2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/14

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

中東情勢緊迫、米株急落―原油高が経済に影響か

  • イスラエルによるイランへの攻撃とそれに伴うイランの報復措置で市場が混乱
  • 株式市場が大きく下落し、特に航空・旅行業界が打撃を受ける
  • 原油価格が急騰し、防衛・エネルギー関連株が上昇

中東の緊迫化で米国株が反落

6月13日の米国株式市場は、中東での軍事衝突激化を受けて大幅に反落しました。イスラエルがイランの核施設や軍事施設を攻撃したことで、イランは数百発のミサイルを発射し、紛争の拡大が懸念されています。

株価の下落状況

  • S&P500指数は1.13%下落

  • ダウ平均は769ドル(1.79%)の大幅安

  • ナスダック指数も1.30%下落

原油急騰で株価に影響

中東情勢の緊迫により原油価格は約7%急騰しました。これを受けて市場では航空業界や旅行関連株が売られ、一方でエネルギー関連株や防衛関連株は値上がりしました。

原油価格が世界経済への新たなリスクに

今回の原油価格の急騰が続けば、すでに減速している世界経済にさらに深刻な影響を与える可能性があります。

原油高の影響

  • 航空業界がジェット燃料価格上昇で大幅下落(デルタ航空-3.8%、ユナイテッド航空-4.4%、アメリカン航空-4.9%)

  • エネルギー関連株は好調(エクソンモービル+2.2%、ダイヤモンドバック・エナジー+3.7%)

防衛関連株が上昇

  • ロッキード・マーチンやRTX、ノースロップ・グラマンなどが約3%上昇。防衛需要が高まるとの見方から買いが入りました。


「ホルムズ海峡」封鎖の懸念とは?

ホルムズ海峡は世界の原油輸送の重要な海路です。軍事衝突が拡大し、この海峡が封鎖されると、原油の世界供給が途絶え、市場に非常に大きな悪影響を与える可能性があります。


今後の市場への影響は?

専門家は今後の紛争の進展が市場の行方を大きく左右すると指摘しています。紛争が早期に落ち着けば原油価格も下落する可能性がありますが、紛争が拡大すると世界経済のリスクがさらに高まります。


まとめ

✅イスラエルとイランの軍事衝突で米株市場が大幅下落。

✅原油価格の急騰で航空・旅行関連株が打撃を受ける一方、防衛・エネルギー株が上昇。

✅中東情勢の緊迫が長引けば、世界経済への影響が深刻化する懸念。

✅ホルムズ海峡が封鎖されれば、エネルギー市場に極めて深刻な影響が出る恐れ。

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

中東紛争で米国債急落!インフレ懸念再燃により利下げ観測が後退

中東情勢により米国債が急落

米国債相場は大きく値下がり(金利上昇)しました。これは、イスラエルのイラン空爆により中東での紛争が激化し、原油価格が急上昇したことが原因です。原油価格の上昇によりインフレ懸念が再び高まったため、投資家が米国債を売る動きが強まりました。

主要な金利の動き
  • 米30年債利回り:4.90%(前営業日比+5.7bp)
  • 米10年債利回り:4.40%(前営業日比+4.3bp)
  • 米2年債利回り:3.95%(前営業日比+4.0bp)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で、1bp=0.01%

投資家心理の急激な変化

当初、中東での紛争により投資家は「安全資産」として米国債を買い求めていました。しかし、ニューヨーク市場の取引時間になると、この流れが完全に逆転しました。

原油先物価格の急上昇により、以下の懸念が強まったためです

  • インフレの再燃
  • 米金融当局(FRB)の利下げが困難になる可能性

※安全資産:経済不安時に投資家が資産を守るために選ぶ、比較的リスクの低い投資対象

専門家の見解

ウェルズ・ファーゴの分析

「原油はこれまでインフレ抑制の追い風となっていましたが、一転して逆風に変わりました」

コロンビア・スレッドニードルの分析

今週の米インフレ指標と30年物国債入札の結果を受けて、「金利水準の魅力が薄れている」と指摘しています。

今後の注目ポイント

重要な国債入札予定

  • 16日:20年債入札(130億ドル規模)
  • 17日:5年物インフレ連動債(TIPS)入札

※TIPS:物価上昇に連動して元本が調整される国債

先月の30年債入札は財政懸念から不調に終わり、30年債利回りが5.15%まで上昇した経緯があるため、今回の入札結果が市場の方向性を占う重要な指標となります。

FRBの政策金利への影響

利下げ観測の変化

地政学的緊張が高まる前は、年内2回の0.25ポイント利下げが完全に織り込まれていました。しかし、インフレ懸念の再燃により、この予想に変化が生じています。

来週のFOMC会合

  • 政策金利は据え置きが広く予想されている
  • 四半期ごとの経済予測とドットプロット(金利予測分布図)を公表予定
  • 前回3月時点では年内2回の利下げを予想していた

バークレーの予想

金融当局が以下の変更を行うと予想

  • 2025年のインフレ予測を引き上げ
  • 予想利下げ回数を現在の織り込みより減らす
  • 「タカ派サプライズ」の可能性

※タカ派:金融引き締め(金利引き上げ)を重視する政策姿勢

まとめ

✅ 中東紛争による原油価格急上昇で、米国債は売り優勢となり利回りが上昇しました

✅ インフレ懸念の再燃により、FRBの利下げ観測が後退しています

✅ 来週のFOMC会合では、従来の利下げ予想が修正される可能性があります

✅ 16日と17日の国債入札結果が、今後の市場動向を占う重要な指標となります

✅ バークレーは金融当局がより慎重な姿勢を示す「タカ派サプライズ」を予想しています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル急伸、中東情勢の悪化が影響

  • イスラエルのイラン空爆で中東情勢が悪化、ドルが安全資産として買われ上昇
  • 原油価格も急上昇し、経済への影響が懸念されている

ドルが上昇した背景

外国為替市場では、イスラエルがイランを攻撃したことで中東地域の緊張が高まり、投資家がドルなどの安全資産に資金を移しました。その結果、ドルが急伸しています。

  • ドル/円は一時144円48銭まで上昇

  • ブルームバーグ・ドル指数は0.21%上昇し1202.49を記録


原油価格上昇が市場に与える影響

ゴールドマン・サックスのアナリストは、「原油価格の上昇は貿易に明確な影響を及ぼし、市場全体のリスク回避を促している」と分析しています。

ショートスクイーズとは?

