2025/4

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/4/8

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場、関税政策巡り乱高下―投資家は先行きに警戒感

  • 米株式市場はトランプ氏の関税政策をめぐる報道で乱高下
  • 株価指数は不安定な動きを見せ、弱気相場入りする場面も
  • 市場関係者は、貿易戦争が米経済に深刻な影響を与えるリスクを警告

米国株式市場は7日、トランプ前大統領の関税政策を巡る新たな報道で混乱しました。S&P500種株価指数は小幅ながら3日連続で下落。ダウ工業株平均も下げましたが、ナスダック総合指数は小幅に上昇しました。

トランプ氏の強硬姿勢で市場が混乱

トランプ氏は、中国が米国に対する報復関税を撤回しない場合、中国製品への追加関税を「50%まで引き上げる」と警告しました。一方、日本やイスラエルとの交渉の用意があることも示唆しています。

また、一時的にすべての国への関税停止措置が検討されているとの報道がありましたが、ホワイトハウスはこれを即座に否定しました。この報道を受けて、市場は激しく揺れ動き、投資家の不安心理を示す『VIX指数(恐怖指数)』は5年ぶりの高水準を記録しています。

恐怖指数(VIX指数)とは?

投資家が市場の将来的な変動をどれほど懸念しているかを表す指数。数値が高いほど市場の不安が強いことを示しています。

ウォール街から相次ぐ警告の声

市場が不安定になる中、有名投資家や専門家が米国経済への深刻な影響を懸念する声を上げました。

  • パーシング・スクエア創業者のビル・アックマン氏は、「米国は経済的な核の冬に向かっている」と警告。

  • サバ・キャピタル創業者ボアズ・ワインスタイン氏は「経済の雪崩はまだ始まったばかり」と指摘。

  • JPモルガンCEOのジェイミー・ダイモン氏は「経済的なつながりが悲惨に分断されるリスク」を指摘しました。

今後の市場は?

市場アナリストたちは当面、市場はワシントンからのニュースに敏感に反応すると指摘しています。専門家は株式相場が本格的に回復するにはまだ時間がかかると予想しており、慎重な対応を呼びかけています。

  • ミラー・タバクのマット・メイリー氏は、「すぐにV字回復は難しく、経済に合わせた価格調整には時間がかかる」との見解。

  • BTIGのジョナサン・クリンスキー氏も「パニック的な底値形成が起きるまで市場は動揺が続く」と述べています。

株価の動きまとめ

  • S&P500指数:5062.25(前日比 -0.23%)

  • ダウ平均株価:37965.60(前日比 -0.91%)

  • ナスダック総合指数:15603.26(前日比 +0.10%)

個別銘柄の動き

  • アップル:-3.7%

  • テスラ:-2.6%

  • エヌビディア:+3%

  • アマゾン:+2.5%

まとめ

✅ トランプ前大統領の関税政策を巡る報道で市場が大きく乱高下

✅ 専門家らは米経済が深刻な影響を受ける恐れがあると警告

✅ 恐怖指数(VIX)が5年ぶりの高水準に上昇

✅ 相場の底値を見極めるにはまだ時間がかかるとの見方が優勢

✅ 個別銘柄ではアップルやテスラが下落、エヌビディアやアマゾンは上昇

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

FedWatch分析 アメリカの政策金利予想

米国債の利回りが急上昇、トランプの関税政策で市場が揺れる

  • 米国債の利回りが全年限で10ベーシスポイント以上の大幅上昇
  • 10年債利回りは約1年ぶりの大幅な上昇
  • トランプ次期大統領の関税政策をめぐる情報が市場を揺るがす
  • 米利下げ予想は年内3~5回で変動、6月利下げが有力視

米国債利回りが1年ぶりの大幅上昇

米国債市場では利回りが大幅に上昇し(価格は下落)、特に10年債は前日比19.5ベーシスポイント上昇して4.19%となりました。これは1日の上昇幅としては約1年ぶりの大きさです。早朝には利回りが低下していましたが、その後一転して上昇に転じるという荒い値動きとなっています。

主要国債の利回り状況

  • 30年債:4.62%(前日比+21.6bp、変化率+4.89%)
  • 10年債:4.19%(前日比+19.5bp、変化率+4.88%)
  • 2年債 :3.77%(前日比+11.9bp、変化率+3.26%)

