2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/27

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株価が上昇、FRBの利下げ期待が市場を後押し

  • 米株式市場が上昇し、主要株価指数が史上最高値に迫った
  • FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待が市場を支援
  • 銀行株とハイテク銘柄が好調

米株式市場が大幅上昇

26日の米国株式市場は、主要指数が軒並み上昇しました。特に、S&P500種株価指数は一時、2月に付けた過去最高値(6144.15)を上回るほどの勢いを見せました。

  • S&P500:6141.02(+0.80%)

  • ダウ工業株30種平均:43386.84(+0.94%)

  • ナスダック総合指数:20167.91(+0.97%)

上昇の主な要因はFRB(米連邦準備制度理事会)が年内に利下げを再開するとの期待です。利下げにより、企業の資金調達コストが下がり、業績改善が期待されます。

FRBの利下げとは?

FRBが政策金利を引き下げることです。金利が下がると企業や消費者がお金を借りやすくなり、経済活動が活発になります。


銀行株・ハイテク株がけん引

特に好調だったのは銀行株とハイテク銘柄です。銀行株指数は1.6%上昇。FRBが銀行向けの資本規制緩和を検討中との発表も、銀行株を後押ししました。

ウェルズ・ファーゴのアナリスト、マイク・メイヨー氏は「景気後退(リセッション)が起こらなければ、銀行株はさらに上昇の余地がある」と指摘しています。

またハイテク銘柄は引き続き投資家の人気を集めています。


市場の不安は減少傾向

市場の混乱度合いを示す「恐怖指数」(VIX指数)は16まで低下しました。4月に関税問題で市場が混乱した時は、一時52を超えていました。この低下は、以下の要因が背景にあります。

  • 中東情勢の緊張が緩和

  • 米中貿易問題の改善期待


経済指標はまだら模様、注目は企業決算へ

一方、最新の経済指標はまだら模様です。

  • 米実質GDP:前期比年率0.5%減少(予想より悪化)

  • 失業保険継続受給者数:2021年以来の高水準(雇用悪化懸念)

  • 耐久財受注、中古住宅販売:予想以上の強さを見せる(景気底堅さを示唆)

このように経済指標には強弱があり、明確なトレンドは見えません。次の注目は7月中旬からの企業決算シーズンです。企業が関税問題などにどう対応したかが明らかになり、今後の相場展開を左右すると考えられます。


今後の市場見通し

専門家は以下のように指摘しています。

  • 短期的なニュースへの過剰反応がリスクになる

  • 株式市場のさらなる上昇には新たな材料が必要

利下げが続く見通しのなか、市場はハイテク株を中心に最高値更新への動きを強めそうです。


まとめ

✅米株式市場はFRBの利下げ期待を背景に大幅上昇

✅銀行株、ハイテク株が上昇を主導

✅恐怖指数が低下し、市場の安心感が高まる

✅経済指標は強弱入り混じり、次の注目は企業決算

✅短期的ニュースへの過剰反応には注意が必要

 

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債相場が上昇、利下げ期待が高まる

米国債相場が上昇(金利低下)しています。これは、アメリカの経済指標が年内最多3回の利下げ観測を後押しする内容となったためです。

利下げとは、中央銀行(アメリカの場合はFRB)が政策金利を引き下げることで、経済を刺激する政策のことです。

各年限の利回り状況

現在の米国債利回りは以下のようになっています

  • 米2年債利回り:3.72%(前営業日比-6.1bp下降)
  • 米10年債利回り:4.24%(前営業日比-4.7bp下降)
  • 米30年債利回り:4.80%(前営業日比-2.9bp下降)

