2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/10

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

エヌビディアが史上初の時価総額4兆ドルを達成、米株市場は堅調に推移

  • 米株市場は大型ハイテク株を中心に堅調に推移しました。
  • エヌビディアの時価総額が史上初めて4兆ドル(約585兆円)を突破しました。
  • トランプ大統領の新たな関税政策が注目されましたが、市場への影響は限定的でした。
  • FRB(連邦準備制度理事会)の議事録では、関税によるインフレへの影響を巡り、当局者間の意見が分かれています。

ハイテク株主導で市場が上昇

米国の株式市場は9日、前日の下落から反発しました。特に大型ハイテク株が牽引役となり、主要な指数が上昇しています。

  • S&P500種株価指数:6263.26(前日比+0.61%)

  • ダウ工業株30種平均:44458.30(前日比+0.49%)

  • ナスダック総合指数:20611.34(前日比+0.94%)

CNNの「恐怖と強欲指数」は「極端な強欲」を示しており、市場参加者が非常に強気であることがわかります。


エヌビディアが市場の注目を集める理由

AI需要で時価総額4兆ドル突破

半導体大手エヌビディアは、AI(人工知能)技術の需要増加を背景に時価総額が一時4兆ドルを突破しました。年初からの株価上昇率は20%を超え、2023年初からは1000%超という驚異的な伸びを見せています。

  • AIへの投資が主要顧客で拡大中

  • 時価総額は終値ベースで約3兆9700億ドル

時価総額とは?
企業の市場価値を示す指標で、「株価×発行済株式数」で計算されます。


トランプ大統領の新たな関税措置

トランプ米大統領はイラク、フィリピンなど7カ国に新たな関税を発表しました。特にブラジルには50%の高関税を課すとしています。ただ、市場はこれに対して冷静な反応を示しています。

市場の関税ニュースへの耐性が高まっている

パイパー・サンドラーのアナリストは「貿易戦争のニュースによる短期的な下落リスクはあるが、市場は関税関連ニュースに慣れてきている」と指摘しています。


FRBの議事録で見るインフレと利下げ見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、関税によるインフレへの影響をめぐり意見が分かれています。

  • 少数派:「関税の影響は一時的でインフレ期待に影響しない」

  • 多数派:「関税はインフレに持続的な影響を与える可能性がある」

市場は、FRBが年内に利下げに踏み切る可能性を織り込みつつも、直近での利下げ観測は後退しています。7月のインフレ統計次第では、金利据え置きが継続されるとみられています。


その他の注目企業ニュース

  • アップル:関税を懸念して一時下落

  • X(旧ツイッター):リンダ・ヤッカリーノCEOが退任表明

  • メルク:英ベローナ・ファーマを約100億ドルで買収合意

  • サムスン電子:新型折りたたみスマホ3機種を発表


今後の米株市場の見通しは?

米株市場は企業業績の好調やAI関連投資の拡大により、年末まで緩やかな上昇が続く可能性があります。ただし、トランプ大統領の政策変更など不測の事態が発生すれば、市場が大きく乱れるリスクもあるため注意が必要です。


まとめ

✅ 米株市場はハイテク株主導で反発し、ナスダックは史上最高値を更新

✅ エヌビディアの時価総額が史上初の4兆ドルを突破。AI需要が株価を押し上げ

✅ トランプ大統領が新たな関税を発表したが、市場の反応は鈍くなっている

✅ FRB議事録では関税のインフレへの影響をめぐり意見が分かれ、年内利下げ予想も後退

✅ 市場は堅調ながらも、政策リスクへの注意は継続的に必要

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債入札好調で相場反発 – 10年債に強い需要、財政不安が緩和

米国債相場は反発(金利低下)しました。これは、10年債入札で予想以上の強い需要が確認されたことが主な要因です。発行額390億ドルの入札結果を受けて、米財政見通しへの不安が和らぎました。

