2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/31

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場は小幅続落、パウエル議長の発言で利下げ期待が後退

  • FOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利を据え置き
  • パウエル議長の「利下げは未定」発言で、株価は一時下落
  • 米GDPは回復したが個人消費の伸びは弱い
  • 米民間雇用は予想以上に増加も、労働市場は軟化傾向
  • 米政府が輸入銅への関税措置を決定

米国市場は不安定な値動き、利下げへの期待が後退

30日の米国株式市場は、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が「利下げの判断は時期尚早」と述べたことを受け、S&P500種指数とダウ工業株30種平均が小幅に続落しました。

一方、ハイテク株主体のナスダック総合指数はわずかに上昇しました。

株式市場の終値

  • S&P500種株価指数:6362.90(-7.96、-0.12%)

  • ダウ工業株30種平均:44461.28(-171.71、-0.38%)

  • ナスダック総合指数:21129.67(+31.38、+0.15%)


パウエル議長の発言が市場の重荷に

FOMCは今回、政策金利(FF金利)を4.25%~4.50%に据え置きましたが、ウォラーFRB理事とボウマンFRB副議長は0.25ポイントの利下げを主張し、反対票を投じました。

声明では景気判断がやや引き下げられ、一時は市場が利下げ期待で上昇しましたが、その後パウエル議長が「労働市場は堅調で、インフレはまだ目標以上」と述べたため、市場は「早期の利下げはない」と見込みました。

フェデラルファンド(FF)金利とは?

政策金利のことで、米国の銀行間で短期的に資金を貸し借りする際の金利です。


米経済指標は回復基調だが懸念も

  • 第2四半期GDPは前期比年率3.0%増加し、第1四半期のマイナスから回復しました。ただ、個人消費の伸び(1.4%増)は弱く、経済の先行き不透明感が残ります。

  • 7月の米民間雇用者数(ADP統計)は10万4000人増で、市場予想(7万6000人)を上回りましたが、労働需要は弱含みが続いています。


投資家の見方と今後の予測

イートロのブレット・ケンウェル氏は、FRBが利下げを決断するには、インフレが明確に落ち着くか、労働市場が著しく悪化する必要があると指摘しています。

また、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)のアシシュ・シャー氏は、「今後2か月の経済指標次第で秋にも利下げが再開される可能性がある」と述べました。


米政府が銅輸入に新たな関税を発表

トランプ大統領は30日、国家安全保障上の理由で輸入銅に対して50%の関税を課すと発表しました。予想ほど厳しい措置ではなかったものの、素材株は大きく下落。特に鉱山大手フリーポート・マクモランは9.5%下落しました。


個別企業の動き

  • マイクロソフト、メタは引け後の決算発表で時間外取引でそれぞれ6%超の上昇を記録しました。

  • 一方、スターバックスは売上高が市場予想を上回ったものの、株価は0.2%下落と小幅に反落しました。


まとめ

  • FRBは金利据え置きも、パウエル議長発言で利下げ期待が後退
  • GDP回復も消費は弱く、経済指標次第で秋に利下げの可能性も
  • 米政府は輸入銅に50%関税措置を決定
  • 主要企業決算は堅調も、素材株は関税懸念で売られた
  • 市場は当面不安定で、秋に向けて調整局面を迎える可能性あり

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

パウエルFRB議長の発言で米国債利回りが上昇

米国債の利回りが大幅に上昇。これは、FRB(連邦準備理事会)のパウエル議長が、9月の金利引き下げについて慎重な姿勢を示したことが原因です。

米国債利回りの動き

各期間の米国債利回りは以下のように上昇しました

  • 30年債利回り:4.90%(前日比+4.2bp)
  • 10年債利回り:4.37%(前日比+5.0bp)
  • 2年債利回り:3.94%(前日比+7.2bp)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で、1bp = 0.01%

パウエル議長の発言内容

パウエル議長は記者会見で以下の点を強調しました

  • 9月のFOMC会合(金融政策決定会合)での政策についてはまだ何も決定していない
  • 労働市場は堅調で失業率も低水準を維持
  • インフレ率はまだ目標を上回っている状況
  • 経済は金利による景気抑制効果をあまり受けていない

市場への影響

パウエル議長のタカ派的発言(金利引き下げに慎重な姿勢)により

  • 9月の利下げ期待が大幅に後退
  • 10月会合での利下げ確率は約85%に低下(以前はほぼ確実視されていた)
  • 金利がより長期間、高水準で維持される可能性が高まった

※タカ派:金利引き上げや高金利維持を重視する姿勢

専門家の見解

オックスフォード・エコノミクス アナリスト 「市場は労働市場の軟化を理由に利下げを期待していたが、パウエル議長がこの見方を否定したことで、金利据え置きが長期化するリスクが高まった」

