2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/17

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場、FRB議長解任報道に一時混乱もトランプ氏否定で反発

  • トランプ大統領がパウエルFRB議長を解任する可能性との報道で一時的に市場は動揺
  • その後、トランプ氏が解任を否定したことで市場は落ち着きを取り戻した
  • 市場では中央銀行(FRB)の独立性が脅かされることへの不安が浮上

FRB議長解任報道をめぐり市場に動揺

16日の米株式市場は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が解任される可能性があるとの報道で一時混乱しました。しかし、トランプ大統領が報道を否定し、「議長を解任する計画はなく、ただのコンセプトとして議論しただけだ」と述べたことで、市場の混乱は収まりました。

この報道を受けて、一時的にS&P500やナスダックなど主要指数が約1%下落しましたが、トランプ氏の否定後は再び上昇に転じ、ナスダック総合指数は連日の最高値を更新しました。


中央銀行の独立性が市場の懸念に

FRB議長の解任という異例の事態が現実になれば、市場に与える影響は大きいと懸念されています。

ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は、仮に議長が解任されれば「中央銀行の独立性」が脅かされるとして、市場の投資家に不安が広がると指摘しています。また、解任理由が法的に「正当かどうか」は裁判所が判断するため、解任が実際に実行されれば法廷闘争となる可能性もあります。

FRBの独立性とは?
中央銀行が政府から干渉されず、自由に金融政策を決定することを指します。政治からの影響を避けることで、安定的な経済運営が可能になると考えられています。


トランプ氏の真意を巡り市場は慎重な姿勢

インタラクティブ・ブローカーズのスティーブ・ソスニック氏は、トランプ氏が市場の反応を試すために報道を意図的に流した可能性を指摘しました。

また、アカデミー・セキュリティーズのピーター・チア氏は、トランプ政権の最近の政策的成功が同氏の強気な態度をさらに後押しし、関税政策などが市場予測より厳しくなる可能性を示唆しています。


米経済の指標はインフレ緩和傾向を示す

この日の株価上昇を支援した背景には、予想を下回る生産者物価指数(PPI)が挙げられます。
6月のPPIは前月比で横ばいとなり、物価上昇が抑えられていることが確認されました。ただし、ハリス・フィナンシャル・グループのジェイミー・コックス氏は、「労働市場が堅調なため、FRBは9月まで金利を据え置くだろう」と見ています。

PPI(生産者物価指数)とは?
企業が商品やサービスを生産・提供する際の価格変動を表す指数です。物価動向の先行指標とされ、将来的な消費者物価に影響を与えます。


大手金融機関の決算は好調、一部銘柄は上昇

米銀大手のゴールドマン・サックスは利益が前年同期比22%増加し、株価が上昇。一方、バンク・オブ・アメリカとモルガン・スタンレーも増益でしたが、株価はやや下落しました。

また、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は関税の影響を受けるコストを下方修正し、売上・利益見通しを引き上げたことで株価が大幅に上昇しました。


半導体株は一服

前日に中国向けAI半導体の販売再開で株価が急騰したエヌビディアを含む半導体関連銘柄は、この日は軟調な動きとなりました。


まとめ

✅ 米株市場はFRB議長解任報道で一時動揺も、トランプ氏の否定で落ち着きを取り戻した

✅ FRBの独立性への懸念が市場の一時的混乱の背景に

✅ 生産者物価指数(PPI)は物価安定を示すが、金利引き下げは限定的と予想

✅ 大手銀行やジョンソン・エンド・ジョンソンなど、企業業績の好調さも相場を支えた

✅ 半導体株は前日の上昇から一転して軟調な展開となった

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

パウエル議長解任報道で米国債市場が大きく変動

米国債相場は、パウエル議長解任の可能性が報じられたことで上昇しました。特に金融政策に敏感とされる2年債利回りは、一時3.86%まで低下し、約1週間ぶりの低水準となりました。

各年限の国債利回り変化

現在の各国債利回りは以下の通りです

  • 米30年債利回り:5.01%(前営業日比-1.4bp)
  • 米10年債利回り:4.45%(前営業日比-3.0bp)
  • 米2年債利回り:3.89%(前営業日比-5.2bp)

※bp(ベーシスポイント):1bp = 0.01%の金利変化を表す単位

報道の影響と市場の反応

解任報道による市場の混乱

ブルームバーグがホワイトハウス当局者の情報として、トランプ大統領がパウエル議長を近く解任する可能性が高いと報じました。この報道により、2年債利回りは一時3.86%まで低下しましたが、その後トランプ氏が解任を否定する発言をしたことで、下げ幅は縮小しています。

長期債と短期債の相反する動き

  • 短期債(2年債):解任報道で利回りが低下
  • 長期債(30年債):売られて利回りが上昇し、一時5.08%と8週間ぶりの高水準

イールドカーブの変化

利回り格差の拡大

2年債と10年債の利回り格差は56.4bpとなり、一時は61.8bpまで拡大しました。これは4月以来の大きさです。

この現象は以下の要因によるものです

  • 財政不安の高まり
  • 新議長による積極的な利下げがインフレ抑制に与える影響への懸念

5年債と30年債の利回り差

5年債と30年債の利回り差は2021年以降で最大となり、長期的な金融政策への不安を反映しています。

市場関係者の見解

FRB(連邦準備理事会)の信頼性への懸念

モーニングスター・ウェルスのドミニク・パッパラルド氏は、トランプ大統領によるパウエル議長への批判と解任の「脅し」により、FRBの信頼性と政策の信用性が低下していると指摘しました。

