2025/10

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/10/11

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

トランプの対中関税警告で米株急落 安全資産に資金集中

  • トランプ大統領が「対中関税の大幅引き上げ」を示唆
  • 米株3指数がそろって急落、ナスダックは3.5%安
  • 円高・米国債高・金上昇とリスク回避姿勢が強まる
  • 市場心理を示す「恐怖指数(VIX)」は22に上昇

米株市場、トランプ発言でリスクオフに急転

10日の米金融市場では、トランプ大統領の突然の対中関税引き上げ警告が引き金となり、投資家の「リスク回避(リスクオフ)」姿勢が一気に広がりました。
米国株は大きく売られ、主要3指数は以下の通り急落しました。

指数 終値 前日比 変化率
S&P500種株価指数 6,552.51 -182.60 -2.71%
ダウ工業株30種平均 45,479.60 -878.82 -1.90%
ナスダック総合指数 22,204.43 -820.20 -3.56%

ナスダックとS&P500の下落率は4月以来の大きさでした。
一方で、安全資産とされる米国債金(ゴールド)が買われ、円は151円17銭まで上昇。ドルが下落する展開となりました。


発端はトランプ大統領のSNS投稿

トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、

  • 「中国はレアアース(希土類)に関する生産要素を制限している」

  • 「中国が世界経済を人質に取ろうとしている」
    と主張
    中国製品への関税を大幅に引き上げる可能性を示唆しました。

また、中国の習近平国家主席と会談する「理由はない」とも発言。
この投稿が市場に「米中関係悪化への懸念」を広げ、売りが加速しました。


投資家心理の急変とボラティリティ上昇

インタラクティブ・ブローカーズのソスニック氏は、「市場が聞きたくなかった言葉だった」とコメント。

最近の市場では「リスク資産(株式など)」が安定していたため、
油断していた投資家が一気に反応したと指摘しました。

また、「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は22まで上昇。
一般的に20を超えると市場の不安心理が高まっているとされます。

VIX指数とは?
「Volatility Index(ボラティリティ指数)」の略で、
投資家の不安や警戒感を示す指標。数値が高いほど「市場が不安定」とされます。


中国株・半導体株にも波及

米市場に上場している中国企業の株も軒並み下落しました。

  • アリババ:-約6%

  • JDドットコム:-約7%

  • PDDホールディングス(Temu運営):-8%前後

また、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は6.3%安。
レアアース問題を背景に、半導体関連銘柄への売りも広がりました。


専門家の見方:過度な楽観から一転

ジョーンズトレーディングのマイケル・オルーク氏は、「夏を通じて市場は“欲望”が“恐怖”を上回っていた」と指摘。

米中関係の緊張が再燃すれば、さらに大きな調整局面に入る可能性があると警戒しました。

一方、ノースライト・アセット・マネジメントのザッカレリ氏は、
「良好な貿易関係は市場安定に寄与するが、貿易戦争の再燃は市場にとって極めて悪材料」と述べました。


まとめ

  • トランプ大統領のSNS投稿が米株急落の引き金に

  • 米中関係の再緊張がリスクオフを招く

  • 安全資産(円・国債・金)が買われる

  • VIX指数が22まで上昇し、不安心理が拡大

  • 半導体・中国株にも波及し、全面安の展開

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り

米国債利回りが大幅低下、安全資産への逃避強まる

米国債相場は上昇(=利回りは低下)しました。

背景には、トランプ大統領の対中関税引き上げ発言によるリスク回避の動きがあります。

投資家は株式から安全資産である米国債へ資金を移し、主要年限の利回りがいずれも数週間ぶりの低水準となりました。


米国債利回りの動き

国債 利回り 前日比 変化率
米30年債 4.64% -8.0bp -1.71%
米10年債 4.06% -7.9bp -1.92%
米2年債 3.53% -6.4bp -1.79%

10年債利回りは約1カ月ぶりの低水準に下落。
長短金利差(2年債と10年債の差)は52.8bpに縮小しました。


トランプ発言で「貿易戦争」懸念再燃

トランプ大統領は10日、中国からの輸入品に対する大幅な関税引き上げを検討していると発言。
さらに、中国の習近平国家主席との会談を「行う理由はない」と述べ、中国がレアアース関連の輸出を制限する書簡を各国に送っていると批判しました。

この発言により、米中貿易摩擦の再燃懸念が広がり、市場はリスクオフ(※安全資産に逃避する動き)へと傾きました。


FRB当局者の発言も影響

  • ムサレム総裁(セントルイス連銀):「労働市場を支えるため、もう1回の利下げ余地がある」

  • ウォラー理事(FRB):「慎重な0.25%刻みの利下げが適切」

→ この発言が追加利下げ観測を後押しし、国債買いをさらに強めました。


その他の材料

  • 政府機関の一時閉鎖で経済指標の発表が延期

  • ミシガン大学の10月消費者信頼感指数(速報値)は55.0と前月からほぼ横ばい


用語補足

bp(ベーシスポイント)とは?
金利の変化を表す単位で、1bp=0.01%。たとえば「10bp低下」は「0.10%下落」を意味します。

利回り格差とは?
2年債と10年債の金利差。景気の先行き懸念が強いと、長期金利が低下してこの差が縮まる傾向があります。


まとめ

  • トランプ氏の発言で米中摩擦懸念が再燃

  • 投資家が安全資産の米国債を買い、利回りが全体的に低下

  • FRBの利下げ観測も国債相場を支える要因に

  • 長短金利差はやや縮小、景気減速への警戒感が強まる展開

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

 

