2025/4

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/4/17

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場が急落、パウエル議長発言と半導体規制でリスク回避強まる

  • 米株式市場が再び急落。特にナスダックが大幅に下落。
  • パウエルFRB議長が米経済成長の鈍化リスクを指摘、市場支援(Fedプット)はないと発言。
  • 米中貿易摩擦の激化で半導体関連銘柄が大幅に売られる。

米株式市場が再び急落、ハイテク株中心に売りが強まる

16日の米金融市場は大荒れの展開となりました。株式市場は大幅に続落し、特にハイテク株中心のナスダック総合指数が3%以上下落しました。

主な指数の動きは以下の通りです。

  • S&P500種株価指数:5275.70(前日比 -120.93、-2.24%)

  • ダウ工業株30種平均:39669.39(前日比 -699.57、-1.73%)

  • ナスダック総合指数:16307.16(前日比 -516.01、-3.07%)

市場の不安心理を示す恐怖指数(VIX)は32.64まで上昇しており、投資家心理は大きく悪化しています。

パウエルFRB議長、金融政策での救済(Fedプット)を否定

今回の市場下落のきっかけとなったのは、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言でした。

パウエル議長は講演で、貿易摩擦が米経済や金融政策に与えるリスクに言及し、市場が期待していた金融政策による救済(Fedプット)について明確に否定しました。

Fedプットとは?
  • 株価下落など市場の混乱時に、FRBが利下げや量的緩和などの金融緩和策で市場を支えるという市場の期待のことです。

パウエル議長はトランプ大統領の政策影響について「不確実性が多く、現時点では判断が難しい」と慎重な姿勢を示しています。これにより、市場はFRBの支援なしで当面の不確実性を乗り越えなければならないとの懸念が強まりました。

半導体規制強化でNVIDIAなどハイテク株が急落

もう一つの市場急落要因は、トランプ政権が半導体メーカーのNVIDIA(エヌビディア)に対して中国向け輸出規制を強化したことです。

  • NVIDIA株は6.9%下落(一時は10%超の下げ)

  • AMD株も7.3%下落

  • 半導体製造装置メーカーのASMLも受注高の弱さから大幅安

NVIDIAは米政府から、中国向けのAI向け半導体「H20」の輸出許可が必要になるとの通知を受けました。この規制により、NVIDIAは55億ドル(約8000億円)の費用負担を見込んでいます。

半導体株が市場に与える影響とは?

  • NVIDIAやAMDなど大型半導体企業は米株式市場の成長を牽引する存在であるため、これらの株が売られると、市場全体に与える影響も大きくなります。

世界経済の減速懸念が拡大

世界貿易機関(WTO)は2025年の世界貿易量見通しを下方修正し、米中間の貿易摩擦が世界経済に与える影響が徐々に顕在化しています。

米中通商協議は膠着状態が続いており、中国側は米国が「敬意を示す」ことと、「トランプ大統領が指名した正式な交渉責任者」が条件と強調しています。当面、両国間の緊張は解消されにくいと予想されます。


まとめ

✅ パウエルFRB議長の姿勢が変わらない限り、株式市場の回復は難しい状況が続きます。

✅ 米中間の貿易摩擦激化がハイテク・半導体株を中心にさらなる下落圧力を与えています。

✅ 世界経済の減速懸念が高まり、投資家は安全資産への逃避(金や国債)を進めています。

✅ 市場の不安定性(ボラティリティ)が高まっているため、短期的には株式投資には慎重な対応が求められます。

✅ 米中交渉の進展次第では市場がさらに荒れる可能性もあり、今後の動向を注意深く見守る必要があります。

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

FedWatch分析 アメリカの政策金利予想

国債相場の動向と影響要因

米国債相場の上昇

米国債相場は上昇傾向にあり、利回りが低下しました。主な動きは以下の通りです

  • 米30年債利回り:4.74%(前営業日比-3.7bp、-0.78%)
  • 米10年債利回り:4.28%(前営業日比-5.6bp、-1.30%)
  • 米2年債利回り:3.77%(前営業日比-7.3bp、-1.91%)

※bp(ベーシスポイント)とは:金利の変動幅を表す単位で、1bp=0.01%を意味します。

パウエル議長の講演内容

FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長はシカゴ経済クラブでの講演で以下のような見解を示しました

  • 米経済成長は減速しつつある
  • 景気軟化とインフレの高止まりが同時に起きた場合、FRBの2大責務(物価安定と雇用最大化)が相反する可能性がある
  • トランプ大統領の関税措置は「少なくとも一時的にインフレを上昇させる可能性が非常に高い」
  • インフレ効果がより持続的になる可能性もある

市場反応と債券入札状況

  • 10年債利回りは一時7bp低下し、4.26%を記録
  • 2年債利回りも同様に7bp程度低下
  • 当日行われた20年債入札は堅調な需要を集めた
  • パウエル議長の発言を受けて株式相場が下落し、安全資産とされる米国債への資金流入が見られた

経済指標の動向

3月の小売売上高は前月比1.4%増加し、約2年ぶりの大幅増となりました。この背景には

  • 自動車販売の急増
  • 自動車関税引き上げ前の駆け込み需要の可能性

市場専門家の見解

スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カーディロ氏は: 「関税がインフレ抑制と成長支援への課題になる可能性がある」というパウエル議長の発言について、「これは市場が恐れていたことで、FRB議長がそれを確認した格好だ」と述べています。

