2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/11

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株が上昇、米中通商協議進展への期待高まる

  • 米中の貿易交渉が順調との発言を受け、米株式市場は上昇しました。
  • 特にテスラなど大型ハイテク株が株価の上昇をけん引しました。
  • 市場は11日の消費者物価指数(CPI)の発表に注目しています。

米中貿易交渉進展への期待で株価上昇

10日の米国株式市場は、米中貿易交渉が順調に進んでいるとの米国政府高官の発言を好感し、上昇しました。ラトニック商務長官の「交渉は実に順調に進んでいる」とのコメントが市場の安心感を誘いました。

各指数の動向

  • S&P500種株価指数:6038.81(+0.55%)

  • ダウ工業株30種平均:42866.87(+0.25%)

  • ナスダック総合指数:19714.99(+0.63%)

特にS&P500指数は過去最高値にあと2%未満に迫っています。


米中通商協議の現状は?

ロンドンで開催中の米中通商協議は、事務的な詰めの段階に入り、10日夜遅くまで続いています。協議が11日まで延長される可能性も示唆されています。投資家は両国が貿易障壁を減らす合意に達することを期待しています。

背景にある貿易摩擦

先月の協議では、米国がレアアース(希土類)をめぐって中国の対応が遅れていると非難していました。今回の協議で両国は軌道修正を目指しています。

レアアース(希土類)とは?
電子機器や電気自動車などに不可欠な希少金属の総称です。供給の大半は中国が握っており、政治的な問題に影響されやすい素材です。


注目される米消費者物価指数(CPI)

11日に発表される5月の米CPIは前年比での伸びが加速すると予測されています。特に輸入関税の引き上げによって、商品の価格上昇が顕著になると見込まれています。

市場の反応予測

22Vリサーチの調査では、市場参加者の反応予測は以下の通りです。

  • リスクオン(積極的な投資姿勢):42%

  • まちまち:33%

  • リスクオフ(慎重な投資姿勢):25%

リスクオンとは?
投資家が積極的にリスクを取って、株式や新興市場などに資金を投入する市場心理のことを指します。


個別銘柄の動向

  • テスラ(電気自動車メーカー):5.6%上昇、S&P500指数を牽引

  • マイクロソフト:0.4%下落

  • アルファベット(グーグルの親会社):1.4%上昇。オープンAIがグーグルクラウドを利用する計画が報じられ好感されました

  • インスメッド(製薬会社):治験成功で約29%急騰

  • JMスマッカー(食品メーカー):業績見通しが市場予測を下回り約15.6%急落

  • スナップ:新製品発表後もほぼ横ばい(0.1%安)


セクター別の株価推移

S&P500の11セクター中、10セクターが上昇

  • エネルギーセクター:+1.77%

  • 一般消費財セクター:+1.19%


まとめ

✅ 米中貿易協議が順調との発言が米株上昇を支援

✅ 市場は11日のCPI発表に注目。輸入関税が影響し物価上昇見通し

✅ テスラが大幅上昇し、指数をけん引

✅ 投資家心理はリスクオンが約1年ぶりに優勢

✅ 個別銘柄では治験成功や業績見通し悪化で大きな動き

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

長期債と短期債で明暗分かれる – 財政赤字懸念が市場に影響

米国債市場では、長期債と短期債で異なる動きが見られています。30年債や10年債といった長期債の利回りが下がった一方で、2年債のような短期債の利回りは上昇しています。

具体的な数値は以下の通りです

  • 米30年債利回り:4.93%(前日比-1.0bp下落)
  • 米10年債利回り:4.47%(前日比-0.2bp下落)
  • 米2年債利回り:4.02%(前日比+1.7bp上昇)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で、1bp = 0.01%

国債入札の結果と今後の見通し

3年債入札の結果

3年債の入札では、投資家の関心がやや低調でした。最高落札利回りは3.972%となり、4月以来の高水準を記録しています。これは市場の予想を上回る結果でした。

今後注目される入札

  • 12日:30年債の入札が予定
  • 週内:10年債の入札も実施予定

これらの入札結果は、米国の財政赤字悪化を懸念する外国人投資家の動向を知る重要な指標となります。

市場を動かす要因

インフレ指標への注目

  • 5月の消費者物価指数(CPI)が11日に発表予定
  • 専門家予想:コアCPI前年比2.9%上昇
  • 近い将来のFRB(米連邦準備制度理事会)利下げの可能性に影響

財政状況への懸念

長期債利回りが世界的に上昇している背景には、以下の要因があります:

  • 債務と財政赤字の急拡大
  • 投資家がより高いリスクプレミアム(追加利回り)を要求

専門家の見解

BMOキャピタル・マーケッツのイアン・リンジェン氏は、「5月のインフレ指標と今後の国債入札が取引を活発化させる可能性がある」と述べています。

BNPパリバのグニート・ディングラ氏は、30年債は既に財政悪化を織り込んでおり、強い需要があれば反発する可能性があると指摘しています。

まとめ

✅ 米国債市場では長期債利回りが下落、短期債利回りが上昇する傾向が見られています

✅ 3年債入札では需要がやや低迷し、今週の10年債・30年債入札に注目が集まっています

✅ 5月のCPI発表と米中通商協議の結果が市場の方向性を左右する重要な要因となっています

✅ 財政赤字の拡大懸念により、投資家は米国債により高いリスクプレミアムを要求している状況です

✅ 外国人投資家の米国債への関心度が今後の市場動向を決める鍵となりそうです

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

米中交渉が続く中、ドル円はやや円安に動く

  • 米中貿易協議が進行中で、市場はその結果に慎重ながらも期待
  • ドルは長期的な下落基調との見方が強いが、代替通貨がないため基軸通貨の地位は維持される
  • ドル円相場は小幅な円安方向に推移

ドル指数は小幅上昇

外国為替市場では、ドル指数(ドルの総合的な価値を示す指標)が小幅に動きました。欧州時間早朝に高値をつけましたが、その後は伸び悩んでいます。

市場参加者は、今週発表される米国のCPI(消費者物価指数)の結果に注目しています。CPIの数値は、今後のアメリカの金融政策に大きな影響を与えるため、投資家が慎重な姿勢をとっています。

CPI(消費者物価指数)とは?

