2025/10

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/10/17

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

【米株反落】地銀の不正融資問題で信用不安が拡大、AI関連は一時上昇も失速

  • 米株式市場は16日、主要3指数がそろって下落
  • 地方銀行2行が不正疑惑を含む融資損失を開示し、信用リスク懸念が広がる
  • 米国債は買われ上昇、円は対ドルで上昇
  • TSMCの好決算でAI期待が一時高まるも、全体相場は失速
  • 投資家心理は「売り優先・様子見」姿勢へ

米株式市場、信用不安で反落

16日の米国株式市場は下落

S&P500は0.63%安の6629.07、ダウ平均は0.65%安の45,952.24、ナスダックは0.47%安の22,562.54で取引を終了しました。

朝方は半導体大手TSMC(台湾積体電路製造)の好決算を受け、AI関連株を中心に買いが先行。しかし、地方銀行の信用問題が伝わると、相場は一転して下落に転じました。


地方銀行2行で不正融資問題が浮上

下落の主因は、ザイオンズ・バンコープウェスタン・アライアンス・バンコープの不正融資に関する発表です。

  • ザイオンズ・バンコープ:子会社で約5000万ドル(約75億円)の貸倒償却を計上。株価は13%急落

  • ウェスタン・アライアンス:融資先への詐欺訴訟を開始と発表。株価は約11%下落

これを受け、地方銀行株に連動するETF「SPDR S&P地方銀行ETF」も6%超の下落となりました。

アナリストは「SVB破綻(2023年)の再来ではないが、信用の質に対する不安が再燃している」と指摘しています。


信用市場と経済への波及懸念

サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社の破綻も相次ぎ、JPモルガンなど大手銀行の業績にも悪影響が及び始めています。

市場では「一時的な問題」と見る声がある一方、
「金利が高止まりする中で、隠れた信用ストレスが表面化しつつある」との見方も強まっています。


AI関連は一時上昇も失速

TSMCがAI需要を背景に業績見通しを上方修正し、朝方はAI関連株が上昇しましたが、地銀問題を受けて上げ幅を縮小。

  • パランティア(PLTR):0.8%安

  • メタ・プラットフォームズ(META):0.8%安

  • テスラ(TSLA):1.5%安

一方、**セールスフォース(CRM)**はAI機能拡充計画を発表し、4%高となりました。


その他の個別銘柄動向

  • オラクル(ORCL):AIインフラ事業の収益性を強調し上昇。

  • トラベラーズ(TRV):決算が予想を下回り3%安。

  • ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE):通期見通しが弱く、10%急落


地政学・政治要因も注目点

トランプ米大統領は、ロシアのプーチン大統領とウクライナ戦争終結に向け会談を行う意向を表明。
ただし、具体的な日程は未定で、投資家は地政学リスクの行方も注視しています。


まとめ

  • 地方銀行2行の不正融資問題で信用不安が再燃

  • 米株は主要3指数そろって下落、安全資産の米国債・円が買われる展開

  • AI関連は好材料も、地銀ショックで相場が失速

  • 投資家心理は「売り優先」、短期的なボラティリティ上昇の可能性

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り

米国債利回りが大幅低下 地銀不安と米中摩擦で「質への逃避」強まる

  • 米国債が買われ、2年債利回りは約3年ぶりの低水準(3.42%)へ
  • 米地銀株の信用懸念と米中貿易摩擦の再燃がリスク回避を誘発
  • 市場では年内2回の利下げが完全に織り込まれる
  • 投資家心理は「質への逃避(flight to quality)」へ

米国債が上昇、短期債中心に利回りが急低下

16日の米国債市場では、2年債を中心に国債価格が上昇(利回りは低下)しました。
背景には、米地方銀行株が不正融資問題で売られたことによる信用不安があり、安全資産である国債への買いが強まっています。

期間 利回り 前営業日比 変化率
米30年債 4.58% -4.1bp -0.89%
米10年債 3.97% -5.4bp -1.33%
米2年債 3.42% -7.5bp -2.15%

