2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/16

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場、CPIと関税懸念で反落もハイテク株は好調

米国株式市場は6月の消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで、一時は上昇したものの、関税によるインフレ懸念が残り反落しました

ハイテク株は好調で、特に半導体関連企業の株価が上昇しました

関税の影響が徐々に物価に反映され始めており、今後のインフレ懸念が高まっています

米国株式市場の動き

15日の米国株式市場は、代表的な株価指数であるS&P500とダウ工業株が下落しました。一方で、ハイテク株中心のナスダック総合指数は上昇し、最高値を更新しています。

  • S&P500種株価指数:6243.76(-0.40%)

  • ダウ工業株30種平均:44023.29(-0.98%)

  • ナスダック総合指数:20677.80(+0.18%)

米CPIが市場予想を下回るも、関税懸念は根強い

6月の米消費者物価指数(CPI)は、市場予想を5カ月連続で下回る結果でした。しかし、この数字が示すインフレの落ち着きは一時的なものと見られており、関税の影響が徐々に物価に現れ始めているとの指摘があります。

CPI(消費者物価指数)とは?

消費者が購入する商品やサービスの価格変動を測る経済指標のこと。インフレ(物価の上昇)やデフレ(物価の下落)を示す重要な指標として注目されています。

市場では、関税が徐々に企業のコスト上昇につながり、それが消費者への価格転嫁として現れている兆候を警戒しています。

ハイテク株は堅調、半導体株が牽引

ハイテク分野は好調な動きを見せました。特に半導体企業が大きく上昇しています。その背景には、エヌビディアとAMDがAI向け半導体の中国輸出を再開する方針を示したことがあります。

  • エヌビディア(NVDA):4%高

  • AMD:6.4%超上昇

  • スーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI):6.4%超上昇

半導体株とは?

スマートフォンやパソコン、自動車、AIなど様々な電子機器に使われる半導体チップを製造・販売する企業の株のこと。景気の動向を敏感に反映しやすいセクターです。

銀行株は決算を受けて明暗が分かれる

主要銀行の株価は、第2四半期の決算発表後にばらつきが出ました。

  • ウェルズ・ファーゴ:純金利収入見通しの引き下げで5.5%下落。

  • JPモルガン・チェース:決算は予想を上回ったものの0.7%下落。

  • シティグループ:25%増益、自社株買い計画発表で3.7%上昇(2008年以来の高値)。

FRBの今後の動向と市場の見方

市場は、FRB(連邦準備制度理事会)が関税によるインフレ影響を見極めるため、今後数か月間は政策金利の据え置きを続ける可能性が高いとみています。

関税が企業や消費者への負担を高め、それが長期的なインフレに繋がる可能性もあり、今後数ヶ月間の経済指標が特に注目されるでしょう。

FRB(連邦準備制度理事会)とは?

米国の中央銀行にあたり、政策金利(景気を調整するための金利)を決める機関。景気の過熱や不況を防ぐため、経済指標を見ながら政策を決定します。

まとめ

✅米国CPIは予想を下回ったが、関税の影響が今後インフレを押し上げる可能性あり

✅ハイテク株(特に半導体関連)はAI需要を背景に堅調、さらなる成長に注目

✅FRBは関税の影響を慎重に見極めるため、当面政策金利の据え置きを継続か

✅銀行決算は個別の内容によって明暗が分かれ、市場全体のセンチメントにも影響を与える

✅ナスダックは引き続き過去最高値更新中、ハイテクセクターへの関心が続く

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り急上昇:30年債が5%突破、インフレ懸念で利下げ期待後退

米国債相場は下落し、利回りが上昇しました。6月15日に発表された米消費者物価指数(CPI)※を受けて、当初は買いが入りましたが、関税の影響への懸念から売りが優勢となりました。

※CPI(消費者物価指数):一般消費者が購入する商品やサービスの価格変動を示す指標で、インフレ率の重要な指標となります。

各年限債券の利回り状況

直近の米国債利回りは以下のとおりです

  • 30年債利回り:5.02%(前営業日比+4.4bp)
  • 10年債利回り:4.49%(前営業日比+5.4bp)
  • 2年債利回り:3.95%(前営業日比+4.8bp)

