2025/7

『米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約』・2025/7/2

米国市場まるわかり|株式・債券・為替・商品先物を毎日要約とは?

 

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目次

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昨日の市況まとめ 1分解説

株式市場(総合ニュース)

昨日のマーケットの動き 

米国株式市場が反落、ハイテク株から資金流出―FRB利下げ期待が後退

  • 米国株式市場は大型ハイテク株からの資金流出で反落
  • 米求人件数が予想外に増加したことでFRBの利下げ期待が後退
  • 製造業指数は4カ月連続で縮小、関税の影響に注目が集まる

米国株式市場の動向

1日の米国株式市場では、S&P500種株価指数が0.11%安と反落しました。一方、ダウ工業株平均は0.91%高と続伸、ナスダック総合指数は0.82%安となりました。

特に最近の株高を支えてきた大型ハイテク株から資金が流出し、売られていた小型株などに資金が流れる動き(ローテーション)が加速しました。

  • S&P500種株価指数: 6198.01(-0.11%)

  • ダウ工業株30種平均: 44494.94(+0.91%)

  • ナスダック総合指数: 20202.89(-0.82%)

  • ラッセル2000指数(小型株): 約1%上昇

  • ナスダック100指数(ハイテク株中心): 約0.9%下落

米求人件数が予想外の増加―利下げ期待が後退

5月の米求人件数は昨年11月以来の高水準となり、労働市場の堅調さを示しました。これは景気停滞下でのインフレリスク(スタグフレーション)が低下することを示唆し、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに踏み切る必要性が薄れたと市場は受け止めました。

スタグフレーションとは?

  • 景気が停滞する中で、物価が上昇する経済状況のこと。

FRBのパウエル議長は、利下げについては「可能性は排除しないが、データ次第だ」と慎重な姿勢を示しました。バンガードのジョシュ・ハート氏は、年内2回の利下げを予想していますが、当面は据え置きが続くとの見方を示しています。

製造業の活動は引き続き低迷―関税の影響に警戒

米国の6月ISM製造業総合景況指数は4カ月連続で50を割り込みました。これは製造業の活動が縮小していることを示しています。

ISM製造業景況指数とは?

  • 米国の製造業の景気動向を示す指数。50を下回ると製造業が縮小していることを意味します。

さらに、関税が製造業活動に悪影響を及ぼす可能性が懸念されており、企業のコスト増加が今後の焦点になっています。

トランプ大統領の貿易政策が再び注目

トランプ米大統領は日本に対し「極めて大きな貿易赤字」を理由に、30%以上の関税を課す可能性を示唆しました。一方で米上院は4兆5000億ドルの減税と1兆2000億ドルの歳出削減を盛り込んだ法案を可決し、景気刺激効果への期待も高まっています。

個別株の動向

  • テスラは5%超下落。政府が補助金削減を検討していると伝えられました。

  • 景気に敏感な素材株や小型株は上昇し、ダウ指数を押し上げました。


まとめ

✅ 米求人増加でFRB利下げ期待が後退、株式市場は反落

✅ 大型ハイテク株から資金流出、小型株や景気敏感株に資金が流入

✅ 製造業指数が4カ月連続の縮小、関税の悪影響に懸念

✅ トランプ大統領が日本への関税引き上げを示唆

✅ 市場は米国の景気刺激策や週末の雇用統計に注目

債券市場 米金利(CMEのFedWatch ツール)

アメリカ 利下げ織り込み

今日

昨日

米国債利回り上昇:強い雇用データでFRB利下げ観測が後退

米国債市場では、予想を上回る雇用データの発表により、債券価格が下落し利回りが上昇しました。この動きは、FRB(連邦準備理事会)の金利政策に大きな影響を与えています。

各年限別の利回り動向

最新の米国債利回りの状況は以下の通りです

  • 米2年債利回り:3.77%(前日比+5.3bp上昇)
  • 米10年債利回り:4.24%(前日比+1.6bp上昇)
  • 米30年債利回り:4.76%(前日比-1.0bp低下)

