2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/16

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

このサイトは、ファンダメンタル分析の軸である海外記事(Bloomberg、Reuters)初心者にも分かりやすく要約しています

株、金利、FX(為替)原油、金などのファンダメンタルをまとめています

情報収集の時短にぜひ活用してください

初心者から上級者まで、経済に関心のある方々に役立つ情報を迅速かつリアルタイムでお届けします

当サイトの目標は、誰もが経済情報にアクセスしやすく、理解しやすい形で提供することで、より多くの人々が経済知識を身につけ、投資やビジネスの世界に参加できるようになることをサポートすることです

昨日、何が起きたのかを把握することで、今日の値動きなどのシナリオ構築に役立てればと思います

金融市場が開いていれば(平日)毎朝更新しています

X(Twitter)でも毎日の値動きやニュースを発信していますので、ぜひフォローよろしくおねがいします

 

目次

 ファンダメンタル分析【オススメ】書籍紹介(書評)サイト

経済ニュースを日々キャッチアップするのと同時に、ファンダメンタル分析の理解をさらに深めたい方に向けて、いくつかの優れた書籍を紹介します!

初心者の方にも読みやすく、金融リテラシーが上がること間違いなしです!是非ご覧になってください。

昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

金融ポータルサイト、Investing.com 日本によって提供されている経済カレンダー

 

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株市場が続伸:経済指標の悪化で利下げ期待が高まる

  • S&P500が4営業日連続で上昇
  • 米経済指標が予想を下回り、利下げ期待が強まる
  • 米国債利回りが低下し、ドル安円高が進行

S&P500、4営業日続伸

15日の米株式市場では、S&P500種株価指数が4営業日連続で上昇しました。経済指標が予想を下回ったことで、景気を支えるために米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に少なくとも2回の利下げを行うとの見方が強まり、株価を押し上げました。

米株式市場の主な指数(15日終値)

  • S&P500種株価指数:5916.93(+0.41%)

  • ダウ工業株30種平均:42322.75(+0.65%)

  • ナスダック総合指数:19112.32(-0.18%)

ナスダックは微減で終了しましたが、ダウ平均は271ドル以上の上昇を記録しました。

注目銘柄の動き

  • シスコシステムズ(Cisco)が急伸:堅調な業績見通しを発表し、5%近くの大幅高となりました。

  • ユナイテッドヘルス・グループが急落:約11%の下落。メディケア(高齢者向け医療保険制度)に関連する不正請求疑惑で刑事捜査を受けていると報道され、嫌気されました。

  • メタ・プラットフォームズも下落:主力の人工知能(AI)モデルの開発遅れが報道され、売り材料となりました。

  • ウォルマートアマゾンも下落:関税措置の影響を懸念し慎重姿勢が広がりました。

米経済指標が予想を下回り、利下げ観測が強まる

この日発表された米経済指標は軒並み予想を下回りました。

  • 米生産者物価指数(PPI):前年比2.4%上昇(前月3.4%)、予想外の大幅下落(前月比▲0.5%)

  • 米小売売上高:前月比0.1%増にとどまり、大幅な伸び鈍化

  • 米製造業生産:6カ月ぶりにマイナス成長

  • 住宅市場指数:2023年11月以来の低水準

これらの指標低下により、FRBによる利下げ観測が一段と強まりました。

生産者物価指数(PPI)とは?
企業が製品を作るときの原材料やサービスなど、企業間取引の価格の変動を示す指標です。これが下がるとインフレ圧力が弱まっていることを示します。

専門家の見解

  • ハリス・フィナンシャル・グループのジェイミー・コックス氏:「成長は鈍化しているが、物価上昇の抑制(ディスインフレ)は継続している」と指摘。

  • JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO:「リセッション(景気後退)の可能性は依然として残っている」と慎重姿勢を示しました。

  • アポロ・グローバル・マネジメントのジム・ゼルター社長:「最近の中国との緊張緩和でリセッションの確率は下がったが、依然として注意は必要」とコメントしました。

ディスインフレとは?

