2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/17

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場が5日続伸、貿易摩擦の緩和期待で投資家が回帰

  • 米株式市場は5営業日連続で上昇。S&P500種指数は週間で今年2番目の大幅高を記録
  • 米中、米欧間の貿易摩擦の緩和期待が市場心理を好転させ、投資資金が米国株に戻ってきている
  • 一方で、一部専門家からはこの上昇は一時的であり、今後停滞する可能性も指摘されている

貿易摩擦の緩和が市場を後押し

米株式市場は続伸しました。S&P500種株価指数は5日連続で上昇し、週間の上げ幅としては今年2番目の規模となりました。主な要因は、トランプ米大統領による貿易戦争が緩和に向かっているとの期待感です。

16日に発表された米国の消費者信頼感指数(ミシガン大学調査)は悪化しましたが、米中間での関税停止合意や、米国と欧州連合(EU)間での交渉が再開される可能性が報じられ、投資家の安心感が広がりました。


米国株への投資資金が再流入

関税政策の影響で敬遠されていた米国株ですが、状況の好転を受けて資金が戻りつつあります。バンク・オブ・アメリカ(BofA)によると、先週には約200億ドル(約2兆9100億円)が米国株式ファンドに流入しました。これは1カ月ぶりの大規模な流入となります。

関税とは?
輸入される商品に対して国が課す税金のこと。関税を上げると輸入品が割高になり、貿易が制限されることがあります。


市場の専門家は慎重な見方も

一方、市場関係者の中には慎重な見方もあります。モルガン・スタンレーのリサ・シャレット氏は「ここからの米国株の大幅な上昇は難しいだろう」と指摘しています。

特に、ハイテク大手7社(通称マグニフィセント・セブン)の業績伸び悩みが相場のさらなる上昇を抑制すると見ています。

マグニフィセント・セブンとは?
米国を代表する7つの巨大ハイテク企業(アップル、マイクロソフト、アルファベットなど)の通称です。

また、クリアノミクスのチーフ市場ストラテジストのリンジー・ベル氏は「今後も関税に関するニュースが市場を揺さぶる可能性があり、経済指標の変化にも注意が必要」と述べました。


個別銘柄の動きにも注目

  • ユナイテッドヘルス・グループ:医療保険大手で、6.4%の上昇。8日連続の下落から持ち直しました。

  • アプライドマテリアルズ(半導体製造装置):売上高が予想を下回り、5.3%下落。

  • ベライゾン(通信大手):フロンティア・コミュニケーションズの買収承認を受け、1.7%上昇。


まとめ

✅ 米国株は貿易摩擦緩和の期待感で大幅上昇したが、持続性には注意が必要

✅ 米中および米欧の交渉進展ニュースが市場の動きを左右する

✅ 投資資金は米国市場に再び戻り始めている

✅ 大手ハイテク企業の業績鈍化が市場上昇のリスクとなっている

✅ 個別企業の業績や買収ニュースにも注目が集まる

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債格付け引き下げの影響と背景

ムーディーズによる米国債格付け引き下げ

ムーディーズ・レーティングスは米国の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」へと1段階引き下げました。この決定は政府債務の増加を主な理由としています。この動きにより、米国債は下落し、特に終盤に下げ幅を拡大しました。

格付け引き下げの背景

  • 政府債務の継続的な増加
  • 財政指標の悪化
  • 米国の経済的・金融的強みだけでは債務問題を相殺できないという判断

ムーディーズは1年余り前に米国の格付け見通しを「ネガティブ」に変更していましたが、今回の引き下げ後の見通しは「ステーブル(安定的)」としています。

市場への影響

格付け引き下げの発表後、米国債相場は下げ幅を拡大し、10年債利回りは一時4.49%まで上昇しました。10年債は週間ベースで3週連続の下落となり、今年最長の下げ局面を記録しています。

主要な米国債利回りの状況

  • 米30年債利回り: 4.94%(前営業日比+5.8bp、+1.19%)
  • 米10年債利回り: 4.48%(前営業日比+4.7bp、+1.07%)
  • 米2年債利回り: 4.00%(前営業日比+3.9bp、+0.98%)

※bp(ベーシスポイント):金利の変動を表す単位で、0.01%のことを指します

今後の見通しと懸念点

現在トランプ政権と米議会は2017年の税制改革で導入された個人向け減税の恒久化などを含む税制パッケージの協議を進めていますが、歳出抑制の見通しは不透明です。

さらに、世界的な関税戦争の余波で米経済が減速すれば、財政赤字が一段と拡大する可能性があります。

ベッセント米財務長官は連邦財政が「持続不可能な軌道」にあると警告し、「債務の数字は実に恐ろしい」と述べています。

消費者センチメントの悪化

この格付け引き下げの発表と同日に、米消費者のセンチメント指標が5月に予想外に悪化し、過去2番目の低水準となりました。関税を巡る懸念が高まる中、インフレ期待は数十年ぶりの高水準を記録しています。

まとめ

✅ ムーディーズが米国の信用格付けを「Aaa」から「Aa1」へと引き下げ、フィッチとS&Pに続き世界最大の経済大国が最高格付けを失いました

✅ 格付け引き下げの主な理由は政府債務の増加と財政指標の悪化です

✅ 格付け引き下げにより米国債相場は下落し、10年債は3週連続の下げとなりました

✅ 税制改革と関税問題など、今後の財政赤字拡大リスクが懸念されています

✅ 消費者センチメントも悪化しており、経済への影響が懸念されます

 

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル高が継続、しかし先行きに慎重な声も

  • 米ドル指数が2週連続の上昇となり、ドル高が続いている
  • トランプ大統領は貿易相手国との関税率について近々決定すると発言
  • 長期的にはドル安になるという見方もある
  • 日本経済の成長鈍化や財政への懸念で、円売りの傾向が続くとの予想がある
  • 一方で、米雇用統計の悪化を懸念し、円高(ドル安)の好機と見る意見もある

ドル高基調の背景は?

