2025/4

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/4/10

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場が急反発!相互関税一時停止を好感、2008年以来の上昇率に

  • 米国株式市場は、トランプ前大統領が一部国への相互関税を90日間停止すると発表したことで急反発しました。
  • S&P500指数は約9.5%、ナスダック指数は約12%と、世界金融危機以来の記録的な上昇を見せました。
  • 一方、中国には追加関税を125%に引き上げるなど、依然として先行きには不透明感が残ります。

米株式市場が2008年以来の急上昇

9日の米株式市場は、トランプ前大統領の相互関税の一時停止措置を受けて大きく上昇しました。特にナスダック指数は12.16%、S&P500指数は9.52%の急伸となり、2008年の世界金融危機以来の上げ幅を記録しました。

市場が好感した「相互関税の一時停止」とは?

トランプ前大統領は、報復措置を取っていない国や地域に対し、相互関税(相手国と米国が互いに課している関税)の上乗せ分を90日間停止すると発表しました。この措置が市場の不安感を軽減し、投資家の買い戻しを促しました。

相互関税とは?
貿易相手国が互いに課している関税のこと。通常、報復措置として関税率を引き上げることがあります。

特に注目された株式銘柄

  • 情報技術セクター:14.15%上昇。特にエヌビディア(NVIDIA)は18.7%、アップル(Apple)は15.3%の大幅高。

  • 自動車セクター:20.95%上昇し、過去最大の上げ幅。

  • デルタ航空:四半期決算が市場予想を上回り、23.4%の急伸。

市場関係者の見方

市場関係者は相互関税停止を「不透明な状況に一定の安心感を与える措置」と評価。ただし90日後の先行きについては不確実性が残り、再び市場が乱高下する可能性もあるとしています。

「不確実性を嫌う市場」
投資家は政策や国際情勢が予測不能な状態を嫌い、安全を求める傾向があります。今回の措置は、一時的な安心感からの買い戻しとみられています。

今後の注目ポイント

  • 相互関税の90日間停止後の措置や国際関係の展開

  • 来週以降の企業決算が市場に与える影響

  • 中国との貿易摩擦の長期化による経済への影響


まとめ

✅ 米株式市場はトランプ前大統領の相互関税停止措置で急反発

✅ ナスダック指数は約12%、S&P500指数は約9.5%と2008年以来の記録的な上昇

✅ 市場は一時的に安心感を得たが、先行きの不確実性は依然として残る

✅ 大型ハイテク株や自動車株など幅広い業種で大幅高となった

✅ 投資家は引き続き、市場のボラティリティ(価格変動の激しさ)への警戒を維持

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

FedWatch分析 アメリカの政策金利予想

「安全資産」の常識が崩れる?米国債が急落する異例の事態とその背景

  • 米国債が株式市場の下落時にも売られるという異例の事態が発生
  • 安全資産の代名詞だった米国債の「避難先」としての地位に疑問符
  • 急落の背景には関税懸念、財政悪化、現金志向の高まり、ヘッジファンドの動きなど複数の要因
  • 日本や欧州の国債が新たな「避難先」として注目される可能性

米国債市場に起きている異変

米国債相場はコロナパンデミック以来の大幅な下落に見舞われています。通常、株式市場が下落する際には「安全資産」として買われるはずの米国債が、逆に売られるという常識を覆す事態が発生しています。

特に短期の米国債ほど売りが強く、2年債利回りは3.92%に達しました。一方、長期債の30年債は小幅ながら持ち直し、利回りは0.36%低下して4.75%となっています。

債券利回りとは? 債券価格と利回りは逆の関係にあります。利回りが上昇するということは、債券価格が下落していることを意味します。

急落の5つの原因

1. トランプ関税政策への不安

トランプ大統領が示した関税政策の規模は市場の予想を上回り、経済に与える影響が懸念されています。関税は一方でインフレを加速させながら、他方で経済成長を鈍化させる可能性があり、FRB(米連邦準備制度)の政策対応を困難にしています。

2. 現金への逃避

投資家は米国債よりも現金を選好する傾向を強めています。マネー・マーケット・ファンド(MMF)への資金流入は過去最高を記録し、「真の安全資産は現金のみ」という認識が広がっています。

MMFとは? マネー・マーケット・ファンドは、短期金融商品に投資する投資信託で、流動性が高く安全性の高い投資先として知られています。

3. 米国の財政悪化懸念

米国の債務残高はGDPの121%に達し、トランプ政策による財政赤字拡大への懸念が強まっています。債務増加は米国債の信用力低下につながるとの見方が広がっています。

4. 海外投資家の売り圧力

中国や日本などの主要保有国が米国債を売却しているとの見方があります。特に中国については、関税への報復措置として米国債を売却している可能性が指摘されています。さらに、日本や欧州の国債が代替投資先として注目されています。