※bp(ベーシスポイント)とは?
金利の最小単位で、1bp=0.01%を意味します。たとえば7.5bp低下は0.075%の利下げです。

2年債利回りは一時3.41%まで低下し、2022年9月以来の水準を記録。これまでの年初来安値(3.43%)を下回りました。


FRB利下げ観測が一段と強まる

短期金融市場では、年内に残る2回のFOMC会合でそれぞれ0.25ポイントの利下げが行われるとの見方が完全に織り込まれています。

ロード・アベット社のリア・トラウブ氏は、

「地銀やノンバンク(銀行以外の金融機関)への不安が広がれば、追加利下げ期待がさらに高まる」
と述べています。

一方で、コロンビア・スレッドニードル社のアルフセイニ氏は、

「今回の動きはファースト・ブランズとトライカラーという2つの事例の影響であり、システミック(金融システム全体)な問題ではない
と指摘しました。


米中貿易摩擦が市場心理を悪化

トランプ大統領が中国からの輸入品に100%の追加関税を課すと発表し、中国はレアアース技術の海外協力を禁止する対抗措置を発表しました。

この報復の応酬により、投資家のリスク回避姿勢が強まり、株式から債券へ資金が流入しています。

LNW社のアルバハリー氏は、

「現在の動きは典型的な“質への逃避”だ」
とコメントしています。


10年債利回りも4月以来の低水準

指標となる10年債利回りは一時3.971%まで低下し、4月7日以来の水準を記録しました。米株下落とともに国債買いが進んだことで、長期金利も明確に低下トレンドを示しています。


まとめ

  • 米国債が上昇し、2年債利回りは約3年ぶりの低水準へ

  • 米地銀の信用不安と米中摩擦が背景

  • FRBの年内2回利下げ観測が完全に織り込まれる

  • 投資家は「安全資産」へと資金をシフト

  • 「質への逃避」が金融市場全体のテーマに

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

【為替市場】ドル下落、円とスイスフランが上昇 米中摩擦と利下げ観測が重荷に

  • 米中通商摩擦の再燃で安全資産の円・スイスフランが買われた
  • FRB理事発言で「慎重な利下げ」vs「大幅利下げ」論争が続く
  • 米経済指標の悪化でドル売りが加速
  • 日銀理事も「金融正常化は慎重に」と発言

ドル売り優勢、安全資産通貨が上昇

16日の外国為替市場ではドルが下落し、円とスイスフランが買われました。

投資家の間では、安全資産(市場が不安定なときに買われやすい資産)への逃避姿勢が強まりました。

ブルームバーグ・ドル指数は0.28%下落、ドル/円は一時1ドル=150円21銭まで円高が進行しました。

通貨ペア 直近値 前営業日比 変化率
ブルームバーグ・ドル指数 1207.45 -3.40 -0.28%
ドル/円 ¥150.40 -¥0.65 -0.43%
ユーロ/ドル $1.1689 +$0.0042 +0.36%

FRB理事発言:利下げ巡り意見割れる

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は「労働市場の悪化を支えるため、0.25%ずつの段階的な利下げが可能」と発言。

一方、マイラン理事は「より大幅な利下げ」を主張し、政策スタンスの違いが明確になりました。

利下げ(りさげ)とは?
→ 中央銀行が金利を下げること。借入コストが下がり、景気刺激効果がありますが、通貨の価値は下がりやすくなります。


米経済指標が悪化、ドル売りを後押し

10月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は予想外のマイナス。ニューヨーク連銀サービス業指数も21年以来の大幅な縮小となりました。

また、小売売上高データの公表延期を受け、民間データでは「個人消費がやや鈍化」との見方も出ています。

これらの弱い指標が「FRBの利下げ余地拡大」と受け止められ、ドル売りにつながりました。


日銀:金融正常化は「慎重に」

日銀の清水誠一理事は、IIF(国際金融協会)主催のセミナーで「プラス金利という新たな環境に日本経済がどう反応するか不透明」と述べ、金融政策の正常化を「極めて慎重に進める必要がある」と強調


