2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/13

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米中の関税合意を受けて米株が大幅上昇、投資家のリスク選好が回復

  • 米中が一時的な関税引き下げで合意し、投資家の安心感が広がった
  • 米株主要指数が軒並み大幅に上昇、特にハイテク株が強気相場入り
  • 円相場はリスクオン(積極的な投資姿勢)の動きを受け大きく円安に

米中の関税緩和で株式市場が活況に

5月12日の米国株式市場は大幅高となりました。米中両国が互いの関税を一時的に引き下げることで合意したことから、市場はリスク選好ムードに。

株式市場は大幅高

  • S&P500指数は5844.19ポイント(前日比+3.26%)

  • ダウ工業株30種平均は42410.10ポイント(前日比+2.81%)

  • ナスダック総合指数は18708.34ポイント(前日比+4.35%)

特にナスダック指数は大型ハイテク株が牽引し、強気相場(Bull Market)入りを果たしています。

リスク資産が買われ、安全資産が売られる展開

米中合意の発表を受け、投資家のリスク選好(リスクを積極的に取る姿勢)が強まり、株式が買われる一方、以下の安全資産は売りが進みました。

  • 債券(国債など安全性が高い金融商品)

  • 円や金(危機時の避難先として好まれる資産)

円は対ドルで2%以上下落し、1ドル=148円台まで円安が進みました。

米中関税合意の具体的内容とは?

  • 米国は中国への関税率を145%から30%へ引き下げ

  • 中国は米国への関税率を125%から10%へ引き下げ

  • いずれも90日間の一時措置であり、この期間にさらなる協議を行う予定です。

関税率をここまで引き下げるのは市場にとって予想外のポジティブサプライズとなり、株価上昇の大きな要因になりました。


関連する市場関係者の声

ジェフリー・ブッフビンダー氏(LPLファイナンシャル)

  • 「予想以上の関税引き下げで、市場には大きな安心感が広がった」

  • 「最悪のシナリオを回避できたことは投資家にとって好材料」

キャロル・シュレイフ氏(BMOプライベート・ウェルス)

  • 「今回の合意と交渉継続の枠組みは市場が待ち望んでいたもの」

キャリー・コックス氏(リソルツ・ウェルス・マネジメント)

  • 「一時的でも禁輸措置が解除されたに等しく、貿易活動が活発化する可能性が高まった」


モルガン・スタンレーは慎重な見方

モルガン・スタンレーの分析チームは、持続的な株価上昇には4つの条件が必要としていますが、今回満たされたのは以下の2つのみでした。

  • 中国との貿易協定に関する楽観的な見方

  • 企業の利益見通しの安定化

残りの条件である「よりハト派的(金融緩和寄り)な米金融政策」と「10年債利回りが4%を下回る状況」は、まだ確認されていません。

ハト派的とは?

金融政策を緩和方向(低金利や量的緩和)で進める姿勢のことです。景気後退の懸念がある場合に取られる政策姿勢です。


製薬業界への懸念も後退

トランプ大統領が進めている米国内の薬価引き下げ政策が市場が懸念したほど厳しくないとの見方から、製薬株も上昇しました。


まとめ

✅ 米中関税の一時的な引き下げ合意を受けて株価が急上昇

✅ 投資家のリスク選好が強まり、安全資産(円、金、債券)は売られた

✅ 円は対ドルで急速に円安に進み、148円台へ

✅ 市場には楽観ムードが広がったが、関税が再び引き上げられる可能性は残る

✅ 株価の本格的な上昇には、米金融政策の緩和的転換や金利の安定化も必要

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債市場: 利回り上昇とその背景

米国債市場では価格が下落し、利回りが上昇しています。この動きには以下のような要因が影響しています

主要動向

  • 米30年債利回り: 4.90%(前営業日比+6.8bp、+1.40%)
  • 米10年債利回り: 4.47%(前営業日比+9.0bp、+2.06%)
  • 米2年債利回り: 4.01%(前営業日比+11.7bp、+3.01%)

上昇要因

  1. 株高による安全資産需要減退: 株式市場の好調により、安全資産とされる国債への需要が減少
  2. 企業の大量社債発行: UPSやキャタピラーなどの企業による社債発行が相場の重しに
  3. 米中貿易関係改善: 米中が90日間の関税率引き下げに合意したことで、景気見通しが改善

金融政策見通しの変化

  • 利下げ予想の後退: 市場は今年の利下げ回数予想を引き下げ
  • 現在の見通し: 年末までの利下げ幅は約55bp(先週は75bp近く)
  • 初回利下げ: 9月に0.25ポイントの利下げが予想されている
  • 2025年の見通し: 利下げ回数は2回程度にとどまる見込み

専門家の見解

エド・アルフセイニ氏(コロンビア・スレッドニードル)

「市場はオーバーシュートする傾向があるが、現時点ではリスク資産に資金が流れ込んでいる」

今後の注目点

  • CPI発表: 5月13日発表の4月消費者物価指数がトランプ氏の関税政策の物価への影響を占う材料に
  • FRBの姿勢: クーグラー理事は関税政策がインフレ押し上げと経済成長圧迫の可能性を指摘