インフレ率(物価上昇率)が低下し続ける状況のことです。物価が下がるのではなく、上昇のペースが鈍化することを意味します。


まとめ

✅経済指標悪化でFRBの利下げ観測が高まり、S&P500が続伸

✅米国債利回り低下を受けてドル安円高が進行し、一時1ドル=145円台前半に

✅シスコ急伸、ユナイテッドヘルスが刑事捜査報道で急落など個別銘柄の明暗分かれる

✅専門家はリセッション回避を完全に排除せず、市場の慎重な姿勢が続くと予測

 

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回りの低下:景気減速とインフレ鈍化の兆候

米国債市場では、債券価格が上昇し、利回りが大幅に低下しています。

これは経済指標が景気活動の減速とインフレ鈍化を示したことが要因です。市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内に2回の利下げを実施するとの見方が強まっています。

主要な国債利回りの変動

  • 米30年債利回り:4.89%(前営業日比 -7.8bp、-1.57%)
  • 米10年債利回り:4.43%(前営業日比 -10.5bp、-2.31%)
  • 米2年債利回り:3.95%(前営業日比 -9.6bp、-2.38%)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で、0.01%を表します。

専門家の見解

クレジットサイツのザカリー・グリフィス氏(米投資適格・マクロ経済戦略責任者)は「債券市場にとって、悪いニュースは良いニュースだ」と指摘しています。

経済の減速を示すデータが、FRBによる早期の利下げを促す可能性があると述べています。

ただし、同氏は「経済成長が潜在成長率を下回る見込みだが、リセッション(景気後退)は予想していない」とし、「関税は持続的なインフレ圧力になる可能性が高い」と警告しています。

経済指標の詳細

この日発表された主な経済指標は以下の通りです

  • 4月の小売売上高:前月比0.1%増(伸びは前月から鈍化)
  • 4月の卸売物価指数(PPI):前年比の伸びが鈍化し予想を下回る、前月比では0.5%低下
  • 4月の製造業生産指数:0.4%低下(予想以上に低下)

国債利回りの動き

  • 10年債利回り:7.9bp低下の4.449%(4月24日以来の大幅な低下)
  • 30年債利回り:5.2bp低下の4.915%(一時は5%に達した)
  • 2年債利回り:9.2bp低下の3.961%
  • 2年債と10年債の利回り格差:48bp(前日からほぼ横ばい)

FRBの見解

FRBのバー理事は、米経済が堅調に推移しているとの認識を示す一方で、関税によるサプライチェーンの混乱が成長鈍化やインフレ圧力の高まりにつながる恐れがあると警告しています。

まとめ

✅ 米国債の利回りが大幅に低下し、年内に2回の利下げが見込まれています

✅ 4月の経済指標は景気減速とインフレ鈍化の兆候を示しています

✅ 専門家は景気後退までは予想していないものの、関税がインフレ圧力になる可能性を指摘しています

✅ FRBは景気とインフレのバランスに注意しながら金融政策を調整していく見通しです

 

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル円相場はドル安、米経済の弱さが鮮明に

  • 米経済指標の弱さが目立ち、ドル安の流れが進んでいる
  • 円はドルに対し3営業日連続で上昇、一時1ドル145円42銭を記録
  • 米国の財政赤字拡大に対し外国人投資家が消極的になり、ドル安の要因に
  • FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待は後退気味だが、9月の利下げ確率は依然として高い

ドル安の背景は米経済指標の悪化

外国為替市場では、ドルが下落しました。ドルが売られた主な理由は、この日発表された複数の米経済指標が市場の予想よりも悪かったことです。

特に影響が大きかった指標は以下の通りです

  • 小売売上高(4月):伸びが鈍化し、米国内の消費が弱まっていることが鮮明に。

  • 卸売物価指数(PPI):前年比の伸びが減速し、物価上昇の勢いが弱まっていることを示唆。

  • 製造業生産指数:市場の予想以上に低下し、米国の製造業に対する懸念が強まっています。

こうした経済指標を受け、ドルは主要通貨に対して全面的に値を下げました。


ドルを押し下げる要因としての米財政赤字問題

さらに、市場関係者が注目しているのは米国の財政赤字問題です。

ドイツ銀行のジョージ・サラベロス氏は、米議会での税制法案の審議が財政赤字の削減に消極的であることを指摘しています。

財政赤字とは?

