2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/7

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

経済指標カレンダー

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株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場続落、関税問題と景気後退懸念が重しに

  • 米国株式市場はFOMC(連邦公開市場委員会)の政策決定を控え、リスク回避の動きで下落
  • トランプ大統領の関税に関する強硬姿勢が市場の懸念を払拭できず
  • 多くの専門家が今後の株価上昇余地は限定的で、下振れリスクが大きいと指摘

米株市場、FOMC前にリスク回避の売り

5月6日の米株式市場は下落しました。翌日のFOMCの政策発表を控え、市場参加者の多くが慎重な姿勢をとったためです。また、

トランプ大統領の関税政策に関する発言が市場の不安を解消することはありませんでした。

  • S&P500指数:5606.91(前日比 -0.77%)

  • ダウ平均:40829.00(前日比 -0.95%)

  • ナスダック総合指数:17689.66(前日比 -0.87%)

ドルは弱含み、円相場は142円台前半に上昇しました。


トランプ大統領、関税を巡り強硬姿勢

トランプ大統領は、貿易交渉に関して自らが決定権を持つことを強調しました。これにより貿易摩擦が長期化し、景気に悪影響を及ぼすとの懸念が広がっています。

関税とは?

外国から輸入する商品に課される税金のことです。関税が高くなると輸入品の価格が上昇し、消費者や企業の負担が増加する可能性があります。


市場関係者は慎重な見方を強調

著名な専門家や投資銀行は、今後の市場動向に対して以下のような慎重な見方を示しています。

ゴールドマン・サックス
  • 「現在の株価水準では上値余地がほぼない」
JPモルガン
  • 「米国資産は安全な逃避先として魅力的ではない」
HSBC
  • 「経済の基本的な状況(ファンダメンタルズ)は依然として悪い」

特に、ここ最近の市場の急回復は「ベアマーケット・ラリー(弱気相場の一時的な反発)」であり、投資家が大きな損失を被るリスクが高まっていると警告されています。

ベアマーケット・ラリーとは?

下落傾向(弱気相場)の中で一時的に株価が急回復することを指します。この後、再び株価が下落することが多い現象です。


注目銘柄の動向

  1. ヘルスケアセクターは2.8%下落し、特に医薬品関税の影響を懸念
  2. イーライ・リリー:-5.6%
  3. モデルナ:-12.3%
  4. パランティアは業績の期待値を大きく上回らず、12%下落
  5. コンステレーション・エナジーは好決算を受け、10.3%上昇

今後の見通し

トランプ大統領が関税を緩和する兆候が見られなければ、市場の不安定さが続くことが予想されます。特に米中間の貿易交渉や欧州・カナダとの交渉が難航する可能性があり、投資家は引き続き警戒を強める必要があります。


まとめ

✅ FOMC前のリスク回避で米株式市場は下落

✅ トランプ大統領の関税政策が市場の不安要因に

✅ 株価は上昇余地が限定的で下振れリスクが高まっている

✅ ヘルスケアやテクノロジー株が大幅下落、投資家心理は悪化

✅ 米中交渉をはじめとする貿易問題が今後の市場の焦点に

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債相場上昇:投資家需要健在、関税懸念もサポート材料に

  • 米国債相場が上昇し、利回りは大幅に低下
  • 10年債入札が予想以上の好調な結果を示し、米国資産への需要懸念が和らぐ
  • トランプ政権の関税政策への警戒感も国債相場を押し上げる要因に
  • 市場は年内に3回の利下げを予想、最初は9月との見方が多数

国債市場の動向

米国債相場は上昇(利回りは低下)しました。420億ドル規模の10年債入札が堅調な結果となり、米国資産への投資家需要に対する懸念が和らぎました。また、トランプ大統領の関税政策への警戒感も国債相場の上昇要因となっています。

