2025/6

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/6/5

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株はまちまち、景気減速懸念と貿易政策の行方に注目

  • 米株式市場はまちまち、経済指標悪化で景気減速懸念が再燃。
  • S&P500種指数はほぼ横ばい、ナスダックは小幅続伸、ダウ平均は反落。
  • 貿易交渉や関税問題が株価の重しに。

米株式市場の状況

米国株式市場は6月4日、まちまちの展開で取引を終えました。S&P500種株価指数はほぼ横ばい、ナスダック総合指数はわずかながら上昇したものの、ダウ工業株30種平均は反落しました。

  • S&P500種株価指数:5970.81(+0.01%)

  • ダウ工業株30種平均:42427.74(-0.22%)

  • ナスダック総合指数:19460.49(+0.32%)

ヘルスケアや通信といった防御的(ディフェンシブ)な銘柄が堅調な動きを見せる一方、大型テクノロジー銘柄はメタ・プラットフォームズが上昇したものの、テスラは欧州市場での販売減を受けて下落しました。

経済指標の悪化と利下げ観測

米経済の先行きを示す重要な指標が弱含んだことで、市場には警戒感が広がっています。

ISM非製造業指数(サービス業景況感を表す指標)

  • 5月は49.9と低下(4月は51.6)
  • 2024年6月以来の低水準

ISM非製造業指数とは?
サービス業の経済活動を測る重要な指標で、50を下回ると景気縮小を示します。

ADP雇用報告(民間企業の雇用動向を示す指標)

  • 民間雇用者数は37,000人増と予想を大幅に下回り、2年超ぶりの低水準に。

これらの指標は、米経済が低成長・高インフレ(スタグフレーション)のリスクを抱えていることを浮き彫りにしました。

スタグフレーションとは?
経済が停滞(低成長)しながら、インフレが同時に進む悪循環の状態です。

ロンバー・オディエのイエルポ氏は、こうした弱い経済指標は将来的な利下げの可能性を示唆すると指摘する一方、「株価には既に改善が織り込まれているため、今後の失望リスクもある」と分析しています。

米中貿易交渉が株価の焦点に

トランプ大統領と中国の習近平国家主席が今週中にも貿易交渉を行うと予想されており、市場は関税問題の行方を注意深く見守っています。

ラデンバーグ・タルマンのフィル・ブランカトCEOは、「中国との合意が成立しなければ、関税問題が数カ月間、経済の主要な問題となる」と述べています。

注目個別銘柄の動き

  • グローバルファウンドリーズ(半導体):投資計画拡大を好感し、2.3%上昇

  • ウェルズ・ファーゴ(銀行):資産規制解除で一時上昇も、最終的に0.4%安

  • テスラ(EV):欧州での販売減少を受け、3.5%下落

  • クラウドストライク(サイバーセキュリティ):売上高予想未達で5.8%安

  • ダラー・ツリー(小売り):関税による業績悪化懸念で8%超急落

今後の注目ポイント

  • 米中の貿易交渉の進展

  • 景気指標の動向とFRBの金融政策対応(利下げの可能性)

  • 株価が織り込んだ楽観的なシナリオが維持されるか否か

まとめ

✅米国株市場はまちまち、経済指標悪化が懸念材料

✅ISM非製造業指数とADP雇用統計の弱い結果が景気不安を示唆

✅米中貿易交渉の進展が市場の大きな焦点に

✅テスラなど個別銘柄では売られる動きも目立った

✅株価が織り込んだ楽観シナリオの維持に注意が必要

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り急落、雇用統計悪化で利下げ観測強まる

米国債利回りが大幅下落

4日の米金融市場では、国債利回り(※国がお金を借りる際の金利)が急激に低下しました。これは、アメリカの経済指標が市場予想を下回り、景気減速への懸念が高まったためです。

主要な国債利回りの変化

  • 30年債利回り:4.88%(前日比-2.08%)
  • 10年債利回り:4.35%(前日比-2.26%)
  • 2年債利回り:3.86%(前日比-2.19%)

経済指標の悪化が影響

ADP民間雇用統計の低迷

ADP民間雇用統計では、雇用者数の伸びが2年ぶりの低水準となりました。これは労働市場の冷え込みを示すサインです。

非製造業部門の縮小

供給管理協会(ISM)が発表した5月の非製造業総合景況指数では、非製造業活動が1年ぶりに縮小したことが判明しました。非製造業とは、サービス業や小売業などを指し、アメリカ経済の大部分を占める重要な分野です。

利下げ観測の高まり

FOMC利下げ確率の上昇

金利スワップ市場(※将来の金利を取引する市場)では、以下のような利下げ確率となっています

  • 9月の利下げ確率:82% → 90%超に上昇
  • 10月・12月:それぞれ0.25ポイントの利下げ確率が上昇

政治的な圧力も

トランプ大統領は、ADP雇用統計の発表後すぐにソーシャルメディアでパウエルFRB議長に対して利下げを要求しました。

専門家の見解

ウェリントン・マネジメントの専門家は「経済の軟化が実際に始まりつつある」と分析しています。また、投資家が長期的な財政問題に注目しすぎて、短期的な成長見通しを軽視していると指摘しました。

