2025/5

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/5/21

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株式市場が反落、一旦上昇の勢いが弱まる展開に

米国株式市場、主要株価指数が久々に反落しました。これは市場が4月以降、急激な株高となり、短期間で大きく上昇したため、「買われ過ぎ」との見方が広がったことが主な原因です。投資家は次の上昇材料(起爆剤)を探している状況

株価指数の動き

  • S&P500種株価指数:5,940.46(-23.14、-0.39%)

  • ダウ工業株30種平均:42,677.24(-114.83、-0.27%)

  • ナスダック総合指数:19,142.71(-72.75、-0.38%)

市場はここ数週間、トランプ大統領の関税政策が当初の想定より厳しくなかったことを好感して上昇していました。しかし、テクニカルアナリストの間では、「相場が過熱している」と指摘される水準まで近づきつつあり、警戒感が高まっています。

注目される個別銘柄の動向

  • アルファベット(Googleの親会社) は1.5%下落するなど、大型ハイテク株が全般的に売られました。

  • 一方、 テスラ はイーロン・マスクCEOが「今後5年間はCEOを続投する」と表明したことを好感し、0.5%上昇しています。

  • アップル はAI開発環境を外部企業に開放する計画を発表。アプリ開発の促進を狙っています。

  • ホームセンター大手の ホーム・デポ は、一時的に株価が上昇したものの、最終的には0.6%安で終了しました。売上高は予想を上回っていますが、市場の慎重な見方を払拭できませんでした。

  • ワクチン製造大手の モデルナノババックス は、米食品医薬品局(FDA)の新型コロナワクチンに関する認可方針が穏便な内容だったことを受けて、株価が上昇しました。

株式市場の今後の展望は?

ミラー・タバクのアナリストは、「短期的には買われ過ぎであり、一旦上昇が一服する可能性はある」と指摘。一方で、深刻な調整にならない限り、最高値を再び試す展開も十分あり得ると分析しています。

JPモルガンのストラテジストは、市場が一時的に回復したものの、関税政策や軟調な経済データ、財政リスクが継続的な上昇を阻害する要因になると警告しています。

米政府の債務問題も注目されており、大規模な減税法案が成立した場合、政府債務が数兆ドル単位で膨張する可能性があるため、市場の重しとなっています。


まとめ

✅米国株式市場は短期間の急上昇を経て一旦反落。投資家は新たな材料を探している

✅テスラはCEO続投表明で堅調も、アルファベットなどの大型ハイテク株が下落

✅アップルはAI技術開放、ホーム・デポは売上堅調、モデルナはワクチン政策好感で上昇

✅短期的に「買われ過ぎ」警戒だが、大きな調整がない限り最高値再挑戦も視野に

✅米政府債務や経済の不確実性が今後の市場のリスク要因として懸念されている

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債市場、長期債の利回りが上昇

米国債市場では長期債の利回りが上昇しています。特に30年債利回りは4.996%まで上昇し、5%に迫る水準となりました。主要な利回りの状況は以下の通りです

  • 米30年債利回り:4.96%(前営業日比+6.2bp、+1.25%)
  • 米10年債利回り:4.48%(前営業日比+3.4bp、+0.76%)
  • 米2年債利回り:3.97%(前営業日比-1.0bp、-0.26%)

市場上昇の主な要因

財政懸念の高まり

米国議会での予算交渉が行き詰まり、市場の関心は財政支出の伸びに集中しています。特に減税法案の審議が難航していることが債券市場に影響を与えています。

格付け引き下げの影響

先週ムーディーズが米国債の格付けを引き下げたことも市場に影響しています。これにより、AAA格付けを付与しているのは日本のR&Iのみとなりました。

国際的な影響

日本の20年国債入札が不調だったことやカナダ国債利回りの急伸など、国際的な要因も米国債市場を圧迫しています。

専門家の見解

財政政策への警鐘

ガルダ・キャピタル・パートナーズのマグヌスンCIOは、「財政政策での最終的な決定権は、債券市場が持つだろう」と述べ、5%の利回りが限界ではないと警告しています。

投資戦略の変化

KKRのマクベイ氏は、従来の「リスクオフ時に国債が買われる」という関係性が崩れつつあると指摘し、国債が従来型ポートフォリオにおける「ショック吸収剤」としての役割を果たさなくなっていると論じています。

市場要因の分析

TDセキュリティーズのネブルージ氏は「関税政策の影響がデータに反映されるのを待つ中、財政政策への注目は確実に高まっている」と分析しています。

香港年金基金の動向

香港の強制積立基金制度(MPF)下のファンド(約24兆円相当)は、格付け引き下げにより米国債の強制売りに追い込まれる可能性があります。

今後の見通し

財務省は今後、20年債の入札(160億ドル)と10年物インフレ連動債(TIPS)の入札(180億ドル)を予定しており、これらの需要状況も今後の市場動向に影響を与える可能性があります。

まとめ

✅ 米国債市場では長期債利回りが上昇し、30年債利回りは5%に迫る水準に達しています

✅ 主な要因は米国の財政懸念、格付け引き下げ、国際的な債券市場の軟調などです

✅ 専門家は「財政規律の回復が必要」と警鐘を鳴らし、伝統的な債券と株式の関係性の変化を指摘しています

✅ 今後の国債入札の結果や財政政策の行方が市場動向を左右する重要なポイントとなります

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑

ドル円相場は下落、米ドル安の流れは続くか?

