2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/13

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株が上昇、AIへの期待が地政学リスクを相殺

  • 米国株式市場はオラクルなどAI関連企業の好業績を受けて上昇しました。
  • 一方で、中東情勢や自動車関税の懸念も市場の重荷となっています。
  • FRB(米連邦準備理事会)の利下げ期待が株価を支援しています。

米国株は好調、オラクルがAI需要で過去最高値

米国の株式市場は6月12日、全体的に上昇して取引を終えました。特にS&P500指数は2月以来の高値をつけました。要因としては、ソフトウェア大手オラクルが、人工知能(AI)分野で強気な業績見通しを発表したことが大きいです。

オラクルが市場を牽引

オラクルはAI関連サービスへの需要拡大を背景に、売上予想を上方修正し、株価は13.3%も上昇して過去最高値を更新しました。この影響で、同じAI分野の主要企業であるマイクロソフトやエヌビディア、ブロードコムも1%以上上昇しました。

AI(人工知能)とは?
コンピューターが人間の知的活動を模倣したり、学習して判断する能力を持つ技術のことです。

地政学的リスクと自動車関税が懸念材料

一方で、株価にマイナスとなる要因もありました。イスラエルがイランへの軍事行動を検討していると報じられ、中東情勢の悪化が懸念されました。さらに、トランプ大統領が国内自動車産業を保護するため自動車関税を引き上げる可能性を示唆したため、米自動車メーカーであるGM、フォード、ステランティスの株価は下落しました。

FRBの利下げ期待が支援材料に

FRBが利下げを行う可能性が高まっています。背景には卸売物価指数(PPI)の低下や新規失業保険申請の増加があり、物価の過熱懸念が和らいだことで、市場は9月までの利下げを60%の確率で予想しています。

FRBの利下げとは?
米国の中央銀行(FRB)が景気刺激のために政策金利を引き下げることです。

市場の今後の注目ポイント

今後の株式市場を支える可能性がある要素として、以下が挙げられています。

  • 中国との通商合意の進展

  • 2017年に導入された減税措置の延長

  • インフレのさらなる低下とFRBの利下げ実施

これらの動き次第で、史上最高値更新も視野に入ってくる状況です。

まとめ

✅ 米株式市場はオラクルなどAI関連企業の好調な見通しに支えられ上昇

✅ 中東情勢の悪化や米自動車関税引き上げが一時的に市場を圧迫

✅ FRBの利下げ期待が株価を支援、市場は9月の利下げ実施を予想

✅ 今後、中国との貿易協定や減税延長がさらなる上昇要因となる可能性

✅ 米景気後退のリスクは低下し、市場の安心感が高まりつつある

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米30年債入札が好調、インフレ鈍化で債券市場に安定感

30年債入札で需要が堅調

米国の30年債入札(発行額220億ドル)が実施され、結果として需要の強さが確認されました。最高落札利回りは4.844%となり、入札前の市場利回り4.895%を下回りました。これは投資家からの需要が予想以上に強かったことを示しています。

入札後、30年債利回りは4.8%に近づき、長期金利全体が以下のように下落しました

  • 米30年債利回り:4.85%(前日比-7.1bp、-1.44%)
  • 米10年債利回り:4.37%(前日比-5.5bp、-1.25%)
  • 米2年債利回り:3.91%(前日比-4.2bp、-1.06%)

※bp(ベーシスポイント):金利の変動を表す単位で、1bp=0.01%

インフレ指標が市場を支援

米生産者物価指数(PPI)※の結果がインフレ抑制を示しました。5月のPPIは前月比0.1%上昇と、エコノミスト予想の0.2%上昇を下回りました。これにより、関税による価格上昇圧力がまだ本格化していないことが示唆されています。

※PPI(生産者物価指数):企業が販売する商品やサービスの価格変動を測る指標で、将来の消費者物価を予測する重要な指標

金融政策への影響

2日連続でインフレ指標が予想を下回ったことで、連邦準備制度理事会(FRB)※は金融政策について慎重な姿勢を維持する余地が生まれました。専門家は、インフレ率が安定している間は、FRBが関税措置の影響を見極めるために時間をかけることができると分析しています。

※FRB:米国の中央銀行で、金利政策を決定する機関

政治的な動向

トランプ大統領は利下げペースが不十分だと主張する一方で、パウエルFRB議長を解任する意図はないと表明しました。また、ベッセント財務長官は共和党主導の減税法案について、長期的には借り入れが減少すると予想していると述べました。

まとめ

✅ 米30年債入札は堅調な需要を示し、高水準の利回りでも投資家の関心が強いことが確認されました

✅ 生産者物価指数が予想を下回り、インフレ圧力の抑制が継続していることが示されました

✅ 2日連続のインフレ指標改善により、FRBは金融政策で様子見姿勢を維持する余地が生まれました

✅ トランプ大統領はパウエル議長の解任意図を否定し、政治的な不確実性が一部和らぎました

✅ 長期金利全体が下落し、債券市場には安定感が戻りつつあります

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドルが3年ぶりの安値、米利下げ観測強まる

  • 米ドルが主要通貨に対して大きく下落
  • 米国経済指標の悪化により利下げ予測が高まる
  • 安全資産の円とスイスフランが上昇

ドル安の背景にある3つの理由

米ドルは外国為替市場で急落しました。主な原因は以下の3つです。

① 米国経済指標の悪化

  • 米国の卸売物価指数(PPI)が予想よりも低下(インフレ鈍化を示唆)