主要国債利回りの変動

  • 米30年債利回り:4.80%(前日比-3.5bp、-0.73%)
  • 米10年債利回り:4.30%(前日比-4.7bp、-1.08%)
  • 米2年債利回り:3.78%(前日比-5.0bp、-1.29%)

ベーシスポイント(bp)とは? 金利の変動を表す単位で、1bp=0.01%を意味します。例えば、4.7bpの低下は0.047%の低下を示します。

10年債入札の好調な結果

10年債入札では、最高落札利回りが4.342%となり、入札前取引(WI)水準を約1ベーシスポイント下回りました。これは予想以上の需要があったことを示しています。

入札の詳細分析

  • 応札倍率:2.60倍(平均の2.56倍を上回る)
  • プライマリーディーラーの落札比率:全体の8.9%と低水準

プライマリーディーラーの落札比率が低いということは、十分な投資家需要があり、ディーラーが余剰分を吸収する必要がなかったことを意味します。これは市場参加者にとって安心材料となりました。

金融政策の見通し

FRB(連邦準備制度理事会)当局者らは、4月に発動されたトランプ政権の貿易政策が経済に与える影響を見極めてから、政策金利の変更を検討する姿勢を示しています。

トランプ大統領が利下げを求めてパウエルFRB議長を批判していますが、次回のFOMC(連邦公開市場委員会)では金利が据え置かれるという予想が多数です。

一方、市場は年内に0.25ポイントの利下げを3回織り込んでおり、最初の利下げは9月との見方が広がっています。

まとめ

✅ 米国債10年債の入札は予想以上に好調で、米国資産への海外からの需要は健在と証明されました

✅ プライマリーディーラーの低い落札比率(8.9%)は、実際の投資家需要が高かったことを示しています

✅ 市場は今後の金融政策として、年内3回の利下げを予想していますが、次回FOMCでは据え置きの公算が大きいとされています

✅ トランプ政権の関税政策への懸念が、安全資産である国債への需要を高める要因となっています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル指数が続落、FOMCを前に市場は慎重姿勢

  • ドル指数が3営業日続落。FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果待ち
  • トランプ政権の関税政策とスタグフレーション懸念でドルに下落圧力
  • 円高が進行し、一時1ドル=142円36銭まで上昇

ドル指数とは?

ドル指数(ドルインデックス)とは、ユーロや円など主要通貨に対するドルの総合的な強さを示す指標です。値が下がるとドル安を意味します。


FOMCを前に市場は様子見

米連邦準備理事会(FRB)は、7日から2日間の政策決定会合(FOMC)を開催中です。市場では今回は金利据え置き(利上げ・利下げなし)を予想していますが、FRBが貿易摩擦やインフレへの対応策について明確な姿勢を示すかどうかに関心が集まっています。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)のシニアストラテジスト、エリアス・ハダッド氏は「ドルは短期的に一旦落ち着く可能性があるが、基本的には弱い環境が続く」と指摘しています。


円高進行、スイスフラン売り推奨の動きも

円は対ドルで約1%上昇し、一時142円36銭を記録しました。RBCキャピタル・マーケッツのジョージ・モラン氏は、市場がスイス中央銀行のデフレ対応策を甘く見ていると指摘し、「円高・スイスフラン安」を見越して円買い・スイスフラン売りの戦略を推奨しています。


ドル安背景には貿易政策への不安

トランプ政権が進める関税交渉の遅れがドル安の背景にあります。市場参加者は、米国が提示した90日間の関税猶予期間に具体的な成果が見られないことに神経質になっています。

一方で、ユーロはドイツでCDU(キリスト教民主同盟)のメルツ党首が首相に選ばれたことを好感して、対ドルで上昇しました。


カナダドルも堅調推移

カナダドルは米ドルに対して0.39%上昇しました。これはカナダのカーニー首相が米トランプ大統領との会談で、「カナダを米国の一部として売り物にするつもりはない」と明確に否定したことが影響しています。