※bp(ベーシスポイント):金利の単位で、1bp=0.01%を表します

金融政策に敏感な短期債の動き

特に注目されるのは2年債利回りの動きです。金融政策の変更に最も敏感に反応する2年債利回りは、一時3.78%を超える場面もありました。これは、市場がFRBの利下げ時期を後ろ倒しで予想していることを示しています。

雇用データが与えた影響

JOLTS統計の内容

5月の雇用動態調査(JOLTS)では、以下の結果が発表されました

  • 求人件数:776万9000件(前月比37万4000件増)
  • 市場予想:730万件
  • 実績との差:予想を大幅に上回る結果

この強い雇用データにより、労働市場の堅調さが改めて確認され、FRBが早期の利下げに踏み切る可能性が低下しました。

FRBの金利政策見通し

パウエル議長の発言とその影響

パウエルFRB議長は「データ重視」の姿勢を改めて表明し、利下げ決定は経済指標次第であることを強調しました。しかし、強い雇用データの発表により、7月利下げへの期待は後退しています。

市場の利下げ予想

  • 7月利下げ確率:約15%(前月のほぼ0%から上昇)
  • 9月利下げ:25bp(0.25%)の利下げが完全に織り込まれている
  • 全体的な見通し:利下げ時期の後ろ倒しが予想される

※スワップ取引:将来の金利水準を予想する金融商品の取引

専門家の見解

市場関係者は、FRBの慎重な姿勢と堅調な経済データのバランスを注視しています。リームズ・アセット・マネジメントのアナリストは、「堅調なデータが存在する中で、次の判断を下すのは困難」と指摘し、FRBの明確な方向性は今後数か月で見えてくるとの見通しを示しています。

まとめ

✅ 米国債利回りは雇用データの好調により上昇し、特に2年債利回りが大幅に上昇した

✅ 5月の求人件数が予想を大幅に上回り、労働市場の堅調さが改めて確認された

✅ 7月の利下げ確率は約15%まで上昇したものの、依然として可能性は低い状況

✅ FRBは「データ重視」の姿勢を維持し、経済指標を慎重に見極める方針

✅ 9月の利下げは市場で完全に織り込まれており、利下げ時期の後ろ倒しが予想される

為替市場(FX) 通貨強弱

通貨全体の動き

ドル単体の動き

↑こちらのチャートはFX-laboさん↑


ドル指数が一時大きく下落、米経済指標の改善で下げ渋る展開に

  • ブルームバーグ・ドル指数が一時2022年3月以来の安値を記録した後、米経済指標の改善を背景に下げ幅を縮小
  • FRB(米連邦準備制度理事会)の政策に対する政治的圧力や利下げ懸念がドルの重しに
  • ユーロがドルに対して2004年以来となる9日連続の上昇を記録

米ドルが弱含む理由

米ドルの価値を示す指標であるブルームバーグ・ドル指数は、一時大幅に下落し2022年3月以来の安値となりました。しかし、米国の経済指標(求人件数や製造業指数)が市場予想を上回ったため、ドルの下げはある程度抑えられました。

  • ブルームバーグ・ドル指数とは?
    ブルームバーグが算出する主要な通貨に対する米ドルの価値を示した指標です。この指数が下がると、ドルの価値が主要通貨に対して弱くなったことを意味します。

なぜドルは弱いのか?

ドルが弱含んでいる主な原因は、以下の2点です。

  • FRBの政策への政治的圧力
    米中央銀行(FRB)の独立性に対して政治的な介入があるとの懸念が、市場心理を悪化させています。

  • 利下げ予想の強まり
    FRBが2025年7月以降に利下げ(政策金利の引き下げ)を行うとの見方が強まっており、ドルの利回りが低下することへの警戒が高まっています。

利下げとは?

