2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/3

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

このサイトは、ファンダメンタル分析の軸である海外記事(Bloomberg、Reuters)初心者にも分かりやすく要約しています

株、金利、FX(為替)原油、金などのファンダメンタルをまとめています

情報収集の時短にぜひ活用してください

初心者から上級者まで、経済に関心のある方々に役立つ情報を迅速かつリアルタイムでお届けします

当サイトの目標は、誰もが経済情報にアクセスしやすく、理解しやすい形で提供することで、より多くの人々が経済知識を身につけ、投資やビジネスの世界に参加できるようになることをサポートすることです

昨日、何が起きたのかを把握することで、今日の値動きなどのシナリオ構築に役立てればと思います

金融市場が開いていれば(平日)毎朝更新しています

X(Twitter)でも毎日の値動きやニュースを発信していますので、ぜひフォローよろしくおねがいします

 

目次

 ファンダメンタル分析【オススメ】書籍紹介(書評)サイト

経済ニュースを日々キャッチアップするのと同時に、ファンダメンタル分析の理解をさらに深めたい方に向けて、いくつかの優れた書籍を紹介します!

初心者の方にも読みやすく、金融リテラシーが上がること間違いなしです!是非ご覧になってください。

昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株はテック株主導で反発、貿易・地政学リスクを楽観視か

  • S&P500指数は一時下落したものの、テクノロジー銘柄の牽引で上昇に転じました
  • トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウム関税の大幅引き上げを表明、関連株は急騰しました
  • 米中貿易協議の進展に対する市場の楽観的な見方が強まりました

株式市場の動き

6月2日の米株市場は、大型テクノロジー株が牽引する形で反発しました。一時、経済指標や貿易問題、地政学リスクが重なり下落したものの、終盤にかけて盛り返しました。

  • S&P500指数:5935.94(前日比+0.41%)

  • ダウ平均株価:42305.48(前日比+0.08%)

  • ナスダック指数:19242.61(前日比+0.67%)

特に半導体銘柄やエネルギー株が買われました

鉄鋼・アルミニウム関税倍増へ

トランプ大統領は鉄鋼に対する輸入関税を25%から50%に引き上げる方針を明らかにしました。これを受けて鉄鋼関連株は急騰

  • クリーブランド・クリフスは23%の急騰を記録。

一方で、関税引き上げで打撃を受けると予想される自動車株は下落

  • フォード、GMは約4%下落。

関税とは?

輸入品に課す税金のこと。輸入品の価格を高め、国内産業の保護を目的とする場合があります。

米中協議と市場の期待感

トランプ政権は貿易相手国に対し、関税に関する提案を4日までに提出するよう求めました。市場では米中貿易協議が最終的に妥結すると期待する見方があり、投資家心理を支えています。

ウォール街では、今週中にトランプ大統領と習近平主席が電話協議を行う可能性も報じられています。

ウクライナ・ロシア情勢

トルコで両国間の直接交渉が再開されましたが、戦争終結の進展はありませんでした。ただ、新たな捕虜交換について合意する動きがありました。

個別銘柄の動向

  • エヌビディア(半導体):+1.7%

  • メタ(旧フェイスブック):+3.6%

  • テスラ:−1.1%(欧州での販売台数減少の影響)

まとめ

✅ 米株市場はテクノロジー株中心に反発し、地政学リスクを一時的に吸収

✅ トランプ大統領の鉄鋼関税引き上げ発表に鉄鋼株が急騰、自動車株は下落

✅ 市場は米中貿易協議に対し引き続き楽観的

✅ ウクライナ情勢では直接交渉が進展せず

✅ テクノロジー株やエネルギー株が好調を維持

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り急上昇:トランプ関税政策で長期債売り加速

米国債が値下がりしています。これは、トランプ大統領が発表した関税政策への懸念が再び高まったことが主な原因です。

主要な利回り状況

現在の米国債利回りは以下の通りです

  • 30年債利回り: 4.96%(前日比+3.3bp上昇)
  • 10年債利回り: 4.44%(前日比+3.9bp上昇)
  • 2年債利回り: 3.93%(前日比+3.7bp上昇)