トランプ発言でドル下落、円急伸:米中関係の緊張が再燃

  • トランプ米大統領が対中関税の大幅引き上げを示唆
  • ドル売り・円買いが進み、ドル円は151円台半ばまで下落
  • 米中関係の悪化懸念で市場はリスクオフへ
  • 政局不透明な日本では「高市政権」誕生を巡る思惑も影響

トランプ氏の発言で市場が動揺

10日の外国為替市場では、ドルが主要通貨に対して下落しました。
トランプ大統領が中国に対して「関税の大幅引き上げを検討中」と発言したことで、再び米中貿易戦争への懸念が広がったためです。

トランプ氏はSNS「トゥルース・ソーシャル」で、中国が「レアアース(希土類)」関連の輸出を制限する計画を各国に伝えていると非難。これにより、貿易摩擦の激化が意識されました。

マネックスUSAのペレス氏は「最終的に米経済にマイナスの影響をもたらす」と述べ、
中国が報復措置を取る可能性にも言及しました。


ドル売り・円買いが進行

ドル/円は一時151円台半ばまで下落。取引終盤には151.19円と前日比1.23%安となりました。
それでも週間では約2.9%高と、9月以来の大幅上昇を維持しています。

  • ブルームバーグ・ドル指数:1213.40(-0.23%)

  • ユーロ/ドル:1.1619(+0.48%)

  • ビットコイン:11万7,568ドル(-2.98%)

ユーロや円が対ドルで上昇した一方で、豪ドルなど資源国通貨は軟調でした。


政局不透明な日本、「高市トレード」にも影響

日本では、自民党と公明党の連立政権解消が決まり、政局が一気に流動化しています。
自民党の高市早苗氏が新首相に指名される可能性が高い一方、野党が統一候補を擁立する動きもあり、政治の先行き不透明感が円相場に影響を与えています。

DZ銀行のフッタヌス氏は次のようにコメントしています。

「政治的不透明感は一時的に円にネガティブだが、長期的には落ち着く」
「妥協が成立すれば、むしろ穏健な財政運営につながる可能性がある」


今後の焦点:米中関係と日本の政局

みずほインターナショナルのロチェスター氏は、

「首脳会談中止は地政学的に後退であり、関税再強化への小さな一歩
としつつ、トランプ氏が「判断を先送りできる余地を残した」とも述べています。

つまり、今後の為替動向は以下の2点がカギとなります。

  • トランプ政権がどこまで関税引き上げを実行するか

  • 日本での新政権の政策スタンスと財政姿勢


まとめ

  • トランプ氏の関税発言でドル安・円高が進行

  • 米中対立激化への懸念が市場心理を冷やす

  • 日本の政局不透明化が円相場に新たな変動要因

  • 今後は米中関係の動向と高市新政権の政策判断が焦点

原油価格、5月以来の安値に下落 — トランプ氏の対中警告と需要減速懸念で売り優勢

  • 原油先物価格は続落し、1バレル=58.90ドル5月以来の安値
  • 要因は「トランプ氏の対中関税警告」「中東情勢の緊張緩和」「供給過剰懸念」
  • 投資家の弱気姿勢(ショートポジション91%)が価格下落を加速
  • 一方、安全資産の金は反発し、1オンス=4007.98ドルに上昇

原油市場:三重苦で急落

需要減速への懸念再燃

米中の関税戦争が再び意識され、世界的な原油需要の減退懸念が浮上しました。
アゲイン・キャピタルのジョン・キルダフ氏は「トランプ氏が関税を実行すれば経済に悪影響を及ぼし、原油需要が落ち込む」と指摘しています。

※関税とは?
輸入品に対して課される税金のこと。貿易摩擦が激化すると、輸出入が減り、エネルギー需要も低下します。


投資家のポジション変化が下落を加速

ブリッジトン・リサーチによると、投資家のうち91%がショート(売り)ポジションを取っており、前日の55%から急増しました。
短期的な売り圧力が高まり、価格下落を増幅した格好です。


「押し目買い」勢の不在で値崩れ

CIBCのレベッカ・バビン氏は「原油は貿易摩擦、リスク回避、投機筋の売りという“三重苦”に直面している」とコメント。
買い支えの動きが弱く、値動きが過剰になりやすい状況が続いています。


主要指標

  • WTI(米国産原油):58.90ドル(前日比-4.2%)

  • ブレント原油:62.73ドル(前日比-3.8%)


金:リスク回避で上昇

世界の株式・原油市場が不安定となる中、投資家は安全資産の金に資金を移しました。
金スポット価格は1オンス=4007.98ドル(+0.8%)、金先物も4000ドル台を回復しています。

※安全資産とは?
市場が不安定なときでも価値が下がりにくい資産のこと。金や国債が代表的です。


まとめ

  • トランプ氏の対中関税警告で世界のリスク回避ムードが強まった

  • 原油は需給懸念+投機筋の売りで5月以来の安値に

  • 一方で金は上昇し、安全資産へのシフトが鮮明に