米国債市場は米中貿易関係の改善とそれに伴う経済見通しの変化を反映し、安全資産からリスク資産への資金シフトが進んでいます。

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル円が急騰、米中関税合意で市場のムード好転

  • 米中が関税を一時的に引き下げることで合意し、投資家心理が改善
  • ドルが主要通貨に対して大幅に上昇。ドル円は約1ヶ月ぶりの高値148円台を記録
  • 一方、専門家の間ではドル高の持続性に疑問も

米中関税合意で為替市場が大きく動く

米中両政府が10日~11日にスイスで行った閣僚級協議で、互いに課していた関税率を一時的に引き下げることで合意しました。

具体的には関税率を115%引き下げ、上乗せ分を90日間停止する措置を発表。

これが市場のリスクを取る姿勢(リスクセンチメント)を改善させました。

リスクセンチメントとは?

投資家がリスクをとって積極的に投資を行う姿勢のこと。市場が楽観的なときに見られる傾向です。

ドル指数が大幅高、円は大きく下落

外国為替市場では、米中合意を好感してドルが急伸しました。特にドル指数(米ドルの主要通貨に対する強さを示す指標)は前日比で約1%上昇し、昨年11月以来の大幅な上昇を記録しました。

円は安全資産としての魅力が薄れ、一時対ドルで2.3%も安くなり、148円65銭まで値を下げました。

為替市場の主な動き(直近値)

  • ブルームバーグ・ドル指数:1240.03(+1.03%)

  • ドル/円:148.47円(+2.13%)

  • ユーロ/ドル:1.1089ドル(-1.43%)

ドル高は一時的か?専門家の意見は分かれる

一部の専門家は、今回のドルの急騰は短期的である可能性が高いと指摘しています。

バークレイズの通貨ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コーニング氏は、「ドルの急伸はポジション(市場参加者の取引姿勢)が非常に弱気だったためで、米国の成長見通しは懸念されていたほど悪くない可能性がある」と述べ、政策が安定すればドルの大幅な上昇は続かないとの見方を示しました。

マッコーリーのストラテジストも、「米国に対する信用の回復には時間がかかるため、ドル高は限定的で、いずれは下落トレンドに戻るだろう」と分析しています。

一方で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のアナリストは、円について「中期的には円に有利な展開になる可能性がある」と指摘し、日本への投資意欲が高まる可能性を示唆しています。

今後注目されるポイント

市場の関心は今後、米国の経済指標に集まっています。

  • 5月13日:米国の4月消費者物価指数(インフレ動向を示す重要指標)

  • 5月15日:米国の4月小売売上高(個人消費の状況がわかる指標)

米連邦準備理事会(FRB)の利下げ(金融緩和)時期の予想も、市場では後ずれ(7月から9月)しています。

地政学リスクも一時的に緩和

さらに週末には、

  • インド・パキスタン間の停戦合意

  • ウクライナ・ロシア間の直接協議開催予定

といった地政学リスク(国際情勢の緊張)緩和のニュースもあり、市場の安心感を高めました。

まとめ

✅ 米中関税合意で投資家のリスク選好が高まり、ドルが急伸

✅ ドル円は一時148円台後半まで上昇したが、専門家は持続性に疑問視

✅ 今後の米経済指標に注目。FRBの利下げ予想も後退している

✅地政学リスクが一時的に緩和されたことで、市場心理はさらに改善

原油価格上昇、金価格下落の動き

ニューヨーク原油市場では価格が上昇しました。一方で金は大幅に下落しています。この対照的な動きには、米中の貿易関係の改善が大きく影響しています。

原油市場の状況

  • WTI原油先物6月限:1バレル61.95ドル(前日比+0.93ドル、+1.5%)
  • 北海ブレント7月限:1バレル64.96ドル(前日比+1.05ドル、+1.6%)

米中が互いに課していた高関税を一時的に引き下げることで合意したことを受け、世界経済の成長見通しが改善し、原油需要減少への懸念が和らぎました。

市場参加者の反応

「これは『リスクオン復活』というシグナルだ」とBOKファイナンシャル・セキュリティーズのデニス・キスラー氏は述べています。

投資家動向の変化

商品投資顧問業者(CTA)※は依然として原油に対して全体的に売りの姿勢を維持していますが、極端な弱気姿勢からは徐々に離れつつあります。

CTAによる原油の売りポジションは91%から82%に減少しました。

※商品投資顧問業者(CTA):商品先物市場などで投資家のために運用を行う専門業者

金価格の下落

  • 金スポット価格:1オンス3,237.23ドル(前日比-87.75ドル、-2.6%)
  • 金先物6月限:1オンス3,228ドル(前日比-116ドル、-3.5%)

金価格の下落は、リスク選好の強まりによる安全資産需要の後退が主な要因です。また、インドとパキスタンの間の緊張が緩和したこともマイナス要因となりました。

まとめ

✅ 米中の貿易関係改善により原油価格は上昇、金価格は下落

✅ 投資家のリスク選好姿勢が強まり「リスクオン」の流れが顕著に

✅ 原油投資家は依然として全体的に弱気だが、極端な売り姿勢からは後退

✅ 金は安全資産需要の低下と地政学的リスクの緩和で大幅安

✅ 市場は引き続き米中関係の進展を注視する展開