2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/1

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株式市場が続伸し最高値を更新

30日の米国株式市場は、貿易交渉への期待と利下げ観測を背景に力強い上昇を見せました。S&P500種株価指数は終値で最高値を更新し、投資家の楽観的な見方が市場を押し上げています。

主要株価指数の動向

各主要指数は以下のような結果となりました

  • S&P500種株価指数: 6204.95(前日比+31.88、+0.52%)
  • ダウ工業株30種平均: 44094.77(前日比+275.50、+0.63%)
  • ナスダック総合指数: 20369.73(前日比+96.27、+0.47%)

S&P500種は節目の6200を上抜けて終了し、4月の安値から25%近く上昇しています。四半期では2023年12月以来の好調なパフォーマンスを記録しました。

上昇を牽引した要因

貿易交渉への期待

米国が主要貿易相手国・地域との関税交渉で合意に近づいているとの期待が市場を支えています。7月9日に迫る上乗せ関税の適用停止期限までに、さらなる合意がまとまるとの見方が広がっています。

利下げ観測

利下げ観測(※金利を下げるとの予想)を背景に、米国債市場は5年で最も好調な上半期を終えました。低金利環境は株式投資にとって追い風となります。

個別株の好材料

  • アップル: 大型株の中で特に上げが目立ちました
  • オラクル: 300億ドル規模の大型クラウド契約を好感し大幅高
  • 銀行株: FRBの年次ストレステスト(健全性審査)を通過し上昇

貿易政策の動向

日本との関係

トランプ米大統領は日本が米国産コメの輸入に消極的だとして、新たな関税を課す構えを見せています。

EU との交渉

欧州連合(EU)は以下の姿勢を示しています

  • 輸出品の多くで10%の一律関税を受け入れる用意
  • 医薬品、酒類、半導体、商用航空機では関税引き下げを米国に要求

専門家の見解

楽観的な見方

  • 健全な経済のファンダメンタルズ(※経済の基礎的条件)がマイナス材料への緩衝材となる
  • 個人消費や企業利益を大きく抑制する事態が起きない限り、株式市場は堅調を維持

注意すべき点

  • 関税に関する材料で市場が時折動揺する可能性
  • 不透明な政策環境による市場センチメントへの影響
  • 分散型ポートフォリオの維持が重要

まとめ

✅ S&P500が最高値を更新し、主要3指数すべてが上昇して取引を終了

✅ 貿易交渉への合意期待と利下げ観測が市場の支援材料となっている

✅ ハイテク株と銀行株が上昇を牽引し、四半期では2桁の上昇率を記録

✅ 7月9日の関税適用期限を控え、さらなる貿易合意への期待が高まっている

✅ 専門家は経済の基礎的条件の健全性を評価する一方、分散投資の重要性を指摘

 

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債市場が急上昇、利下げ期待で5年ぶり好調な上半期を記録

米国債相場が好調に推移

米国債相場が上昇し、利回りが低下しています。この上半期は過去5年間で最も好調な成績を収めました。

主要国債利回りの状況

  • 30年債利回り:4.78%(-5.5bp)
  • 10年債利回り:4.23%(-4.5bp)
  • 2年債利回り:3.73%(-2.3bp)

※bp(ベーシスポイント):金利の変動幅を表す単位で、1bp = 0.01%

利下げ予想の前倒しが市場を支援

ゴールドマン・サックスのエコノミストが、米国の利下げ時期が従来予想より早まる可能性を示唆しました。この背景には以下の要因があります

  • 関税によるインフレ影響が予想より小さい
  • FRB(連邦準備制度理事会)が9月にも利下げに踏み切る可能性
  • 月末の指数リバランシングに伴う買い需要

※FRB:アメリカの中央銀行で、金融政策を決定する機関

政府の長期債発行方針

ベッセント米財務長官は、長期債の発行増額について「その必要はないだろう」と発言しました。現在の金利水準を考慮すると、政府が長期債発行を増やすメリットは少ないとの判断を示しています。

市場の警戒感と投資動向

市場関係者の見方

  • 利下げ局面で乗り遅れることへの警戒感が高まっている
  • 外国勢による米国債需要が依然として強い
  • 金利エクスポージャー(金利変動リスク)を増やす動きが見られる

政治的な動向と市場への影響

米上院では、トランプ大統領の税制・歳出法案の審議が開始されました

  • 51対49の賛成多数で手続きをクリア
  • 向こう10年間で約3兆3000億ドルの財政赤字拡大が予想される
  • 債券市場での反応は限定的

また、トランプ大統領がFRBのパウエル議長に利下げを求める書簡を送ったことも明らかになっています。

まとめ

✅ 米国債相場は上昇し、過去5年で最も好調な上半期を記録した

✅ ゴールドマンの利下げ予想前倒しにより、市場では9月利下げへの期待が高まっている

✅ 財務長官は長期債発行増額を否定し、現在の金利水準での発行拡大は不要との見解を示した

✅ トランプ政権は積極的な利下げを求めており、FRBへの圧力を強めている

✅ 市場では利下げ局面での出遅れを警戒し、金利エクスポージャーを増やす動きが活発化している

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑


ドル指数が6カ月連続下落、円とユーロが上昇

外国為替市場では、米国の大型減税・歳出法案への懸念を背景にドル売りが優勢となりました。ドル指数は6カ月連続の下落となり、2017年以来の長期下落局面を迎えています

