2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/12

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

このサイトは、ファンダメンタル分析の軸である海外記事(Bloomberg、Reuters)初心者にも分かりやすく要約しています

株、金利、FX(為替)原油、金などのファンダメンタルをまとめています

情報収集の時短にぜひ活用してください

初心者から上級者まで、経済に関心のある方々に役立つ情報を迅速かつリアルタイムでお届けします

当サイトの目標は、誰もが経済情報にアクセスしやすく、理解しやすい形で提供することで、より多くの人々が経済知識を身につけ、投資やビジネスの世界に参加できるようになることをサポートすることです

昨日、何が起きたのかを把握することで、今日の値動きなどのシナリオ構築に役立てればと思います

金融市場が開いていれば(平日)毎朝更新しています

X(Twitter)でも毎日の値動きやニュースを発信していますので、ぜひフォローよろしくおねがいします

 

目次

 ファンダメンタル分析【オススメ】書籍紹介(書評)サイト

経済ニュースを日々キャッチアップするのと同時に、ファンダメンタル分析の理解をさらに深めたい方に向けて、いくつかの優れた書籍を紹介します!

初心者の方にも読みやすく、金融リテラシーが上がること間違いなしです!是非ご覧になってください。

昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株式市場は反落、トランプ氏の関税強化で不透明感増す―好調な企業決算が下支えに

  • 米国株は11日に反落し、S&P500など主要指数は下落しました
  • トランプ大統領の関税措置が再び注目され、市場の不透明感が増しています
  • 一方で、企業の好調な業績や決算への期待が株価を一定程度支えています

米国株式市場、主要指数が反落

11日の米株式市場は反落しました。前日に史上最高値を更新したS&P500種株価指数をはじめ、ダウ平均株価やナスダック総合指数も値を下げています。

  • S&P500種株価指数:6259.75(-0.33%)

  • ダウ平均株価:44371.51(-0.63%)

  • ナスダック総合指数:20585.53(-0.22%)

指数は下げましたが、大型ハイテク株の一部が底堅さを見せ、市場全体を一定程度支えました。特にエヌビディアは過去最高値を更新しています。


関税問題で市場の不安再燃

今回の株価反落の大きな原因となったのは、トランプ大統領がカナダなどに高い関税を課す方針を表明したことです。

  • カナダへの関税:35%(8月1日から)

  • ブラジルへの関税:50%

さらに大多数の貿易相手国にも15~20%の関税を検討中であると発言しており、投資家の間では貿易摩擦が再び激化するとの警戒感が広がっています。

関税とは?

関税とは、海外から輸入される商品にかかる税金のことで、国内産業を保護する目的や、外交・貿易交渉の手段として用いられます。


市場関係者の見方:調整局面が近い?

ミラー・タバクのメイリー氏は、市場は「買われ過ぎ」状態で割高感があるため、調整が必要になると述べています。一方、UBSのブハーディ氏は、貿易問題による混乱は一時的で、年末には状況が安定すると予想しています。

ブハーディ氏によるS&P500指数の予想
  • 年末には実効関税率が15%程度で落ち着き、景気後退には至らない見通し。

  • 2025年6月には6500ポイントまで上昇すると予測。


決算シーズンへの期待と不安

ウォール街は今回の企業決算に対して慎重な見方をしています。前回14%増益だった企業収益の伸びは、今回は前年比2.8%増と予測されています。ただし、この予想は低めに設定されているため、予想を超える業績が出れば市場が再び回復する可能性があります。

来週発表予定の主な企業
  • JPモルガン(銀行)

  • ネットフリックス(動画配信)

  • ジョンソン・エンド・ジョンソン(医薬品)


注目銘柄の動向

  • エヌビディア(半導体):+0.5%、過去最高値更新、時価総額約4兆ドル

  • クラフト・ハインツ(食品):+2.5%、事業分割報道で急伸

  • リーバイス(ジーンズ):+11%、好調な決算を発表、予想を上回る業績を評価される

一方、メタ(Facebook運営会社)は、EUの独占禁止法違反による制裁金リスクが指摘され1.3%下落しました。


まとめ

✅11日の米株式市場は主要指数が反落、貿易摩擦の懸念が主因

✅トランプ大統領の関税措置強化で市場の不透明感が増大

✅エヌビディアなど一部のハイテク企業は引き続き好調

✅ウォール街の企業決算予測は低めだが、予想超えれば回復の可能性あり

✅市場は調整局面に入る可能性があるも、景気後退は回避されるとの見方が多数

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り急上昇:インフレ懸念で2週連続安、年末利下げ予想も市場は慎重

