ドル高が加速、その理由は?
- ドルはトランプ大統領の自動車関税発表を受けて全面高に。
- 米国債の利回り上昇により、ドル買いが加速。
- 英国インフレ率の予想外の低下でポンドが大幅下落。
- 日銀は利上げを示唆するも、市場は円安傾向を維持。
米国のトランプ大統領が、輸入車に対して25%という高い関税を課す計画を発表することが明らかになりました。これを受けて米経済が保護されるとの期待が市場に広がり、米国債の利回り(米国債の金利水準)も上昇しました。利回りの上昇は、ドルを保有する魅力が増すため、ドル買いを誘いました。
また、トランプ政権は数週間内に銅にも関税を課す可能性を示唆しており、市場参加者は貿易摩擦の激化に備えて、ドルに資金を移動させる傾向が強まっています。
米国の自動車関税とは?
米国が輸入車に課す関税のことで、トランプ政権は国内の自動車産業を保護する目的で25%の関税を計画しています。これは米国経済の短期的な保護に役立つ反面、欧州や日本との貿易摩擦を深刻化させる可能性があります。
円安が進むも、日銀は利上げを示唆
ドル円は一時150円75銭まで上昇しましたが、その背景には日米の金利差拡大が影響しています。現在の米国の金利上昇傾向に比べ、日本は依然として緩和的な金融政策を維持しているため、円の魅力が相対的に低下しています。
ただし、日本銀行の植田和男総裁は「経済・物価の動向次第では利上げに踏み切る可能性がある」と述べました。また小枝淳子審議委員も「賃金と物価の好循環の兆しは確認されつつある」と指摘しました。しかし、市場関係者は日銀が短期的に大幅な利上げに踏み切る可能性は低いと見ており、円安傾向が続くと予想しています。
日銀の利上げとは?
利上げとは、中央銀行が金利を引き上げることです。これは通貨の価値を上昇させ、インフレ(物価上昇)を抑えるために行われます。日銀が利上げすると、円高方向に動く要因になりますが、現時点ではその可能性が低いため円安が続いています。
ポンド急落、英国インフレ率の低下が響く
英国で発表された2月の消費者物価指数(CPI)が前年比2.8%の上昇にとどまり、市場予想を下回ったことでポンドが大幅に下落しました。さらに、リーブス財務相が財政赤字の削減に向け歳出増加を抑える方針を示したことも、英国経済への懸念を強めポンド売りの要因となっています。
今後の為替市場の見通し
専門家の意見は以下のように分かれています。
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INGのクリス・ターナー氏は、トランプ大統領の関税政策がドル高の一時的要因になると分析。ただし、米金融当局が追加の利下げを急がない姿勢を見せれば、ドル高がある程度持続する可能性も指摘しました。
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ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン、エリアス・ハダッド両氏は、ドル円の重要な抵抗線である200日移動平均線(約151円70銭)を持続的に超える可能性は低いと述べ、日銀の利上げ期待が大きく後退しない限り、円安には限界があるとしています。
主要通貨の値動き
まとめ
✅ トランプ米大統領が自動車関税を発表予定で、ドルが主要通貨に対し上昇
✅ 米国債利回りの上昇がドル買いを誘発
✅ 英国のインフレ率が予想外に低下し、ポンドが大きく下落
✅ 日銀は利上げの可能性を示唆するも、市場は短期的な円安傾向を継続すると予想
✅ 今後の為替市場は米関税政策の内容や日銀の政策動向に大きく左右される
コモディティ市場
原油価格が上昇、金相場は高値圏で安定
原油価格が反発、供給逼迫懸念が高まる
ニューヨークの原油先物価格が反発しました。米国の原油在庫が減少したことで、今後の供給不足への懸念が広がっています。米エネルギー情報局の統計によると、原油在庫は先週334万バレル減少し、約1カ月ぶりの低水準となりました。ガソリン在庫も減少しています。
この動きは、月初に見られた弱気な市場心理が一転したことを示しています。トランプ前大統領がイラン産原油の輸出に対する圧力を強めていることも、価格上昇を後押ししています。さらに、来週には新たな関税が発効する見通しで、ベネズエラ産の石油・ガスを購入する国に対する関税も含まれています。
市場専門家の見解と投資家の動向
シティー・インデックスのアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は「原油価格は近い将来における供給逼迫の見通しに支えられており、需要懸念は二の次になっている」と分析しています。
投資家の動向にも変化が見られます。ブリッジトン・リサーチ・グループのデータによると、商品投資顧問業者(CTA)はブレント原油について買い越し(ネットロング)に転じました。WTI原油のショートポジション(売り持ち)比率も82%から54%に減少しており、投資家の見方が徐々に強気に変わっていることがわかります。
原油価格の実際の動き
- WTI原油先物5月限:前日比0.9%高の1バレル=69.65ドル(今月最高値)
- 北海ブレント原油5月限:1.1%上昇の73.79ドル
金相場は最高値付近で安定推移
一方、金相場はほぼ変わらず、過去最高値付近での推移となっています。トランプ前大統領の関税措置を巡る不透明感が続いており、投資家は市場の明確な方向性を探っている状況です。
ロシアとウクライナの間では、エネルギーインフラへの攻撃禁止と黒海での停戦に合意したとホワイトハウスが発表しました。この欧州での緊張緩和は、安全資産である金の売りにつながる可能性がありますが、地政学的情勢の急速な変化に多くの投資家は警戒を続けています。
金価格の実際の動き
- 金スポット相場:0.1%未満上昇の1オンス=3020.60ドル
- COMEX金先物6月限:0.1%安の3052.30ドル
まとめ
✅ 原油価格は米国の在庫減少により上昇、WTIは69.65ドル、ブレントは73.79ドルに
✅ 投資家の見方が弱気から強気に転換、原油供給逼迫への懸念が価格を支える
✅ 金相場は過去最高値付近で安定、地政学的リスクと関税措置の不透明感が続く
✅ ロシア・ウクライナ間の合意は進展があるものの、市場は慎重な姿勢を維持
✅ 両市場とも地政学的要因と米国の政策動向に大きく影響されている