2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/24

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場が上昇:イラン攻撃は限定的、原油相場も急落

株式市場の動向

23日の米株式市場は上昇して終了しました。イランがカタールの米空軍基地を攻撃しましたが、被害は限定的で、経済への大きな影響はないとの安心感が広がりました。

  • S&P500指数:6025.17(前日比+0.96%)

  • ダウ平均株価:42581.78(前日比+0.89%)

  • ナスダック総合指数:19630.97(前日比+0.94%)

地政学的リスクと市場の反応

イランの攻撃は「演出的」で規模が小さく、原油供給の混乱への懸念が後退したため、原油価格(WTI)は1バレル=70ドルを割り込み急落しました。

トランプ大統領も「非常に弱い攻撃だった」と発言し、市場では状況の悪化リスクが低いと判断されました。

専門家の分析と見解

  • ヤコブ・ファンク・キルケガード氏(22Vリサーチ)
    「イランは再び攻撃するかもしれないが、大規模ではなく演出的な攻撃にとどまるだろう。原油やガス市場へのリスクは低下する。」

  • トム・エッセイ氏(ザ・セブンズ・リポート)
    「中東情勢は緊張しているが、紛争の拡大や原油供給への深刻な影響は見られず、市場にとって深刻なマイナス要因にはならない。」

  • エリアス・ハダッド氏(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン)
    「ホルムズ海峡封鎖のリスクは低く、イランが自国経済へのダメージを避けるため現実的ではない。」

モルガン・スタンレーのレポート

地政学的リスクによる株価下落は短期的かつ限定的であり、過去のケースではS&P500はリスク発生後、以下のように回復しています。

  • 1カ月後:平均2%上昇

  • 3カ月後:平均3%上昇

  • 12カ月後:平均9%上昇

その他の要因と注目株

  • FRBのボウマン副議長が利下げを支持する発言をしたため、市場心理を後押し。

  • テスラがロボタクシーの運用開始により8.2%上昇。

  • ノーザン・トラストは合併への関心報道で8.0%上昇。一方、スーパー・マイクロ・コンピューターは転換社債の発行で9.8%下落。


まとめ

✅ イランの報復攻撃は小規模で、市場の不安が後退したため株価が上昇。

✅ 原油価格は、攻撃による供給懸念が和らぎ急落。

✅ FRBが利下げの可能性を示唆したことで、市場心理が改善。

✅ テスラが新たなサービス開始で大幅上昇。

✅ 地政学的リスクは市場に一時的な影響を与えるに過ぎないと市場は楽観視。

 

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

中東情勢緊迫とFRB発言で米国債急伸、利回り1カ月ぶり低水準

米国債相場が上昇し、利回りが低下しました。これは債券価格が上がると利回りが下がるという関係があるためです。今回の上昇には2つの主要な要因があります。

地政学的リスクの影響

イランがカタールにある米空軍基地に報復攻撃を行ったことで、中東情勢の緊張が高まりました。このような不安定な状況では、投資家は安全資産として知られる米国債に資金を移す傾向があります。これを「逃避買い」と呼びます。

FRB副議長の発言

米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン副議長が、早ければ7月に利下げを支持する考えを示したことも、国債相場の上昇を後押ししました。

利下げ:中央銀行が政策金利を引き下げること。経済を刺激する効果があります。

具体的な利回りの変化

各年限の米国債利回りは以下のように変化しました

  • 30年債利回り:4.88%(前日比-1.4bp)
  • 10年債利回り:4.34%(前日比-3.1bp)
  • 2年債利回り:3.86%(前日比-4.9bp)

bp(ベーシスポイント):1bp = 0.01%を表す単位

注目すべき動き

  • 10年債利回りは一時4.29%まで低下し、約1カ月ぶりの低水準となりました
  • 5年債利回りも一時約10bp低下して3.86%をつけました

市場の今後の見通し

利下げ観測の高まり

短期金融市場では、年末までに少なくとも50bp(0.5%)の利下げが織り込まれています。これは市場参加者が今後の金融緩和を予想していることを示しています。

専門家の見解

DWBアメリカズの債券責任者は、紛争の長期化可能性を踏まえ、「米国債のような伝統的な資産が選好される」と指摘しています。

まとめ

✅ イランの米軍基地攻撃により中東情勢が緊迫し、安全資産として米国債が買われました

✅ FRB副議長の7月利下げ支持発言が国債相場の上昇を後押ししました

✅ 10年債利回りは4.34%まで低下し、約1カ月ぶりの低水準となりました

✅ 市場では年末までに0.5%以上の利下げが予想されています

✅ 地政学的リスクの高まりにより、今後も米国債への資金流入が続く可能性があります

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル下落、FRB利下げ示唆とイラン情勢の沈静化が背景に

ドルが下落した主な要因

ニューヨーク外国為替市場では、ドルが下落しました。理由は主に以下の2つです。

  • イランの報復攻撃が限定的だったため
    イランがカタールの米軍基地をミサイル攻撃しましたが、迎撃に成功し、大きな被害はありませんでした。このため、市場では緊張がこれ以上高まらないだろうとの安心感が広がりました。