ブランディワイン・グローバル ポートフォリオマネジャー 「パウエル議長の発言はタカ派寄りで、労働市場の均衡とインフレ目標超過を認めた内容だった」

財務省の資金調達方針

米財務省は同日、以下の方針を発表しました

  • 中長期債の入札規模を数四半期にわたって据え置き
  • 短期証券(Tビル)への依存を2026年まで継続
  • 来週の四半期定例入札は予想通り1,250億ドル

まとめ

  • パウエルFRB議長のタカ派発言により、米国債利回りが全期間で上昇しました
  • 9月の利下げ期待が大幅に後退し、10月の利下げ確率も85%に低下しました
  • 労働市場の堅調さとインフレ率の高止まりが金利据え置きの主な理由です
  • 市場は金利がより長期間、高水準で維持される可能性を織り込み始めています
  • 米財務省は中長期債の発行規模据え置きと短期証券への依存継続を発表しました

 

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

 

ドルが2カ月ぶりの高値、利下げ期待が後退

  • FRBは政策金利を据え置きましたが、パウエル議長の「利下げは未定」との発言でドルが上昇しました
  • 円はドルに対して149円台後半と、約4か月ぶりの安値になっています
  • ユーロも対ドルで下落しており、ドル全面高の展開です

米連邦準備理事会(FRB)が7月29日から30日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置きました。市場はこの決定を予想していましたが、注目されたのはパウエル議長の「9月の利下げについては決まっていない」という発言です。

この発言がドル高の要因となり、ドル指数は2カ月ぶりの高値を記録しました。

ドル指数とは?

複数の主要通貨に対する米ドルの価値を示した指数で、ドルの強さや弱さを測る基準となります。指数が上がるとドルが強く、下がるとドルが弱いことを意味します。

円は約4か月ぶりの円安水準に

ドルが全面的に買われる中、日本円はドルに対して一時0.7%安の149円53銭まで下落しました。これは日中としては4月2日以来の円安水準です。

円安とは?

円の価値がドルなど他の通貨に対して下がることで、日本からの輸出企業にとっては利益が増えやすい反面、輸入品や海外旅行が割高になる影響があります。

ユーロは5営業日連続の下落

ユーロも対ドルで大きく下落しており、1ユーロ=1.1402ドルと約1.26%下げました。ユーロの下落は5営業日連続で、6月11日以来の安値です。

市場関係者の声

  • ジェフリーズのブラッド・ベクテル氏は「今回のFOMCはややタカ派的だが、30年ぶりに反対票が2つ出たため、市場はタカ派材料に反応した」と分析

  • クレディ・アグリコルのバレンティン・マリノフ氏は「FRBは景気判断を以前よりも慎重に見ている」と指摘

  • メシロ・カレンシーのウト・シノハラ氏は「FRBの金利据え置きは想定内だったが、2人の反対票に市場が反応した」とコメントしています

タカ派とは?

金融政策において、利上げや金融引き締めに積極的な姿勢のことです。インフレを抑制することを優先します。

トランプ政権の新たな関税措置

米国は最近、日本やEUと貿易協定を締結しましたが、インドやブラジルに対して新たな関税措置を発表。貿易摩擦の動きが再び活発化しています。

今後の注目ポイント

  • FRBが次回9月のFOMCで利下げを決定するか

  • ドル高がさらに進むか、あるいは調整されるか

  • 日本政府や日銀が急激な円安に対して何らかの対応をするかどうか

まとめ

  • FRBの政策金利据え置きと利下げ未定発言でドル全面高に
  • 円は対ドルで約4か月ぶりの円安水準に下落
  • ユーロは対ドルで5営業日連続下落、6月以来の安値を更新
  • 市場はFRBのタカ派的な側面に注目し、ドル買いを強めている
  • 米国が新たな関税措置を発表し、貿易摩擦の再燃が懸念される

原油が6月以来高値、トランプ氏のインド制裁表明で供給懸念

トランプ大統領がロシア産原油を購入するインドへの制裁を表明し、世界的な石油供給逼迫への懸念から原油価格が上昇しました。

価格動向

  • WTI原油:70.00ドル(+1.1%)
  • ブレント原油:73.24ドル(+1.0%)

トランプ氏の制裁内容

  • インドに25%関税
  • ロシア産品購入への追加ペナルティー
  • インド石油会社が製油所稼働率を引き下げ

上昇を抑制する要因

米国内在庫の増加

  • 原油在庫:770万バレル増(1月以来の大幅増)
  • ディーゼル油在庫も低水準から増加

金は下落

  • スポット価格:3,273.73ドル(-1.6%)
  • 米GDP好調でドル高・金利上昇が重し

まとめ

  • トランプ氏のインド制裁表明で原油が6月以来の高値
  • 供給逼迫懸念が価格を押し上げ
  • 米在庫増が上昇の勢いを抑制
  • 金は米経済好調によるドル高で下落