5. ヘッジファンドの取引巻き戻し

「ベーシス取引」と呼ばれる、米国債の現物と先物の価格差から利益を狙う戦略が巻き戻されている可能性があります。また、「スワップスプレッド取引」の崩壊も指摘されており、これらが利回り急上昇の一因となっています。

ベーシス取引とは? 同じ債券の現物と先物の間に生じる価格差を利用して利益を得る取引戦略です。価格差が小さいため、通常は大きなレバレッジをかけて取引を行います。

最新の市場動向

最近の10年債入札(発行額390億ドル)では、予想以上の需要が見られました。落札利回りは4.435%と入札前の4.465%を下回り、市場は少し安心感を取り戻しました。

特筆すべきは、間接入札(外国中央銀行など)の割合が87.9%と過去最高となった一方、プライマリーディーラー(主要証券会社)の割合は10.7%と今年最低を記録したことです。この結果は、外国勢の大規模売りが懸念されたものの、実際にはそうではなかったことを示唆しています。

プライマリーディーラーとは? 米国債の入札に参加する義務を持つ大手金融機関で、米国債市場の流動性を支える重要な役割を担っています。

専門家の見解

JPモルガン・インベストメント・マネジメントのプリヤ・ミスラ氏は「これは経済にとって貿易戦争、不確実性、金利上昇という三重苦をもたらしている」と警告しています。

明治安田生命の北村乾一郎執行役員は、中国が関税への報復措置として米国債を売却している可能性を指摘しており、地政学的リスクが市場に影響していることを示唆しています。

まとめ

✅ 米国債が「安全資産」として機能しない異例の状況が続いており、金融市場の新たなパラダイムシフトが起きている可能性があります

✅ 背景には関税懸念、現金志向、財政悪化、海外投資家の動向、ヘッジファンドの取引など複合的な要因があります

✅ 日本や欧州の国債が新たな安全資産として注目される可能性があり、グローバル投資の流れが変わる転換点かもしれません

✅ 今後の米国債市場の動向は、世界経済の行方を占う重要な指標として注視する必要があります

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル円相場が大きく変動、トランプ大統領の関税政策が影響

  • ドル円相場は、米国の関税政策の動向によって大きく変動。
  • 一時は安全資産である円が買われたが、トランプ大統領が関税一部停止を発表するとドルが再び買われた。
  • 中期的には、米経済の動向やトランプ政権の政策方針が不透明なため、ドル円の動きに注意が必要。

朝方の円高から午後はドル買いに転換

外国為替市場では、朝方に安全資産とされる円が買われ、一時1ドル=144円ちょうどの円高(昨年10月以来の高値)となりました。しかし、午後にトランプ大統領が相互関税の一時停止を発表したことで、リスク回避の動きが弱まりドルが買われ、一時148円27銭まで円安が進みました。

米国の関税政策が為替市場を動かす

トランプ大統領は、相互関税の一部(追加上乗せ分)を90日間停止すると発表しました。ただし、一律10%の基本関税は維持され、中国への追加関税は125%に即時引き上げられました。この発表が市場に好感され、ドル買いが強まりました。

ドル円相場の今後の見通し

ノムラ・インターナショナルの宮入祐輔氏は、「米経済が景気後退に入った場合、従来ならドル高が進む傾向があるが、トランプ政権のドル高是正志向や投資家の米証券投資への懐疑的な見方から、その動きが続くかは不透明」と述べています。

また同氏は、日銀が利上げサイクルにあることなどから、「円が相対的に強い通貨になる」との見方を示しています。

スタグフレーションのリスクとは?

FRB(米連邦準備制度理事会)が公表した議事要旨では、「スタグフレーション」のリスクが指摘されました。

スタグフレーションとは?

