2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/8

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株急反落、テスラ暴落と貿易摩擦再燃で市場に不安感広がる

  • 米国株式市場が高値から急反落、テスラ株はCEOマスク氏の政治活動で大幅下落
  • トランプ大統領が日韓への高関税を発表、貿易摩擦への懸念が再燃
  • EUと米国は合意に近づき、中国との会談も控えているが、市場には不安が残る

米国株式市場が急反落、テスラ株は大幅下落

米国株式市場は7日、過去最高値から一転、急反落しました。特に大型ハイテク株が軒並み下落する中、電気自動車(EV)大手のテスラ株は一時8%以上も下落するなど、相場を大きく押し下げました。

今回の急落の原因として、市場では二つの大きな不安材料が挙げられています。

  • 米国が日本や韓国をはじめとする複数の国々に新たな関税を課すと発表したこと

  • テスラのイーロン・マスクCEOが新たな政党「アメリカ党」を結成すると発表したこと

これらが重なり、市場は動揺を隠せませんでした。

イーロン・マスク氏の新党結成でテスラ株に打撃

テスラの株価下落は特に深刻で、マスク氏が新党を立ち上げ政治活動への関与を強める姿勢を示したことで、投資家が「経営への影響」を懸念し、売りが殺到しました。

  • テスラ株は6月初旬にトランプ政権との対立以来、最大級の下落率(約6.8%下落)を記録

  • 政治活動が経営に影響を及ぼすとの投資家の不安が広がったことが原因

貿易摩擦再燃で投資家に警戒感

トランプ大統領が8月1日から日本と韓国に対して25%の関税を課すことを発表しました。さらにマレーシアやカザフスタン、南アフリカ、ラオス、ミャンマーにも新たな高関税を設定し、貿易摩擦への懸念が再び強まりました。

シティー・インデックスのアナリストであるラザクザダ氏は、投資家に対して「ニュースに伴うリスクには警戒が必要だ」と警告しました。

米政府の動きは「新たな戦術」か

一方で、BMOキャピタル・マーケッツの専門家たちは、最近の米国政府の動きについて、「交渉における新たな戦術の一環」と分析しています。

また、今回の措置が恒久的でなく、最終的には交渉を進めるための一時的な強硬措置に過ぎないという見方もあり、貿易摩擦が緩和される余地も残っています。

EUや中国との交渉には前向きな動きも

欧州連合(EU)は米国との枠組み合意に近づいており、中国との対話も再開される見通しです。これらが明るい材料となり、市場の不安を和らげる要素にもなっています。


その他の個別企業ニュース

  • 人工知能(AI)クラウド企業のコアウィーブが、仮想通貨マイニング大手のコア・サイエンティフィックを約90億ドル(約1兆3120億円)で買収することに合意。

  • アップルは、EUから科された約850億円(5億ユーロ)の制裁金を不服として控訴を表明。


まとめ

✅ 米株式市場は貿易摩擦再燃とテスラCEOの新党発表を受け急反落。

✅ テスラ株は経営への不安から6月以来最大の下落幅を記録。

✅ トランプ政権が日韓などに高関税を課すと発表、市場の不安材料となった。

✅ 米政府の強硬策は「交渉の戦術」との見方があり、EUや中国との協議には前向きな動きも。

✅ 投資家は関税や政治リスクを巡るニュースに警戒する必要がある。

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債急落とトランプ関税政策の市場への影響

米国債相場は軒並み下落しており、特に長期債の下げが目立っています。各債券の利回りは以下のように上昇しました。

  • 米30年債利回り: 4.91%(前営業日比5.3bp上昇)
  • 米10年債利回り: 4.38%(前営業日比3.4bp上昇)
  • 米2年債利回り: 3.89%(前営業日比1.3bp上昇)