  • 米ドルが弱含み、ドル円は144円台半ばに下落
  • 市場では今後のドル安が予想され、オプション市場でも悲観的見通しが広がっている
  • FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げに慎重姿勢を崩しておらず、先行き不透明感が強い

米ドルが下落、円高傾向が継続中

外国為替市場では、米ドル指数が小幅に下落しました。ドル円相場は一時、約2週間ぶりの安値となる144.095円を記録し、終盤でも144円台半ばで推移しました。

今回のドル安要因として挙げられるのは、次の通りです。

  • トランプ大統領の減税案が共和党内で苦戦し、経済政策の実行が不透明になっていること

  • 米連邦準備理事会(FRB)当局者が経済の見通しについて慎重な発言を繰り返していること

  • 貿易摩擦が落ち着いたとしても、米国の労働市場は弱まり、物価は上昇するリスクがあるという指摘

オーストラリアドルは利下げで下落

一方、オーストラリアドルは中央銀行の利下げ発表を受けて下落。政策金利(OCR)を4.10%から3.85%に引き下げた影響で、対米ドルでは0.6%安の0.6416米ドルとなりました。

OCR(オフィシャルキャッシュレート)とは?

OCRとは、中央銀行が設定する政策金利のことで、一般にこの金利が下がるとその国の通貨が売られやすくなります。


市場は今後もドル安傾向を予測

オプション市場では、今後1年間のドルに対して悲観的な見方が広がっています。リスクリバーサル(通貨が下落するリスクへの備えを示す指標)は、2011年以来最もネガティブな水準に達しています。

リスクリバーサルとは?

リスクリバーサルとは、オプション市場で「下落に備えるプット」と「上昇に備えるコール」の価格差を示す指標で、マイナスが大きいほど、市場がその通貨の下落を懸念していることを意味します。

UBSの専門家によれば、投資家は多面的な不確実性に直面しており、今後の市場は高いボラティリティ(価格の変動幅の大きさ)を予想しています。


FRBの政策は慎重姿勢を維持

FRBの関係者は、経済見通しに不透明感があり、利下げには動かないとの見方を示しています。特に米セントルイス連銀のムサレム総裁は、貿易政策が米国経済に与える影響を懸念しています。


注目は日米財務相会談

今後の注目イベントとしては、カナダで開催されるG7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて予定される、日米財務相間の2国間協議があります。この協議が通貨問題に触れる可能性があるため、市場参加者は注意深く動向を見守っています。


まとめ

✅ 米ドルは経済政策の不透明感やFRBの慎重姿勢により弱含み。

✅ ドル円は一時144.095円まで下落、円買い優勢の流れ。

✅ オーストラリアドルは中央銀行の利下げにより下落。

✅ 市場は1年先まで米ドル安の見通しを強めている。

✅ 日米財務相会談が為替市場の次の注目材料。

原油相場の最新動向

イラン情勢で不安定な値動き

原油先物相場は下落しています。イランに対する制裁の見通しが不透明な中、市場は不安定な値動きを見せています。イランの最高指導者ハメネイ師が米国との協議に懐疑的な姿勢を示し、トランプ政権に対して「ばかげた話をしないよう努めるべきだ」と発言したことから、核合意への期待は後退しています。

市場への影響

イランと米国の協議の行方に関する様々な報道により、原油価格は先週から不安定に推移しています。もし協議が進展すれば、既に供給過剰が予想されている市場にさらなる原油が流入する可能性があります。

専門家の見解

BOKファイナンシャル・セキュリティーズのデニス・キスラー氏は、「石油輸出国機構(OPEC)やイラン、ロシアを巡る動向がもっと明確になるまで、原油市場は先の見えない道を進んでいるようなものだ」と述べています。

価格の動き

  • ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限:前営業日比0.2%安の1バレル=62.03ドル
  • ロンドンICEの北海ブレント7月限:0.2%下落し65.38ドル

金相場の動向

続伸する金価格

金相場は続伸しています。通商を巡る緊張や米政策金利見通しが意識される中、金スポット価格がテクニカル上の節目を上抜けたことで、ショートポジション(空売りポジション)を買い戻す動きが広がりました。

テクニカル要因

サクソバンクの商品戦略責任者オーレ・ハンセン氏によると、金価格が1オンス=3250ドルの水準を上回ったことで、ショートカバー(空売りポジションの買い戻し)の動きが加速したとのことです。

市場背景

金相場は先週、貿易摩擦の緩和を背景に週間ベースでは昨年11月以来となる大幅な下落を記録しました。しかし、多くのアナリストは、トランプ関税が景気の減速を招き、インフレ(物価上昇)を助長するとの見方を崩していません。経済の先行き不透明感に対するヘッジ(リスク回避手段)とされる金にとっては、こうした環境は追い風となります。

価格の動き

  • 金のスポット価格:前日比56.07ドル(1.7%)高の1オンス=3285.63ドル
  • ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限:51.10ドル(1.6%)高の3284.60ドル

まとめ

✅ 原油相場はイラン制裁の不透明感から下落し、WTI先物は1バレル62.03ドルで取引されています

✅ イランと米国の核合意協議の行方が市場の焦点となっており、進展すれば供給増加の可能性があります

✅ 金相場は通商問題や政策金利見通しを背景に続伸し、1オンス3285ドル台で取引されています

✅ 経済の先行き不透明感がリスク回避資産である金に追い風となっています