2025/4

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/4/11

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場が急落、米中貿易摩擦が再び深刻化

  • 米中の貿易摩擦の激化により米株式市場が急落
  • ドル安・原油価格の下落により市場に混乱が広がる
  • 米中貿易交渉の不透明感から投資家心理が悪化

米中の関税問題再燃、市場は動揺

10日の米株式市場は、米中貿易摩擦が再び深刻化したことで大幅に下落しました。前日には5年ぶりの上昇を記録したものの、再び景気の先行きに対する不安が投資家の間で広がり、大きな売り圧力が発生しました。

主な指数の動きは以下の通りです。

  • ダウ平均株価:39,593.66(前日比-1,014.79、-2.50%)

  • S&P500種株価指数:5,268.05(前日比-188.85、-3.46%)

  • ナスダック総合指数:16,387.31(前日比-737.66、-4.31%)

トランプ大統領が関税について一定の合意に近づいていると発言しましたが、同時に中国製品への関税が合計で145%に達する可能性を示したため、市場の懸念が高まりました。

関税とは?

関税とは、外国から輸入される商品に課される税金です。輸入品の価格を上げて国内産業を保護する目的があります。

市場心理の悪化と混乱

米中貿易の停滞によって、企業業績や景気成長への悪影響が懸念されています。投資家は関税交渉が長期化すると見ており、市場のボラティリティ(価格変動)が大きくなっています。実際、この日「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数は高止まりし、投資家の不安を示す水準となりました。

VIX指数(恐怖指数)とは?

VIX指数とは、市場の変動性(ボラティリティ)を数値化した指標です。数値が高いほど投資家の不安が高まり、市場が不安定になっていることを示します。

円高が進行、ドル資産を売る動き

米株の下落に伴い、為替市場では安全資産とされる円を買う動きが強まりました。円は一時的に2.5%上昇し、1ドル=144円02銭まで円高が進行しました。

専門家の見解:市場の混乱は長期化も

専門家の多くは関税問題の混乱がすぐには収束しないと考えています。

特に、レイ・ダリオ氏(ブリッジウォーター創業者)は「市場参加者はトラウマやショック、恐怖を感じている」と述べ、米国経済の信頼性にも悪影響が及んだと指摘しています。

また、米連邦準備理事会(FRB)の関係者からも、関税政策による市場の不安定さが続けば、利下げの可能性があることが示唆されました。

米国のインフレと利下げへの影響

この日発表された3月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%の上昇で、前月の2.8%より伸びが鈍化しています。

ただ、専門家は今後の関税引き上げによる物価上昇(インフレ)のリスクが依然としてあると警告しています。


まとめ

✅ 米中貿易摩擦の再激化により米株市場が急落、前日の上昇分をほぼ帳消し

✅ ドル安・円高が進み、安全資産としての円が買われる動き

✅ 関税問題の長期化懸念が広がり、市場の不安が再び高まっている

✅ 市場の不安定さが続けば、FRBが利下げに動く可能性もある

✅ インフレは鈍化したものの、関税の影響で今後の経済情勢には注意が必要

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

FedWatch分析 アメリカの政策金利予想

米国債市場:入札好調も長期債不安定、貿易政策の影響続く

  • 米国債市場では長期債が下落(利回り上昇)する一方、短期債は上昇傾向
  • 30年債入札は好調だったが、市場全体を上昇させるほどの影響力はなかった
  • トランプ政権の貿易政策が米国債市場に不安定さをもたらしている
  • 米国債の安全資産としての地位に対する懸念がある一方、入札結果は需要の強さを示した

米国債市場の現状

米国債市場では、長期債と短期債で異なる動きが見られています。30年債の利回りは一時13ベーシスポイント(bp)上昇して4.875%に達し、10年債も9.1bp上昇した一方、2年債は4.4bp低下しました。

ベーシスポイントとは? 金利の変動を表す単位で、1ベーシスポイント(bp)は0.01%を意味します。例えば、金利が4%から4.13%に上昇した場合、13ベーシスポイント上昇したと表現します。

国債入札の状況

220億ドル規模の30年債入札では予想以上の需要があり、落札利回りは4.813%と入札前取引の4.839%を下回りました。これは投資家の米国債に対する需要が依然として強いことを示しています

また、この入札結果は、外国投資家による米国債の投げ売りという懸念を一部和らげました。応札倍率は2.43倍と昨年11月以来の高水準となっています。

市場不安定化の要因

貿易政策の影響

トランプ政権の貿易政策が米国債市場に大きな影響を与えています。特に米中貿易戦争の激化により、中国などの米国債大口保有国が保有資産を売却するのではないかという懸念が高まっています

投資家の動向

TJMインスティテューショナル・サービシズのデービッド・ロビン氏によると、今回の30年債入札における需要は主に短期トレーダーによるものであり、長期保有を目的とした投資家からの持続的な関心は見られないとのことです。特に長期債は不安定な状態が続いており、海外からの需要に依存している状況です。

市場の混乱

先週からの債券市場は利回りが大幅に上昇し、混乱状態にありました。アナリストによると、ヘッジファンドやその他の資産運用会社がマージンコール(証拠金請求)や損失のためにポジションを解消し、資産を売却したことが原因とされています。

マージンコールとは? 投資家が証券会社から借りたお金(証拠金)で投資を行っている場合、投資資産の価値が一定水準を下回ると、追加の証拠金を請求されることです。これに応じられない場合、保有資産が強制的に売却されることがあります。

まとめ

✅ 米国債市場では30年債入札が好調だったものの、市場全体を上昇させるほどの影響力はありませんでした

✅ 短期トレーダーによる需要は見られるものの、長期投資家からの持続的な関心は限定的です

✅ トランプ政権の貿易政策、特に米中貿易摩擦が市場の不安定要因となっています

✅ 米国債は依然として世界的な安全資産としての地位を保っていますが、その状況は流動的です

✅ 投資家は今後の米国の財政・金融政策と貿易政策の動向に注目する必要があります

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル下落、米CPI低下で利下げ期待が高まる

  • 米国の消費者物価指数(CPI)が予想外に低下し、ドルが急落。
  • 安全資産とされる円やスイスフランが特に強含み。
  • 市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が強まっている。

ドル指数が昨年10月以来の安値

外国為替市場では、ドルの価値を示すブルームバーグ・ドル指数が前日比1.54%下落し、昨年10月以来の安値水準を記録しました。

ドルが売られた主な理由は、米国の最新の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回ったためです。

消費者物価指数(CPI)とは?