※bp(ベーシスポイント):1bp = 0.01%

イールドカーブのスティープニング

イールドカーブのスティープニング(長期金利と短期金利の差が拡大すること)が見られました。これは、長期債の利回りが短期債よりも大幅に上昇したためです。

今週の国債入札スケジュール

財務省は合計1,190億ドルの大規模な国債入札を予定しており、これが供給圧力となって債券価格を押し下げています。

  • 8日: 3年債(580億ドル)
  • 9日: 10年債(390億ドル)
  • 10日: 30年債(220億ドル)のリオープニング

※リオープニング:既発債の追加発行

トランプ政権の関税政策が市場に与える影響

新たな関税措置の発表

トランプ大統領が各国に対する関税率を発表しました。

  • 日本・韓国: 25%(8月1日から)
  • マレーシア・カザフスタン: 25%
  • 南アフリカ: 30%
  • ラオス・ミャンマー: 40%

市場の懸念事項

関税措置により以下の影響が予想されています。

  • 物価上昇: 輸入品価格の上昇によるインフレ圧力
  • 経済成長の鈍化: 貿易摩擦による景気への悪影響
  • 企業の投資判断の先送り: 政策の不確実性による企業活動の停滞

金融政策への影響

FRBの利下げ予想が縮小

6月の雇用統計で雇用者数の伸びが予想を上回ったことを受け、FRB(米連邦準備理事会)の年内利下げ予想が縮小しました。

  • 雇用統計発表前: 0.66%ポイントの利下げ予想
  • 現在: 0.50%ポイントの利下げ予想

FOMC議事要旨への注目

9日に発表されるFOMC議事要旨(6月会合分)が投資家の注目を集めています。

※FOMC:連邦公開市場委員会(金融政策を決定する機関)

まとめ

✅ 米国債相場は下落し、特に長期債の利回りが大幅に上昇している

✅ トランプ政権の関税政策により、インフレ懸念と経済成長鈍化への不安が高まっている

✅ 政策の不確実性が企業の投資判断を先送りさせ、実際の関税措置以上の悪影響をもたらす可能性がある

✅ 雇用統計の好調な結果を受けて、FRBの年内利下げ予想が縮小している

✅ 今週の大規模な国債入札とFOMC議事要旨の発表が市場の重要な注目材料となっている

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑


ドル高・円安、トランプ大統領が日本・韓国に関税発動へ

  • トランプ米大統領が日本・韓国などからの輸入品に25%の関税を課すと発表。
  • これを受けて外国為替市場ではドル高・円安が進んだ。
  • 専門家は、短期的には円安がさらに進む可能性を指摘しつつも、中期的には円安が長続きしないと予想。

トランプ大統領の関税発表で市場が動揺

ドルが急上昇、特に円とウォンが下落

7日の外国為替市場では、トランプ大統領が日本と韓国からの輸入品に25%の関税を課すと発表したことで、市場に動揺が広がりました。これを受けて、ドルが主要通貨に対して大幅に上昇。特に円と韓国ウォンが急落しました。

  • ドル/円:146.06円(前日比+1.59円、+1.10%)

  • ユーロ/ドル:1.1708ドル(前日比-0.0070ドル、-0.59%)

トランプ関税の影響とは?

トランプ大統領が課す25%の関税は日本や韓国だけでなく、マレーシア、カザフスタン(各25%)、南アフリカ(30%)、ラオス、ミャンマー(各40%)にも及びます。

さらにトランプ氏は、主要新興国グループBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)を支持する国には追加で10%の関税をかける考えを示し、新興市場通貨にも圧力を与えました。

円安はどこまで進む?