米国の経済指標が予想外に強かったことや、日本の第1四半期GDP(国内総生産)が4四半期ぶりにマイナス成長となったことで、ドル高円安の流れが強まりました。実際に、ドル/円レートは一時146円台をつけるほど上昇しました。


トランプ大統領、関税政策を間もなく決定へ

トランプ米大統領は、関税政策の詳細を今後2~3週間以内に決めるとしています。ただし、全ての国々と交渉を進める余力がないことを明らかにしており、市場では不透明感も残っています。


ドルの長期的な見通しは「ドル安」が主流

モルガン・スタンレーの専門家は、長期的にはドルが今年中にさらに6%下落する可能性を示唆しています。米国経済が突出して強いとされた「米国例外主義」のピークは過ぎ、今後数年でドル安がトレンドとなる可能性が高いとの見方です。

【米国例外主義とは?】
米国経済が他国に比べて突出して強く、安全資産としてドルが選ばれる状況のことです。


円相場は財政懸念から下落圧力

日本経済は第1四半期にマイナス成長となり、日米貿易交渉にも進展が見られないことから、日本の財政状況に懸念が広がっています。このため、円を売ってドルを買う動きが強まっています。


今後の注目ポイント:米国雇用統計の動向

三菱UFJのアナリストは、6月初旬に発表される米国の雇用統計が弱くなる可能性があり、それがドルを売り円を買うチャンスになると指摘しています。雇用統計の結果によっては、為替市場が大きく動く可能性があります。


まとめ

✅ ドル指数は2週連続上昇も、長期的にはドル安との見方がある

✅ トランプ大統領は間もなく関税政策の詳細を発表予定、依然不透明感が残る

✅ 日本の経済状況悪化により円が弱含み、円安が続く可能性がある

✅ 米国の雇用統計次第では、短期的に円高(ドル安)への転換も

✅ 市場の不確実性は高く、投資家は慎重な姿勢を維持している

原油相場の最新動向

イラン情勢を受けて原油価格が上昇

ニューヨーク原油先物相場は3日ぶりに上昇しました。この上昇は、イランの核プログラムを巡る米国との交渉に進展が見られないことが主な要因です。イランのアラグチ外相はXへの投稿で、米国から書面による提案を一切受け取っていないと表明し、国際社会が受け取っているメッセージは混乱していると指摘しました。

これに先立ち、トランプ米大統領は15日にイランとの交渉について合意が近づいている可能性があると発言していました。この発言を受けて原油相場は一時下落していましたが、イラン側の否定的な見解により再び上昇に転じました。

市場の反応とトレーダーの見方

CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は、「取引の多くは地政学的なニュースに対する反応的な動き」と分析しています。また、週末を控えたポジション調整も価格変動に影響を与えていると指摘しました。不確実性が続く中、トレーダーはリスクを減らす動きを見せています。

原油価格の具体的な動き

  • ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限:前日比87セント(1.4%)高の1バレル=62.49ドルで終了
  • ロンドンICEの北海ブレント7月限:1.4%上昇し65.41ドル

金相場の最新動向

地政学的緊張緩和で金価格が下落

金スポット相場は反落しました。ロシアとウクライナが約3年ぶりとなる直接協議を実施したことや、米中貿易協議の進展が見られたことが要因です。週ベースでは半年ぶりの大幅安となりました。

ロシア・ウクライナ協議と米中貿易関係

トルコで行われたロシアとウクライナの協議では、捕虜交換で一致したものの、戦闘停止の合意には至りませんでした。一方、米中貿易協議の進展もあり、リスク資産が急回復する中で金需要は押し下げられました。

オーバーシー・チャイニーズ銀行のストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「関税を巡る緊張の緩和で不確実性がやや後退しており、金には買い疲れが見られる」と分析しています。

金価格の具体的な動き

  • 金スポット価格:前日比47.99ドル(1.5%)安の1オンス=3,192.11ドル
  • 週間ベース:4%下落
  • ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限:39.40ドル(1.2%)下落の3,187.20ドルで引け

まとめ

✅ 原油価格はイラン核協議の進展見通し後退を受けて3日ぶりに上昇しました

✅ イラン外相は米国から書面による提案を一切受け取っていないと表明し、トランプ大統領の発言と矛盾しています

✅ 金価格はロシア・ウクライナ協議や米中貿易緊張緩和を受けて下落し、週間ベースでは半年ぶりの大幅安となりました

✅ 市場は地政学的ニュースに対して反応的な動きを示しており、不確実性が継続しています