2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/9

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株、小幅安で終了 トランプ関税発言を市場が警戒

  • 米株式市場は小幅安で終了し、関税問題が重しとなっています。
  • トランプ大統領が日本や銅に対する追加関税を発表。
  • 市場関係者は関税問題を楽観視しつつも、今後の動向に警戒感を強めています。

米国株式市場、小幅安で取引終了

8日の米株式市場は小幅安で取引を終えました。S&P500指数は前営業日比0.07%安の6225.52ポイント、ダウ平均株価は0.37%安の44240.76ポイントとなりました。ナスダック総合指数は0.03%上昇の20418.46ポイントと、ほぼ横ばいで推移しました。

貿易協議に不透明感 トランプ大統領は強硬姿勢

トランプ大統領は、日本に対し25%の追加関税を8月1日に発動すると発表しました。また銅についても50%の関税を課す意向を示しています。前日には、輸入品に対する関税の発効を一時的に遅らせる措置をとったものの、市場の楽観的な見方とは裏腹に、改めて強硬な姿勢を示しました。

個別銘柄では明暗が分かれる展開に

  • 銅に高関税がかかるとの見通しから、銅生産大手のフリーポート・マクモラン株が2.5%上昇しました。

  • 大型株ではテスラが1.3%高と反発しましたが、アマゾンはセールイベント「プライムデー」の初動が前年を14%下回ったため、株価が下落しました。

  • モデルナは、公衆衛生問題で厚生省が提訴されたことに伴い8.8%上昇しました。

市場専門家の見方は慎重ながらも楽観的

市場関係者は、貿易問題が本格的な市場混乱を引き起こすとは考えていないようです。イートロのブレット・ケンウェル氏は、「貿易戦争のニュースが再び注目されているが、市場は過去ほど深刻にとらえていない」と述べています。ただし、状況が深刻化すれば、株価は再び下落する可能性があるとも指摘しました。

投資家はリスク管理を推奨

JPモルガンやUBSのストラテジストは、関税問題がもたらすボラティリティ(市場の変動性)を警戒し、投資家に対してヘッジ(リスクを軽減するための対策)やポートフォリオの多様化を勧めています。

  • JPモルガンは「投資家はヘッジの再構築を検討すべき」と警告。

  • UBSは「関税率の上昇はリスクだが、景気後退を引き起こすほどではない」と分析しています。


用語解説

ボラティリティとは?

ボラティリティとは市場価格の変動の激しさを指します。数値が高いほど、価格の上下が激しい状況を示します。

ヘッジとは?

ヘッジとは、投資のリスクを軽減するために行う取引のことです。例えば、株価下落に備えて空売りを行うことなどがこれに当たります。


まとめ

✅ 米株式市場は小幅安、貿易関税のニュースが重しに

✅ トランプ大統領、日本と銅に高関税を発表、市場警戒感強まる

✅ 個別銘柄は関税発表に伴い明暗分かれる

✅ 市場は関税問題を警戒しつつも、大きな混乱はないとの見方

✅ 投資家はポートフォリオ多様化やヘッジを推奨されている

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債急落で世界に波及:長期金利5%接近、投資家警戒強まる

米国債相場は5営業日連続で下落し、投資家の間で懸念が高まっています。特に長期債(満期が長い国債)の需要が世界的に落ち込んでおり、市場全体に影響を与えています。

主要な利回り状況

  • 30年債利回り:4.93%(5%に接近、6月中旬以来の高水準)
  • 10年債利回り:4.40%
  • 2年債利回り:3.89%

今週は中・長期債の入札が合計1,190億ドル予定されており、市場の注目を集めています。

下落の主な要因

 雇用統計の好調さが利下げ期待を後退させる

6月の雇用統計が予想以上に強い結果となったことで、投資家の年内利下げ期待が後退しました。金利スワップ市場※では、年内の利下げは9月に1回、さらに追加で1回の25ベーシスポイント(0.25%)の利下げしか織り込んでいません。

※金利スワップ市場:将来の金利変動リスクを回避するための金融商品が取引される市場

世界的な長期債の軟調さ

アメリベット・セキュリティーズの専門家は「世界的に長期債は弱い」と指摘しており、この傾向は米国だけでなく、日本やドイツの国債市場にも波及しています。

世界への影響の拡大

日本市場への波及

  • 日本の30年債相場が大きく下落
  • 30年債利回りが過去最高水準に接近
  • 参院選を控えた歳出拡大の公約に対する投資家の警戒感

ヨーロッパ市場への影響

  • ドイツ国債利回りも上昇
  • 先週は英国債が財政見通しへの懸念で急速に売られる場面も

長期債市場の構造的問題

長期債が軟調になっている背景には、以下の構造的な問題があります

  • 供給拡大:各国政府の国債発行量増加
  • 買い手の手控え:従来の投資家が購入を控える傾向
  • 金利リスクの高さ:長期債は金利変動の影響を受けやすい
  • 流動性の低さ:売買しにくいため、値動きが激しくなりやすい

今後の見通し

専門家は「ベア・スティープニング※ばかりだ」と述べており、長期債金利の上昇傾向が続く可能性を示唆しています。また、貿易関税政策や財政政策、金利政策など、複数の要因が複雑に絡み合っている状況です。

