2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/26

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場は上昇一服、株価過熱への警戒感強まる

株式市場の動き

  • S&P500種株価指数は6092.16と、ほぼ横ばい(前日比0.00%)

  • ダウ平均株価は42982.43で、前日比-0.25%の下落

  • ナスダック総合指数は19973.55で、前日比+0.31%の上昇

  • 半導体大手のエヌビディアが過去最高値を更新し、世界一の時価総額(約3兆7500億ドル)となりました

  • 小型株中心のラッセル2000指数は1.2%下落

パウエルFRB議長の発言と市場への影響

FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は、議会で以下のような見解を示しました。

  • 米国経済は世界で最も強いとしつつも、関税措置が消費者物価(インフレ)にどの程度影響を与えるか、まだ見極められていない。

  • 不確実性の高い現状では慎重な対応が必要であり、利下げを急ぐ必要はないとの考えを改めて強調しました。

株式市場の現状と見通し

  • 米株式市場は直近の底値から急回復しましたが、地政学的リスク(中東情勢)や経済不安を背景に、現在の株価上昇が過熱気味だという懸念が広がっています。

  • BMOのキャロル・シュレイフ氏は、関税問題がなければFRBが今年夏にも利下げを実施できていただろうと指摘。2025年には1~2回の利下げを予測しています。

  • 市場はイスラエルとイランの紛争悪化リスクは一旦低下したと判断しているようです。

個別企業の動き

  • テスラ(EVメーカー)は欧州販売の低迷を受けて3.8%下落。

  • フェデックス、ゼネラル・ミルズは業績見通しが市場予想を下回り、それぞれ3.3%、5.1%下落。

  • ブラックベリー(サイバーセキュリティ企業)は好調な需要で売上予想を引き上げ、12.5%急伸。

  • マイクロン・テクノロジーは四半期の売上見通しが好調で、時間外取引で5%以上上昇。


まとめ

✅米株式市場は上昇の勢いが一服、過熱感が警戒される状況

✅パウエル議長は関税措置の影響を注視し、利下げには慎重な姿勢を示している

✅半導体セクター(エヌビディアなど)は強く、個別企業の業績が市場の注目を集めた

✅イスラエルとイランの停戦維持など地政学リスクは一旦落ち着いている

✅市場では2025年9月ごろの利下げを予想する見方が有力になっている

 

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

【米国債市場】イールドカーブのスティープ化進行、5年債入札は低調な結果に

米国債市場では現在、「イールドカーブのスティープ化」という現象が起きています。これは短期債(2年債など)の利回りと長期債(30年債など)の利回りの差が拡大することを指します。

30年債と5年債の利回り差は2021年以来の水準に近づいており、長期債がアンダーパフォーム(他の債券より値下がり)している状況です。

主要債券の利回り状況

  • 30年債利回り:4.83%(前日比-0.5bp※低下)
  • 10年債利回り:4.29%(前日比-0.8bp低下)
  • 2年債利回り:3.78%(前日比-4.7bp低下)

※bp(ベーシスポイント):0.01%を表す単位。金利の変動を示す際によく使われます。

5年債入札の結果

この日実施された5年債入札(700億ドル=約10兆円)では、需要が予想よりも弱い結果となりました。

入札結果の詳細

  • 最高落札利回り:3.879%
  • 入札前取引水準:3.874%を上回る
  • 応札倍率:2.36倍(やや低調)

ドイツ銀行のストラテジストによると、この結果は「相場が今週上昇したことによる買い疲れを反映している」とのことです。

市場の見通しと投資戦略

FRBの政策と市場予想

投資家の間では、以下の理由でイールドカーブのスティープ化を見込むポジションが人気となっています

  • FRB(米連邦準備理事会)がいずれ利下げを実施
  • 国債増発への懸念が長期債に下押し圧力をかける

専門家の見解

フォート・ワシントン・インベストメント・アドバイザーズのポートフォリオマネジャーは次のように述べています

「短期金利は低下し得るが、長期債利回りが同じように下がるとの確信はそれほど強くない。イールドカーブのスティープ化は以下のシナリオで効果的である」

  • FRBがより積極的に利下げを実施する場合
  • 市場が財政見通しへの懸念を強める場合

まとめ

✅ 米国債市場ではイールドカーブのスティープ化が進行し、長期債がアンダーパフォームしている

✅ 5年債入札は需要が予想より弱く、買い疲れを反映した結果となった

✅ 投資家はFRBの利下げと国債増発懸念を背景に、短期債優位のポジションを取っている

✅ 専門家は短期金利の低下は見込むものの、長期債利回りの同程度の低下には慎重な見方を示している

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ブルームバーグ・ドル指数が3日続落

外国為替市場では、ブルームバーグが算出するドル指数(主要な通貨に対するドルの総合的な強さを示す指数)が3日連続で下落しました。

これは月末特有の資金調整(ポートフォリオ調整)や、これから発表される米国の経済指標に投資家が注目しているためです。

円はドルに対して一時下落も、徐々に回復

円はドルに対して、一時的に1ドル=145円95銭まで売られましたが、その後、下げ幅を縮小し、最終的に145円台前半に落ち着きました。

為替市場の状況

  • ブルームバーグ・ドル指数:1199.66(-0.16%)