ベーシスポイント(bp)とは? 金利の変動を表す単位で、1bp=0.01%を意味します。例えば10bpの上昇は0.1%の上昇を表します。

利下げ予想は年内3~5回で揺れ動く

年内の米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ予想は、0.25ポイントずつで3~5回と幅があります。オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では現在、年内4回の利下げを見込んでおり、最初の利下げは6月が有力視されています。

OIS市場とは? 銀行間で短期金利を交換する取引のことで、将来の政策金利の予想を反映します。

一時期は、リスク回避の動きが強まる中で来週までに0.25ポイント利下げの確率が約40%まで上昇したものの、現時点では緊急利下げの可能性は極めて低いとみられています。

トランプ関税政策が市場を揺るがす

米国債市場の急変動の背景には、トランプ次期大統領の関税政策に関する情報が影響しています。市場は以下の報道に大きく反応しました

  • トランプ大統領が中国を除く全ての国への関税を90日間停止する可能性があるという報道
  • この報道を受けて利回りは一時大幅に上昇
  • しかしホワイトハウスはこの情報を「偽ニュース」として否定

ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は、貿易相手国が良い提案をすればトランプ大統領は耳を傾ける可能性があると発言し、関税政策に柔軟性があることを示唆しています。

専門家の見解

メディオラナム・インターナショナル・ファンズのダニエル・ラフニー氏は「現時点では市場構造は健全」としながらも、「トランプ大統領が関税に関して強硬姿勢を続ければ状況は悪化する可能性がある」と警告しています。

ウェルズ・ファーゴのアンジェロ・マノラトス氏は「関税措置が軽減される可能性への期待から利回りが上昇した」と分析する一方、「長期的には経済成長は打撃を受け、国債利回りは大幅に低下する」との見方を示しています。

まとめ

✅ 米国債の利回りは全年限で大幅に上昇し、10年債は4.19%と約1年ぶりの大きな上昇幅を記録

✅ トランプ次期大統領の関税政策をめぐる情報が錯綜し、市場は大きく揺れ動いています

✅ 年内の米利下げ予想は3~5回で、6月の利下げが市場に織り込まれています

✅ 専門家は短期的な市場の健全性を認めつつも、関税政策次第では今後の経済に懸念を示しています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドルが続伸、トランプ政権の関税政策に市場が反応

  • ドル指数が続伸。トランプ政権の関税を巡る報道に市場が反応
  • 関税の一時停止報道でドルが一時下落も、ホワイトハウスが否定
  • 関税を巡る不確実性でドルの安全資産としての地位が揺らぐ可能性

ドル指数が堅調、関税めぐるニュースに市場が振り回される

ニューヨーク外国為替市場でドル指数(ドルの主要通貨に対する価値を示す指標)が続伸しました。一時的に関税の停止を示唆する報道によりドルは下落しましたが、その後ホワイトハウスが報道を否定すると、再び上昇に転じました。

ドル指数とは?

複数の主要通貨に対する米ドルの強さを示す指数。数値が上がるほどドルが強い状態を示しています。

市場はトランプ政権の関税措置を巡る不確実な情報に敏感になっており、一時的な報道にも強く反応する展開となっています。

関税措置でドル相場が揺れる

  • 米国家経済会議(NEC)のハセット委員長が関税措置の一時停止を支持するかのような発言をしたため、一時ドルの上昇が抑えられましたが、ホワイトハウスがすぐに否定しました。

  • ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループのブラッド・ベクテル氏は「トランプ大統領本人の発言以外はニュースに振り回されるリスクがある」と指摘しています。

安全資産への需要が増加

関税政策を巡る混乱が世界経済の先行きを不安視させ、安全資産(リスクが少なく安定した資産)への需要が高まっています。特にスイスフランが上昇し、ドルに対して6カ月ぶりの高値となりました。

ドルの安全資産としての地位に疑問

従来、安全資産とされてきたドルですが、関税政策が米国の経済成長にマイナスの影響を与える懸念から、その地位が揺らいでいます。マッコーリーのストラテジストであるウィズマン氏も、ドルの世界的な信頼感低下の可能性を指摘しています。

各通貨の動き(対ドル)

  • ドル/円:0.61%円安(147.82円)

  • ユーロ/ドル:0.47%ユーロ安(1.0905ドル)

  • ポンド/ドル:1.3%ポンド安(1カ月ぶりの安値1.27125ドル)