国の歳出(支出)が歳入(収入)を超えた状態のことです。これが拡大すると、国は不足した分を国債(国の借金)で賄う必要があります。

米国が財政赤字を拡大すると、米国債の発行量が増加しますが、外国人投資家が積極的に購入しない場合、金利が上昇したりドルが売られる要因になります。


FRBの利下げ見通しとドル相場への影響

現在のところ、米金融当局(FRB)は利下げ(政策金利の引き下げ)を急いでいないようです。ただし、景気後退への懸念が強まれば、年内に利下げに踏み切る可能性があります。

最新の市場データによれば、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で25ベーシスポイント(0.25%)の利下げが行われる確率は約75%となっています。利下げは通常、ドル安の要因になりますが、現在は貿易摩擦が一部緩和されているため、利下げ期待はやや後退しています。

利下げとは?

中央銀行が政策金利を引き下げることで、経済活動を刺激する目的があります。金利が下がると、その国の通貨は一般的に売られやすくなります。


専門家の見方は「短期的なレンジ相場」

市場専門家からは、現在のドル安が急激に進むためには追加の材料が必要との声が上がっています。

クレディ・アグリコルのバレンティン・マリノフ氏は、為替市場が短期的に現在のレンジ(一定の範囲内)で推移する可能性を指摘しています。これは、ドルを売り続けるほどの強い材料が現時点では見当たらないためです。


まとめ

✅ 米経済指標の悪化がドル安を加速

✅ 米国の財政赤字拡大に対し、外国人投資家が米国債の購入に消極的

✅ FRBの利下げ期待はやや後退も、年内の利下げ確率は高いまま

✅ 市場は短期的にドルが一定の範囲内で推移すると予測

原油価格続落の背景と要因

原油先物相場が続落しています。トランプ米大統領がイランの核計画を巡る交渉について「合意に近づいている」と発言したことが背景です。

この合意が実現すると、すでに供給過剰に向かっている原油市場でさらに供給が増える可能性があります。

イラン合意による市場への影響

  • アナリストによれば、イランへの制裁が全て解除された場合、世界市場に大量の原油が流入する見込み
  • マッコーリーのストラテジスト・ビカス・ドウィベディ氏は「早ければ年内に合意の可能性」と予測
  • 合意成立で日量20万-30万バレルの供給増につながる可能性
  • イランの原油輸出は既に増加し、4月には日量約170万バレルに達した

その他の原油市場の懸念材料

  • OPECプラス(石油輸出国機構と非加盟産油国の連合体)が予想以上のペースで増産を再開
  • 米国と主要原油消費国との通商協議が需要見通しを不透明に
  • 国際エネルギー機関(IEA)の月報も弱気センチメントに拍車
  • IEAは世界の石油需要について、年内は伸び鈍化が見込まれると予測

原油価格の動向

  • WTI原油先物6月限:前日比1.53ドル(2.4%)安の1バレル=61.62ドルで終了
  • 北海ブレント7月限:1.56ドル(2.4%)下落の64.53ドル

金相場の反発

金相場は反発しました。米経済指標を受けて、年内の利下げ観測が強まったことが背景です。

金価格の現状と見通し

  • 金は4月に記録した過去最高値を依然として300ドル余り下回る水準
  • 米中の貿易摩擦緩和を背景に、安全資産としての需要が後退
  • オーバーシー・チャイニーズ銀行のクリストファー・ウォン氏は「ロングポジションのさらなる解消が起こる可能性」を指摘
  • 1オンス=3050-3150ドル近辺でのある程度の下値支持を予想
  • 支持線を割り込めば「2950ドルの水準に向けてさらに調整するリスク」も

金価格の動向

  • 金スポット価格:前日比46.42ドル(1.5%)高の1オンス=3223.67ドル
  • COMEX金先物6月限:38.30ドル(1.2%)上昇の3226.60ドルで取引終了

まとめ

✅ 原油価格は米国とイランの核合意が近づいているとの見方から続落しています

✅ イランへの制裁解除で日量20万-30万バレルの原油供給増の可能性があります

✅ IEAは世界の石油需要の伸び鈍化を予測し、市場の弱気センチメントを強めています

✅ 金相場は米経済指標を受けた利下げ観測から反発したものの、過去最高値からは大幅に下落しています

✅ 米中貿易摩擦の緩和により、金の安全資産としての需要が低下しています