ショートスクイーズとは、市場で多くの投資家が「下落」を見込んで空売り(ショート)をしている中で価格が急上昇し、空売りしている投資家が損失を抑えるために慌てて買い戻すことにより、さらに価格が上昇する現象です。


今後のドル相場の見通し

専門家は、「地政学的緊張がさらにエスカレートすれば、原油価格は100ドルにも達する可能性があり、経済成長を鈍化させ物価を押し上げる恐れがある」と懸念を示しています。

  • ドルは短期的にさらに上昇する可能性あり。

  • 長期的には貿易紛争や関税の影響で経済への悪影響が懸念されている。

また、別のアナリストは「紛争が長期化すると市場の信頼感が損なわれ、株式市場などへの悪影響が大きくなる」と警告しています。


他の主要通貨の状況

  • ユーロ/ドルは0.4%下落の1.1539ドル。週間ベースでは上昇傾向を維持

  • ドル/スイスフランは0.1%上昇の0.8110フラン

  • ドル指数(DXY)は0.5%上昇して98.2を記録


まとめ

✅ 中東情勢悪化で安全資産のドルが急伸。

✅ 原油価格急上昇でインフレ懸念高まる。

✅ ショートスクイーズでさらにドル高進行の可能性。

✅ 紛争の長期化で経済の信頼感低下がリスク要因。

✅ ユーロなどの他の通貨も影響を受ける展開。

中東紛争激化で原油・金が急騰!世界経済への影響懸念が拡大

3年ぶりの大幅高を記録

原油先物相場が急激に上昇し、約3年ぶりの大幅高となりました。イスラエルによるイラン空爆を受けて、世界の原油生産の3分の1を担う中東地域で戦争が拡大するとの懸念が高まったことが原因です。

主要な価格変動
  • WTI先物7月限:72.98ドル(前日比+4.94ドル、+7.3%)
  • 北海ブレント8月限:74.23ドル(前日比+4.87ドル、+7%)
  • 2022年3月以来最大の上げを記録

※WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート):アメリカの代表的な原油価格の指標

中東情勢の深刻化

約20カ月にわたり原油市場の背後でくすぶっていた紛争が劇的にエスカレートしました。これまでは著しい原油供給の減少には至っていませんでしたが、状況は大きく変化しています。

供給への影響予測
  • イランからの輸出減少の可能性
  • ホルムズ海峡を通じた供給制約のリスク
  • JPモルガン・チェースの試算:日量210万バレル超の影響可能性

※ホルムズ海峡:ペルシャ湾から世界各国への石油輸送の重要な航路

専門家の見解

CIBCプライベート・ウェルス・グループの分析
  • 不確定要素が多い状況
  • イスラエルによる最後の行動ではない可能性が高い
  • ボラティリティープレミアムの早期売却には慎重姿勢が必要
コロンビア大学グローバル・エネルギー政策センターの見解
  • 多くのアナリストは短期的な価格リスクと分析
  • 全てはイランの対応次第
  • 紛争の新たな局面の継続期間が重要な要因

※ボラティリティープレミアム:価格変動リスクに対する上乗せ価格

金市場への波及効果

安全資産として大幅上昇

金相場も大幅に上昇しました。イスラエルとイランの衝突を受けて、投資家が安全資産への需要を高めたことが主な要因です。

金価格の動き
  • 金スポット価格:3,437.61ドル(前日比+51.69ドル、+1.5%)
  • COMEX金先物8月限:3,452.80ドル(前日比+50.40ドル、+1.5%)
  • 一時1.8%高まで上昇

継続する軍事行動の影響

現在の状況
  • イスラエル:イランの核施設や軍指導部を標的に空爆継続
  • イラン:イスラエル領に向けてミサイルを発射し反撃
  • ネタニヤフ首相:「脅威」が排除されるまで作戦継続を表明

専門家による市場分析

サクソ・キャピタル・マーケッツの見解
  • 米軍基地が標的となる可能性も含めたリスク
  • イランによる報復のリスクが不確実性を高める
  • 金は以下の理由で買い支えられる可能性
  • 紛争リスクに対するヘッジ
  • インフレへの波及リスク対策
  • 市場のボラティリティー対策
UBSの投資戦略
  • 昨年半ばの金のポートフォリオ追加が最高の成果
  • 中東情勢緊張時の支えとなる
  • 債務不安やインフレ懸念に対するヘッジ効果

※ヘッジ:リスクを回避・軽減するための投資手法

まとめ

✅ イスラエルのイラン空爆により原油価格が急騰し、3年ぶりの大幅高を記録しました

✅ 中東地域での紛争拡大懸念により、世界の原油供給に日量210万バレル超の影響が出る可能性があります

✅ 投資家のリスク回避により金相場も大幅上昇し、安全資産への需要が高まっています

✅ 専門家は紛争の長期化を懸念しており、エネルギー価格の高止まりが続く可能性を指摘しています