消費者が購入する商品やサービスの価格変動を測る経済指標です。物価の上昇率(インフレ率)を示す重要なデータとして注目されています。

米国のCPIの低下は、物価上昇が落ち着いていることを示し、FRBが利下げ(政策金利を下げること)を行いやすくなります。利下げ期待が高まると、その通貨(金利が低くなる通貨)が売られやすくなる傾向があります。


安全資産が堅調、円とフランが買われる

今回のドル安局面で特に堅調だったのが、日本円とスイスフランです。これらは「安全資産」として知られており、市場が不安定になると投資家が好んで買う傾向があります。

  • ドル/円 は2%下落し、144.79円前後で推移しました。

  • ドル/スイスフラン は約3.6%下落し、0.82635フランと、2015年1月以来の大きな下げ幅を記録しました。

安全資産とは?

経済や市場が不安定なときに投資家が資産を守るために選ぶ、比較的リスクが低い資産や通貨のことを指します。代表例は円、スイスフラン、金(ゴールド)などです。


ユーロや豪ドルなどリスク通貨も上昇

安全資産だけでなく、景気に敏感な通貨(リスク通の高い通貨)も買われました。

  • ユーロ/ドル は約2.47%上昇し、一時2023年7月以来の高値をつけました。

  • 豪ドル/ドル も1.24%上昇、0.62280ドル付近まで強含みました。

  • 英ポンドやスウェーデンクローナなども上昇しています。

市場は引き続き、中国が通貨の切り下げ(通貨安政策)を通じて貿易戦争を拡大する可能性を注視しています。


今後の市場の注目ポイント

  • FRBが実際に利下げを行うタイミングと規模。

  • 中国が米国との貿易摩擦の中で人民元をさらに切り下げるかどうか。


まとめ

✅ 米CPIが予想外に低下し、ドル指数が急落

✅ 円やスイスフランなどの安全通貨が特に強い動きに

✅ FRBによる利下げ期待が強まり、ドルの売り圧力が継続

✅ リスク通貨(ユーロ、豪ドルなど)も堅調に推移

✅ 中国の人民元の動向が今後の為替市場の重要ポイント

コモディティ市場

不安定な貿易情勢で原油急落、金価格は最高値更新

  •  原油相場はトランプ大統領の貿易政策への懸念から急反落
  •  原油は世界経済の減速リスクとOPECプラスの増産で供給過剰懸念が強まる
  •  金相場は経済不安から逃避買いが進み、過去最高値を更新
  •  トランプ政権の場当たり的な関税政策が市場の不透明感を高めている

原油市場の動向

急反落の背景

  • ニューヨーク原油先物相場は前日比2.28ドル(3.7%)安の1バレル=60.07ドルで取引を終了
  • 前日はトランプ大統領による関税一時停止で大幅高となったが、再び貿易戦争懸念が強まり反落
  • 北海ブレント原油も3.3%下落して63.33ドルに

下落要因

  • トランプ大統領の強硬な関税政策により世界経済がリセッション(景気後退)に陥るリスク
  • 景気後退による原油需要の減退懸念
  • OPECプラスによる増産が供給過剰感を強める

OPECプラスとは? 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟産油国で構成される協調体制のこと。世界の原油供給量の大部分をコントロールしています。

米エネルギー情報局の見通し修正

  • 米エネルギー情報局(EIA)は世界の原油需要の伸びと国内生産量の見通しを下方修正
  • トランプ氏の関税政策と経済見通しへの影響を考慮した結果
  • ただし、この報告書はトランプ氏の関税一時停止発表前にまとめられたもの

金市場の動向

最高値更新の要因

  • 金スポット価格は一時、約3%高の1オンス=3176.46ドルまで上昇
  • トランプ大統領の関税政策による世界経済への打撃懸念
  • 経済不安から安全資産とされる金への逃避買いが加速

金価格の見通し

  • 年初来で21%値上がり
  • 米国の利下げ期待や中央銀行による金購入への期待も価格を支えている
  • ニューヨーク時間午後の取引では1オンス=3172.36ドルと高値圏で推移
  • 金先物6月限は98.10ドル(3.2%)高い3177.50ドルで取引終了

専門家の見解

  • UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの責任者は金に対して「非常に前向きな見方を維持している」と指摘
  • 「次の焦点はFRBの動向であり、利下げが実施されれば金相場に一段の追い風になる」と予測

FRBとは? 米連邦準備制度理事会の略称で、アメリカの中央銀行に相当する機関です。金利政策や金融システムの安定を担っています。

まとめ

✅ 原油相場はトランプ政権の不安定な貿易政策と世界経済の減速懸念から急反落しています

✅ OPECプラスの増産も供給過剰感を強め、原油価格の下落要因となっています

✅ 一方、金相場は経済不安を背景とした安全資産への逃避買いで最高値を更新しています

✅ 市場は当面、トランプ政権の貿易政策とFRBの金融政策から大きな影響を受けると予想されます

✅ 投資家は引き続き経済指標と政策動向に注目する必要があります