※bp(ベーシスポイント):1%の100分の1を表す金融用語

特に30年債利回りが重要な節目である5%を上回ったことが注目されています。

CPIの詳細と市場への影響

6月CPIの結果

6月のCPIは以下のような結果となりました

  • 前月比:0.3%上昇(5月の0.1%から加速)
  • 前年比:2.7%上昇(5月の2.4%から上昇)
  • 予想値:前月比0.3%上昇、前年比2.6%上昇

市場の反応

CPI発表後、市場では以下のような動きが見られました

  • 短期債主導で下落が始まり、長期債も連れ安
  • 30年債利回りが6週間ぶりの高水準を記録
  • 関税の転嫁がコア物価上昇率に反映され始めたことが確認

専門家の見解とFRBの今後の政策

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの見解

  • 基調的なインフレ率は抑制されているものの、物価圧力は夏にかけて強まる見込み
  • 7月と8月のCPIが重要な節目になる
  • FRBは当面様子見姿勢を維持するが、秋には金融緩和再開の可能性

TDセキュリティーズの見解

  • 通商政策の動向を踏まえ、FRBは忍耐強い姿勢を維持
  • 10月のFOMC会合※での緩和開始を予想
  • 労働市場が堅調な限り、夏場のインフレ動向を見守る余裕がある

※FOMC(連邦公開市場委員会):アメリカの金融政策を決定する会議

市場の利下げ予想

現在の金利先物市場では以下のような利下げ予想となっています

  • 年内の利下げ幅:約44bp
  • 10月のFOMCでの利下げ確率:約79%
  • 9月のFOMCでの利下げ確率:約53%(数週間前の80%から低下)

まとめ

✅ 米国債相場は下落し、30年債利回りが重要な節目の5%を上回った

✅ 6月CPIは前月比0.3%上昇と加速し、関税の影響が物価に反映され始めた

✅ FRBは当面様子見姿勢を維持し、夏場の経済データを注視する見込み

✅ 市場では10月のFOMCでの利下げ開始を約79%の確率で予想している

✅ 秋にかけてのインフレ動向が今後の金融政策の重要な判断材料となる

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

 

ドル高・円安が加速、米CPIが利下げ観測を後退させる

  • 米国の消費者物価指数(CPI)が予想を上回り、利下げ期待が後退
  • ドルが円に対して149円台目前まで上昇、4月以来の高値
  • トランプ政権の関税措置が物価上昇(インフレ)を加速させる可能性
  • 市場はFRB(米連邦準備理事会)の利下げ時期について慎重姿勢に

ドルが約15週ぶりの高値を記録

外国為替市場でドル高が続いています。特に、米国の6月の消費者物価指数(CPI)が市場予想よりも強く、FRB(米連邦準備理事会)が利下げに踏み切る時期が遅れる可能性が意識されました。このため、ドルが買われ、円売りが優勢になっています。

ドル円は一時149円02銭と4月3日以来の高値をつけました。ユーロに対してもドルは強くなり、ユーロドルは1.1601ドルと6月25日以来の安値水準となっています。

CPIとは?

「Consumer Price Index(消費者物価指数)」の略で、消費者が購入する商品やサービスの価格変動を示す指標です。経済のインフレ状況を示す重要な指標として注目されます。


関税の影響でインフレ加速、FRBの動向に注目集まる

バークレイズの通貨ストラテジスト、スカイラー・モンゴメリー・コーニング氏は、「関税が物価(特にコア財価格)を押し上げており、インフレへの影響が拡大する可能性が高い」と指摘。これにより、FRBが利下げをする余地が限られ、ドル高が進む可能性があるとしています。

マネックスの外国為替トレーダー、ヘレン・ギブン氏も、「今回のCPIの結果はFRBのハト派(利下げを支持する勢力)が期待したほど弱くなかった」と述べました。

ハト派とは?

金融政策で利下げや金融緩和を好む勢力を指します。逆に利上げや金融引き締めを支持する勢力は「タカ派」と呼ばれます。


FRBの利下げ時期は依然として9月以降か

ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は、通商政策の混乱が続く中で「FRBは少なくとも9月まで様子見をする可能性が高い」と指摘。これがドルを支える材料になるだろうと述べています。

金利先物市場では、年末までに予想されるFRBの利下げ幅は44ベーシスポイント(0.44%)まで縮小しましたが、利下げ再開時期については9月と予想されています。

ベーシスポイント(bp)とは?