今後の注目ポイント

6日に発表される5月の米雇用統計では、以下が予想されています

  • 非農業部門雇用者数:12万8000人増(4月は17万7000人増)
  • 失業率:4.2%で横ばい

専門家は、失業率が4.5%まで上昇すれば、FOMCがより積極的な利下げに動く可能性があると指摘しています。

まとめ

✅ 米国債利回りが雇用統計悪化と非製造業縮小を受けて急落しました

✅ 9月の利下げ確率が90%超に上昇し、市場は利下げを強く織り込んでいます

✅ ADP雇用統計は2年ぶりの低い伸びにとどまり、労働市場の冷え込みを示しています

✅ 6日発表の雇用統計が今後の金融政策を左右する重要な指標となります

✅ 失業率の動向が特に注目され、4.5%への上昇があればより積極的な利下げが予想されます

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル安進行、米経済指標の弱さが背景に

  • 米国の雇用とサービス業の指標が予想を下回り、ドルが下落。
  • 今後のFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ期待が高まっている。
  • 円は対ドルで上昇し、142円台を記録。

ドルが下落した背景

米国で発表された以下の経済指標が弱かったことがドル安の主な要因です。

雇用指標(ADP民間雇用者数)の悪化

  • ADPが発表した5月の雇用者数の増加幅は予想を大きく下回り、2023年3月以来の低水準となりました。

ISM非製造業指数が節目を割り込む

  • サービス業の景況感を示すISM非製造業指数は49.9となり、景気判断の分岐点である50を下回りました。

  • これは約1年ぶりの低水準であり、経済の減速を示しています。

ADP雇用者数、ISM非製造業指数とは?

  • ADP雇用者数とは?
    米国の民間企業の雇用状況を示す経済指標で、月ごとに発表されます。雇用状況の先行指標として注目されますが、実際の雇用統計(非農業部門雇用者数)との関連性は必ずしも高くありません。

  • ISM非製造業指数とは?
    米国のサービス業の景況感を示す指標で、50を上回れば景気拡大、下回れば景気縮小と判断されます。

FRB利下げ期待が強まる

経済指標の悪化を受けて、市場ではFRBが次回の会合でより「ハト派的」なメッセージを打ち出し、年内に利下げが実施される可能性が高まっています。

ハト派的とは?

金融政策において、景気刺激を優先し、利下げや金融緩和を支持する姿勢のことを「ハト派的」と呼びます。

今後のドル円相場の見通し

三菱UFJ信託銀行の小野寺氏は、当面のドル円相場は142円から145円のレンジで動くと予測しています。また、米国の財政問題や関税問題が解決されない限り、本格的なドル高への転換は難しいと見ています。

主な為替の動き(直近値)

  • ドル/円:142.80円(前日比-0.81%)

  • ユーロ/ドル:1.1420ドル(前日比+0.42%)

  • ポンド/ドル:1.35515ドル(前日比+0.2%)

  • カナダドル:対米ドルで約+0.4%上昇


まとめ

✅米国のADP雇用者数とISM非製造業指数の低下でドル安進行

✅FRBの利下げ期待が市場で高まっている

✅ドル円相場はしばらく142円から145円で推移すると予測される

✅円は対ドルで強含み、一時142円台に上昇

✅米財政や関税問題が解決するまで、ドル安基調は継続する見込み

原油・金相場の動向:サウジ増産要求と米経済指標の影響

原油先物が反落

原油先物(※将来の一定時期に原油を売買する約束の価格)が下落しました。サウジアラビアがOPECプラス(※石油輸出国機構とその他産油国の連合)に対して大幅な増産継続を求めているとの報道が影響しています。

サウジアラビアの増産要求

  • 8月だけでなく9月も日量41万1000バレル以上の生産拡大を要求
  • 失った市場シェアの奪回を重視
  • 供給過剰への懸念が市場で強まる

原油価格の動き

  • WTI先物7月限:62.85ドル(前日比0.9%安)
  • 北海ブレント8月限:64.86ドル(前日比1.2%安)

専門家の見解

CIBCプライベート・ウェルス・グループの専門家は「OPECの現在の方針が今後も続く可能性が高い」と分析しています。市場は条件反射的に反応していますが、OPECの意図は既に十分伝わっていたとの見方も示しています。

金相場は反発

金価格上昇の背景

金相場が上昇しました。主な要因は以下の通りです:

  • 米経済指標の悪化:予想を下回る結果で年内利下げ観測が強まる
  • 金利低下の恩恵:利子を生まない金の投資魅力が相対的に向上
  • 安全資産への逃避:米中貿易戦争激化で金への需要が増加

金価格の動き

  • 金スポット価格:3379.23ドル(前日比0.8%高)
  • COMEX金先物8月限:3399.20ドル(前日比0.7%高)

取引の流れ

  • 前日:米求人件数の予想外増加で一時下落
  • アジア時間:上海黄金取引所で押し目買いが広がり上昇転換

まとめ

✅ 原油先物はサウジアラビアの増産継続要求により供給過剰懸念で下落しました

✅ 金相場は米経済指標悪化による利下げ観測強まりで反発しています

✅ 貿易戦争激化も安全資産としての金への需要を支えています

✅ OPECプラスの増産方針が今後も継続される可能性が高いとの見方が示されています