2025/8

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/8/6

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米株式市場が反落、米サービス業停滞で経済不安が再燃

  • 米サービス業の景気停滞が示され、株価が反落
  • 雇用と消費が弱まる一方で、企業のコスト上昇が深刻化
  • FRBの利下げ期待が再燃するも、インフレ懸念が根強い
  • 関税の影響が企業決算に顕在化し、市場の不安定化が継続

米サービス業の景況感悪化、株式市場が反応

5日の米国株式市場は反落しました。取引開始時は小幅高でしたが、米供給管理協会(ISM)が発表したサービス業の景気指数(非製造業総合景況指数)が予想外に低下し、投資家の売りが優勢となりました。

  • S&P500種株価指数:6299.19(前日比 -0.49%)

  • ダウ工業株30種平均:44111.74(前日比 -0.14%)

  • ナスダック総合指数:20916.55(前日比 -0.65%)

指数は一時過去最高値付近まで上昇しましたが、景気減速懸念から急失速しました。


ISM非製造業指数とは?

米供給管理協会(ISM)が毎月発表する、サービス業の景気動向を示す指標です。数値が50を上回れば業界の拡大、50を下回れば縮小を示しています。今回の数値は50.1とギリギリの水準で、サービス業が事実上停滞状態にあることを示しています。


景気減速とインフレの間で揺れる市場心理

ISM非製造業指数によると、サービス業は需要が弱まり、企業はコスト上昇圧力を抱える中で人員削減を行っていることが明らかになりました。雇用統計でも労働市場の弱さが示されており、家計の消費活動にも陰りが見え始めています。

米経済専門家らの見解は以下のとおりです

ニール・ダッタ氏(ルネサンス・マクロ)

  • 「雇用が冷え込んでいる状態では物価上昇圧力は持続できない」
  • 「利下げを検討する環境が整いつつある」

アレクサンドラ・ブラウン氏(キャピタル・エコノミクス)

  • 「景気停滞と仕入れ価格の急上昇がFRBに難しい判断を迫る」

ファワド・ラザクザダ氏(シティー・インデックス)

  • 「経済指標の弱さと高インフレが拮抗し、トレーダーは利下げの時期に頭を悩ませている」

トランプ政権の関税政策が企業決算に悪影響

関税によるコスト負担の増加や消費抑制が、多くの企業決算に影を落としています。

ヤム・ブランズ(KFCなど運営)

  • 高関税による消費低迷で市場予想以下の決算、株価は5.1%下落

キャタピラー(建設機械メーカー)

  • 関税が今後の利益に大きな負担をかける見通しを発表(2025年までに最大15億ドルのコスト)

米国の対中貿易赤字が21年ぶりの低水準に

商務省の発表によると、6月の貿易赤字が消費財輸入の急減により縮小しました。これはトランプ政権の関税政策の影響で、特に中国との貿易赤字が約21年ぶりの低水準になりました。


今後の注目ポイント

  • ウォルト・ディズニー、マクドナルドなど注目企業の決算発表が控える。

  • FRBの利下げタイミングに関する市場の思惑が高まる中、経済指標が株価動向に与える影響がさらに強まる可能性。


まとめ

  • 米サービス業の景気停滞を受け、株式市場が下落
  • 雇用市場の悪化や消費の鈍化が景気減速を示唆
  • インフレの持続可能性に疑問符がつき、FRBの利下げ期待が再燃
  • 関税が企業業績に悪影響を与え、今後の市場動向に警戒感
  • 投資家は景気指標とFRB政策の方向性を巡り、引き続き慎重姿勢

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債相場

米国債相場は全体的に軟調(※価格が下がり気味)な状況が続いています。特に短期・中期債(2年債、3年債など)を中心に利回りが上昇しました。

各期間の利回り状況

  • 米2年債利回り: 3.72%(前日比+4.5bp上昇)
  • 米10年債利回り: 4.21%(前日比+1.4bp上昇)
  • 米30年債利回り: 4.78%(前日比-1.6bp下降)

※bp(ベーシスポイント)= 0.01%のこと

3年債入札の結果が示すもの

入札結果の詳細

今週実施された3年債入札(5800億ドル規模)では、投資家の需要が低調でした。

  • 最高落札利回り: 3.669%
  • 入札前取引水準: 3.662%
  • 結果: 「テール」が発生

「テール」とは何か

入札で決まった利回りが事前の市場予想を上回ることを「テール」と呼びます。これは投資家がより高い利回りを求めていることを意味し、債券への需要が弱いことを示しています。

インフレ懸念が市場に与える影響

ISM非製造業指数の影響

米供給管理協会(ISM)が発表した7月の非製造業総合指数では、以下の点が注目されました

  • 仕入れ価格指数: 2022年10月以来の高水準
  • 投入コスト: 約3年ぶりの大幅上昇
  • 総合指数: 予想に反して前月から低下

市場専門家の見解

ミシュラー・フィナンシャル・グループのトム・ディガロマ氏は、「ISMのインフレ指標を受けて3年債入札がテールしたのは無理もない」と指摘し、この指標が金融当局に利下げの様子見余地を与えるものだと述べています。

