2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/21

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株式市場、地政学リスクや通商懸念で下落

株式市場の動向

20日の米国株式市場は地政学リスクや貿易摩擦への不透明感から売りが優勢となりました。特にS&P500とナスダック総合指数が下落しました。一方、ダウ工業株30種平均は僅かに上昇しました。

  • S&P500種株価指数:5967.84(-0.22%)

  • ダウ工業株30種平均:42206.82(+0.08%)

  • ナスダック総合指数:19447.41(-0.51%)

また、複数の金融商品が一斉に決済日を迎える「トリプルウィッチング」が重なり、取引高が増えました。

地政学リスクの影響

イスラエルとイランの対立をめぐり、米国が外交努力をしているものの、市場の不安感は解消されませんでした。さらに日本が米国との外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を中止したとの報道も市場心理を悪化させました。

半導体関連株が下落

米政府が中国向けの半導体製造装置への特例措置を取り消す可能性を検討しているという報道があり、半導体関連銘柄が売られました。特にフィラデルフィア半導体株指数は約0.8%下落しました。

注目された個別銘柄

  • クローガー(食料品チェーン):年間業績予想の上方修正を受けて9.8%上昇。

  • アクセンチュア(ITサービス企業):第3四半期の新規受注が減少したことから6.9%下落。

専門家の見解

市場は現在、地政学的リスクや貿易政策、米連邦準備制度理事会(FRB)の動向に関する不透明感を抱えています。ただ、株式市場は経済成長を先取りする傾向があり、経済が持ちこたえると期待する向きもあります。


まとめ

✅ 米国株式市場は地政学リスクや貿易摩擦への懸念で売り優勢。

✅ 半導体関連銘柄が米中の緊張懸念で下落。

✅ トリプルウィッチング(デリバティブ取引の集中決済日)で取引が活発化。

✅ 食料品チェーンのクローガーは業績好調で株価が大幅上昇。

✅ 投資家は週末を控え、慎重姿勢を取った。

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債:FRB理事の7月利下げ示唆と地政学リスク

米国債相場は全ての年限で価格が上昇し、利回りが低下しました。特に中短期債の値上がりが目立ちました。

主要な利回りの変化

  • 米30年債利回り:4.89%(前日比 -0.1bp※)
  • 米10年債利回り:4.38%(前日比 -1.6bp)
  • 米2年債利回り:3.90%(前日比 -3.8bp)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で、1bp=0.01%

利回り曲線がスティープ化(短期金利と長期金利の差が拡大)したことも特徴的でした。

FRB理事の発言が市場に与えた影響

ウォラーFRB理事の発言

ウォラーFRB理事が重要な発言を行いました

  • 7月にも利下げを実施することは可能との見解を表明
  • 関税によるインフレへの影響は短期的なものにとどまるとの認識を示す

この発言を受けて、債券市場では利下げ期待が高まり、相場が反発しました。

一方で慎重な意見も

リッチモンド連銀のバーキン総裁は異なる見解を示しました:

  • 関税がインフレを押し上げるリスクがある
  • 米国の雇用市場と個人消費は堅調
  • 利下げを急ぐ必要はないとの慎重な姿勢

地政学的リスクの影響

イスラエル・イラン紛争への懸念

  • 取引開始時:外交的解決への楽観視から債券需要が一時低下
  • その後:イラン高官の強硬発言などでリスク回避姿勢が強まる
  • 結果:安全資産※としての米国債への需要が高まる

※安全資産:経済や政治の不安定な時期に投資家が資金を避難させる先として選ぶ資産

今後の利下げ見通し

短期金融市場では利下げ期待が高まっています

  • 9月会合での利下げ確率がわずかに上昇
  • 10月利下げの可能性は引き続き完全に織り込まれている
  • 年内の利下げ幅予想:51bp(取引開始時の46bpから拡大)

来週の債券入札予定

財務省による大型の債券入札が予定されています:

  • 24日:690億ドルの2年債入札
  • 25日:700億ドルの5年債入札
  • 26日:440億ドルの7年債入札

まとめ

✅ 米国債は全年限で価格上昇し、特に短中期債の利回り低下が顕著でした

✅ ウォラーFRB理事の7月利下げ可能発言が市場の利下げ期待を高めました

✅ イスラエル・イラン紛争への懸念から安全資産としての債券需要が増加しました

✅ 短期金融市場では年内50bp程度の利下げが織り込まれています

✅ FRB内でも利下げのタイミングについて異なる見解があり、今後の発言に注目が集まります

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

地政学リスク高まりでドル4カ月ぶり大幅高、円は3週間ぶり安値

ドル指数が大幅上昇

外国為替市場では、地政学的リスク(国際政治や軍事的な緊張)が高まった影響で、米ドルの価値を示す『ドル指数』が前日比で上昇しました。週間ベースでは約4カ月ぶりに大幅高(0.7%上昇)となりました。

  • ブルームバーグ・ドル指数:1211.06(前日比+1.56、+0.13%)