  • 失業保険継続受給者数が2021年以来の高水準に達し、雇用市場の弱さを示している

卸売物価指数(PPI)とは?
  • 商品が企業間で取引される際の物価を示す指標です。CPI(消費者物価指数)と並び、インフレの重要な先行指標とされています。

② FRB(米連邦準備理事会)の利下げ観測

  • 経済指標の弱さから、FRBが今年中に複数回の利下げを実施すると市場が予測。

  • 先物市場では9月と12月に連続利下げが見込まれており、ドルの魅力が低下しています。

③ 地政学的リスク(中東情勢)の影響

  • トランプ大統領の発言により、中東地域の緊張感が高まり、投資家が安全資産へと資金を移動。

  • その結果、安全通貨とされる円とスイスフランが買われました。


円とユーロは上昇、特にユーロが注目

ドル安が進む中、特に目立っているのがユーロの上昇です。

  • ユーロは対ドルで約4年ぶりの高値(1ユーロ=約1.16ドル)を記録。

  • 英ポンドも3年ぶりの高値をつけました。

ラボバンクの専門家モリー・シュワルツ氏は、「PPIの低下がドル安の決定打になった」と分析しています。


今後の注目ポイント

ノムラの専門家ドミニク・バニング氏は、以下のポイントを強調しています。

  • ここ数年、米国資産への資金流入が非常に多かったため、この流れが変わるとドル安が一層進む可能性がある。

  • その資金の受け皿になるのは、ユーロと円が中心になるでしょう。


本日の為替市場(主要通貨まとめ)

為替ペア 現在値 前営業日比 変化率
ドル/円 ¥143.51 -¥1.05 -0.73%
ユーロ/ドル $1.1587 +$0.0100 +0.87%
ドル指数 1200.02 -7.46 -0.62%

まとめ

✅ ドルが大幅下落し、3年ぶり安値

✅ 米経済指標悪化でFRBの利下げ予測が強まる

✅ 中東情勢悪化で円やスイスフランなどの安全通貨が上昇

✅ ユーロと円が今後の資金シフトの恩恵を受ける可能性が高い

原油市場

小反落で推移、様子見ムードが支配的

ニューヨーク原油先物相場は小幅に下落しました。トランプ政権の新たな関税方針や中東情勢の緊迫化を受けて、投資家は様子見姿勢を強めています。

原油価格の終値

  • WTI先物7月限:68.04ドル(前日比11セント安、0.2%下落)
  • 北海ブレント8月限:69.36ドル(前日比41セント安、0.6%下落)
  • 一日の値動き幅:約2.50ドル

※WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート):アメリカ産原油の代表的な指標価格

中東情勢の緊迫化が市場に影響

地政学的リスクの高まり

  • イスラエルの軍事行動を巡る報道で一時プラス圏に浮上
  • 米国がバグダッドの大使館から不要不急の職員を退避
  • バーレーンとクウェートからも職員の出国を認める
  • 地域における脅威の高まりを示唆

関税政策が投資意欲を削ぐ

トランプ大統領は11日夜、新たな関税方針を発表しました。

関税政策の詳細

  • 一方的に関税率を設定
  • 今後1週間半から2週間以内に各国・地域に書簡を送付
  • リスク資産※への投資意欲を減退させる要因となる

※リスク資産:価格変動が大きく、リスクが高い一方で高いリターンが期待できる資産

金市場

続伸で堅調な推移

金スポット相場は2日連続で上昇しました。米国の経済指標が予想を下回り、利下げ観測が強まったことが買い材料となっています。

金価格の終値

  • 金スポット価格:3,386.67ドル(前日比31.55ドル高、0.9%上昇)
  • COMEX金先物8月限:3,402.40ドル(前日比58.70ドル高、1.8%上昇)
  • 一時1.3%まで上昇する場面も

経済指標が金価格を押し上げ

米経済指標の結果

  • 米PPI(生産者物価指数)※:予想を下回る結果
  • 失業保険継続受給者数:2021年終盤以来の高水準
  • 失業者の就職に時間がかかる状況が継続

※PPI:企業が販売する商品・サービスの価格変動を示す指標

金利低下とドル安が追い風

金価格上昇の背景

  • 米国債利回りの低下
  • ドル相場の下落
  • 利息の付かない金は低金利環境で投資妙味が増加
  • イランを巡る緊張激化による逃避需要※

※逃避需要:リスク回避のために安全資産とされる金に資金が流入すること

まとめ

✅ 原油は関税懸念と中東情勢の緊迫化で様子見ムードが強まり、小幅下落となりました

✅ 金は米経済指標の悪化で利下げ観測が強まり、続伸となりました

✅ 地政学的リスクの高まりが両商品に影響を与えていますが、反応は対照的です

✅ 金利低下とドル安が金価格の上昇要因となっている一方、原油は関税政策への懸念が重石となっています