各国債利回りの動き
  • 米30年債利回り:4.87%(前営業日比-5.7bp、-1.16%)
  • 米10年債利回り:4.33%(前営業日比-6.7bp、-1.53%)
  • 米2年債利回り:3.84%(前営業日比-4.8bp、-1.22%)

※bp(ベーシスポイント):1bp=0.01%を表す金利の単位

10年債入札の好調な結果

入札結果の詳細

10年債入札では以下の好材料が確認されました

  • 最高落札利回り:4.362%(入札前の予想水準を約0.5bp下回る)
  • 応札倍率:2.61倍(4月以来の高水準)
  • 需要の強さ:予想を上回る投資家の関心

専門家の見解

オックスフォード・エコノミクスのアナリスト、ジョン・キャナバン氏は「堅調な入札結果は市場ムードをさらに明るくした」と評価しています。また、アクション・エコノミクスのキム・ルパート氏は「米資産売りの考え方は大幅に後退した」との見方を示しました。

金利政策と市場の背景

最近の市場動向

  • 強い雇用データ:先週発表された雇用統計が好調で、利下げ期待が後退
  • 米減税・歳出法の成立:これにより利回りは上昇傾向にあった
  • FOMC議事要旨:6月の会合では、関税がインフレに与える影響について当局者間で見解が分かれていることが判明

政治的な影響

トランプ大統領は継続的にFRB(連邦準備制度理事会)に対して利下げ圧力をかけており、現在の政策金利は少なくとも3ポイント高すぎると述べています。

今後の見通し

財政面での安心材料

  • 外国投資家の動向:米国債離れを示す明確な兆候は見られない
  • ベセント財務長官の発言:現在の金利水準では国債入札規模を拡大する予定はないと表明
  • 今後の入札予定:10日には220億ドルの30年債入札が実施予定

利回り格差の動き

2年債と10年債の利回り格差は48bpと、約3bp縮小しました。これは長期と短期の金利差が若干狭まったことを意味します。

まとめ

✅ 米国債相場は10年債入札の好調な結果を受けて反発し、各年限の利回りが軒並み低下しました

✅ 390億ドルの10年債入札では応札倍率が2.61倍と4月以来の高水準を記録し、米国債への需要の強さが確認されました

✅ 強い雇用データや減税法成立で利回りは上昇傾向にあったものの、入札結果が市場の安心感を高めました

✅ 外国投資家の米国債離れの兆候は見られず、財務省も入札規模拡大予定がないと表明し、需要を下支えしています

✅ 政治的な利下げ圧力が続く中でも、堅調な入札結果により米債市場への信認が維持されていることが示されました

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル円相場は米関税の影響で不安定に

  • 米国が日本に対し25%の関税を課すと発表し、円安ドル高の流れ
  • UBSはドル円相場予測を引き上げ、さらなる円安の可能性を示唆
  • ドルは一時147円台に達するも、その後は小幅な調整

米関税で円安ドル高が加速

トランプ米大統領が日本からの輸入品に25%の関税を8月1日から課すと表明したことを受け、外国為替市場では円が売られ、ドルが買われる動きが加速しています。

ドル/円相場は一時147.19円と約2週間ぶりの高値を記録しましたが、取引終盤にはやや調整し146.35円で推移しています。

UBS、ドル円予想を引き上げ

大手金融機関のUBSは、日銀のハト派的(緩和的)な政策姿勢と米ドルの強含み傾向を理由に、ドル/円の相場見通しを引き上げました。これまでは135円としていた7~9月の予測を140円に修正し、さらなる円安が進む可能性にも言及しています。

ハト派とは?