まとめ

✅ 米国債相場は上昇し、全期間で利回りが低下しました

✅ パウエル議長は関税措置によるインフレリスクと経済減速の可能性を指摘しました

✅ 景気軟化とインフレ高止まりが同時発生すると、FRBの金融政策が難しい局面に入る可能性があります

✅ 3月小売売上高は自動車販売急増により約2年ぶりの大幅増となりました

✅ 市場は経済・インフレ懸念から安全資産である米国債に資金を振り向けています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル急落、米関税政策への懸念が背景に

  • ドル指数が約半年ぶりの安値を記録
  • トランプ政権の関税政策がドルへの信認を低下
  • リスク回避により安全資産への資金流入が加速

ドルが主要通貨に対し全面安

ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要10通貨に対して全面的に下落しました。

具体的な動きは以下の通りです。

  • ドル指数 は前営業日比0.70%下落し、1225.64に低下

  • ドル/円 は0.91%下落し、141円90銭

  • ユーロ/ドル は1.03%上昇し、1.1398ドル

ドル指数(ブルームバーグ・ドル・スポット指数)とは?

ドル指数はドルが主要通貨に対してどれほど強いかを示す指数です。数値が下がるほどドルが弱くなっていることを表します。

トランプ政権の政策に市場が警戒

今回のドル安の背景には、トランプ政権の政策に対する不信感があります。

  • トランプ氏は、重要鉱物に関する新たな関税措置の調査を指示。

  • 中国との貿易交渉再開について、中国からのアクションを求める姿勢を明確化。

市場関係者からも以下のような指摘がされています。

  • BBHのストラテジスト は「米政策当局への信頼が失われていることがドル安の主因」と分析。

  • 三菱UFJフィナンシャルグループの専門家 は「エヌビディア(NVIDIA)の半導体製品(H20)の対中輸出規制問題も、ドルの下押し要因になる」とコメントしています。

エヌビディア「H20」とは?

「H20」はNVIDIAが開発したAI(人工知能)向けの半導体製品です。米国政府が中国向けの輸出規制対象とする可能性があり、貿易摩擦の一部として注目されています。

FRB議長の発言もドル売り要因に

パウエルFRB議長は、米国経済の成長鈍化や関税による経済への悪影響を示唆しました。また、「市場が荒れてもFRBが介入するとは限らない」と市場の期待を牽制。この発言も市場心理を悪化させ、ドル売りにつながりました。

FRB(米連邦準備理事会)とは?

アメリカの中央銀行であり、日本の日銀のように金融政策を決定します。金利の調整などを通じて経済を安定させる役割を持っています。

今後の市場見通し

市場は引き続き米中関係の動向や日本との関税協議に注目しています。赤沢経済再生相の訪米による交渉結果が、今後の相場に大きく影響するでしょう。


まとめ

✅ ドルが約半年ぶりの安値に急落、原因は米政権の関税政策に対する不信感。

✅ パウエルFRB議長の発言も市場のドル売りを加速させた。

✅ NVIDIAの対中輸出規制問題が新たなドル売り要因として浮上。

✅ 市場は日米関税協議と米中交渉の動きを警戒している。

コモディティ市場

原油市場:反発の兆し

価格上昇の主な要因

  • WTI原油先物は1.14ドル(1.9%)高の62.47ドルで取引終了
  • 北海ブレント原油も1.8%高の65.85ドルに上昇
  • 米中貿易緊張の緩和兆候が買い材料に
  • イランとの核協議停滞も価格を押し上げる要因に

供給面の動向

  • イラクは日量7万バレルの原油輸出削減を計画
  • OPECプラス(石油輸出国機構と非加盟産油国の協調体制)の生産目標順守への圧力が背景
  • イランはウラン濃縮に関する米国との交渉拒否を表明し、イラン産原油の市場復帰見通しが後退

在庫状況

  • オクラホマ州クッシング(WTI原油の受け渡し拠点)の在庫が約65万バレル減少
  • 2008年以来の低水準まで在庫が減少
  • ガソリン在庫も減少を記録

金市場:史上最高値を更新

価格高騰の状況

  • 金スポット価格は一時3.2%上昇し、3,332.98ドルを記録
  • 史上初めて1オンス=3,300ドルの節目を突破
  • 金先物6月限は3.3%高の3,346.40ドルで引けた
  • 今年に入り約26%上昇と好調な相場展開

高騰の背景

  • ドル安の進行
  • トランプ米大統領による新たな貿易調査指示
  • 貿易戦争激化による世界的な景気後退(リセッション)懸念
  • 不透明な経済見通しによる安全資産需要の高まり

専門家の見解

ブラックロックのイビー・ハンブロ氏(テーマ・セクター別投資グローバル責任者): 「金市場はこの不透明な時期に活況を呈しているが、その基盤は極めて現実的で確固たるものだ」

まとめ

✅ 原油価格は米中貿易緊張緩和の兆しとイラン核協議の停滞を受けて上昇しました

✅ イラクの輸出削減計画や米国内の原油在庫減少も価格を支える要因となっています

✅ 金価格は史上初めて1オンス=3,300ドルを突破し、高値更新を続けています

✅ 貿易戦争の激化懸念や経済見通しの不透明感から、安全資産としての金需要が高まっています

✅ 不安定な経済環境下で、投資家は長期的ポジション構築に慎重な姿勢を示しています