  • ドル/円:145.27円(前日比+0.23%)

  • ユーロ/ドル:1.1656ドル(+0.40%)

今後の米経済指標に注目

今週米国では、以下のような重要な経済指標が続々と発表されます。

  • 耐久財受注(長期間使用される製品の受注状況)

  • 新規失業保険申請件数(米国の雇用状況を示す)

  • 個人消費支出(PCE、物価や消費者行動を見る指標)

  • ミシガン大学消費者マインド指数(消費者心理を測る指標)

これらの指標の結果によっては、ドルの相場に影響が出る可能性があります。

米国資産の上昇がドル売りを誘発

バークレイズのストラテジストは、米国の株式や債券が上昇すると、月末のポートフォリオ調整(投資資金の調整)でドル売りが起きやすくなると指摘しました。

地政学リスクは低下も注意が必要

スコシアバンクのオズボーン氏は、中東情勢が落ち着いたものの、再燃する可能性があるため注意が必要だと述べました。また、市場は再び米経済データやFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測に注目していると説明しています。

FRBの利下げ観測がドルを下押し

UBSのアナリストたちは、FRBが他国の中央銀行よりも速いペースで利下げを行う可能性があると指摘。そうなればドルの価値が下がり、ユーロや円が対ドルで上昇し、円相場が再び140円を目指す展開になる可能性があると述べています。

まとめ

✅ 米国の株式・債券市場の好調により、月末のポートフォリオ調整でドル売りが起きやすい状況です

✅ 中東情勢の緊張緩和がドル安を促しましたが、再燃の可能性にも注意が必要です

✅ FRBの利下げ観測が強まり、ユーロやポンドが対ドルで数年ぶりの高値をつけました

✅ 円相場は一時的に弱含んだものの、今後のFRBの政策次第では円高方向(140円台)へ動く可能性もあります

原油反発、在庫減少と地政学的要因が支援材料に

原油価格が反発した背景

ニューヨーク原油相場は反発しました。主な要因は以下の通りです。

トランプ大統領の対イラン制裁に関する発言

  • 近い将来の制裁緩和に否定的な見方を示した
  • イランに対する「最大限の圧力」戦略を継続すると発言
  • 来週イランとの会談予定があることも明らかにした

米国原油在庫の大幅減少

  • 約580万バレル減少(5週連続での減少)
  • 米エネルギー情報局(EIA)のデータが示した

需給バランスの引き締まり

原油在庫の減少により、需給の引き締まりを示すシグナルが現れています。

バックワーデーション(逆ざや)※が発生

  • WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)のプロンプトスプレッドが1.46ドルの逆ざや
  • 短期的な需給引き締まりを示す強気のシグナル

※バックワーデーション:先物価格が期近物より安くなる状態。需給が引き締まっている際に発生する現象

上値を抑える要因

一方で、原油価格の上昇を制限する要因もあります。

OPECプラス※の増産容認姿勢

  • ロシアが次回会合で必要に応じて増産を容認する構えを示している
  • 7月6日の会合で8月の追加供給引き上げを協議予定

※OPECプラス:石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される枠組み

専門家の分析

CIBCプライベート・ウェルス・グループの専門家は、原油反発の要因を以下のように分析しています。

  • 売られ過ぎの調整によるテクニカルな反発
  • イラン制裁に関する前日発言の修正
  • 原油在庫データの好材料

ただし、「年後半は供給過剰が見込まれ、弱気センチメントも続いている」との見方も示しています。

金相場の動向

金価格の小幅上昇

金スポット相場は小幅高となりました。

上昇要因

  • 中東での戦闘停止の影響
  • パウエルFRB議長の議会証言への注目

今年の金相場の推移

年初来27%上昇

  • トランプ大統領の貿易政策
  • 地政学的緊張
  • 中央銀行による購入

最近の動向

  • ここ数カ月は勢いが衰える
  • 1オンス=3300-3400ドルで推移

原油価格

  • WTI先物8月限:前日比55セント(0.9%)高の64.92ドル
  • 北海ブレント8月限:0.8%上昇の67.68ドル

金価格

  • 金スポット:7.63ドル(0.2%)高の3331.30ドル
  • 金先物8月限:9.20ドル(0.3%)上昇の3343.10ドル

まとめ

✅ 原油相場は米国在庫の大幅減少(580万バレル、5週連続)とトランプ大統領の対イラン制裁継続発言により反発

✅ バックワーデーション(逆ざや)の発生により短期的な需給引き締まりが示されたが、OPECプラスの増産容認姿勢が上値を抑制

✅ 金相場は中東情勢の安定化とFRB議長証言を受けて小幅上昇、年初来では27%の大幅上昇を維持

✅ 専門家は原油の当面の需給は引き締まっているものの、年後半の供給過剰懸念により慎重な見方を示している