2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/24

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株急落:トランプ氏の関税警告が市場を動揺させる

  • トランプ米大統領がEUとアップルを中心に新たな関税措置を警告したことが市場の不安を高め、米国株が下落
  • 米ドルも急落し、対円で1%以上下げ、2023年12月以来の安値をつけた
  • 市場関係者は、不確実性とボラティリティ(価格変動性)が高まったと分析

米国株式市場が下落した理由

米国株式市場は5月23日に下落して取引を終えました。その主な原因は、トランプ大統領がEUと大手企業のアップルに対して新たに関税を課すことを警告したためです。

この警告により、市場の先行きに対する不安が再び広がりました。

トランプ氏の新たな関税警告の内容

トランプ氏は以下の内容を警告しました

  • EUに対して:6月1日から輸入品に対して50%の関税を課す方針を表明。

  • アップルをはじめとする携帯電話メーカーに対して:米国国内で製造されないスマートフォンに対して25%の関税を課すと警告。

この発表により、市場では再び貿易摩擦が深刻化する懸念が高まりました。

市場への影響と専門家の見解

関税に関する発表に敏感な市場は急激に下落しましたが、米財務長官が「複数の貿易合意が間もなく成立する可能性がある」と発言したことで、一時的に下げ幅を縮める場面もありました。

また、市場の専門家たちは次のように指摘しています

  • ナベリアー氏(ナベリアー&アソシエーツCIO)
    「市場のテーマはボラティリティ(価格の変動の激しさ)であり、関税問題が市場に大きな影響を与え続ける。」

  • グプタ氏(ウィズダムツリーUK)
    「市場は今後も神経質な状態が続くだろう。関税に関する不確実性は依然として高い。」

  • キャピタル・エコノミクス
    「50%という高率な関税は交渉のための脅しの可能性が高く、最終的には10%程度に落ち着くと予想。ただし、不確実性は依然として高い。」

個別企業への影響

  • アップル:新たな関税措置の懸念で株価が3%下落

  • USスチール:トランプ氏が日本製鉄との提携を支持したことを受け、株価は21%上昇


米ドルも急落、為替市場にも影響

株式市場だけでなく、為替市場でも米ドルが急落しました。特に対円では1%以上も下落し、2023年12月以来の安値となりました。

米国の財政赤字や債務問題もあり、投資家のリスク回避傾向が強まっています。


ボラティリティとは?

市場における価格変動の激しさを示します。ボラティリティが高いほど、価格が大きく変動しやすくなります。


今後の見通し

当面、市場はトランプ氏の関税に関する動向に敏感に反応し続けるでしょう。専門家の間では、関税交渉が決着するまでは株式・為替市場ともに不安定な状態が続くとの見方が強まっています。


まとめ

✅ トランプ氏がEUおよびアップルに対する新たな関税警告を発表し、米国株式市場が下落

✅ 米ドルは円に対して1%以上下落し、2023年12月以来の安値

✅ 市場関係者は、今後も不安定な状況(ボラティリティの高さ)が続くと予測

✅ アップル株は関税懸念で下落、逆にUSスチールは好材料で上昇

✅ 関税の最終的な落ち着きどころについては依然として不確実性が高い状況が続く見込み

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

国債市場の最新動向:米国債利回りの変化と背景

米国債利回りの状況

米国債市場では、大半の年限で利回りが小幅に低下しました。特に注目すべき点は以下の通りです

  • 米10年債利回り:4.51%(前日比-1.8bp、-0.39%)
  • 米30年債利回り:5.04%(前日比-0.2bp、-0.04%)
  • 米2年債利回り:3.99%(前日比+0.1bp、+0.03%)

※bp(ベーシスポイント):金利の変動を表す単位で、0.01%を1bpと表します

市場変動の背景

  1. トランプ氏がEUとアップルに対し関税を警告した後、一時的に利回りが大きく下落
  2. その後、米国株式市場が下げ幅を縮小したことで、国債利回りの低下幅も縮小
  3. この日の米国債市場は米東部時間午後2時までの短縮取引でした

長期国債の動向

長期ゾーンの国債利回りが低下した主な理由

  • トランプ氏の関税警告により経済成長の鈍化懸念が高まった
  • 週初来は財政見通しを巡る懸念から上昇傾向だった
  • 10年国債利回りは3.6bp低下して4.517%に(22日には4.629%と2月以来の高水準)
  • 2年債と10年債の利回り格差は52bpに縮小

専門家の見解

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのソリタ・マルチェリ氏は次のように述べています: 「今後数週間、財政赤字への懸念から利回りが徐々に上昇するリスクはありますが、利回りが大きく上昇した場合には、FRB(米連邦準備制度)かトランプ政権が調整に動く可能性が高い」

まとめ

✅ 米国債市場では長期ゾーンを中心に利回りが小幅低下しました

✅ トランプ氏の関税警告が一時的な下落要因となりましたが、その後は下げ幅が縮小しました

✅ 財政赤字懸念から今後利回りが上昇するリスクがありますが、急上昇時には当局の介入も予想されます

✅ 26日のメモリアルデー(戦没者追悼記念日)を控え、この日は短縮取引でした

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドルが急落、トランプ氏の関税再燃で円高加速

  • ドルが大幅に下落し、2023年12月以来の安値を記録
  • 円はドルに対し1%を超える上昇で142円台に
  • トランプ米大統領の関税強化発言がドル下落を加速
  • 米国の財政赤字拡大懸念もドル売りを促進

トランプ大統領の関税再燃でドルが全面安に

外国為替市場ではドルが全面安となりました。ブルームバーグのドル・スポット指数は一時0.8%下落し、年初からの下落幅が7%を超え、2023年12月以来の安値を更新しています。

関税引き上げの脅威とは?