  • ドル/円:146.16円(前日比+0.71円、+0.49%)

  • ユーロ/ドル:1.1517ドル(前日比+0.0022ドル、+0.19%)

ドル高の背景は「安全資産としてのドル買い」

ゴールドマン・サックスのアナリストは、地政学的な緊張が高まると、投資家はリスクを避け、安全とされるドルを買う傾向があると指摘しています。

円は下落、一時146円台に

円はドルに対して価値を下げ、1ドル=146円22銭まで安くなる場面もありました。背景には中東情勢が悪化すると世界的なインフレ(物価の持続的な上昇)が懸念され、安全資産としてドルが買われる動きがありました。

しかし三菱UFJフィナンシャルのアナリストは、中東情勢が落ち着けば円が再び買われる(円高になる)可能性を示しています。

欧州とイランの協議は進展せず

スイスフラン、ユーロ、円などに対してのドルは横ばいでしたが、週間では0.6%の上昇を見込んでいます。イランと欧州各国の協議は進展せず、米国がイランに対して攻撃するリスクが依然として懸念され、市場が緊張感を保ったままです。

FRB(米連邦準備理事会)の利下げ示唆

FRBのウォラー理事は、次の会合での利下げを検討すべきと述べています。市場もすでに利下げを織り込み済みの状態ですが、改めてFRBが利下げ方向に動く可能性が高まっています。


まとめ

✅ 地政学的リスクの高まりでドル指数が約4カ月ぶりの大幅上昇。

✅ 円は中東情勢悪化によるインフレ懸念で対ドル146円台まで下落。

✅ イランと欧州の協議が不調に終わり、市場では米国の軍事行動リスクを懸念。

✅ FRBは次回の会合で利下げを検討。市場も利下げを予想済み。

中東情勢緩和で原油・金相場が反落:外交協議への期待が市場を冷却

原油

ニューヨーク原油先物相場は反落しました。

主要指標の終値

  • WTI先物7月限:74.93ドル(前営業日比21セント安、-0.3%)
  • WTI先物8月限:73.84ドル(+0.5%)
  • 北海ブレント8月限:77.01ドル(-2.3%)

※WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート):米国産原油の代表的な指標 ※北海ブレント:欧州・アフリカ・中東産原油の代表的な指標

下落の主要因

  • トランプ大統領がイラン攻撃の決定を2週間以内に下すと表明
  • 米国による差し迫った攻撃への懸念が後退
  • イランがウラン濃縮制限について協議する用意があるとの報道
  • 米国の祝日明けで商いが薄い状況
  • WTI期近物の最終取引日の影響

外交協議の進展

イランと欧州3カ国の会談

1月20日にスイス・ジュネーブで重要な外相会談が開催されました:

参加者

  • イラン:アラグチ外相
  • 欧州3カ国:英国、フランス、ドイツの外相

会談の成果

  • イランが欧州諸国との新たな会合開催に前向きな姿勢を表明
  • ただし「攻撃が続く限り、いかなる当事者とも交渉は行わない」と警告
  • 外交解決への糸口が見えてきた状況

英国外相の発言

ラミー英外相は会談後に重要な発言を行いました:

  • イランとの協議と交渉を継続したいとの意向
  • イランにも米国との協議継続を強く要請
  • 「今は危険な局面であり、この地域での紛争拡大を防ぐことが極めて重要」と強調

価格の変動

金スポット価格は小幅安となりました:

  • スポット価格:1オンス=2,366.10ドル(前日比-0.1%)
  • 週間ベース:-1.9%の下落
  • COMEX金先物8月限:2,385.70ドル(前営業日比22.40ドル安)

※1オンス:約31.1グラム

下落要因

  • 中東の地政学的緊張がやや緩和
  • 安全資産※への需要が弱まる
  • 米金融当局のインフレ警戒姿勢継続
  • 利下げ回数減少への思惑が売り材料となる

※安全資産:政治・経済不安時に投資家が資金を避難させる先として選ぶ資産

今後の見通し

金相場は今年28%余り上昇しており、専門家の見解が分かれています:

強気派の予測:

  • ゴールドマン・サックス:来年までに4,000ドル到達予測

慎重派の予測:

  • シティグループ:2026年に3,000ドルを下回る可能性を指摘

現在の状況:

  • 4月の最高値2,500.10ドルをわずかに下回る水準で推移
  • 記録的上昇の持続性について市場で議論が分かれる

まとめ

✅ 中東情勢の緊張緩和期待から原油・金相場ともに反落しました

✅ イランと欧州3カ国の外交協議が進展し、市場の地政学リスクへの警戒が和らぎました

✅ 原油は北海ブレントが大幅安となり、WTIも下落基調となりました

✅ 金は安全資産需要の後退で小幅安となり、週間ベースでも下げました

✅ 外交解決への期待が高まる一方、イランは攻撃継続中の交渉は拒否する姿勢を示しています