米国債市場では、インフレ懸念の再燃により国債利回りが軒並み上昇しました。国債相場は週間ベースで2週連続の下落となっています。

現在の利回り水準は以下の通りです

  • 30年債利回り: 4.95%(前営業日比+8.2bp)
  • 10年債利回り: 4.41%(前営業日比+6.1bp)
  • 2年債利回り: 3.89%(前営業日比+1.7bp)

※bp(ベーシスポイント)とは、金利の変動を示す単位で、1bp=0.01%のことです。

インフレ懸念が市場を圧迫

利回り上昇の背景

10年債利回りは6月中旬以来となる4.42%を記録しました。月初からは約20bp近く水準を切り上げており、市場では以下の要因が懸念されています

  • トランプ大統領の関税政策による物価への影響
  • 原油価格の上昇
  • 財政支出拡大への懸念

専門家の見解

TDセキュリティーズのモリー・ブルックス氏は「この日の売りは主にインフレ懸念によるもの」と分析しています。一方で、「金利は年末までに下がるはずで、FOMCは10月に利下げに踏み切るだろう」との見通しも示しています。

※FOMC(連邦公開市場委員会)とは、アメリカの金融政策を決定する機関です。

今後の金融政策の見通し

利下げ時期の予想

金利先物市場では、以下の予想が織り込まれています

  • 年末までの利下げ幅: 49bp
  • 利下げ再開時期: 7月ではなく9月と予想

注目すべきポイント

来週発表される6月の米消費者物価指数(CPI)が重要な指標として注目されています。この結果により、FRBの金融政策の方向性がより明確になると考えられます。

市場の変動要因

政治的要因の影響

今年上半期の米国債相場は5年ぶりの堅調さを見せましたが、以下の要因により大きく変動することがありました

  • 貿易相手国に対するトランプ氏の威嚇
  • 財政支出拡大への懸念

ボラティリティの状況

一方で、市場の変動性は低下しており、ICE・BOFA・MOVE指数は2022年1月以来の水準まで低下しています。

まとめ

✅ インフレ懸念の再燃により、米国債利回りが軒並み上昇し、2週連続で国債相場が下落

✅ トランプ政権の関税政策と原油高が物価圧力への懸念を高めている

✅ 市場では9月にFRBが利下げを再開すると予想されており、年末までに49bpの利下げを織り込み

✅ 来週発表される6月CPIが今後の金融政策を占う重要な指標として注目されている

✅ 政治的要因による変動はあるものの、全体的な市場のボラティリティは低下傾向にある

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

 

外国為替市場の動向とトランプ関税政策の影響

11日の外国為替市場では、ドル指数(※主要通貨に対するドルの強さを示す指標)が上昇しました。これは、トランプ大統領が大多数の貿易相手国に対して15%から20%の関税を一律に課すと発言したことが影響しています。

主要通貨の動き

  • ブルームバーグ・ドル指数:1199.49(+0.23%)
  • ドル/円:147.42円(+0.79%)
  • ユーロ/ドル:1.1692ドル(-0.08%)
  • 英ポンド:1.35050ドル(-0.54%)
  • カナダドル:1米ドル=1.3672カナダドル(-0.11%)

円安の進行と日本の状況

ドル円相場の動き

  • 週間ベースでドル・円は2%余り上昇し、今年最良のパフォーマンスを記録
  • この日は147円52銭まで上昇
  • 昨年12月序盤以来の上昇幅となる見通し

日本の金融政策への影響

ジェフリーズの為替専門家は以下のように分析しています

  • 今月20日の参院選への市場の関心度は高まっている
  • 選挙結果がドル・円相場に与える影響は限定的(1%を超える値動きは予想されない)
  • 日本銀行は当面、追加利上げは困難な状況
  • 日本の財政と経済を巡る状況はやや不安定

トランプ大統領の関税政策とその影響

新たな関税措置の発表

  • カナダ:輸入製品に35%の関税を課す
  • ブラジル:50%の関税を課すと表明
  • その他の貿易相手国:15%から20%の一律関税を課す予定
  • EU(欧州連合):11日までに書簡が送られる予定