三井住友信託銀行の山本威氏は、「25%の関税がそのまま継続するとは考えにくく、交渉の材料として使われているため、中期的な円安継続は難しい」と分析。ただし、「交渉は時間がかかるため、短期的にはさらなる円安もありうる」と述べています。


背景にある米国経済の状況

米経済は景気後退リスク

今年4月以降、トランプ大統領の関税政策が米国経済に悪影響を及ぼし、景気後退(リセッション)への不安が高まっています。そのため年初来ではドルの価値が約9%下落していました。

しかし、6月の米雇用統計が市場予想を上回る好結果を出したことで、ドルが短期的に支えられています。

利下げ期待がやや後退

雇用統計の好結果を受けて、市場では米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げ期待が弱まりました。現在、市場が織り込んでいる利下げ幅は51ベーシスポイント(0.51%)。1週間前は65ベーシスポイント(0.65%)でした。


今後の市場の見通しは?

リスク回避が続く可能性

パイオニア・インベストメンツの債券・通貨戦略ディレクターのウパダヤ氏は、トランプ大統領の関税発表により「リスク資産が売られる展開になっても驚かない」と指摘。しばらくリスク回避的な動きが続く可能性があります。

ドルの先行きに注意

現在の市場は、トランプ政権の大胆な政策がドルの安全性への不信を高めています。今後の交渉状況や、各国の反応次第ではドルの乱高下が予想されるため、注意が必要です。


まとめ

✅トランプ大統領が日本・韓国に25%関税発表で円とウォンが急落。

✅短期的にはさらに円安が進む可能性あり。

✅米雇用統計の好調を背景に、ドルの利下げ期待はやや後退。

✅米国経済は景気後退リスクを抱え、関税政策による混乱が継続。

✅市場ではしばらくリスク回避的な動きが続く見込み。

原油反発と金相場の動向:サウジの価格戦略とトランプ関税政策の影響

原油反発、サウジアラビアの価格引き上げが市場を牽引

ニューヨーク原油先物相場は反発しました。主な要因は、サウジアラビアがアジア向け原油価格を予想以上に引き上げたことです。

価格設定の詳細

  • 「アラビアンライト」のアジア向け価格を1バレル当たり1ドル引き上げ
  • アジア顧客向け指標価格より2.20ドル高く設定

OPECプラスの供給戦略

OPECプラス(石油輸出国機構とその他の産油国によるグループ)は8月に供給を日量54万8000バレル引き上げました。9月にも追加増産が予想されています。

※OPEC:石油輸出国機構(石油価格の安定を目的とする国際組織)

専門家の見解

サクソバンクの商品戦略責任者、オレ・ハンセン氏は以下のように分析しています

  • 夏季の需要期における価格引き上げは、現物市場の逼迫を示している
  • 当面は追加供給が市場で吸収可能であることを示唆
  • 短期的には原油の下振れリスクは限定的

原油価格の実績

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)

  • WTI先物8月限:67.93ドル(前営業日比93セント上昇、1.4%高)

ロンドンICE

  • 北海ブレント9月限:69.58ドル(1.9%高)

※WTI:ウェスト・テキサス・インターミディエート(米国産原油の代表的な指標)

金相場

関税発表後の市場反応

金相場はほぼ変わらずで推移しました。トランプ大統領が日韓製品に25%の関税を課すと発表した後、下げ渋る展開となりました。

相反する要因

金価格を支える要因:

  • 米国の貿易政策見直しによる市場の不安定化
  • 安全資産としての金への需要増加

金価格を押し下げる要因:

  • トランプ大統領のBRICS諸国への追加関税発言によるドル高進行
  • ドル高により他通貨での金購入が割高になる

※BRICS:ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの新興5カ国

金価格の実績

  • 金スポット価格: 1オンス=3,337.63ドル(前営業日比48セント高)
  • COMEX金先物8月限: 3,342.80ドル(10セント安)

※スポット価格:現物の即時取引価格

まとめ

✅ サウジアラビアがアジア向け原油価格を大幅に引き上げ、原油相場の反発要因となった

✅ OPECプラスの増産計画にも関わらず、現物市場の逼迫感が価格を支えている

✅ 金相場はトランプ大統領の関税政策による市場不安と、ドル高圧力の綱引き状態が続いている

✅ 原油は短期的に下振れリスクが限定的との見方が強まっている