為替レートの変化

  • ブルームバーグ・ドル指数: 1190.16(前日比-5.71、-0.48%)
  • ドル/円: ¥143.98(前日比-¥0.67、-0.46%)
  • ユーロ/ドル: $1.1784(前日比+$0.0066、+0.56%)

各通貨の特徴的な動き

  • : 対ドルで上昇し、144円近辺で推移。欧州時間には143円78銭まで買われる場面もありました
  • ユーロ: 2021年以来の高値を更新し、年初から約14%上昇
  • ドル指数: 月間で6カ月連続下落、半期ベースでは1970年代以来の軟調さ

ドル下落の背景

財政赤字拡大への懸念

米上院が審議中の大型減税・歳出法案について、議会予算局(CBO)(※米議会の予算分析機関)は以下の分析を示しました

  • 今後10年間で米国の財政赤字(※国の支出が収入を上回る額)を約3兆3000億ドル(約476兆円)拡大
  • 専門家は「公的部門のバランスシートの健全性」への懸念を表明

貿易交渉の不透明感

  • 米政府が進める主要貿易相手国・地域との通商交渉を巡る不透明感が継続
  • 関税協議の先行きが見えない状況が市場の不安材料となっています

専門家の見解

市場環境の分析

専門家からは以下のような指摘が出ています

  • 「椅子取りゲーム」のような状況: 税制・歳出法案、関税協議、中東紛争など、一つの問題が通過すると次の問題に焦点が移る状況
  • 欧州通貨の優位性: スウェーデンクローナ、スイスフラン、ユーロが今年の大きな勝ち組となっている
  • EUの政策効果: EUが大規模な支出法案を発表した後にユーロの形勢が好転

今後の見通し

  • 大規模な歳出法案が成立するかどうかが市場の大きな注目点
  • 財政赤字拡大懸念がドル下落圧力として継続する可能性
  • 関税を巡る不透明感が当面続く見込み

政治的背景

議会の動き

  • 米上院共和党がトランプ大統領の包括的な税制・歳出法案の審議を進行
  • 党内で意見が分かれているものの、可決に向けて取り組む方針
  • 7月4日の独立記念日までの成立を目指している

法案の影響

この法案により

  • 米国の債務が3兆3000億ドル押し上げられると予想
  • 市場では財政の健全性に対する懸念が高まっている

まとめ

✅ ドル指数が6カ月連続で下落し、2017年以来の長期下落局面に突入

✅ 米国の大型減税・歳出法案による財政赤字拡大懸念がドル売りの主因

✅ ユーロが2021年以来の高値を更新し、円も対ドルで上昇基調を維持

✅ 貿易交渉の不透明感と中東情勢など複数の不安材料が市場を左右している

原油価格が反落、金価格は反発 – OPECプラス増産と中東情勢緩和が影響

OPECプラスの大幅増産計画が価格を押し下げ

ニューヨーク原油先物相場は反落しました。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスの生産引き上げ規模を巡る思惑が広がる中、供給不安が和らいだことが要因です。

※OPEC(石油輸出国機構):世界の主要産油国が加盟する国際機関で、原油価格の安定化を目的としています

OPECプラスの増産計画

  • 7月6日の会合で8月分についても日量41万1000バレルの生産拡大を検討
  • 実現すれば4カ月連続の大幅供給増加
  • 当初計画の3倍に相当する規模

中東情勢の緊張緩和が影響

イランとイスラエルが停戦で合意したことにより、地政学リスクプレミアム(政治的不安による価格上昇分)が市場から取り除かれました。これを受けて、ヘッジファンド(投資ファンド)は原油に対する弱気な見方を強めています。

現在の価格水準:

  • WTI先物8月限:1バレル=65.11ドル(前日比0.6%安)
  • 北海ブレント8月限:67.61ドル(0.2%安)
  • 北海ブレント9月限:66.74ドル(0.1%安)

市場関係者の見方

BOKファイナンシャル・セキュリティーズのデニス・キスラー氏は「原油先物は1バレル=65ドル近辺で均衡点を見いだしているようだ」と指摘。夏の旅行需要がOPECプラスの追加供給分を吸収できるかが注目されています。

金相場の動向

米税制法案への懸念が金価格を押し上げ

金相場は反発しました。トランプ大統領が推進する大型税制法案を巡る米上院での交渉が続いており、米財政赤字のさらなる拡大への懸念が広がっています。

金価格の現状

  • 金スポット価格:1オンス=3298.86ドル(前日比0.75%高)
  • COMEX金先物8月限:3307.70ドル(0.6%高)
  • 月間ベースでは2カ月連続で下落

※スポット価格:現時点での現物取引価格

長期的な見通しは慎重

シティグループのアナリストは、トランプ大統領の政策が成立すれば米成長への懸念が和らぎ、金需要は最終的に冷え込む可能性があると指摘しています。

シティグループの予想

  • 金価格は2026年後半までに1オンス=2700ドルを割り込む見通し
  • 金生産者にヘッジ(価格下落リスクへの備え)を推奨

まとめ

✅ 原油価格はOPECプラスの大幅増産計画と中東情勢緩和により反落し、1バレル65ドル近辺で推移

✅ イランとイスラエルの停戦合意により地政学リスクが後退、ヘッジファンドは弱気姿勢を強化

✅ 金価格は米税制法案による財政赤字拡大懸念とドル安を背景に反発

✅ 長期的には米経済政策の成功により金需要は冷え込む可能性があり、2026年後半には2700ドル割れも予想される