消費者が購入する一般的な商品やサービスの価格変動を示す指標。物価の変動を測る重要な経済指標です。


ドル円相場は円安に推移

ドル円相場は、ニューヨーク市場の朝方は前日終値付近で安定していましたが、その後は円安方向に動きました。現在は1ドル=144.90円付近で推移しています。

為替相場の最新数値

  • ブルームバーグ・ドル指数:1210.59(前日比+0.10%)

  • ドル円:144.90円(前日比+0.23%)

  • ユーロドル:1.1424ドル(前日比+0.02%)


米中貿易協議の影響

現在進行中の米中貿易協議は具体的な合意に至っていませんが、米当局者からは「交渉は順調」との発言がありました。

一方、専門家の見解は以下のように分かれています

マネックスのストラテジスト

  • 「投資家は慎重ながらも楽観的」

マッコーリーのティエリー・ウィズマン氏

  • 「ドルは長期的な下落トレンドにある」
  • 「ドル高基調の終焉が近づいている」
  • ドルブランド価値低下の理由として米国政策の不確実性や攻撃的姿勢を指摘。

PIMCO

  • 「ドルに代わる通貨がないため、基軸通貨の地位は維持されるが、長期的な弱気相場は避けられない」

ポンド相場は英雇用指標の弱さを受け下落

イギリスの労働市場指標が弱い結果となったことから、ポンドは対ドルで0.4%安となり、1.3496ドルとなりました。失業率も約4年ぶりの高水準を記録しています。


日銀の政策動向に市場は注目

日銀は今月の金融政策決定会合で政策金利を据え置く見込みです。ただし、植田総裁はインフレ率が持続的に2%に近づけば政策金利引き上げを検討するとしています。


FRBの利下げ期待が市場の共通認識に

市場はFRB(米連邦準備制度理事会)が今月開催するFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置く見込みで、年内に2回の利下げ(それぞれ0.25%)があると予想しています。

FOMC(連邦公開市場委員会)とは?

アメリカの中央銀行(FRB)が金融政策(主に金利政策)を決定する重要な会議です。


まとめ

✅米中貿易協議は楽観視されつつも慎重な状況が続く

✅ドルの長期的下落トレンドが指摘されているが、基軸通貨としての立場は変わらず

✅ドル円は小幅な円安方向に推移、ポンドはイギリスの経済指標悪化で下落

✅日銀の金利政策は据え置きが予想されるが、将来的な変更も視野に

✅市場はFRBの年内2回の利下げを予測している

原油は米中協議待ちで反落、金は横ばい推移

WTI原油の値動き

ニューヨーク原油先物相場は、米中通商協議の結果を待つ中で反落しました

  • WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)先物:1バレル=64.98ドルで終了(前日比31セント安、0.5%下落)
  • 北海ブレント原油:1バレル=66.87ドルで終了(前日比17セント下落)

※WTI:アメリカの代表的な原油の品質基準 ※1バレル:約159リットルの石油の単位

原油価格下落の要因

原油相場の下押し要因は以下の通りです

  • 米中通商協議の結果待ち:貿易問題の行方が経済に与える影響への懸念
  • カナダの供給回復:山林火災で操業停止していたオイルサンド生産施設が一部再開
  • 一時的な上昇後の反落:取引中に1.5%上昇する場面もあったが、最終的には下落

OPEC事務局長の見解

石油輸出国機構(OPEC)のガイス事務局長は、カナダのカルガリーでの会議で重要な発言をしました:

  • 石油需要の「ピーク」は当面見えない
  • 長期的な石油需要の堅調さを示唆

※OPEC:石油輸出国機構。世界の石油価格に大きな影響力を持つ産油国の組織

金市場の動向

金価格の推移

金相場は前日比でほぼ変わらない水準で推移しました

  • 金スポット価格:1オンス=2327.32ドル(前日比0.1%未満上昇)
  • COMEX金先物8月限:2343.40ドル(前日比11.50ドル安、0.3%下落)

※スポット価格:現在の現物取引価格 ※1オンス:約31.1グラム

金相場に影響する要因

金市場では以下の要因が注目されています

  • 米中通商協議の動向:2日目に入った協議の結果待ちムードが強い
  • 関税措置の行方:貿易戦争の激化懸念が金の安全資産としての需要に影響
  • 米30年債入札への注目:12日実施予定の入札結果が金相場に影響する可能性

金への投資需要

市場関係者は以下の点に注目しています

  • 米30年債入札が不調に終われば、安全資産を求める動きが強まる
  • その場合、金への需要が高まる可能性がある
  • 金は経済不安時の避難先として機能する特徴がある

まとめ

✅ 原油相場は米中通商協議の結果待ちとカナダの供給回復により反落しました

✅ WTI原油は64.98ドル、北海ブレントは66.87ドルでそれぞれ下落して終了しました

✅ 金相場は米中協議の動向を見極めるムードが強く、ほぼ横ばいで推移しました

✅ 12日の米30年債入札の結果が金相場の今後の方向性を左右する可能性があります