市場への影響

  • 貿易摩擦を巡る懸念が再燃
  • 関税を巡る不安が再び高まっている
  • 8月1日の「相互関税」発動期限について市場は神経質になっている

専門家の見解

バンク・オブ・アメリカの分析

  • 貿易政策の不確実性が高まっている
  • 選択的な措置や見通せない結末により高いリスクプレミアム(※リスクに対する上乗せ金利)が発生
  • 経済の不確実性と将来の米利下げがドルの大幅上昇を抑制する要因

ペッパーストーンの市場アナリスト

  • 関税を巡る不安が再び高まっている
  • 為替市場での動きは比較的抑制されている
  • 足元のレンジは当面維持される見通し

その他の市場動向

英国の貿易統計

  • 英国立統計局発表の4月貿易統計で対米輸出が大幅減少
  • 対米輸出:41億ポンド(前月から20億ポンド減少)
  • 英ポンドは2週間ぶりの安値を記録

暗号資産の動き

  • ビットコインは3.7%高の11万8832ドル
  • 再び最高値を記録

まとめ

✅ トランプ大統領の関税政策発表により、ドル指数が上昇し、円安が進行しました

✅ ドル・円は週間で2%余り上昇し、今年最良のパフォーマンスを記録しています

✅ 日本銀行の追加利上げは困難な状況が続くと予想され、円安圧力が継続する可能性があります

✅ 貿易政策の不確実性が高まっているものの、為替市場の動きは比較的抑制されています

✅ ビットコインは再び最高値を更新するなど、リスク資産への資金流入も見られます

原油・金相場が上昇:対ロシア制裁強化とサウジ増産で市場が反応

対ロシア制裁強化の影響

  • ニューヨーク原油先物相場が反発
  • ロシアのエネルギー輸出抑制を目指す米国の新たな取り組みが注目
  • 市場がロシア産原油の供給減少を意識

トランプ大統領の動向

  • 14日に「重要な声明」を発表予定
  • ウクライナへの攻撃継続を巡りプーチン大統領を改めて批判
  • 85人の米上院議員が支持する制裁法案を検討中
  • 中国とインドがロシア産エネルギーを購入した場合、500%の関税を課す内容

専門家の見解

  • コメルツ銀行:「米国は早ければ来週初めにもロシアに対する新たな制裁を決定する可能性」
  • OPECプラスの大幅な生産引き上げにもかかわらず、原油相場が安定を保つ要因
  • ロシアからの原油供給減少が価格安定の一因

※OPEC(石油輸出国機構)とは、主要産油国で構成される国際機関で、石油価格の安定を目的としています。

サウジアラビアの異例の増産

割当量を超える生産

  • 国際エネルギー機関(IEA)の発表によると、サウジアラビアが先月異例の増産を実施
  • OPECプラスが定めた割当量を大幅に上回る石油生産
  • OPECの盟主としては珍しい動き

増産の背景

  • イスラエルとイランの間で戦争が勃発
  • ペルシャ湾の産油国が石油輸出を急いだ
  • 地政学的リスクの高まりに対応
  • 中国への供給が8月に増加する見通し

市場関係者の分析

CIBCプライベート・ウェルス・グループのレベッカ・バビン氏の見解
  • 「市場はIEAのリポートを精査し、地政学リスクと需要が高まった局面での増産と判断」
  • 「サウジから中国への供給増加は、6月の供給過剰より重要なシグナル」
  • 価格が堅調を維持する中での重要な動き

金、続伸

金価格の上昇要因

  • 地政学的リスクの高まりが背景
  • 原油価格の上昇と連動
  • 安全資産としての需要増加

具体的な価格

金スポット価格
  • 前日比35.12ドル(1.1%)高
  • 1オンス=3359.17ドル
  • ニューヨーク時間午後3時36分現在
金先物8月限
  • 38.30ドル(1.15%)高
  • 3364ドルちょうどで終了
  • ニューヨーク商品取引所(COMEX)

※金スポット価格とは、金の現物取引における現在の価格のことです。

まとめ

✅ 対ロシア制裁強化の動きを受けて、原油相場が反発し、WTI原油は2.8%上昇

✅ サウジアラビアがOPECプラスの割当量を超える異例の増産を実施、地政学的リスクに対応

✅ 米国が中国・インドに対してロシア産エネルギー購入時に500%関税を課す制裁法案を検討

✅ 金相場も地政学的リスクの高まりを受けて続伸し、1.1%上昇で推移