※ベーシスポイント(bp):金利の単位で、1bp = 0.01%のことです

経済指標の影響

ISM製造業景況指数の結果

5月のISM製造業景況指数が発表され、3ヶ月連続で製造業の活動縮小を示しました。この発表後、一時的に利回りの上昇が縮小しましたが、その後再び上昇を拡大しています。

長期債が特に下落

今回は特に償還期間の長い国債の下落が目立っています

  • 10年債利回りは一時6bp以上上昇
  • 30年債利回りは5%を突破
  • 5年債と30年債の利回り差が100bpに接近

トランプ政策の影響

関税引き上げ発表

トランプ大統領は5月30日に以下を発表しました

  • 鉄鋼への追加関税を25%から50%に引き上げ
  • アルミニウムへの追加関税も同様に引き上げ
  • 6月4日から実施

この発表により、長期債を中心に利回りが上昇しています。

投資家の動向

長期債離れの傾向

大手投資会社の間で以下の動きが見られます

  • ダブルライン・キャピタル、PIMCO等が長期債から距離を置く
  • 短期債へのシフトを進める
  • 理由:金利リスクが低く、適度な利回りが期待できるため

債券市場の特徴的な動き

  • 20年債利回りが30年債利回りを下回る現象が発生
  • この差は約4年ぶりの大きさ
  • 投資家が長期債により高いリターンを要求する傾向が強まっている

まとめ

✅ 米国債は関税政策への懸念から値下がりし、全期間で利回りが上昇しています

✅ 特に長期債の下落が顕著で、30年債利回りは5%台に到達しました

✅ ISM製造業指数の悪化にも関わらず、関税政策の影響が市場を支配しています

✅ 大手投資会社は長期債を敬遠し、短期債にシフトする動きを見せています

✅ 米国の財政赤字拡大と政策の不透明感が長期債への投資を困難にしています

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドルが全面安、関税懸念と景気指標悪化が要因に

  • 米国のISM製造業指数が予想を下回り、ドルが主要通貨に対して下落
  • トランプ大統領の追加関税引き上げ発表により米中貿易摩擦が再燃
  • 円がドルに対して一時1%上昇し、142円台で推移

ドル安を加速させた要因

米国の製造業指標が悪化

米供給管理協会(ISM)が発表した製造業購買担当者景気指数(PMI)は6カ月ぶりの低水準となる48.5に低下しました。景気が良好か否かの境目とされる50を下回り、景気の悪化懸念が広がったことでドルが売られました。

PMIとは?

  • 製造業の購買担当者が景況感を判断するための指標で、50を超えると景気拡大、下回ると景気縮小を示します。

トランプ大統領の関税引き上げ表明

トランプ大統領は米国の鉄鋼製品に対する追加関税を現行の25%から50%に引き上げると表明しました。米中間の緊張が再び高まったことで「米国売り」が広がり、ドルが下落しています。

関税とは?

  • 輸入品にかけられる税金で、国内産業保護や貿易収支改善のために課されますが、物価上昇(インフレ)につながることもあります。

各通貨の動き

  • 円は対ドルで一時1ドル=142円54銭まで上昇。終盤は142円後半から143円近辺で推移しました。

  • ユーロはドル安を背景に上昇し、1ユーロ=1.14355ドルと4月下旬以来の高値を記録。

  • ドル指数は0.6%安の98.75まで下落し、4月の3年ぶり安値に接近。

ドル指数とは?