ベーシスポイント(bp)とは、金利の変動を表す単位で、1bp = 0.01%のことです。

イールドカーブのスティープ化が進行

特に注目すべき点は、短期債の利回りが長期債よりも大きく下落していることです。これにより

  • 5年債と30年債の利回り差が101bp余りに拡大
  • 2021年以来の大きさを記録
  • イールドカーブのスティープ化が進行

イールドカーブのスティープ化とは、短期金利と長期金利の差が拡大することで、一般的に利下げ期待と関連しています。

経済指標が示す景気減速の兆候

雇用関連指標の悪化

  • 失業保険の週間継続受給件数が2021年11月以来の高水準を記録
  • 経済の鈍化を示唆する内容

GDP成長率の下方修正

  • 第1四半期のGDP確報値:年率換算で前期比0.5%減
  • 改定値の0.2%減からさらに悪化
  • アメリカ経済の減速を裏付ける結果

今後の金融政策見通し

利下げ予想

トレーダーたちは以下のように予想しています

  • 9月から利下げ再開を見込む
  • 年内2回の利下げは確実視
  • 3回目の0.25ポイント利下げは確率50%

重要な判断材料

7月のFOMC会合前に発表される6月の雇用統計が、今後の金融政策を占う重要な指標となります。

FOMCとは、アメリカの金融政策を決定する会合のことです。

政治的要因の影響

トランプ大統領の影響

  • パウエルFRB議長の後任指名の可能性
  • 利下げ要求への対応期待
  • 2026年半ば以降の急速な利下げを市場が織り込み

FRB幹部の発言

FRBのウォラー理事とボウマン副議長が相次いで早期利下げの可能性を示唆し、市場の利下げ期待を高めています。

まとめ

✅ 米国債相場は利下げ期待の高まりにより上昇し、全年限で利回りが低下しました

✅ 雇用指標の悪化やGDP成長率の下方修正により、アメリカ経済の減速懸念が強まっています

✅ 短期債利回りの大幅下落により、イールドカーブのスティープ化が2021年以来の水準まで進行しました

✅ 市場は9月からの利下げ再開と年内2〜3回の利下げを織り込んでいます

✅ 政治的要因やFRB幹部の発言も利下げ期待を後押ししている状況です

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑


ドル安進行、FRBの利下げ観測高まる―円やユーロが上昇

  • 米GDP統計で個人消費が低迷、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が高まりドルが下落。
  • 円やユーロが対ドルで上昇。ユーロは約3年半ぶりの高値を記録。
  • FRB関係者も年内の利下げ可能性に言及、7月以降の動向に注目。

ドル安が鮮明、利下げ観測が主因

外国為替市場では、米国の景気鈍化と利下げ予測がドル売りにつながっています。ブルームバーグ・ドル指数は0.47%低下し、特に円やユーロが強含んでいます。

ブルームバーグ・ドル指数とは?

ドルの総合的な価値を他通貨に対して数値化したもの。低下するとドルが相対的に安くなったことを示します。

円とユーロの動き

円、1%近く上昇する場面も

ドル/円レートは一時143円75銭まで上昇。終値は144円42銭となり、0.56%円高が進行しました。

ユーロ、3年半ぶりの高値を更新

ユーロは対ドルで1.1719ドル、一時は2021年9月以来の1.1744ドルをつけました。


利下げ期待の背景にある米経済の状況

  • GDPの個人消費が弱く、米経済が減速しているとの見方が強まっています。

  • シティグループのエコノミストは、来週発表の雇用統計で失業率が上昇する(予測は4.4%)と見ています。


FRB高官の発言と市場の反応

デーリー総裁(サンフランシスコ連銀)

「秋頃からの利下げ開始」を示唆

バーキン総裁(リッチモンド連銀)

「関税が物価を押し上げる可能性」を指摘

「利下げ判断には不確実性の解消が必要」と慎重姿勢

コリンズ総裁(ボストン連銀)

「7月の利下げは時期尚早、年内に最低1度の利下げ」を予測


市場が織り込むFRBの利下げ確率

CMEのフェドウォッチによると、市場の予測は以下のようになっています。

  • 7月の利下げ確率:23%(先週の13%から上昇)

  • 9月までの利下げ確率:93%

  • 年末までに合計66bp(0.66%)の利下げを予想(3回の利下げに相当)

ベーシスポイント(bp)とは?

金利の変動幅を示す単位。1bpは0.01%を意味します。


長期的にドル安が進む要因とは?

