2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/15

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場は小反発、トランプ氏の関税政策に対する市場の反応は限定的

14日の米株式市場は小幅な上昇で取引を終えました。主要な株価指数の結果は以下の通りです

  • S&P500種株価指数: 6,268.56(前日比+8.81、+0.14%)
  • ダウ工業株30種平均: 44,459.65(前日比+88.14、+0.20%)
  • ナスダック総合指数: 20,640.33(前日比+54.80、+0.27%)

特にS&P500は過去最高値近辺で推移し、ナスダックは過去最高値を更新しました。

トランプ氏の関税政策と市場の反応

関税に関する最新の動き

トランプ大統領は週末にメキシコと欧州連合(EU)に対して30%の関税を課すと表明していましたが、その後、貿易交渉に対してオープンな姿勢を示しました。

専門家の見解

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ヘーフェル氏
  • 関税発言は「交渉戦術」とみている
  • 米国の実効関税率※は15%前後で落ち着くと予想
  • その場合、S&P500は向こう1年間でさらに上昇する可能性

※実効関税率:実際に適用される関税の平均的な税率

Eトレード・ファイナンシャルのクリス・ラーキン氏
  • 市場が関税ニュースに慣れてきている可能性
  • 関税の脅しほど実際の影響は大きくならないと市場が判断している

今週の注目材料

経済指標と企業決算

市場参加者が注目している主な材料

  • 6月米消費者物価指数(CPI):15日発表予定
  • 米銀大手の決算発表:15日から開始
  • 第2四半期決算シーズンの本格スタート

インフレ※への影響

※インフレ:物価が継続的に上昇する現象

プリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏の指摘:

  • 現在のインフレ圧力は抑えられている
  • しかし関税は今後、物価指標に浸透し上昇圧力となる見込み
  • 米連邦準備制度理事会(FRB)※の政策決定に影響を与える可能性

※FRB:米国の中央銀行にあたる機関

個別銘柄の動き

主要な上昇銘柄

メタ・プラットフォームズ
  • AI開発を支える大規模データセンター建設を発表
  • 第1弾は来年稼働予定

暗号資産関連株

  • ビットコインが初めて12万ドルを突破
  • コインベース:+1.8%
  • マイクロストラテジー:+3.8%

セクター別の動き

  • エネルギーセクター:-1.2%(原油価格下落の影響)
  • 通信サービス:上げを主導(ネットフリックス、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーに買い)

まとめ

✅ 米株式市場は小反発し、S&P500は過去最高値近辺、ナスダックは過去最高値を更新しました

✅ トランプ氏の関税政策に対する市場の反応は限定的で、専門家は交渉戦術との見方を示しています

✅ 今週は6月CPI発表と米銀決算開始により、経済指標と企業業績に注目が集まっています

✅ 暗号資産関連株が好調で、ビットコインの12万ドル突破が関連銘柄を押し上げました

✅ 市場は関税ニュースに慣れつつあり、実際の経済影響は限定的との見方が強まっています

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債相場が下落、特に長期債が売られる展開

米国の国債相場が下落し、利回りが上昇しました。特に長期債(満期が長い国債)が売られる展開となっています。30年債利回りは一時4ベーシスポイント上昇し、5%に接近する水準まで上がりました。

各年限別の利回り動向

現在の米国債利回りは以下の通り

  • 30年債利回り: 4.98%(前日比3.2bp上昇)
  • 10年債利回り: 4.44%(前日比2.6bp上昇)
  • 2年債利回り: 3.90%(前日比1.5bp上昇)

※ベーシスポイント(bp):金利の単位で、1bp=0.01%

日本発の長期債売りが世界に波及

世界的な長期債売りの背景

日本で超長期国債の利回りが急上昇したことが、世界の国債市場に影響を与えました。ドイツでも30年債利回りが上昇し、2023年以来の高水準となっています。

各国の財政政策転換

世界各国が国債発行を増やす方向にあることが、長期債売りの要因となっています

  • ドイツ: 軍備とインフラ整備のため財政緊縮路線を転換
  • 日本: 参院選を控え、与野党が現金給付や減税を公約に掲げる

市場関係者の見解

投資専門家の分析

専門家は以下のように分析しています

  • 市場の注目が金融政策から予算や国家債務の動向へ移った
  • 米30年債利回りが再び5%を上抜ける可能性が高い
  • 財政赤字を伴う支出が世界に広がり、その圧力が長期ゾーンに集中

FRB議長解任懸念の影響

市場では、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の解任可能性を巡る警戒感も漂っています。ただし、専門家は「現実的な脅威ではない」との見方を示しています。

※FRB:アメリカの中央銀行で、金融政策を決定する機関

トランプ政権の政策と市場への影響

関税政策の発表

トランプ大統領は以下の関税政策を発表しました

  • 8月1日からEUとメキシコに30%の関税を適用
  • ウクライナ紛争で合意が得られなければ、ロシアに「非常に厳しい関税」

ただし、債券市場の反応は限定的でした。

まとめ

✅ 米国債相場は下落し、特に30年債利回りが5%に接近する水準まで上昇

✅ 日本の超長期国債利回り急上昇が世界の国債市場に波及し、ドイツでも利回りが上昇

✅ 各国が財政支出を拡大する方向にあり、国債発行増加への懸念が長期債売りの要因

✅ 市場の注目が金融政策から財政政策へと移り、財政赤字への警戒感が高まっている

✅ FRB議長解任懸念やトランプ政権の関税政策も市場の不安要因となっている

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

 