  • ハト派とは金融政策において緩和的な姿勢を示すことを指します。具体的には、金利を低く抑えたり、市場に資金を供給したりして、景気を刺激する政策を取ることです。

関税交渉が相場の焦点に

日本は輸出依存度が高く、関税が実施されれば輸出に打撃を受けるため、円が売られやすくなっています。米財務省のベセント財務長官が今後訪日予定であり、追加の交渉によって状況が変化する可能性も残されています。

他の通貨の動向

  • ユーロ/ドルは、FRB(米連邦準備理事会)の年内利下げ回数がECB(欧州中央銀行)を上回るとの予想から、比較的堅調に推移。

  • ブラジル・レアルは対米関税50%の影響で大幅下落。

  • カナダドルも軟調。

まとめ

✅ 米国の対日関税発表で円安が進む

✅ UBSはドル円予測を引き上げ(140円に修正)

✅ 日銀のハト派姿勢で更なる円安の可能性

✅ ユーロは米国より利下げ余地が少なく堅調

✅ ブラジル・レアルは50%関税で大幅下落

原油・金相場の動向 – 原油は在庫増と制裁措置で横ばい、金は長期金利低下で反発

相場の状況

ニューヨーク原油先物相場はほぼ変わらずで推移しました。相場を押し下げる要因と押し上げる要因が拮抗し、もみ合う場面が目立ちました。

主要価格
  • WTI先物8月限:1バレル=68.38ドル(前日比+5セント、+0.1%)
  • 北海ブレント9月限:70.19ドル(前日比+4セント高)

相場を動かした要因

下押し要因
  • 米エネルギー情報局によると、先週の米原油在庫は710万バレル増加
  • 1月以来の大幅な増加幅を記録
  • 精製活動の小幅な低下と輸出の鈍化が在庫増の原因
上昇要因
  • 米財務省がイラン産原油の輸出を支援したとして22の外国組織を制裁対象に追加
  • 米国がイランの原油輸出を制限する新たな措置を実施

専門家の見解

ケプラーのマット・スミス氏:

  • 週次ベースで輸入が大幅に減少したにもかかわらず、精製活動の小幅な低下と輸出の鈍化が、原油在庫の大幅な増加につながった

ラボバンクのジョー・デローラ氏:

  • 制裁措置の効果について懐疑的な見方を示す
  • 「全ては見せかけだ。週末までに、制裁を受けた企業は全て新しい名前で新しい場所で営業を再開し、石油は流通し続けるだろう」

金相場の動向

相場の状況

金相場は4営業日ぶりに反発しました。米長期金利の低下を背景に、金利を産まない金の投資妙味が高まったことが要因です。

主要価格
  • 金スポット価格:1オンス=3,316.17ドル(前日比+14.25ドル、+0.4%)
  • COMEX金先物8月限:3,321ドル(前日比+4.10ドル、+0.1%)

相場を動かした要因

上昇要因
  • 米長期金利の低下により金利を産まない金の投資妙味が高まった
  • 前日までの下落の反動から安値を狙った買いが入った
  • FOMC議事要旨で年内の利下げ可能性が示唆された
上値を抑制した要因
  • トランプ大統領が14カ国に新たな相互関税を通知
  • 輸入銅に対して50%の関税を課す考えを表明
  • 高関税政策によるインフレ懸念からドル買いが優勢

FOMC議事要旨の内容

  • 大半の参加者がトランプ政権の高関税政策によるインフレ上振れ圧力は「一時的か小幅」と指摘
  • 年内に政策金利を「いくらか引き下げることが妥当となる可能性がある」との認識を示す

専門家の見解

サクソバンクのオール・ハンセン氏
  • 「金属セクターは値固め局面の時期に入った。金相場は過去12週間で横ばいで推移している」
  • 2025年後半にFRBの利下げなどにより金需要が高まり、追い風となる可能性を指摘

まとめ

✅ 原油相場は在庫の大幅増加(710万バレル)が下押し要因となったものの、イラン制裁措置が相殺してほぼ横ばいで推移しました

✅ 金相場は4営業日ぶりに反発し、米長期金利の低下により金利を産まない金の投資妙味が高まったことが主因となりました

✅ FOMC議事要旨では年内利下げの可能性が示唆されましたが、金相場への影響は限定的でした

✅ トランプ政権の高関税政策がインフレ懸念を高め、ドル高要因となって金の上値を抑制する構図が見られました

✅ 専門家は金相場の値固め局面が続くとの見方を示しており、2025年後半の利下げ局面での需要拡大に期待を寄せています