東情勢の緊迫化で価格変動拡大、米軍関与の可能性に注目

トランプ大統領の発言が市場に影響

ニューヨーク原油先物相場は小幅高となりました。トランプ大統領が米軍の中東紛争への関与可能性を示唆したことで、日中の値動きが比較的大きくなっています。

  • WTI原油:1バレル=75.14ドル(前日比30セント高)
  • 北海ブレント原油:1バレル=76.70ドル(前日比25セント高)
  • 高値と安値の差は約3ドルと値動きが拡大

※WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート):米国の代表的な原油価格指標

市場の不安定さが継続

CIBCプライベート・ウェルス・グループの専門家分析
  • インプライド・ボラティリティ※が上昇を続けている
  • 市場の根底にある不安が依然として高い水準
  • ただし、実際の値動きには完全に反映されていない

※インプライド・ボラティリティ:市場参加者が予想する将来の価格変動の大きさ

原油価格の今後の見通し

ペッパーストーン・グループの見解
  • 米国の中東紛争への関与が報じられれば
  • 原油価格は1バレル=80ドルを上回る可能性がある
  • 現在より約5ドル程度の上昇を予想

米国の原油在庫状況

米エネルギー情報局(EIA)の最新データ

  • 先週の米原油在庫は1100万バレル余り減少
  • 約1年ぶりの大幅な減少となった
  • 供給タイト化により価格を下支え

金市場の動向

パウエル議長発言でドル高、金価格は下落

金スポット価格は下落しました。日中は前日終値を挟んだ横ばい推移でしたが、パウエル議長の記者会見中にドルが上昇し、下げが拡大しています。

  • 金スポット価格:1オンス=3371.12ドル(前日比0.5%安)
  • 金先物8月限:3408.10ドル(FOMC決定発表前の終値)

中東情勢への注目が継続

市場参加者の関心事

  • イスラエルとイランの交戦に米軍が加わるかどうか
  • その兆候を探りたいとのムードが強い
  • 米国の直接介入となれば、金相場は4月の過去最高値(1オンス=3500ドル余り)を上回る可能性

まとめ

✅ 原油価格はトランプ大統領の中東関与示唆発言で値動きが拡大し、米軍介入なら80ドル突破の可能性があります

✅ 米原油在庫の大幅減少(1100万バレル)が約1年ぶりに発生し、価格を下支えしています

✅ 金価格はパウエル議長発言によるドル高で下落したものの、中東情勢次第で過去最高値更新の可能性があります

✅ 両市場とも地政学的リスクに敏感に反応しており、米国の中東政策が今後の価格動向の鍵となっています