  • ドルの強さを主要通貨との比較で指数化した指標です。下落はドル安を示します。

今後の見通し

モルガン・スタンレーは、米国と他国との金利差や成長率差が縮小しつつあることから、今後1年間はドルが弱含む傾向が続くと予想しています。


まとめ

✅ISM指数悪化でドルが全面安に

✅トランプ大統領の関税引き上げで米中貿易摩擦が再燃

✅円高が一時1%に達し、ドル指数も低下

✅モルガン・スタンレーはドル安が今後1年継続すると予測

原油・金相場が急騰:OPECプラス増産決定と地政学リスクで市場が反応

原油市場の動向

OPECプラス増産決定の詳細

  • 増産量: 7月に日量41万1000バレルの供給増加で合意
  • 決定日: 5月31日にOPECプラス有志国が合意
  • 市場予想: 一部で予想されていた規模より小さい増産幅
  • 内部対立: ロシア含む一部国が増産見送りを要求
  • 今後の見通し: 金融機関間で追加増産回数の見方が分かれる

※OPECプラス:石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される連合体

原油価格の上昇状況

  • WTI原油先物7月限: 前日比1.73ドル(2.8%)高の62.52ドル
  • ブレント原油8月限: 前日比2.9%上昇の64.63ドル
  • 最大上昇幅: WTI先物が一時5.1%上昇
  • 取引所: ニューヨーク商業取引所(NYMEX)とロンドンICE

※WTI・ブレント:世界の原油価格指標となる代表的な原油銘柄

地政学的リスク要因

  • ウクライナ情勢: ロシア領内深部への無人機攻撃を実施
  • イラン核問題: 高濃縮ウラン貯蔵量が過去最大の増加
  • IAEA報告書: 国際原子力機関の報告書をイランが批判
  • 供給懸念: 緊張激化でイラン産原油の追加供給可能性が低下

金市場の動向

金価格の大幅反発状況

  • 金スポット価格: 前日比89.86ドル(2.7%)高の1オンス3379.11ドル
  • 金先物8月限: 前日比81.80ドル(2.5%)高の3397.20ドル
  • 最大上昇幅: スポット価格が一時2.8%以上上昇
  • 取引所: ニューヨーク商品取引所(COMEX)

※スポット価格:現物の即時決済価格

金価格上昇の主要因

米中貿易摩擦の再燃

  • 関税問題: 米国と中国が関税を巡り非難の応酬
  • 中国の反応: 商務省が「貿易休戦に米が違反」と非難
  • 中国の対応: 「断固たる措置を講じる」と表明
  • 市場への影響: 安全資産への需要が再び強まる

地政学的不安の拡大

  • ウクライナ・ロシア: 複数の軍拠点への無人機攻撃
  • 和平交渉: トルコ・イスタンブールでの直接交渉も進展なし
  • 不透明感: 両国和平交渉の行方に不透明感が増大
  • 安全資産需要: 地政学リスクで金への逃避需要が拡大

経済指標の悪化

  • ISM製造業指数: 弱い内容となり金需要を押し上げ
  • 製造業の状況: 3ヶ月連続での活動縮小を示す
  • 市場心理: 経済先行き不安が安全資産需要を喚起

※ISM製造業指数:米国製造業の景況感を示す重要な先行指標

市場専門家の分析

オイリティクス創業者の見解

  • ケシャブ・ロヒヤ氏のコメント: 「最悪の懸念はひとまず払拭された」
  • ショートポジション: ブレント原油の投機的売りが2025年以降最高水準
  • 弱気報道の影響: OPEC関連の弱気な報道が相次ぐ中での合理的な動き
  • 今後の見通し: 現物市場の健全なファンダメンタルズが続けば相場急上昇の材料

※ショートポジション:価格下落を予想した売りポジション

市場のポジション状況

  • 増産決定前: 市場の一部に弱気ポジションが存在
  • ポジション調整: 弱気ポジションの巻き戻しが相場押し上げに寄与
  • 投機的動向: 北海ブレント原油の投機的ショートが昨年10月以来の高水準
  • 市場期待: 一部では7月に41万1000バレル超の増産加速を期待

まとめ

✅ OPECプラスの予想より小規模な増産決定により、原油価格が大幅上昇しました

✅ ウクライナ・ロシア情勢の緊迫化とイラン核問題がエネルギー供給への懸念を高めています

✅ 米中貿易摩擦の再燃と地政学リスクの拡大により、金が安全資産として大幅に買われています

✅ ISM製造業指数の悪化が経済先行き不安を招き、リスク回避の動きを加速させています

✅ 市場の弱気ポジション調整も相場上昇に寄与し、商品市場全体でリスクオン・オフが混在しています