  • FRB(米連邦準備理事会)の利下げ期待の高まり
    FRBのボウマン副議長が「インフレが抑えられている限り、次回の会合で利下げを支持する可能性がある」と述べました。また、ウォラー理事も利下げの検討を示唆したため、市場では近く利下げがあるという見方が強まりました。

各通貨の動き(直近の値)

  • ブルームバーグ・ドル指数:1208.22(-0.23%)

  • ドル/円:146.13円(ほぼ変わらず、+0.03%)

  • ユーロ/ドル:1.1579ドル(+0.49%)

市場の専門家の意見

スコシアバンクの為替専門家、オズボーン氏は、今回のイラン情勢の緊張再燃に対し、市場が比較的冷静に対応したと指摘しました。

また、マネックスUSAのギブン氏は、ボウマン副議長がタカ派(利上げを重視する姿勢)で知られているため、その人物が利下げを示唆したことでドルが下落したと述べています。

利下げ予測の動き

  • 年内に利下げが2回(25bp×2)あることは確実とされ、3回目の利下げ可能性も高まっています。

  • 今後のFRB議長パウエル氏の議会証言(24〜25日)に市場は注目しています。

まとめ

✅ ドル指数は、イラン情勢の鎮静化とFRB利下げ期待で下落

✅ ボウマン副議長とウォラー理事が利下げに前向きな発言をし、市場に影響

✅ 年内にFRBが複数回利下げするとの見方が強まり、ドル売りにつながる

✅ ドル円は一時大幅な円安(148円台)になったが、最終的には落ち着きほぼ横ばい

中東情勢でエネルギー市場が激変、原油7%急落・金は反発

原油の急激な変動

イラン報復攻撃の影響

イランが米軍基地に対して報復攻撃を行いましたが、エネルギーインフラには被害が及ばなかったため、原油相場は7%を超える大幅な下落となりました。

  • WTI原油先物:1バレル=68.51ドル(前日比-5.33ドル、-7.2%)
  • 北海ブレント原油:1バレル=71.48ドル(-7.2%)
  • WTI原油は70ドルを割り込む水準まで下落

WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート):アメリカの代表的な原油の品質基準

市場の懸念が後退した理由

  • イランの攻撃がエネルギー施設を標的としなかった
  • カタール当局がイランのミサイルを迎撃に成功
  • 人的被害が発生しなかった
  • ホルムズ海峡の封鎖懸念が和らいだ

ホルムズ海峡:世界の原油の約5分の1が通過する重要な海上輸送路

相場の激しい変動

23日の取引では1バレル当たり10ドルという大きな値幅で推移しました。

  • アジア時間帯:6%以上の上昇
  • その後:急激に下落に転じる
  • トレーダーの神経質な状況を反映

専門家の分析

市場関係者の見解

CIBCプライベート・ウェルス・グループのエネルギートレーダーは以下のように分析しています

  • イランにとってエネルギーインフラは報復の最優先対象ではない
  • 今回の行動は本格的なエスカレーションではなく、面目を保つための限定的な行動
  • 米国側が事前に情報を把握していた可能性

金の反発

安全資産としての金

中東情勢への警戒感から、安全資産として知られる金に買いが集まりました。

  • スポット価格:1オンス=3,380.34ドル(前日比+11.95ドル、+0.35%)
  • COMEX金先物8月限:3,395ドル(+9.30ドル、+0.3%)

安全資産:政治的・経済的な不安定な時期に価値が保たれやすい資産

金相場の複雑な要因

金価格には相反する要因が影響しています

プラス要因

  • 地域紛争拡大の可能性
  • 中央銀行による金の購入継続
  • 投資資金の流入

マイナス要因

  • エネルギー価格上昇によるインフレ加速
  • 米利下げ可能性の低下
  • 利息を生まない金の不利な面

今後の見通し

ブルーライン・フューチャーズのアナリストは、金相場について以下の予想を示しています

  • 今年いっぱい上昇基調が続く見込み
  • 中央銀行の購入と投資資金流入が支援材料
  • 金利低下予想により構造的に強気な見方を維持

まとめ

✅ イランの報復攻撃がエネルギーインフラを避けたため、原油は7%超の大幅下落となりました

✅ ホルムズ海峡封鎖への懸念が後退し、原油供給混乱への不安が和らぎました

✅ 中東情勢への警戒感から安全資産の金は反発し、年初来30%近い上昇を継続しています

✅ 専門家は今回の攻撃を限定的なものと分析し、本格的なエスカレーションではないとの見方を示しています

✅ 金相場は複雑な要因が絡み合う中、年内の上昇基調継続が予想されています