FOMC後の展望

FRBは今回のFOMCでハト派的(利下げや緩和的姿勢)なメッセージを強調するか注目されています。しかしマッコーリーのアナリストらは、「パウエル議長は明確な方向性を示さない可能性が高く、過度な期待は控えるべきだ」と分析しています。

翌8日にはイングランド銀行も政策決定を控えており、英ポンドも対ドルで堅調に推移しています。


まとめ

✅ ドル指数はFOMCを前に3日連続下落

✅ 米政府の貿易政策やスタグフレーション懸念がドル安の原因

✅ 円相場はドルに対し強含み、一時142円台前半へ

✅ 市場はFRBが明確な政策指針を示すことを期待も、実現性は低いとの見方

✅ ユーロ、カナダドル、ポンドは各国事情を背景に対ドルで上昇

原油相場が大幅反発

ニューヨーク原油相場が大幅に反発しました。米国の原油生産が数カ月先に減少へ転じる兆候が示され、4年ぶりの安値から持ち直しました。

米国生産見通しの下方修正

  • パーミアン盆地最大の独立系石油会社ダイヤモンドバック・エナジーが通期生産見通しを下方修正
  • 数カ月先には米国のシェールオイル生産が減少するとの予想を発表
  • オンショア掘削装置の稼働率が6月末までに10%近く低下する見込み
  • 米エネルギー省も国内原油生産見通しを下方修正

OPECプラスの動向

  • OPECプラス(石油輸出国機構と非加盟産油国の連合)は予想を上回るペースでの増産を決定
  • 6月からさらに産油量を引き上げることで合意
  • サウジアラビアは割り当て違反が続けば、追加の産油量引き上げもあり得ると警告

OPECプラスとは? 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟産油国が連携して原油市場の安定化を図るグループです。

原油価格の動向

  • 原油価格は今年、以下の要因で大きく下落
    • トランプ前大統領の貿易戦争による需要見通し圧迫
    • OPECプラスの減産方針転換
  • 6月4日の価格終値
    • WTI原油先物:59.09ドル(前日比1.96ドル・3.4%高)
    • 北海ブレント原油:62.15ドル(3.2%高)

WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)とは? 米国で産出される高品質の原油で、国際的な原油価格指標の一つです。

地政学的要因

  • トランプ氏は中国への関税引き下げに意欲を示す一方、習近平国家主席との会談計画はなし
  • 習近平国家主席はロシアを訪問し、プーチン大統領との緊密関係を誇示
  • イスラエル軍がイエメンの首都サヌアの空港を空爆、中東で新たな緊張

金相場も大幅続伸

ニューヨーク金相場は大幅に続伸しました。投資家はベッセント米財務長官の発言を消化しつつ、FOMC(連邦公開市場委員会)の結果を待っている状況です。

金価格の動向

  • 金価格は年初から25%以上上昇
  • 4月には1オンス当たり3500ドルを超え、過去最高値を更新
  • 6月4日の価格
    • 金スポット価格:3415.97ドル(前日比81.85ドル・2.5%高)
    • 金先物6月限:3422.80ドル(100.50ドル・3%高)

上昇の背景

  • トランプ氏の貿易政策に伴う市場混乱で代替資産としての地位強化
  • 中国での投機需要増加
  • 世界の中央銀行による購入増加
  • 貿易面での緊張による世界経済減速懸念

FOMC(連邦公開市場委員会)とは? 米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定機関で、年に8回開催され、政策金利などを決定します。

まとめ

✅ 米国の原油生産見通し下方修正が原油価格の下支え要因となっています

✅ OPECプラスは増産方針へと転換、市場シェア確保を目指しています

✅ 地政学的緊張(米中関係、中東情勢)が引き続きエネルギー市場に影響しています

✅ 金相場は経済不安を背景に年初来25%以上上昇し、代替資産としての魅力を高めています

✅ 今後のFOMC決定と貿易交渉の行方が両市場の方向性を左右する見込みです