不確実性への市場の反応

ソシエテ・ジェネラルのケネス・ブルー氏は、「債券市場と為替市場は不確実性を嫌う」と述べ、解任の可能性について市場が懸念を抱くのは当然だと分析しています。

金融政策への影響

利下げ確率の変化

FRB議長解任の報道により、9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利下げが再開される確率は以下のように変化しました

  • 報道前:54%
  • 報道後:66%
  • 解任否定後:60%

※FOMC:アメリカの金融政策を決定する会議

まとめ

✅ パウエル議長解任報道により米国債相場が上昇し、特に2年債利回りが大幅に低下しました

✅ 短期債と長期債で相反する動きが見られ、利回り格差が4月以来の大きさまで拡大しました

✅ FRBの信頼性と政策の信用性低下が市場関係者から懸念されています

✅ 9月の利下げ確率は報道により一時66%まで上昇しましたが、その後60%に落ち着きました

✅ 市場は政治的不確実性を嫌い、金融政策への影響を注視している状況です

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

 

米ドルが一時急落、FRB議長解任報道に市場が敏感反応

  • FRBのパウエル議長が解任されるとの報道でドルが一時急落
  • トランプ大統領が解任計画を否定すると、ドルは持ち直しの動き
  • 議長解任はFRBの独立性に関わるため、市場への影響が大きいと懸念される

FRB議長解任を巡る混乱でドル相場が揺れる

ニューヨーク外国為替市場では、米ドルが乱高下する展開となりました。その原因は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が解任される可能性があるとの報道です。

ホワイトハウス高官が「パウエル議長解任の可能性は高い」と発言したことで、ドル売りが進み、ドル指数は下落しました。しかしその後、トランプ大統領が「議長を解任する計画はない」と否定したため、ドル指数は急速に下げ渋りました。

ドル指数とは?

ドル指数は、主要通貨に対する米ドルの強さを示す指標で、指数が下がるとドル安、上がるとドル高を意味します。


議長解任の影響とは?

FRB議長が解任された場合、以下の影響が市場に起こると専門家は指摘しています。

  • ドルのリスクプレミアムが急上昇する

  • インフレ(物価上昇)の安定が損なわれ、ドル安が進む

  • 米国債の利回りが上昇し、イールドカーブが急角度になる(スティープ化)

イールドカーブとは?

イールドカーブは短期から長期までの国債の利回り(利息)をグラフにしたもので、急になると将来のインフレや金利上昇の懸念を表します。

ウェルズ・ファーゴ銀行のストラテジスト、アループ・チャタジー氏は「解任された日だけでドル指数は約3%も下がる可能性がある」と述べています。


FRBの独立性が焦点に

トランプ大統領は以前から政策金利を1%以下に引き下げるよう求め、慎重姿勢のパウエル議長を繰り返し批判しています。市場はこうした発言をFRB(中央銀行)の独立性への攻撃と捉えており、強く反応しているのです。

マネックスUSAのフアン・ペレス氏は、「FRBの独立性が損なわれれば、ドルの信用は著しく傷つく」と警告しています。


為替市場の最新の動き

16日のニューヨーク市場の終値は以下の通りです

  • ドル指数は前日比 0.25%安 の98.34

  • ユーロ/ドルは 0.3%高 の1.1633ドル

  • ドル/円は 0.7%安 の147.82円

  • 英ポンド/ドルは 0.24%高 の1.3411ドル


まとめ

✅FRB議長解任の報道で一時ドル安、トランプ大統領の否定発言で下げ渋り

✅解任されればドルの信用低下や金利急騰のリスクが高まる

✅専門家は解任当日にドル指数が3%程度下落すると予想

✅FRBの独立性が焦点で、市場は今後も敏感に反応

✅現状、FRB議長の解任計画は公式には否定されているが、市場の不安感は残っている

原油相場は3日続落

価格動向

  • WTI原油:1バレル=66.38ドル(0.2%下落)
  • ブレント原油:68.52ドル(0.3%下落)
  • パウエル議長解任報道前は1.7%安まで下落

需給要因

  • 留出油需要の低下
  • 原油在庫の増加
  • 年末にかけた供給超過懸念
  • OPECプラス(石油輸出国機構連合)の減産巻き戻し

金相場は乱高下後に反発

価格動向

  • 金スポット価格:1オンス=3354.36ドル(0.9%上昇)
  • 金先物:3359.10ドル(0.7%上昇)

変動要因

  • 解任報道時:一時1.6%高、3380ドル台まで上昇
  • 否定発言後:20ドル余り上げ幅を縮小
  • FRBの独立性への懸念で安全資産需要が増加

経済指標の影響

物価指標

  • 6月卸売物価指数(PPI):前月比横ばい(市場予想0.2%上昇を下回る)
  • FRB早期利下げへの慎重姿勢を示唆
  • 利子の付かない金に一時売り圧力

※安全資産:経済不安時に投資家が資金を避難させる資産 ※OPECプラス:石油価格安定を目的とした産油国協力体制

まとめ

✅ 原油は需給緩和と供給超過懸念で3日続落しました

✅ 金は政治的不確実性で乱高下後、安全資産需要で反発しました

✅ パウエル議長解任報道が両市場に大きな影響を与えました

✅ 物価指標結果がFRBの金融政策判断に影響を与えています