米国株、反落もエヌビディアに支えられS&P500が下げ幅縮小

米国株式市場の動向

米国株式市場は反落しましたが、半導体大手エヌビディアの好調が支えとなり、S&P500種株価指数は一時の低迷から回復しました。

ダウ工業株30種平均は0.71%下落し、ナスダック総合指数も0.20%の下げを記録しました。

金融政策に関する市場の見方

マッコーリー・フューチャーズのティエリー・ウィズマン氏は、米国の金利下げ開始時期について、市場の見方が変わりつつあると指摘。

好調な雇用市場が消費を支え、ディスインフレの流れが崩れる可能性を懸念しています。

物価上昇圧力と中央銀行のスタンス

経済協力開発機構（OECD）は、中間経済見通しで、急激な金利上昇による物価上昇圧力の抑制が確定的でないとし、主要中央銀行に対し警戒を緩めないよう警告。

世界経済の成長やインフレ減速の要因が消失または逆転するリスクを指摘しています。

米国消費者の堅調な消費意欲

「マーケッツ・ライブ（MLIV）パルス」調査によると、クレジットカードの請求額増加やレイオフの拡大にもかかわらず、米国の消費者の購買意欲は引き続き堅調であることが示されました。

投資の見通し

ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、短期的には市場が良いニュースを織り込み過ぎている可能性があるとしつつも、長期的な見通しは依然として明るいとの見解を示しています。

原油市場の動向：パウエル議長の発言と地政学的リスクの影響

ニューヨーク原油相場の反発

ニューヨークの原油相場は小幅に反発しました。

この動きは、米国連邦準備制度理事会（FRB）のジェローム・パウエル議長が利下げに慎重な姿勢を示した発言と、地政学的リスクの高まりを背景にしています。

特に、ウェスト・テキサス・インターミディエート（WTI）先物は、日中の取引で上昇と下落を繰り返した後、1バレル=72ドルを超えて終了しました。

地政学的要因と原油価格

地政学的な要因としては、イエメンのフーシ派拠点への攻撃や、ロシアのボルゴグラードにあるルクオイルの石油精製施設での火災があります。

これらの出来事は原油価格を支える要因となりましたが、一方で潤沢な供給は地政学的リスクプレミアムを抑える方向に作用しました。

為替の影響

ドルの上昇もまた、ドル建てで取引される原油の魅力を減少させる要因となりました。

金市場の動向：金利とドルの強さが金価格に影響

金相場の続落

金相場は続落し、スポット価格は一時、1月25日以来の安値を記録しました。

この下落は、予想を上回ったISM非製造業指数や、金融当局者からのインフレに関する発言が背景にあります。

これらの要因は国債利回りとドルの上昇につながり、結果として金価格に下押し圧力をかけました。

為替と金価格

ドルの強さは、ドル以外の通貨で投資を行う市場参加者にとって金の魅力を減少させます。このため、金価格は下落傾向にありました。

ドル指数の上昇と米経済指標の意味

米経済指標の好調とドル指数の上昇

ドル指数が約3ヶ月ぶりの高値を付けた背景には、米国の非製造業総合指数が前月と予想を上回る好調な結果となったことがあります。

これにより、米連邦準備理事会（FRB）が積極的な利下げに踏み切るとの観測が後退しました。

各通貨との関係

ユーロ/ドルは一時、過去数ヶ月の中で最低値に達し、日本円に対してもドルは高値を更新しました。

これは、米国経済の強さが示唆されたことでドルが他の主要通貨に対して魅力的になったためです。

FRBの政策見通し

パウエルFRB議長は、利下げについて「慎重」なアプローチを取ると述べ、利下げ期待をけん制しました。

この発言と好調な経済指標は、市場参加者がFRBの次の動きを再評価するきっかけとなりました。

市場への影響

米国債の利回りは上昇し、特に短期債では1ヶ月ぶりの高水準に達しました。

これは、利下げ観測の後退がリスク選好の動きを抑え、債券市場に影響を与えたことを示しています。

一方で、株式市場は利下げ期待の後退と利回りの上昇により圧迫され、主要な指標が下落しました。

まとめ

新たな米経済指標の発表は、FRBの積極的な利下げに対する市場の期待を後退させ、ドルの強さを示しました。

この動きは、通貨、債券、株式市場に幅広い影響を及ぼし、投資家はFRBの今後の政策方向性に注目しています。