  • 豪ドル、NZドルなどのリスク感応度が高い通貨も対ドルで下落しています。


まとめ

✅ ドル指数はトランプ政権の関税政策に対する報道で続伸

✅ 市場はトランプ大統領の直接的な発言を重視し、報道には慎重姿勢

✅ 関税問題で世界経済の不透明感が高まり、安全資産としてスイスフランが買われる

✅ 従来の安全資産であるドルの地位に疑問が浮上

✅ 豪ドルやNZドルなどのリスク通貨は下落し、ドルに対する弱さを見せる

コモディティ市場

原油・金市場が急落:トランプの関税政策と供給過剰懸念がダブルパンチ

  • 原油価格は3営業日連続で下落し、4年ぶりの安値を記録
  • 原油は3日間で16%という急激な下落を見せる
  • トランプ次期大統領の関税政策と、OPECプラスの増産が原油安に拍車
  • 金価格も3日連続で下落、一時2.7%まで下げ幅を拡大
  • 通常は不安定な時期に買われる金も今回は売られる展開に

原油市場:関税と増産のダブルショック

急落する原油価格

ニューヨーク原油先物相場が3営業日連続で下落し、4年ぶりの安値に沈みました。特にWTI原油先物(米国の主要な原油指標)は3日間で16%も下落するという急激な動きを見せています。

混乱を招いた関税情報

トランプ政権が関税の一時停止を検討しているとの一部報道で原油価格は一時的に上昇しましたが、その後ホワイトハウスがこの報道を否定すると再び下落に転じました。トランプ氏はさらに、中国が米国製品に対する34%の報復関税を撤回しない場合、50%の追加関税を課すと警告し、市場の不安をあおっています。

WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)とは? 米国で産出される高品質の原油で、世界の原油価格の指標の一つとして使われています。

原油安の主な要因

原油価格が急落した背景には二つの大きな要因があります

  1. トランプ氏の関税政策による需要減少懸念
    • 関税引き上げは世界経済を減速させ、エネルギー需要の減少につながるという見方
  2. OPECプラスの増産決定
    • 石油輸出国機構と非加盟産油国による予想以上の増産発表が供給過剰懸念を強めた

OPECプラスとは? 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟産油国が協調して原油の生産量を調整するグループです。

専門家の見方

JPモルガン・チェースのアナリスト陣は、トランプ氏の関税は「最もタカ派の予想すらも上回る内容」と評価し、「景気に敏感な商品を筆頭に金融市場は米経済、おそらく世界経済についても景気後退をより強く織り込み始めている」と指摘しています。

主要原油指標の終値

  • WTI先物5月限:1バレル=60.70ドル(前日比1.29ドル・2.1%安)
  • 北海ブレント6月限:64.21ドル(2.1%安)

金市場も3日連続で下落

急落する金価格

金スポット価格も3日連続で下落し、一時は2.7%まで下げ幅を拡大しました。ニューヨーク時間午後3時30分現在で前日比64.29ドル安の1オンス=2,973.95ドルとなっています。

「買われ過ぎ」の金市場

TDセキュリティーズのダニエル・ガリ氏は、金は依然として「買われ過ぎ」の状態にあり、「レバレッジ解消が顕著なリスクになっている」と分析しています。

レバレッジ解消とは? 借入金などを利用して行った投資を解消すること。市場が不安定になると、投資家はリスクを減らすためにこうした投資を急いで解消する傾向があります。

異例の金相場の動き

通常、経済不安や地政学的リスクが高まる際には安全資産として金が買われる傾向がありますが、今回はトランプ氏の相互関税発表後、他の資産と同様に売られる展開となっています。

金先物の動き

COMEX(ニューヨーク商品取引所)の金先物6月限は61.80ドル(2.0%)安の2,973.60ドルで取引を終えました。

まとめ

✅ 原油価格はトランプ次期大統領の関税政策とOPECプラスの増産発表による供給過剰懸念から3日間で16%下落し、4年ぶりの安値を記録しました。

✅ 金相場も3日連続で下落し、通常の経済不安時とは異なる動きを見せています。専門家は「買われ過ぎ」状態からのレバレッジ解消がリスクと指摘しています。

✅ 両市場の動向は、トランプ次期政権の実際の関税政策と世界経済への影響、そして各国の対応に大きく左右される見通しです。

✅ 商品市場全体に景気後退への警戒感が広がっており、投資家はより慎重な姿勢を求められています。