  • FRBの利下げ観測に加えて、貿易相手国との関税交渉の期限(7月9日)が迫っており、市場は警戒感を強めています。

  • 長期的な経済見通しへの不安や過去のドル資産過多の反動により、投資家のドル離れが加速する可能性も指摘されています。


まとめ

✅ 米GDPの個人消費減速がドル安を加速

✅ 円やユーロは対ドルで大幅に上昇、特にユーロは3年半ぶり高値を更新

✅ FRB高官は年内利下げの可能性に言及、市場も高い利下げ確率を織り込み済み

✅ 長期的には関税交渉や経済見通しの不透明感がドル売りを後押し

✅ 投資家の米ドル離れが今後の注目点に

原油・金相場の動向:中東情勢とアメリカの政策が市場に影響

原油相場の基本動向

• ニューヨーク原油相場は小幅高で推移 • 米軍によるイラン核施設への攻撃の影響について情報が交錯 • 市場参加者は反応に苦慮している状況 • WTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)は一時2.3%上昇

イラン情勢を巡る情報の錯綜

攻撃の効果に関する報道

• 英フィナンシャル・タイムズ紙:攻撃後もイランの高濃縮ウラン備蓄の大半が無傷との欧州の見方を報道 • トランプ大統領:攻撃前にイランが核物質を移動させたとの報道を否定 • 高濃縮ウランとは核兵器製造に使用可能な濃度まで処理されたウランのこと

イランの対応

• 国際原子力機関(IAEA)との協力を停止する法律が発効 • 核開発を巡る国際的な監視体制に影響

午後の相場下落要因

協議再開の可能性

• CNNが「米国がイランとの協議再開に向けたインセンティブ提供を検討」と報道 • 制裁緩和の可能性も含まれるとの内容 • 原油は日中高値から離れる展開

政府関係者の発言

• ホワイトハウスのレビット報道官の発言が相場の重しとなった • **戦略石油備蓄(SPR)**を早期に補充する計画はないと表明 • 米国とイランの間で核協議を行う予定もないと発言 • 米国はイランの核開発能力を破壊したと改めて説明

専門家による市場分析

シティグループのアナリスト見解

• 市場は地政学的リスクが大幅に後退したと判断している様子 • しかし今後の展開は依然として不安定になる可能性がある • OPECプラスが8月の産油量を7月上旬の会合で決定予定 • 原油の需給ファンダメンタルズを巡る弱気な環境が再び注目される可能性

OPECプラスの影響

• OPECプラスは石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成 • 産油量の調整により世界の原油価格に大きな影響を与える

原油価格の最終結果

• NYMEX WTI先物8月限:前日比32セント(0.5%)高の1バレル=65.24ドル • ロンドンICE北海ブレント8月限:ほぼ変わらずの67.73ドル • 小幅高での終了となったが、日中の値動きは大きかった

金相場の動向

基本的な値動き

• 金スポット相場はほぼ変わらずで推移 • 中東情勢の緊張緩和が影響 • FRB(連邦準備制度理事会)の利下げ時期を巡る不透明感がくすぶる

具体的な価格

• 金スポット価格:37セント(0.01%)安の1オンス=3,331.96ドル • COMEX金先物8月限:4.90ドル(0.15%)高の3,348ドルで終了 • COMEXはニューヨーク商品取引所の貴金属取引部門

金価格に影響する要因

• 中東情勢の緊張緩和により安全資産需要が後退 • 米国の金融政策の不透明感が継続 • 小幅続伸となったが大きな方向感は見えず

まとめ

✅ 原油相場は小幅高となりましたが、イラン情勢を巡る情報の交錯により市場は反応に苦慮している状況です

✅ アメリカとイランの協議再開の可能性や制裁緩和の報道が、午後の原油価格下落の要因となりました

✅ 専門家は地政学的リスクの後退を指摘する一方で、今後の展開は不安定になる可能性があると警告しています

✅ 金相場は中東情勢の緊張緩和とFRBの政策不透明感の中で、ほぼ横ばいの動きとなりました