※ベア・スティープニング:長期金利が短期金利よりも大きく上昇する現象

まとめ

✅ 米国債相場は5営業日連続で下落し、30年債利回りは5%に接近している

✅ 好調な雇用統計により年内利下げ期待が後退し、金利上昇圧力が強まっている

✅ 長期債の軟調さは世界的な現象で、日本やドイツの国債市場にも波及している

✅ 供給拡大と買い手の手控えにより、長期債市場の構造的な問題が浮き彫りになっている

✅ 今週予定されている1,190億ドルの中・長期債入札の結果が市場の方向性を左右する可能性がある

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

米ドルは横ばい、円は関税問題で下落、豪ドルは急上昇

  • 指数はトランプ関税問題の影響で方向感なく推移しました
  • 円は米国が日本への関税を表明した影響で下落しています
  • 豪ドルはオーストラリア中央銀行の予想外の政策(タカ派的=利上げを意識した姿勢)により大きく上昇

ドル指数は様子見姿勢が続く

米ドルの価値を示すドル指数は、前日とほぼ変わらない水準で取引を終えました。これはトランプ米大統領が日本と韓国に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明したことで、市場の不透明感が強まったためです。

ドル指数とは?
主要通貨(ユーロ、円、ポンドなど)に対する米ドルの総合的な強さを示す指標です。この指数が高いとドルが強い、低いとドルが弱いことを意味します。

円は146円台半ばで下落

円は関税問題への懸念から売られ、一時146円98銭まで下落。市場関係者は、「参院選が近づき、国内の生活費高騰問題も報じられているため、円にとっては厳しい状況が続いている」と指摘しています。

豪ドルはサプライズで上昇

豪ドルは、市場が予想していた利下げが見送られたことで大幅に上昇しました。オーストラリア中央銀行がインフレ(物価上昇)の減速を裏付けるさらなる情報を待つとして利下げを先送りしたため、投資家の予想を超える動きとなりました。

タカ派とは?
金利を高く保つことを支持する姿勢のことです。これに対して、金利を下げることを支持する姿勢を「ハト派」と呼びます。


市場専門家の見解

専門家らは、今回の米関税問題が短期的には米企業の投資を妨げると見ています。ただし、米国経済が深刻な打撃を受けるような状況は回避されるだろうとの見通しを示しています。

また、「トランプ大統領は段階的に関税を引き上げる可能性があり、今後も不透明な状況が続く」と指摘。関税をめぐる米国政策の不確実性が投資家のリスク分散の動きを促していると分析しています。


まとめ

✅ ドル指数は関税問題で方向感なく横ばいで推移した

✅ 円は米国が日本に課す関税の影響で下落した

✅ 豪ドルはオーストラリア中銀の利下げ見送りにより急上昇した

✅ トランプ関税問題は短期的に企業投資を妨げると予測される

✅ 関税政策をめぐる不確実性は当面続く見込み

原油急伸・金下落:中東緊張で資源市場に明暗

原油の急伸要因

  • イエメンのフーシ派が商船を新たに攻撃
  • 中東での地政学的リスクが高まり買いが集中
  • WTI原油先物が68.33ドル(前日比40セント上昇)
  • 北海ブレント原油が70.15ドル(0.8%上昇)
  • 200日移動平均(68.51ドル)を一時突破

原油の需給バランス

供給面

  • OPECプラス※が生産引き上げ実施
  • 原油在庫は依然として低水準
  • 一部現物市場で極端な供給不足
  • 夏季の需給バランス逼迫予想

※OPECプラス:石油輸出国機構と非OPEC産油国の協調体制

需要面

  • 米国と中国で短期需要が堅調
  • 石油製品の需給逼迫が原油需要を支援
  • 市場は主として需給動向に注目

地政学的リスクの現状

  • イラン外相が「外交に関心」と表明も警戒感を示す
  • ホルムズ海峡※封鎖は回避されエネルギーインフラへの影響は限定的
  • 紅海でのフーシ派攻撃可能性が市場に警戒感
  • 軍事対立でのエネルギーインフラ使用の可能性は低下

※ホルムズ海峡:世界の石油輸送の要衝

金の下落要因

  • 米国債利回りの上昇が金の魅力を低下
  • ドル高進行が金価格を圧迫
  • 債券市場と為替市場が貴金属に圧力
  • 金スポット価格:3,303.51ドル(32.99ドル安)
  • 金先物8月限:3,316.90ドル(25.90ドル安)

金相場の支援要因

  • 中央銀行による継続的な金買い
  • 中国人民銀行が先月7万トロイオンス※増加
  • トランプ政権の通商政策による不確実性
  • ドルから他資産への分散投資需要
  • 経済環境の不確実性継続

※トロイオンス:貴金属の重量単位(約31.1グラム)

まとめ

✅ 原油相場は中東情勢緊張とフーシ派攻撃により続伸、WTI68.33ドルで終了

✅ OPECプラス増産でも原油在庫低水準、夏季需給逼迫で価格を下支え

✅ 金相場は米債利回りとドル上昇で下落も、中銀買いと安全資産需要が支援

✅ 地政学リスク継続もエネルギーインフラへの直接影響は限定的との見方