今回のドル急落の主因は、トランプ大統領の新たな関税強化の発言です。

トランプ大統領は

  • 「アップルが米国内で『iPhone』を製造しないなら、最低25%の関税を課す」

  • 「欧州連合(EU)からの輸入品に6月1日から50%の関税を課す」

と警告しました。

これにより市場では、貿易摩擦の再燃や景気後退リスク(リセッション)への警戒感が急速に広まりました。

ドル安で円やユーロが上昇

ドルが売られた影響で、投資家は安全な資産としての「円」や「ユーロ」に資金を移しました。

  • 円は対ドルで一時1.1%高の142円42銭まで上昇

  • ユーロは対ドルで一時0.8%値上がりし、1ユーロ=1.1366ドルに上昇

円やユーロは「安全資産」とみなされ、不安定な市場環境で買われる傾向があります。

米国債にも影響が波及

関税引き上げが景気後退を引き起こすとの見方から、米国債(安全資産)にも資金が流入しました。これにより米国の長期金利(10年国債利回り)は7.5ベーシスポイント(約0.075%)低下して4.45%となりました。

米国債利回りとは?
  • 米国政府が発行する債券(国債)の利息率のことで、経済情勢や金融政策の変化によって上下します。利回りが低下するということは、国債の価格が上昇していることを意味します(安全資産として買われる)

専門家が指摘するドル安の背景と影響

ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は、「EUからの関税引き上げは、米国経済の不確実性を高め、景気後退リスクを再び浮上させる」と警告しています。

また、ラボバンクのジェーン・フォーリー氏は「財政悪化やインフレ懸念により、投資家が米国資産を避ける動きを強めている」と分析しています。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのウィン・シン氏は、「財政問題や関税の脅威、米経済指標の悪化という複数の要因が重なった『パーフェクトストーム』がドル安を加速させている」と述べています。

パーフェクトストームとは?
  • 複数の悪い出来事が重なり、壊滅的な状況を招くことを指す言葉です。


まとめ

✅ トランプ氏の関税警告でドルが2023年12月以来の安値

✅ 円が1ドル142円台へ大幅に上昇(円高)

✅ 安全資産の米国債への資金流入で米10年債利回りが低下

✅ 市場では米国の景気後退リスクへの警戒感が再燃

✅ ドル安の背景には財政赤字やインフレへの懸念が強まっている

原油・金市場の最新動向

原油相場の反発

  • ニューヨーク原油先物相場は4日ぶりに反発しました
  • 祝日を挟む週末を控え、取引は薄い状況でした
  • 米国とイランの核協議が決定的な進展を見せなかったことが相場を押し上げました
  • 米国の新築住宅販売が市場予想を上回ったことやドル安も相場を支えました

原油価格の変動要因

  • トランプ大統領がEUからの輸入品に50%の関税を課す考えを示したことで、一時2%近く下落する場面もありました
  • ダンスケ銀行のペデルセン氏は「今週は弱気センチメントが原油市場に戻った」と指摘
  • 市場の懸念材料
  • OPECプラス(石油輸出国機構と非加盟産油国の連合)の新たな供給引き上げ方針
  • イラン核協議の進展や同国への制裁解除の可能性
  • 貿易交渉の停滞

原油価格の終値

  • WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)先物7月限:前日比33セント(0.5%)高の1バレル=61.53ドル
  • 北海ブレント7月限:0.5%上昇の64.78ドル

金相場の上昇

  • 金相場は反発し、スポット価格は週間ベースで約5%上昇しました
  • トランプ関税を巡る懸念が再燃し、金への逃避需要が強まりました
  • 年初来では25%余り上昇しており、主な背景には米国主導の関税戦争による影響があります
  • 貿易摩擦による混乱を懸念した株式からの資金退避が、安全資産とされる金への資金流入を加速させています
  • 米国の財政赤字拡大への懸念も、安全資産需要を支えています

金価格の終値

  • 金スポット価格:前日比70.25ドル(2.1%)高の1オンス=3364.77ドル
  • COMEX(ニューヨーク商品取引所)金先物8月限:70.90ドル(2.1%)高の3394.50ドル

まとめ

✅ 原油相場は米イラン核協議の進展停滞や米住宅販売好調を受けて4日ぶりに反発しました

✅ トランプ大統領のEU関税発言で一時下落も、WTI先物は0.5%高の61.53ドルで取引を終えました

✅ 金相場は関税懸念による逃避需要で大幅上昇し、スポット価格は2.1%高の3364.77ドルとなりました

✅ 貿易摩擦と米国の財政赤字拡大懸念が金への資金流入を促進しています