米中通商摩擦が再燃、レアアース問題が焦点に

米政府高官は、中国のレアアース(電子機器やEVに不可欠な希土類)輸出管理強化を「世界のサプライチェーンへの脅威」と非難。

これに対し、中国は7項目の反論を発表し、対立が激化しています。

ストーンXのマット・ウェラー氏は、

「米中の貿易摩擦が為替市場の最大のテーマとなっている」
と述べ、「トランプ大統領と習近平国家主席の会談を前に、中国は交渉を優位に進めようとしているようだ」と分析しました。


まとめ

  • ドルは下落、円・スイスフランが上昇

  • FRB内では利下げを巡る意見が分かれる

  • 米経済指標の悪化がドル売りを後押し

  • 日銀は慎重姿勢を維持

  • 米中のレアアース摩擦が市場リスクに

原油と金:地政学リスクと金融緩和が交錯

  • 原油価格はロシアとウクライナの和平協議報道を背景に5カ月ぶりの安値
  • 一方、金価格は連日で最高値を更新し、オンス当たり4300ドルを突破
  • 投資家心理は「リスク回避(安全資産へ)」に傾きつつある

原油:和平期待でロシア産供給懸念が後退

ニューヨーク原油(WTI)相場は3日続落し、1バレル=57.46ドルと5カ月ぶりの安値をつけました。
要因は以下の通りです。

  • トランプ大統領とプーチン大統領がウクライナ戦争終結協議を予定
     → ロシア産原油の流通拡大への期待が強まりました。

  • 英政府がロシアおよび関係企業に追加制裁
     → 中国・インドのエネルギー企業も対象となり、取引の不透明感が増大。

  • インドの製油業者はロシア産原油の購入を減らす方針
     → 一時的に「供給逼迫懸念」で価格が上昇する場面もありました。

  • 米中貿易摩擦の再燃による需要減速懸念
     → 原油全体では月初から下落基調が続いています。

さらに、JPモルガンの分析によると、米中の港湾活動が低迷し、石油需要の軟調が続いています。
米国では製油所の稼働率が低下し、在庫も減少しており、需給のバランスが地域ごとにばらつく状況です。

WTI先物(11月限):57.46ドル(前日比−1.4%)
ブレント先物(12月限):61.06ドル(前日比−1.4%)


WTI」と「ブレント原油」とは?

  • WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート):アメリカ産の代表的な原油。世界の指標価格の一つ。

  • ブレント原油:北海産原油の代表格で、欧州やアジアの価格指標。


金:緊張と緩和期待で史上最高値を更新

一方、ニューヨーク金相場は史上最高値を連日で更新
スポット価格はオンス当たり4310.20ドル(+2.4%)と大台を突破しました。

背景には以下の要因があります

  • 米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げ観測
     → 利下げ=金利低下は「金利を生まない金」にとってプラス。

  • 米中の緊張激化によるリスク回避需要
     → 投資資金が安全資産である金へ流入。

  • 中央銀行の金購入・ETF流入増加
     → ETF(上場投資信託)経由で金市場に資金が殺到。

金価格は年初から約60%上昇しており、これは地政学リスクや米国財政への不安が投資家心理を支えているためです。

バンク・オブ・アメリカ(BofA)のアナリストは「金相場の強気姿勢は変わらない」としつつも、
「ETF流入の急増(前年同月比+880%)は持続性に懸念がある」と述べています。


「金ETF」とは?

金の現物を保有せず、価格変動に連動して取引できる上場投資信託のこと。
機関投資家や個人が手軽に金へ投資できる手段として人気です。


まとめ

  • 原油:ロシア和平期待で供給懸念が後退、WTIは57ドル台に下落

  • 金:FRB利下げ観測と地政学リスクでオンス4300ドル超の最高値更新

  • 投資マインド:リスク回避型へシフト

  • エネルギー市場は「供給過剰と地政学リスク」が交錯中