利下げは中央銀行が経済を刺激するために政策金利を引き下げることです。利下げが行われると、その国の通貨は一般的に下落する傾向にあります。

ユーロが強い理由

一方、ユーロはドルに対して2004年以来の9営業日連続の上昇となり、堅調な動きを示しています。背景には以下の要因があります。

  • 米国の経済政策やインフレ懸念によるドル安

  • EU経済が比較的安定しているとの見方からユーロが買われている

市場では、米国の利下げ観測や政治的不透明感が続く限り、ユーロ高・ドル安の動きが継続する可能性があります。

今後の見通しと注意点

専門家は短期的にはドルが売られすぎている可能性を指摘しており、7月にかけてドルが一時的に反発する可能性もあります。

特に注意すべきポイントとして、

  • 米国経済指標のさらなる改善

  • FRBによる利下げに関する新たなコメント

  • 政治的な動向や貿易政策の変更

が挙げられます。

まとめ

✅ ブルームバーグ・ドル指数は一時2022年以来の低水準まで下落した後、米経済指標の改善を受け下げ幅を縮小

✅ FRBへの政治的圧力や利下げ観測がドルの価値を押し下げている

✅ ユーロは対ドルで2004年以来の連続高を記録、ドル安が継続

✅ 短期的にはドルが売られすぎており、7月に反発する可能性も指摘されている

原油・金価格が上昇:中東情勢と米国政策への懸念が背景

原油市場

価格の反発と背景要因

ニューヨーク原油先物相場は反発しました。1か月ぶりの安値付近から上昇に転じており、主な要因は中東情勢の再緊張です。

• WTI原油先物8月限:65.45ドル(前日比+0.5%) • 北海ブレント9月限:67.11ドル(前日比+0.6%)

中東情勢の影響

イスラエルとイランの関係悪化が原油価格を押し上げています。

• イランの高濃縮ウラン備蓄量の動向に注目 • 国際原子力機関(IAEA)※の査察打ち切りによる緊張 • トランプ大統領のイラン核開発への強硬姿勢 • 停戦の脆弱性への懸念

※IAEA:核の平和利用を促進し、軍事転用を防ぐ国際機関

米国経済指標の影響

マクロ経済指標は原油にとって複雑なシグナルを発しています。

• 弱い材料:6月ISM製造業指数が4か月連続で50を下回る(活動縮小を示す) • 強い材料:5月求人件数が予想外に増加(労働市場の堅調さを示す)

第2四半期の原油市場振り返り

大幅な変動

4-6月期の原油市場は激しい値動きを見せました。

• 全体:約10%下落 • 4月:トランプ大統領の関税計画で急落 • 6月:イスラエルによるイラン攻撃で急伸 • その後:両国間の緊張緩和で上昇分を削る展開

市場の不安定さ

• インプライドボラティリティ(IV、予想変動率)※が6月10日以来の低水準 • 短期的な流動性低下への懸念 • 市場の動揺が継続中

※インプライドボラティリティ:市場参加者が予想する将来の価格変動の大きさ

金市場

価格上昇の要因

金相場は続伸しており、複数の要因が支援材料となっています。

• 金スポット価格:3,337.57ドル(前日比+1%) • COMEX金先物8月限:3,349.80ドル(前日比+1.3%)

財政リスクへの懸念

• トランプ大統領の税制法案による財政赤字拡大への懸念 • 安全逃避先としての金の需要増加 • 政府の歳出法案による財政リスクの顕在化

金融政策の影響

5月の強い雇用データにより、金融緩和期待が後退しました。

• 金利を生まない金にとって金融緩和はプラス材料 • 強い雇用データで金の上げ幅がやや縮小 • ドル安継続なら金の短期的上昇余地が大きいとの見方

専門家の見解

原油市場について

サクソバンクの商品戦略責任者オレ・ハンセン氏は、「最近の激しい値動きで市場が依然として動揺しており、短期的な流動性の低下につながる可能性がある」と指摘しています。

金市場について

• コメルツ銀行:財政リスクの顕在化により安全逃避需要が高まる可能性 • 豪コモンウェルス銀行:ドル安継続なら金の短期的上昇余地が最も大きい

まとめ

✅ 原油価格は中東情勢の再緊張により1か月ぶり安値から反発し、WTI・ブレント共に上昇した

✅ イスラエル・イラン関係の悪化と核開発問題への懸念が原油市場の支援材料となっている

✅ 金価格はトランプ政権の税制法案による財政赤字拡大懸念で続伸し、安全逃避需要が高まった

✅ 強い雇用データにより金融緩和期待は後退したものの、財政リスクが金価格を下支えしているv