  • 景気が停滞しているにもかかわらず、物価が上昇する経済現象。経済政策が難しくなり、市場に不安定さをもたらす可能性があります。

各通貨の値動き

  • ブルームバーグ・ドル指数:1265.02(前営業日比-0.35%)

  • ドル/円:147.76円(前営業日比+1.02%)

  • ユーロ/ドル:1.0947ドル(前営業日比-0.10%)

その他の主要通貨の動向

  • ドル/スイスフラン:0.8569フラン(+1.14%)

  • ユーロ/ドル:1.09685ドル(+0.11%)

  • ドル/オフショア人民元:7.349元(-1.01%)

ドイツでは新政権発足の見通し

ドイツでは保守政党(CDU・CSU)と社会民主党(SPD)が連立交渉で合意。新政権は28日以降1週間以内に発足する予定です。

今後の見通しと注目点

  • 米国の関税政策による為替市場の動向

  • FRBが懸念するスタグフレーションのリスク

  • 日銀の政策動向による円の強さ

まとめ

✅ 円は朝方に買われ円高に進んだが、トランプ大統領の関税政策発表を受け午後から円安へ転じた

✅ 中期的には米経済の景気後退やトランプ政権の政策がドル円相場を左右する可能性

✅ FRBがスタグフレーションリスクを指摘、市場の不透明感が継続

✅ 日本は日銀の利上げなどで相対的に円高圧力が強まる見込み

コモディティ市場

原油と金が一転急騰!トランプの関税政策修正で市場は反発

  • トランプ大統領が一部国・地域への関税を90日間一時停止し、市場に安心感
  • 原油先物は4.7%上昇、WTI原油は62.35ドルまで回復
  • 金価格は3.9%急騰し、一時3099.60ドルの高値を記録(日中上昇率は5年ぶりの大きさ)
  • 中国に対する関税は125%に引き上げられ、依然として懸念材料に
  • 米国債が売られる中で金が「究極の逃避先」として機能

原油市場の急反発

関税一時停止で買い安心感広がる

ニューヨーク原油先物相場が急反発しました。この日の未明に発動された高水準の相互関税について、トランプ大統領が一部の国・地域を対象に90日間の一時停止を発表したことで、市場に買い安心感が広がりました。

早い時間帯には、貿易戦争激化への懸念から北海ブレント原油先物が2021年以来初めて60ドルを割り込む場面もありましたが、関税一時停止のニュースを受けて株式やコモディティ市場全体が急伸しました。

コモディティとは? 原油や金などの商品先物のことで、実物資産として国際的に取引される商品のことを指します。

中国への高関税は継続

一方で、トランプ大統領は中国に対する関税を125%に引き上げており、依然として懸念材料となっています。CIBCプライベート・ウェルス・グループのレベッカ・バビン氏は「市場全般のリリーフラリー(安心感による相場上昇)で原油相場も連れ高となったが、原油需要拡大の主要なけん引役である中国に対する関税は引き上げられており、他の国・地域に対する関税一時停止の影響は、それに比べるとはるかに少ない」と分析しています。

リリーフラリーとは? 悪材料の解消や予想より良いニュースが出たことで、安心感から相場が急反発することを指します。

相場の急騰要因

市場関係者はこれまで弱気なオプションや売り持ち高を積み上げていたため、強気な材料が浮上した際にショートカバー(空売りの買い戻し)などを誘発し、反射的に値上がりしやすい地合いとなっていました。

ショートカバーとは? 相場が上昇したとき、それまで下落を予想して建てていた「空売りポジション」を損失確定のために買い戻すことで、さらなる価格上昇を招く現象です。

原油価格の動き

  • WTI原油先物5月限:前日比2.77ドル(4.7%)高の62.35ドル
  • 北海ブレント6月限:4.2%上昇の65.48ドル

金価格の大幅上昇

5年ぶりの急騰

金スポット価格は大幅高となり、日中の上げ幅としては2020年3月以来5年ぶりの大きさを記録しました。背景には、トランプ大統領の関税政策に振り回され、金融市場が不安定な値動きとなったことがあります。

金スポット価格は一時、3.9%高の1オンス=3099.60ドルまで買われました。

「究極の逃避先」としての金

この日は通常なら金融市場の混乱時に安全資産として買われる米国債への売りが膨らみ、世界的に長期金利が上昇しました。国債利回りの上昇は普段なら金の価格に重しとなりますが、今回は逆の動きとなりました。

サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は「米財政の安定性に対する懸念が引き続き高まる中で、金は現時点で究極の逃避先となっている」と述べ、金が新たな「安全資産」として機能していることを指摘しています。

金価格の動き

  • 金スポット価格:前日比105.14ドル高の3088.42ドル
  • COMEX金先物6月限:89.20ドル(3%)高の3079.40ドル

まとめ

✅ トランプ大統領の一部国・地域への関税一時停止により、原油と金の価格が急反発しました

✅ 原油市場は短期的な安心感から回復したものの、中国に対する高関税継続が長期的な需要に与える影響は依然として懸念されています

✅ 金は米国債に代わる「究極の逃避先」として機能し、通常の相関関係を覆す動きを見せました

✅ 今後も関税政策の動向や米中関係の変化が、コモディティ市場に大きな影響を与えると予想されます