今後の見通し

利回り動向の特徴

  • 10年債利回りは一時4.226%まで上昇したものの、ISM指標発表後に上げ幅を縮小
  • 過去3営業日では18bp低下し、4月中旬以来最大の下落幅
  • 2年債利回りも過去3営業日で約26bp低下

まとめ

  • 米国債相場は軟調で、短・中期債を中心に利回りが上昇している
  • 3年債入札では需要が低調で「テール」が発生し、投資家がより高い利回りを求めている
  • ISM非製造業指数でインフレ圧力が示され、利下げ期待が後退している
  • サービス部門の活動停滞により、利回り上昇幅は一部で縮小した
  • インフレ懸念と経済活動の鈍化という相反する要因が市場の方向感を複雑にしている

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

 

ドル円は147円台後半へ小幅高、米利下げ観測で上値は重い展開

  • 米ドルは主要通貨に対して小幅に下落。特にスイスフランが米関税問題を背景に上昇
  • 円は対ドルで下落し、一時147円83銭までドル高円安が進んだ
  • 米FRBの利下げ観測や理事人事の行方が注目され、ドル相場は調整局面が続いている

外国為替市場ではドルが小幅に下落しました。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は3営業日連続で下落し、直近値は1209.72ポイントと前日比0.08%下げました。

ドル円は小幅高も、上値は重い展開

ドル円相場は0.33%上昇し、終盤では147円66銭で取引されています。

午前の取引では一時147円83銭まで上昇する場面もありましたが、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が市場に広がっていることから、先週の安値圏に近い水準で調整局面が続いています。

スイスフランが関税問題で上昇

一方、スイスフランは対ドルで上昇。米国がスイスに対し39%の関税を課すことを表明したため、市場ではスイス政府の対応が注目されています。

スイスのケラーズッター大統領らは、関税引き下げを求めて訪米予定で、交渉の行方によってはスイス経済への影響が懸念されています。

関税とは?

関税とは、海外からの輸入品に課される税金のこと。関税が高くなると、その国への輸出が減少し、輸出側の国の経済に打撃を与える可能性があります。

FRB理事人事と今後のドルの動向

トランプ大統領がFRB理事人事を発表することにも市場は注目しています。

特にクグラー理事の後任が決定されれば、FRBの金利政策の方向性にも影響を与えるため、重要視されています。

市場では、新しい理事が利下げ(緩和政策)に積極的(ハト派)なら、今後ドル安が進む可能性があると見ています。

ハト派とは?

中央銀行が金融緩和(低金利政策など)に積極的な立場を取ることを指します。景気刺激を優先する姿勢のことです。

米経済指標の影響は限定的

米国の7月の非製造業総合指数は予想外に低下しましたが、為替市場への影響は限定的でした。

現在、市場は来週発表予定の消費者物価指数(CPI)の結果を待っており、それまでは大きな動きが出にくい調整局面が続く見込み


まとめ

  • 米ドルはFRBの利下げ観測や理事人事により調整局面
  • スイスフランは米関税問題で強含み、スイス経済への影響が懸念
  • ドル円は147円台後半で推移、FRBの政策動向が鍵
  • 米経済指標の悪化も為替市場への影響は限定的、次週のCPIに注目
  • 今後のFRB人事次第ではドル安要因になる可能性あり

 

原油4日続落、金は堅調!ロシア譲歩案で市場が反応

4日続落の要因

  • ロシアがウクライナ戦争でトランプ氏への譲歩案を検討との報道
  • 空爆一時停止案が浮上
  • 停戦合意期限は8月8日

価格水準

  • WTI原油:65.16ドル(1.7%下落)
  • ブレント原油:67.64ドル(1.6%下落)

制裁強化の可能性

トランプ政権の対応策

  • ロシアの「シャドーフリート」※をブラックリスト化検討
  • ロシア産原油購入者への制裁措置
  • プーチン氏が停戦拒否時の圧力手段

※シャドーフリート:制裁回避のため身元を隠す石油タンカー群

専門家の見解

  • ラボバンク専門家:「制裁効果は限定的、物理的封鎖のみ有効」
  • BP社CEO:「複数要因が絡み予測困難」

機関投資家の動き

CTA(商品投資顧問)の売り圧力

  • 価格下落時に最大66%売却
  • 今週中に大量のロングポジション売却予想
  • 下落トレンドに拍車

金は上昇継続

4日続伸の背景

  • 経済指標悪化で利下げ観測高まる
  • FOMC※来月利下げ予想
  • 地政学リスクの高まり

※FOMC:米国の金融政策決定機関

価格水準

  • 金スポット:3379.73ドル(0.2%上昇)
  • 金先物:3434.70ドル(0.2%上昇)

今後の見通し

INGグループ専門家:「関税によるインフレ懸念と経済減速懸念が金需要を押し上げ、新高値更新の可能性」

まとめ

  • 原油は4日続落、ロシアの譲歩案検討報道が売り材料
  • 金は4日続伸、利下げ観測と地政学リスクが支援
  • 機関投資家の売りが原油下落を加速
  • ウクライナ停戦期限が市場の注目点