ドル上昇、トランプ氏の関税政策が影響

ドル相場の動き

主要通貨ペアの変動

14日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが他の主要10通貨全てに対して上昇

  • ドル/円: 147.77円(前日比+0.34円、+0.23%)
  • ユーロ/ドル: 1.1664ドル(前日比-0.0025ドル、-0.21%)
  • ブルームバーグ・ドル指数: 1202.50(前日比+3.01、+0.25%)

ドル指数の推移

  • ブルームバーグ・ドル・スポット指数※は3営業日続伸
  • 終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は0.19%高の98.07

※ドル指数:ドルの総合的な強さを示す指標

トランプ政権の関税政策と市場の反応

関税措置の発表

トランプ大統領は週末に以下の関税措置を発表しました

  • メキシコとEUに対して30%の関税を8月1日から適用
  • 貿易を巡る各国との緊張が激化

市場の反応は限定的

マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏
  • 「実際に起きるまでは全て口先だけだ」という立場
  • トランプ大統領のパウエルFRB議長への攻撃的発言時にドル相場は当初ショックを受けた
  • 現在は市場が何か具体的なことが起きない限り、こうした問題を受け流すようになっている
FXストリートのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサーニ氏
  • 「これまでもたびたび起きていることで、衝撃的な影響はもはやない」
  • 市場は関税関連のニュースにあまり反応しなくなっている

地政学的要因

ウクライナ・ロシア情勢

トランプ大統領はNATOのルッテ事務総長との会談で以下を表明

  • ウクライナにNATO経由で最新鋭兵器を供与
  • ロシアが50日以内に和平合意に応じなければ制裁を科す
  • これまでのロシアへの対応を大きく転換
  • こうした動きもドルの支援要因となった

インフレと金融政策への注目

6月CPI発表への期待

市場は15日発表の6月消費者物価指数(CPI)※に注目しています

※CPI:消費者物価指数。物価の変動を測る重要な経済指標

ロイターのエコノミスト調査予想
  • 6月の総合インフレ率:前年比2.7%(前月2.4%から上昇)
  • コアインフレ率:3.0%(前月2.8%から上昇)

FRBの見通し

  • パウエルFRB議長は夏の間にインフレが上昇するとの見方を示している
  • 関税措置がインフレに与える影響に注目が集まっている

各通貨の詳細な動き

円の動き

  • 円は対ドルで一時0.2%下落
  • 1ドル=147円78銭を付けた
  • ドル/円は6月23日以来の高値を記録

ユーロの動き

  • ユーロ/ドルは0.16%安の1.167ドル
  • 一時1.1649ドルと、3週間ぶりの安値を付けた

EUの対応

欧州委員会のシェフチョビッチ委員(通商担当)
  • EU加盟国の閣僚と協議を実施
  • 米国との交渉が失敗に終われば、EUは対抗措置を取る必要があるという見解で一致

暗号資産の動き

ビットコインの最高値更新

  • ビットコインは初めて12万ドル台に到達
  • 過去最高値を再度更新
  • NY市場終盤では0.42%高の119,633ドルで取引

まとめ

✅ ドルは主要10通貨全てに対して上昇し、トランプ氏の関税政策がドル高の要因となりました

✅ 市場は関税関連のニュースに慣れており、大きな反応は見られませんでした

✅ 15日発表の6月CPI(消費者物価指数)への注目が高まっており、インフレ上昇が予想されています

✅ ビットコインが初めて12万ドル台に乗せ、過去最高値を更新しました

✅ 地政学的要因やFRBの金融政策への期待がドル相場を支えています

 

原油・金相場が大幅反落

原油相場の動向

  • ニューヨーク原油相場は大幅反落
  • WTI8月物は前週末比1.47ドル(2.15%)安の66.98ドル
  • 対ロシア制裁が期待より軽微だった影響

金相場の動向

  • 金塊先物相場が4営業日ぶりに反落
  • 8月物は前週末比4.90ドル(0.15%)安の3359.10ドル
  • 利益確定売りが主因

トランプ政権の対ロシア政策

制裁内容

  • 50日以内に停戦しなければ経済制裁実施
  • ロシアと取引する国に100%の「2次的」関税
  • エネルギー輸出への直接制裁は発表されず

市場の反応

  • 直接的な制裁を期待していた市場は失望
  • 原油相場の大幅下落要因となった
  • 2次的関税は実行困難との見方

貿易政策の影響

関税政策

  • 8月1日からEUとメキシコに30%関税
  • 日本など23カ国に新関税率通知
  • 全ての国に15~20%関税を警告

市場への影響

  • 貿易摩擦激化でエネルギー需要減退懸念
  • 原油相場の下押し要因
  • 金は安全資産として一部買い

金相場

下落要因

  • 前週末高値からの利益確定売り
  • ドル高によるドル建て商品の割高感

下値支援要因

  • 関税政策の不透明感
  • 安全資産需要
  • 週内CPI発表前の様子見

※CPI:消費者物価指数、インフレ率を測る重要指標

まとめ

✅ 原油は対ロシア制裁が期待より軽微で2.15%の大幅反落

✅ 金は利益確定売りとドル高で4営業日ぶりに下落

✅ トランプ政権の貿易戦争激化がエネルギー需要減退懸念を高めた

✅ 関税政策の不透明感が金の安全資産需要を一部支えた