金利や利回りの変化を表す単位で、1ベーシスポイント(bp)は0.01%に相当します。


市場はトランプ政権の関税政策の行方に注目

トランプ政権が日本やメキシコ、EUなどに新たな関税を課していますが、市場の反応はまだ限定的です。投資家は「本格的な貿易戦争に発展するのか、合意に向けて進むのかを見極めたい」と慎重な姿勢を示しています。


仮想通貨ビットコインは一服

仮想通貨ビットコインは前日に初めて12万ドルを突破し過去最高値を更新しましたが、この日は一服し3.04%安の11万6571ドルで推移しています。


まとめ

✅ 米国のCPI上昇でドル買いが進行、円安が進む

✅ 関税の影響でインフレが加速、FRBの利下げ判断を難しくする可能性

✅ FRBは少なくとも9月まで利下げを見送ると市場は予測

✅ トランプ政権の貿易政策の先行きに市場は注目

✅ ビットコインは前日の過去最高値更新から反落

 

原油・金相場が続落:ドル高とインフレ懸念が重し、トランプ政策の影響に注目

価格の下落要因

ニューヨーク原油は続落しました。主な下落要因は以下の通り

  • ドル相場の上昇:ドル建て※で取引される原油の投資魅力が低下
  • インドネシアへの関税発表:トランプ大統領が19%の関税を賦課すると発表
  • プロンプトスプレッド※の手じまい:最終取引を控えたポジション調整

※ドル建て:米ドルで価格が決められること ※プロンプトスプレッド:期近と期先の価格差を示す指標

価格状況

  • WTI先物8月限:66.52ドル(前日比46セント安、0.7%下落)
  • 北海ブレント9月限:68.71ドル(前日比50セント安、0.7%下落)

ロシア制裁の効果に疑問

JPモルガン・チェースのアナリストの分析:

  • ロシアの商社や船舶会社への制裁では、ロシア産原油の流通を止められない
  • トランプ大統領がロシアへの圧力を強めても、輸出に歯止めをかける効果は限定的

金の続落

ニューヨーク金相場は続落しました。主な要因は以下の通りです

  • 米CPI発表後の金利据え置き観測:FOMC※が当面金利を維持するとの見方
  • ドル高の影響:米国外の投資家から見た金の魅力が低下
  • 貿易交渉への注目:トランプ政権の貿易政策の動向を市場が注視

※FOMC(連邦公開市場委員会):アメリカの金融政策を決定する会議

価格状況

  • 金スポット価格:3,326.39ドル(前日比17.12ドル安、0.5%下落)
  • COMEX金先物8月限:3,336.70ドル(前日比22.40ドル安、0.7%下落)

今年の金相場の動き

金相場は以下のような推移を見せています:

  • 年初からの上昇:25%余り上昇
  • 4月の最高値:1オンス=3,500ドルを超える過去最高値を記録
  • 最近の失速:3カ月前ほどから上昇が鈍化

専門家の見解と今後の展望

シティー・インデックスの分析

  • 8月前の貿易交渉とん挫:金価格が高値を試す、または更新する可能性
  • 市場の様子見姿勢:当面は慎重ながら強気に傾いている
  • 不透明感の解消待ち:新たな貿易体制の形成を市場が注視

供給面での注目点

原油市場では供給動向への関心が高まっています

  • サウジアラビアの増産:IEA※は6月の大幅増産を報告
  • OPEC※の反論:サウジの産油量は規定の枠内との見解
  • 戦略石油備蓄(SPR):米エネルギー省が補充方法を検討中

※IEA(国際エネルギー機関):エネルギー政策に関する国際機関 ※OPEC(石油輸出国機構):石油輸出国による国際機関

まとめ

✅ 原油・金相場ともにドル高の影響で続落し、投資妙味が低下した

✅ 米CPI発表後の金利据え置き観測が両商品の重しとなっている

✅ トランプ政権の貿易政策や関税発表が市場の不透明感を高めている

✅ 金相場は年初から25%上昇後に失速し、市場は様子見姿勢を強めている

✅ 原油市場では供給動向やロシア制裁の効果に関する議論が続いている